最強の狂紳士冒険者は、髭面の猛獣(獣人)を連れ出したい。〜デカつよカップルの執着スローライフ〜

うろうろ

文字の大きさ
40 / 60
第二章 魔物ツカイの街

*40尻尾の付け根

一瞬これで事が収まったかと思ったが、ジェイドの中にある人型魔物の交尾のモデルがゴブリンやオークのせいで、心の安寧はそう簡単に取り戻せなかったらしい。
人型に進化したフェンリルを、辛抱堪らんとばかりに殺しに行こうとするので、さっきは俺が浴槽から出ようとして引き留められたが、今度は引き留める側になっていた。

「ヴーッ! 来るかわからず待つのは嫌だ…ッ追ってくる前にこっちから…ッ!」
「あーあージェイド、尻尾、尻尾は洗ったか? あ~俺は洗ってないぞ、ほら自分で洗わないとな」
「尻尾ォ?!」

目と牙を剥いて睨み返すジェイドの気迫はかなりのものだ。普段物静かに唸り仏頂面で怒りを表す彼にしては、かなり剥き出しの感情表現。思わず笑いが込み上げるが、堪える。

確かに、ゴブリンやオークのようなエゲツない性行為を想像してしまってるなら、それと同じ目に遭わされる前に始末しようとする気持ちは分かると言いたいし、そこに尻尾を洗ったかどうかなど毛程の問題では無いのも分かる。毛の問題なだけに。おっと、つまらない事を考えてしまったな。

「洗いたければおまえが洗えッ、オレは行く…ッ!!」
「ジェイド、きみが出て行ったら俺は尻尾を洗えない」
「知るか…ッーゥグ!」

なおも浴槽から出ようとするので、申し訳ないが尻尾を掴んで引っ張った。初日でも逃げようとするのを引き留める為に尻尾を握って押し留めたが、こんなことしてるのをトーガに見られでもしたら、向こう十年は虫ケラをみる冷たい目で見られるだろう。

『獣人の弱点つくなんざ、クソ最低野郎のやることだぜ』

とかなんとか、絶対に言われる。うん、なんとも想像に難く無い。脳内に現れたトーガに罵られながら、俺は心中で言い訳をする。

──仕方ないだろう…ッ! この男は俺には容赦無く暴れてくるのだから…!! きみたちは彼が無意識のうちに手加減してるのを知らないだろうが…ッ!

今も浴槽から出ようと暴れてガブガブと俺の身体のあちこちを噛んでは引っ掻く暴れん坊を押さえながら、湯の中に沈んだ石鹸を必死に手探りで探す。

「ヴーッ! 離せっ…! ヴルル!!」

この男の本能の機敏は凄まじい。直感で相手の力量を見極めて、瞬時に切り替えるのだ。どれくらいの力加減で接しても平気かを。
薄々わかってはいたが、料理店の大将の腹に魅了されてゴロゴロ喉鳴りするひっつき蝉になった彼を大将の腹から引き剥がす時に、確信した。

恐ろしい程の拘束力を見せつつ、大将には必要以上の負荷はかけずに、引き剥がそうとする俺たちの力に反発できる力を入れてくるのである。しかも、相手に合わせて。
トーガやロゼクスと引っ張る際に掴む手脚を何度か交代して引き剥がそうとしたが、分かるのだ。
俺が掴むと手脚何処でも、最大限の力量で拒んでくるのが。本当にあれは引き剥がすのに苦労した。

──あ、あった…!!

バシャバシャと湯船の底を掻き回して引っ掴んだ石鹸を、暴れるジェイドの尻尾の付け根にコレでもかとゴシゴシと擦り付けて刺激を与える。そこに躊躇いなどない。
これもトーガに見られたら、ゴミムシを見るような目で

『アンタ最低野郎すぎるぜ、獣人の性感帯を無遠慮に弄りまくるなんてよぉ』

などと吐き捨てるように絶対に言われる。絶対に。
だが仕方ないのだ、この男相手に遠慮などしたら血を見る、フェンリル二体の。いや、正直アレらがどうなろうが知ったことではない。
俺の守りたいものは使役魔を殺すことで、咎に問われ罪人になってしまう、未来のジェイドである。

「ゥ! ゔっ、ふぐぅ…ッ!! ぬゔー…ッ!」

案の定、性感帯を刺激された暴れん坊は真っ赤な顔になって身体を強張らせたが、それでも我慢しようと四肢を突っぱねて躍起になる。我慢するな、しなくて良い我慢だからな、ソレ。

「グゥルルるるるッ!!」
「洗いたければ洗えって言ったのはきみだぞ?」

向かい合わせで抱きしめてたから、鋭い犬歯を剥き出しにして額に何本も青筋を浮かべた凄まじい憤怒の表情で、真正面から威嚇された。
平民なら失神失禁、ある程度鍛えた冒険者でもこの威嚇をされたら身動きは取れなくなるだろう。そこらの魔物なら怯えて逃げる。

それだけの闘気と殺意を全力でぶつけて来るこの男には遠慮が無いからこそ、俺もゾクゾクとしてしまう。ここ数十年久しく味わってないこの感覚が、この男と出会ってからはしょっちゅう味わえることに自然と笑ってしまう。

「ぬゔゔゔ~ッ!!フグゥヴヴーッ!」

俺の様子を見たジェイドが更にビキビキと額に青筋を増やしている。わかってる。火に油を注いでるのはわかってるが、楽しくて笑みが浮かぶのをどうにも止められないのだから、仕方ないじゃないか。

「洗わないと酷い臭いになるぞ、ソレだけでも向こうには良い目印になるだろうなぁ」
「フガァアア!」

尻尾の付け根を固形石鹸でグリグリと様々な角度から擦り付けて、更に根元を握って扱くと、ビクビクと身体を跳ねさせて悶える。
全身を真っ赤に染めて怒りながら性感帯に感じるという、器用なことをしてのけるジェイドに俺はますます愉快な気分になってしまう。

重石の魔具の枷を嵌めてるので速度は落ちるが、繰り出して来る手脚の攻撃はどれも急所を狙ってくるエゲツないものだ。そのスリルもまた楽しい。

ぎゅっ、ぎゅっと強弱つけて根元を握って扱くとビクビクと身体を震わせて、怒りに歪んでる翡翠色の双眸が快楽に濡れ光る。本当に、綺麗な翡翠色の目。彼をジェイドと名付けたのも頷ける。

「ヴーッ! くりすッ、ヴッ…!」
「──ッ…」

一瞬、甘い声で名前を呼ばれてドキッとした。
獰猛な猛獣の皮が剥がれて、快感に戸惑いながらそれに悦ぶ素直な表情が見えると、思わず此方もまた欲情しそうになる。

歴とした成人男性として成熟した肉体を持ってるのに、中身が伴わず性知識も覚束無い様子に、つい悪戯心が擽られるのだ。さっきは少し揶揄うつもりが、思わず此方の欲情まで掻き立てられて久しぶりに吐精までしてしまったのは、誤算というか。まあ、これは言い訳だ。

「ふ…ッ、ゔっ…グゥ…ッぁゔ」
「…ジェイド、自分で洗うならやめるが…」

これは嘘。常に顰めっ面で辛気臭い顔をしてるこの男が快楽に歪む顔を見ると、もっといろんな表情をさせたくなってつい手を出したくなってしまう。だから実は尻尾を洗うのは、このまま全部俺に任せて欲しい。
まぁ、建前では教育者として、常識を教える為に、獣の部位の扱いにはいつも一線を置くが。

「ヴーッ! も、いぃ、ヴルル…わかっ、やる、だからッ! やめろッ…!」
「だがしっかり洗わないとダメだからな。すっかりフェンリルたちの精液が毛に入り込んでこびり付いてしまってるんだ、此処とか、此処とか」
「ふグゥ、…ッ! ヴー…ッ!」

根元の付け根の毛を指先でこそぐように引っ掻いてやると、ビクビクと身を震わせて厳めしい顔を快楽に歪めて泣きそうな顔になる。潤んだふたつの翡翠は、本物の宝石のようにキラキラと煌めくのだから、つい魅入ってしまう。
うん…、凄く、良い。普段とのギャップが、凄く。語彙力が消えるくらいには、良い。

「ゔ、ヴー! ゔぞ…ッ言…ッな…、ぁゔ…っ」
「嘘じゃない。本当だ。湯につけてたが、まだ取れてないのが分かるだろ? 自分で洗えるなら良いが」

これは本当だ。しつこくフェンリル二体分の、いきり立った性器を全身に擦り付けられてたジェイドは、特に尻尾のこの付け根をゴシゴシと大きな陰茎で擦られて、性的興奮を高められ続けていた。

だから同衾契約が終わった後の状態はそれはもう、酷かった。
ゴベゴベのぐちゃどろで、尻尾の毛にぼってり精液が絡みついて無惨な有様で。本人はもう暫くはそこを触りたくも無いはず。

──あぁ…しかし今思い出しても、業腹である、あの光景は。

俺が苦労して探し出したジェイドを、ああも好き勝手に弄り回すフェンリル達に苛立ちがずっと抑えられなかった。それにデフォンにしてやられた自分に、更に腹が立って仕方なかった。だから、彼が暴れて噛みつき引っ掻こうとも、全て甘んじて受け入れた。無意識に怯え震える猛獣の、気休めになるならばと。

──全てにもっと警戒していれば、こんな事にはならずに済んだだろうに──…

「ヴぐーッ! くり、す…ッ! ぎゃゔ、ヴーッ…ッ!」
「!」

ガブリ、と僧帽筋に思い切り牙を突き立てられたことで、俺はジェイドの尻尾の付け根をゴシゴシ扱き続けてた手を止めた。

「っ、ヴッ…ヴー…フッ、ゥグ~! …ふゔーッ」

自分の思考に集中してたあまり、ジェイドの観察が疎かになってしまっていたらしい。反省して、そして後悔した。全身真っ赤に染めてた彼は何度も絶頂を繰り返してグッタリとしていた。恐らくもう出すものなどないから、ドライオーガズムだろう。
折角のジェイドの乱れる姿を、旧知の者への恨みつらみでつい見逃してしまった。息絶え絶えにもたれかかるその顔は汗だくで可愛そうな程だったが、なけなしの気力を振り絞って俺に噛みついてくれて助かった。と言うか、俺も普段ならこんなに感情的になるどころか思考に夢中になってしまうなどそう無いので、少し自分に驚いてしまった。

──俺も、彼に随分と甘えてしまってるらしい。

自制心を失うなど、此処数十年は、いや、数百年はあっただろうか……

「ジェイド、大丈夫か? ジェイド、お~い…」
「…ゔ、…ゔぅ…、ふぅ…ッ」

弛緩した艶姿を披露してくる男に唆られてしまいそうになるが、意識不明の者に手を出す趣味は無い。俺はあのケダモノ共フェンリルたちとは違う。
ジェイドに宣言していた“酷いこと”とは正にあの瞬間、フェンリルたちが人型形態を得た瞬間のことだ。

躊躇いなく気絶してたジェイドに飛びついて、本格的な性行為を始めようと覆い被さったアレらを、思い切り殴り飛ばして同衾終了を突きつけた俺は、しっかり説明した。

大型四足獣の姿の状態時に結んだ同衾の契約であって、人型になったお前らでは無いと。歴とした契約違反であると。連中は泣いて悔しがっていたが、知った事ではない。

「ふぐ…ゔ…っ、も、洗い…終わっ…た、か…」

ペチペチと頬を叩いてみれば、なんと、本人はずっと尻尾を洗われてると思っていたらしい。此れにはもう俺も笑いを耐えられる自信は無かった。いや、これまでも殆ど耐えては無かったが。

「うん、まぁ、根元はな」
「ヴーッ?!」

色っぽい表情全てを吹き飛ばして目をひん剥いた彼は、あまりにも可笑しくて、微笑ましくて、面白くてどうしようもない気持ちが湧いて溢れてくる。

「ヴーッ! ヴーッ!」
「自分でやるのか? 構わないがちゃんと毛の中もしっかり洗うんだぞ、こうやって」
「ヴグ~…ぅ、ヴー…ッ…グルル…るる…」

低い唸り声をあげて抗議してきてた男は、さっきより優しくワシワシと指先を使って被毛の根元を洗う俺の手つきに直ぐに懐柔されて喉鳴りをする。
スッカリ抵抗してたのが嘘みたいに、フニャ~と弛緩してもたれかかるジェイドは、本能に素直だ。その性質が面白くて堪らないが、同時に不安にもなる。

トーガやリリィは事あるごとに「見つけたのが俺たちで良かったぜ」などと言うが、それはご尤も。
いや、実際に探して見つけたのは正確には俺であり、彼等はずっと文句か反対し続けてた訳だが。

──まぁ、それを言ったらふたりともさぞかし冷たい目で『ケツの穴が小せえなぁ』なんて目で俺を見るし、実際に言うだろうから、我慢して黙っている。

なんせ去年は随分と皆からかなりの不況を買ったので。
今年は小さなことでもなるべく、反感を煽る事はしないように気を付けてる。つもりだ。


感想 0

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。 藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!? 「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」 ……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。 スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。 それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。 チート×獣耳×ほの甘BL。 転生先、意外と住み心地いいかもしれない。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

従者は知らない間に外堀を埋められていた

SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL 転生先は悪役令息の従者でした でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません だから知らんけど精神で人生歩みます

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…