67 / 115
第12章 招かれざる来訪者、帝国の使者
12-5:三人の会議
しおりを挟む
ズン……ズン……ズン……。
あの、機械のように統制された、冷たい鉄の地響きが、ゆっくりと森を遠ざかっていく。大地を容赦なく踏み砕いていた威圧的な振動は、もはやアトリエのガラス器具を震わせることもなくなり、やがて、秋の森の、か細い虫の声にかき消された。
嵐は、去った。
だが、アトリエに残されたのは、平穏ではなかった。
ヴォルフラム・フォン・シュタイン伯爵が持ち込んだ、帝国の圧倒的な「技術力(錬金術)」と、彼の言葉が突き立てた「呪い(ブライト)」という絶望的な「真実」。それらが、暖炉の火が燃える音すら吸い込むような、重苦しい沈黙となって、アトリエの空気を支配していた。
夕闇は、すでに窓の外を「夜」に変えていた。
暖炉の炎と、実験台に灯されたアルコールランプの青い炎だけが、室内にいる三人の、青ざめた顔を、不安げに照らし出している。
ロイドは、ヴォルフラムが立っていた冷たい土間を、まるでそこにまだ怨霊が立っているかのように、忌々しげに見つめている。
ギルバートは、実験台に置かれた『魔力観測機』の、今もなお微かに震え続ける針を、苦々しい表情で睨みつけていた。
ガラス器具が、先ほどの地響きの名残で、カタ、と微かな音を立てた。
その小さな音に、ロイドが、まるで悪夢から覚めたかのように、ビクッと肩を震わせた。
「……ソフィア様。ギルバート様」
ロイドの声は、かすれていた。あの『紫死病』で死の淵をさまよった時ですら、決して失わなかった商魂の輝きが、彼の瞳から消えている。その顔は、彼がアトリエに駆け込んできた時よりも、さらに青白かった。
「あれが、帝国の『錬金術師団長』。……噂以上の、怪物だ」
彼は、椅子に座ることも忘れ、アトリエの入り口(ヴォルフラムが立っていた場所)と、実験台の中央に鎮座する『ブライト』のサンプルケースとを、恐怖に引きつった目で見比べた。
「あの男、ヴォルフラム。彼は、我が商会でも、最も取引を避けるべき『鉄血伯爵』と呼ばれています。彼が動くところに、金銭(もうけ)の匂いはしない。ただ、鉄と、血と、そして、帝国の『国益』だけがある」
ロイドの合理的な思考が、商人としての恐怖を分析し、最悪の結論を導き出していた。ヴォルフラムは、利益で動く商人とは違う。「国益」という、金銭では測れない、より冷徹な原理で動く存在だ。それは、ロイドの「取引」の土俵が、一切通用しない相手であることを意味していた。
「ソフィア様、ギルバート様。あの男の言葉を、信じるわけではございませんが、万が一のことがあっては。国王陛下に、この森の『防衛』を、正式に要請すべきでは? あの男は、ソフィア様の『薬(エリクシル)』と、この森の『呪い(ブライト)』、その両方に、明確に『気づいた』」
ロイドは、政治的な駆け引きと、軍事的な圧力という、彼が最も得意とする土俵で、物事を解決しようとしていた。
だが、ギルバートの反応は、違った。
彼の屈辱は、政治的なものではない。もっと、根源的なものだった。
「侮辱だ」
ギルバートが、杖を握りしめる拳を、わなわなと震わせながら、床に吐き捨てた。
「あの男、ヴォルフラム。我々の『魔術(マジック)』を、'まじない'と呼び、ソフィア薬師の『化学(サイエンス)』を、'草遊び'と断じた」
彼の青い瞳は、ロイドのような恐怖ではなく、研究者としての、そして、この国の魔術師としての、深い「屈辱」に燃えていた。
王宮魔術師団(アカデミー)の天才と持て囃された自分が、聖樹(アーティファクト)の解析も、呪い(ブライト)の分析もできず、帝国の錬金術師(アルケミスト)に、その両方の「答え」を、一方的に突きつけられたのだ。
あの灰色の瞳は、ギルバートの魔術を「分析対象A(魔法)」と分類し、そして、即座に「時代遅れの迷信」と切り捨てた。
「『魔法を無効化する理(ルール)』だと?」
ギルバートは、ヴォルフラムが残した、あの不吉な言葉を反芻した。
「彼の言う通りかもしれん。聖樹(魔力の源泉)ですら、あの『ブライト』に蝕まれている。我々の魔術は、あれに対して、あまりにも無力だ。オーギュストの『呪い(フェーズ・ツー)』が、聖女の光を『餌』にしたように、我々の魔術もまた、あの『ブライト』を、活性化させるだけの『餌』にしかならんかもしれんのだぞ」
ギルバートは、初めて、自らの「理(ルール)」の、絶対的な「限界」を突きつけられ、焦燥していた。
ロイドは、政治的な防衛を。
ギルバートは、魔術的な無力感を。
二人の男が、それぞれの立場で、ヴォルフラムが残した「絶望」に、打ちのめされていた。
アトリエの沈黙は、深まった。
暖炉の薪が、パキリ、と虚しく爆ぜる。その音だけが、やけに大きく響き、二人の男の絶望を際立たせる。
その、重苦しい空気を、切り裂いたのは、私の、どこまでも冷静な、声だった。
「……許せない」
「「?」」
ロイドとギルバートが、同時に、顔を上げた。
私の声には、ロイドのような「恐怖」も、ギルバートのような「焦燥」も、含まれていなかったからだ。
ただ、どこまでも冷たく、静かな、「怒り」だけが、込められていた。
「……ソフィア様?」
「あの男(ヴォルフラム)」
私は、アルコールランプの芯を調整しながら、その青い炎の先端を、睨みつけた。私の赤い瞳が、その炎の色を反射して、不気味に燃えている。
私の怒りの源泉は、二人のそれとは、まったく別の場所にあった。
「私の『化学(ケミストリー)』を、『十年遅れの玩具(ガラクタ)』と、呼びましたわね」
「そ、そこか!?」
ギルバートが、思わず、素っ頓狂な声を上げた。国の存亡がかかっているというのに、この薬師は、何を。
「当たり前でしょう」
私は、ロイドが届けてくれたばかりの、美しいリービッヒ冷却管を、愛おしげに指先で撫でた。
「この、完璧に計算された、機能美。この、再現性を追求したシステム。これを『玩具』だと? あの男の、歯車とフラスコを組み合わせただけの、悪趣味な『錬金術(アルケミー)』とやらが、どれほど偉いというの」
私の怒りは、前世(カオリ)から続く、研究者としての、知的なプライドへの、許しがたい「侮辱」に対するものだった。
「『私の化学では、対処できない』? ……上等じゃないの」
私は、立ち上がった。
白衣の埃を、パン、と強く叩く。
「あの『錬金術(アルケミー)』とかいう、オカルトまがいの、再現性の低い技術に、私の、体系化された『化学(サイエンス)』が、負けるはずがないわ」
ヴォルフラムの態度は、前世(カオリ)の記憶にあった、エビデンス(証拠)を無視し、経験則(オカルト)だけで新薬開発に口を出してきた、無能な上司のそれに、酷似していた。
「ソフィア薬師、しかし、彼は『ブライト』の正体を」
「ギルバート」
私は、彼の弱音を遮った。
「感傷に浸っている暇はないわよ。敵(ヴォルフラム)が、私たちの『研究対象(ブライト)』の名前と、おおよその特性(魔法を無効化する)まで、教えてくれた」
私の赤い瞳が、アルコールランプの青い炎のように、冷たく燃え上がった。
「これは、絶望的な状況であると同時に、最高の『ヒント』でもあるのよ」
「!」
ギルバートの目が、見開かれた。
そうだ。彼は、この少女が、常に、絶望的な状況(サンプル)を前にした時こそ、最も輝きを増す「研究者」であったことを、思い出した。
「やることは、変わらないわ」
私は、ガラスケースの中の『ブライト』を、改めて、睨みつけた。
もはや、それは「未知の呪い」ではない。
解き明かすべき、「最高の研究対象(サンプル)」だった。
「あの『黒い呪い(ブライト)』を、分析し、無力化し、そして、可能なら『制御』する」
私は、ロイドに向き直った。
「ロイドさん。王都へ戻ったら、国王陛下に、伝言を」
「は、はい!」
ロイドの背筋が、私の気迫に押され、ピンと伸びた。
「『帝国の脅威への対策は、こちら(アトリエ)で、すでに取り掛かっている』と。……それと、追加の『発注リスト』よ」
私は、羊皮紙に、前世(カオリ)の記憶を頼りに、新たな器具の名前を書きなぐった。
「『遠心分離機』の設計図。それから、『白金(プラチナ)るつぼ』。できるだけ、早く」
「か、承知いたしました!」
ロイドの目にも、再び、商魂の火が灯っていた。この薬師は、絶望すらも「商材(もうけのタネ)」に変えてしまうのだ、と。
「そして、ギルバート」
私は、共同研究者(パートナー)に向き直った。
「あの鉄血伯爵(ヴォルフラム)の、鼻を明かしてやるわよ。……『化学(わたしたち)』の力でね」
(私のスローライフ(研究室)を、これ以上、あの無機質な軍靴で、踏み荒らされてたまるものですか)
アトリエの戦いは、今、第二ラウンドのゴングが鳴ったところだった。
あの、機械のように統制された、冷たい鉄の地響きが、ゆっくりと森を遠ざかっていく。大地を容赦なく踏み砕いていた威圧的な振動は、もはやアトリエのガラス器具を震わせることもなくなり、やがて、秋の森の、か細い虫の声にかき消された。
嵐は、去った。
だが、アトリエに残されたのは、平穏ではなかった。
ヴォルフラム・フォン・シュタイン伯爵が持ち込んだ、帝国の圧倒的な「技術力(錬金術)」と、彼の言葉が突き立てた「呪い(ブライト)」という絶望的な「真実」。それらが、暖炉の火が燃える音すら吸い込むような、重苦しい沈黙となって、アトリエの空気を支配していた。
夕闇は、すでに窓の外を「夜」に変えていた。
暖炉の炎と、実験台に灯されたアルコールランプの青い炎だけが、室内にいる三人の、青ざめた顔を、不安げに照らし出している。
ロイドは、ヴォルフラムが立っていた冷たい土間を、まるでそこにまだ怨霊が立っているかのように、忌々しげに見つめている。
ギルバートは、実験台に置かれた『魔力観測機』の、今もなお微かに震え続ける針を、苦々しい表情で睨みつけていた。
ガラス器具が、先ほどの地響きの名残で、カタ、と微かな音を立てた。
その小さな音に、ロイドが、まるで悪夢から覚めたかのように、ビクッと肩を震わせた。
「……ソフィア様。ギルバート様」
ロイドの声は、かすれていた。あの『紫死病』で死の淵をさまよった時ですら、決して失わなかった商魂の輝きが、彼の瞳から消えている。その顔は、彼がアトリエに駆け込んできた時よりも、さらに青白かった。
「あれが、帝国の『錬金術師団長』。……噂以上の、怪物だ」
彼は、椅子に座ることも忘れ、アトリエの入り口(ヴォルフラムが立っていた場所)と、実験台の中央に鎮座する『ブライト』のサンプルケースとを、恐怖に引きつった目で見比べた。
「あの男、ヴォルフラム。彼は、我が商会でも、最も取引を避けるべき『鉄血伯爵』と呼ばれています。彼が動くところに、金銭(もうけ)の匂いはしない。ただ、鉄と、血と、そして、帝国の『国益』だけがある」
ロイドの合理的な思考が、商人としての恐怖を分析し、最悪の結論を導き出していた。ヴォルフラムは、利益で動く商人とは違う。「国益」という、金銭では測れない、より冷徹な原理で動く存在だ。それは、ロイドの「取引」の土俵が、一切通用しない相手であることを意味していた。
「ソフィア様、ギルバート様。あの男の言葉を、信じるわけではございませんが、万が一のことがあっては。国王陛下に、この森の『防衛』を、正式に要請すべきでは? あの男は、ソフィア様の『薬(エリクシル)』と、この森の『呪い(ブライト)』、その両方に、明確に『気づいた』」
ロイドは、政治的な駆け引きと、軍事的な圧力という、彼が最も得意とする土俵で、物事を解決しようとしていた。
だが、ギルバートの反応は、違った。
彼の屈辱は、政治的なものではない。もっと、根源的なものだった。
「侮辱だ」
ギルバートが、杖を握りしめる拳を、わなわなと震わせながら、床に吐き捨てた。
「あの男、ヴォルフラム。我々の『魔術(マジック)』を、'まじない'と呼び、ソフィア薬師の『化学(サイエンス)』を、'草遊び'と断じた」
彼の青い瞳は、ロイドのような恐怖ではなく、研究者としての、そして、この国の魔術師としての、深い「屈辱」に燃えていた。
王宮魔術師団(アカデミー)の天才と持て囃された自分が、聖樹(アーティファクト)の解析も、呪い(ブライト)の分析もできず、帝国の錬金術師(アルケミスト)に、その両方の「答え」を、一方的に突きつけられたのだ。
あの灰色の瞳は、ギルバートの魔術を「分析対象A(魔法)」と分類し、そして、即座に「時代遅れの迷信」と切り捨てた。
「『魔法を無効化する理(ルール)』だと?」
ギルバートは、ヴォルフラムが残した、あの不吉な言葉を反芻した。
「彼の言う通りかもしれん。聖樹(魔力の源泉)ですら、あの『ブライト』に蝕まれている。我々の魔術は、あれに対して、あまりにも無力だ。オーギュストの『呪い(フェーズ・ツー)』が、聖女の光を『餌』にしたように、我々の魔術もまた、あの『ブライト』を、活性化させるだけの『餌』にしかならんかもしれんのだぞ」
ギルバートは、初めて、自らの「理(ルール)」の、絶対的な「限界」を突きつけられ、焦燥していた。
ロイドは、政治的な防衛を。
ギルバートは、魔術的な無力感を。
二人の男が、それぞれの立場で、ヴォルフラムが残した「絶望」に、打ちのめされていた。
アトリエの沈黙は、深まった。
暖炉の薪が、パキリ、と虚しく爆ぜる。その音だけが、やけに大きく響き、二人の男の絶望を際立たせる。
その、重苦しい空気を、切り裂いたのは、私の、どこまでも冷静な、声だった。
「……許せない」
「「?」」
ロイドとギルバートが、同時に、顔を上げた。
私の声には、ロイドのような「恐怖」も、ギルバートのような「焦燥」も、含まれていなかったからだ。
ただ、どこまでも冷たく、静かな、「怒り」だけが、込められていた。
「……ソフィア様?」
「あの男(ヴォルフラム)」
私は、アルコールランプの芯を調整しながら、その青い炎の先端を、睨みつけた。私の赤い瞳が、その炎の色を反射して、不気味に燃えている。
私の怒りの源泉は、二人のそれとは、まったく別の場所にあった。
「私の『化学(ケミストリー)』を、『十年遅れの玩具(ガラクタ)』と、呼びましたわね」
「そ、そこか!?」
ギルバートが、思わず、素っ頓狂な声を上げた。国の存亡がかかっているというのに、この薬師は、何を。
「当たり前でしょう」
私は、ロイドが届けてくれたばかりの、美しいリービッヒ冷却管を、愛おしげに指先で撫でた。
「この、完璧に計算された、機能美。この、再現性を追求したシステム。これを『玩具』だと? あの男の、歯車とフラスコを組み合わせただけの、悪趣味な『錬金術(アルケミー)』とやらが、どれほど偉いというの」
私の怒りは、前世(カオリ)から続く、研究者としての、知的なプライドへの、許しがたい「侮辱」に対するものだった。
「『私の化学では、対処できない』? ……上等じゃないの」
私は、立ち上がった。
白衣の埃を、パン、と強く叩く。
「あの『錬金術(アルケミー)』とかいう、オカルトまがいの、再現性の低い技術に、私の、体系化された『化学(サイエンス)』が、負けるはずがないわ」
ヴォルフラムの態度は、前世(カオリ)の記憶にあった、エビデンス(証拠)を無視し、経験則(オカルト)だけで新薬開発に口を出してきた、無能な上司のそれに、酷似していた。
「ソフィア薬師、しかし、彼は『ブライト』の正体を」
「ギルバート」
私は、彼の弱音を遮った。
「感傷に浸っている暇はないわよ。敵(ヴォルフラム)が、私たちの『研究対象(ブライト)』の名前と、おおよその特性(魔法を無効化する)まで、教えてくれた」
私の赤い瞳が、アルコールランプの青い炎のように、冷たく燃え上がった。
「これは、絶望的な状況であると同時に、最高の『ヒント』でもあるのよ」
「!」
ギルバートの目が、見開かれた。
そうだ。彼は、この少女が、常に、絶望的な状況(サンプル)を前にした時こそ、最も輝きを増す「研究者」であったことを、思い出した。
「やることは、変わらないわ」
私は、ガラスケースの中の『ブライト』を、改めて、睨みつけた。
もはや、それは「未知の呪い」ではない。
解き明かすべき、「最高の研究対象(サンプル)」だった。
「あの『黒い呪い(ブライト)』を、分析し、無力化し、そして、可能なら『制御』する」
私は、ロイドに向き直った。
「ロイドさん。王都へ戻ったら、国王陛下に、伝言を」
「は、はい!」
ロイドの背筋が、私の気迫に押され、ピンと伸びた。
「『帝国の脅威への対策は、こちら(アトリエ)で、すでに取り掛かっている』と。……それと、追加の『発注リスト』よ」
私は、羊皮紙に、前世(カオリ)の記憶を頼りに、新たな器具の名前を書きなぐった。
「『遠心分離機』の設計図。それから、『白金(プラチナ)るつぼ』。できるだけ、早く」
「か、承知いたしました!」
ロイドの目にも、再び、商魂の火が灯っていた。この薬師は、絶望すらも「商材(もうけのタネ)」に変えてしまうのだ、と。
「そして、ギルバート」
私は、共同研究者(パートナー)に向き直った。
「あの鉄血伯爵(ヴォルフラム)の、鼻を明かしてやるわよ。……『化学(わたしたち)』の力でね」
(私のスローライフ(研究室)を、これ以上、あの無機質な軍靴で、踏み荒らされてたまるものですか)
アトリエの戦いは、今、第二ラウンドのゴングが鳴ったところだった。
61
あなたにおすすめの小説
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる