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第四章:交流(一番弟子の誕生)
4-4:クッキーの衝撃(一番弟子の才能)
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一時間後。石窯から、黄金色のクッキーが、香ばしい熱気と共に取り出された。
その熱気が、アトリエの冷涼な空気を揺らし、エリアーナの胸を高鳴らせる。彼女の五感は、石窯から放たれるバターの焦げる香ばしさと、粉の豊かな風味を瞬時に解析し、その完璧な焼き上がりを確信していた。
そのクッキーは、王都の貴族が食べるような、硬いビスケットとは似ても似つかない、繊細で、薄い、芸術的な焼き色をしていた。一枚一枚が均一な厚みと色を保ち、わずかに外側が濃い琥珀色に染まっている。
エリアーナは、そのうちの一つを手に取った。クッキーから立ち上る熱は、彼女の指先に微かな「化学反応の成功」を伝えてくる。彼女は内心で『食材図鑑』を起動させた。
『クッキー(アンナ作・初期型)』
『状態:完璧(グルテン破壊率95%)』
『食感:サクサク(湿度3%)』
『風味:高品質』
『最適レシピ:ショートブレッド、タルト生地(Lv.2)』
(完璧だわ。グルテンを完全に破壊し、粉の風味だけを残している。特に湿度が三パーセント。この石窯の均一な熱が、生地の水分を完璧に飛ばしている。王都のシェフが十人がかりでやっても、ここまで完璧にはできない)
アンナは、焼きたてのクッキーを、怯えた様子でエリアーナの前に差し出した。彼女の顔は、石窯の熱と緊張で真っ赤になっている。
「お、お嬢様……。言われた通りの分量で、焼かせていただきました。ですが、あの、途中で生地が少しだれてしまったので、勝手に冷やしてしまい……お、お許しください! レシピを変えてしまって……」
アンナは、自分の判断でレシピを修正したことを恐れ、顔を青ざめさせていた。公爵令嬢の「レシピ」は、彼女にとって絶対の命令だったはずだ。彼女の周りの若者たちも、アンナの「失敗」を恐れて、固唾を飲んで見守っている。
「いいえ、アンナ。よくやったわ」
エリアーナは、笑みを浮かべた。その笑顔は、王都で王太子に向けた「社交の笑み」とは違い、心からの、純粋な称賛の輝きに満ちていた。その瞬間、アンナの体から緊張が一気に抜け、彼女は思わず息を詰めた。
「このクッキーは、完璧よ。貴女の判断は、レシピをより高みに引き上げたわ。貴女の舌と手の感触が、この地のバターの不安定な品質を見抜いた。それは、私が教えた知識ではない、貴女自身の、天賦の才能よ」
エリアーナは、一枚のクッキーを手に取り、そのままアンナに差し出した。
「貴女が作ったものだわ。貴女が最初に食べなさい。貴女の作品(たましい)を、貴女の舌で評価するのよ」
アンナは、恐る恐るそのクッキーを受け取り、熱を帯びたそれを指先で包んだ。村の娘である彼女にとって、公爵令嬢から直接物を手渡されるという行為自体が、信じられない奇跡だった。
そして、一口かじった。
サクッ、ホロリ。
その瞬間、繊細な音と共に、口の中にバターの芳醇な香りが爆発的に広がる。王都で出回っている、安物の牛脂を使ったバターとは違う、豊かな乳製品の風味が、彼女の舌の上で溶け合った。そして、その後に、シンプルで、どこか懐かしい、純粋な甘さが追従してくる。その風味は、彼女が知るどの「お菓子」とも違っていた。それは、喜びと充足の味だった。
「……! あ……」
アンナの瞳から、大粒の涙が、クッキーの香りを嗅ぎながらポロポロとこぼれ落ちた。彼女は、口の中のクッキーが溶けていくのを味わいながら、言葉を失っていた。
「美味しい……。こんなに、こんなに美味しいクッキー、食べたことがありません……。村の祝い事の時でさえ、こんなに……」
彼女が知る「お菓子」は、硬く、ただ甘いだけの、保存食に近いものだけだった。だが、このクッキーは、食べる喜びそのものだった。彼女の作ったクッキーは、彼女の心と、そして彼女の舌に、強烈な衝撃を与えた。その涙は、単なる感動ではない。自分の手で、この奇跡を生み出せたことへの、純粋な歓喜の涙だった。
(涙を流して、クッキーの味に感動する……王都の貴族は、こんな感情をとうの昔に忘れてしまったわ)
エリアーナは、アンナのその「純粋な味覚」に、心を揺さぶられた。彼女の涙は、エリアーナが王都で失った、『食べる喜び』という、最も大切なものを思い出させてくれた。そして、彼女の才能を、何よりも確信させた。
「アンナ。貴女の味覚は、本物よ。それは、この地の土壌と同じくらい、純粋で、研ぎ澄まされたものだわ」
エリアーナは、アンナの前に膝をついた。公爵令嬢が、村の少女に、頭を下げて話しかけるという、異様な光景だ。その瞬間、周囲の若者たちも、息を飲む。
「貴女には、レシピを正確に再現する力がある。そして、それ以上に、『作品』を理解し、素材の微妙な変化に対応できる、優れた舌がある。王都の誰よりもね。貴女の舌は、私の研究を完成させるために、絶対に必要不可欠な『センサー』よ」
エリアーナは、彼女に手を差し出した。彼女の顔には、真剣なパティシエールの情熱が燃えている。
「私と一緒に、このアトリエで『作品』を作らない? 貴女のその舌は、私の研究(スローライフ)を完成させるために、必要な『センサー』だわ。私が、貴女に、全ての技術(パティシエール)を教える」
アンナは、目の前の公爵令嬢の、真剣な瞳を見つめた。公爵令嬢が、彼女の貧しい出自や、粗末な服ではなく、彼女の才能だけを見てくれている。その事実に、彼女の胸は張り裂けそうだった。
「……っ! はい! 喜んで、お嬢様! 師匠!」
アンナは、袖で涙を拭い、エリアーナの手を、力強く握り返した。その手は、水仕事で鍛えられた、正直で小さな手だった。その誓いは、辺境の冷たい空気の中で、熱い決意となって固まった。
この瞬間、不毛の地と呼ばれた辺境領地で、最高のパティシエールと、最高の味覚を持つ一番弟子との「共闘」が始まった。アトリエの外では、午後の冷涼な日差しが、彼らの未来を祝福するかのように、石壁に長く、新しい影を落としていた。
その熱気が、アトリエの冷涼な空気を揺らし、エリアーナの胸を高鳴らせる。彼女の五感は、石窯から放たれるバターの焦げる香ばしさと、粉の豊かな風味を瞬時に解析し、その完璧な焼き上がりを確信していた。
そのクッキーは、王都の貴族が食べるような、硬いビスケットとは似ても似つかない、繊細で、薄い、芸術的な焼き色をしていた。一枚一枚が均一な厚みと色を保ち、わずかに外側が濃い琥珀色に染まっている。
エリアーナは、そのうちの一つを手に取った。クッキーから立ち上る熱は、彼女の指先に微かな「化学反応の成功」を伝えてくる。彼女は内心で『食材図鑑』を起動させた。
『クッキー(アンナ作・初期型)』
『状態:完璧(グルテン破壊率95%)』
『食感:サクサク(湿度3%)』
『風味:高品質』
『最適レシピ:ショートブレッド、タルト生地(Lv.2)』
(完璧だわ。グルテンを完全に破壊し、粉の風味だけを残している。特に湿度が三パーセント。この石窯の均一な熱が、生地の水分を完璧に飛ばしている。王都のシェフが十人がかりでやっても、ここまで完璧にはできない)
アンナは、焼きたてのクッキーを、怯えた様子でエリアーナの前に差し出した。彼女の顔は、石窯の熱と緊張で真っ赤になっている。
「お、お嬢様……。言われた通りの分量で、焼かせていただきました。ですが、あの、途中で生地が少しだれてしまったので、勝手に冷やしてしまい……お、お許しください! レシピを変えてしまって……」
アンナは、自分の判断でレシピを修正したことを恐れ、顔を青ざめさせていた。公爵令嬢の「レシピ」は、彼女にとって絶対の命令だったはずだ。彼女の周りの若者たちも、アンナの「失敗」を恐れて、固唾を飲んで見守っている。
「いいえ、アンナ。よくやったわ」
エリアーナは、笑みを浮かべた。その笑顔は、王都で王太子に向けた「社交の笑み」とは違い、心からの、純粋な称賛の輝きに満ちていた。その瞬間、アンナの体から緊張が一気に抜け、彼女は思わず息を詰めた。
「このクッキーは、完璧よ。貴女の判断は、レシピをより高みに引き上げたわ。貴女の舌と手の感触が、この地のバターの不安定な品質を見抜いた。それは、私が教えた知識ではない、貴女自身の、天賦の才能よ」
エリアーナは、一枚のクッキーを手に取り、そのままアンナに差し出した。
「貴女が作ったものだわ。貴女が最初に食べなさい。貴女の作品(たましい)を、貴女の舌で評価するのよ」
アンナは、恐る恐るそのクッキーを受け取り、熱を帯びたそれを指先で包んだ。村の娘である彼女にとって、公爵令嬢から直接物を手渡されるという行為自体が、信じられない奇跡だった。
そして、一口かじった。
サクッ、ホロリ。
その瞬間、繊細な音と共に、口の中にバターの芳醇な香りが爆発的に広がる。王都で出回っている、安物の牛脂を使ったバターとは違う、豊かな乳製品の風味が、彼女の舌の上で溶け合った。そして、その後に、シンプルで、どこか懐かしい、純粋な甘さが追従してくる。その風味は、彼女が知るどの「お菓子」とも違っていた。それは、喜びと充足の味だった。
「……! あ……」
アンナの瞳から、大粒の涙が、クッキーの香りを嗅ぎながらポロポロとこぼれ落ちた。彼女は、口の中のクッキーが溶けていくのを味わいながら、言葉を失っていた。
「美味しい……。こんなに、こんなに美味しいクッキー、食べたことがありません……。村の祝い事の時でさえ、こんなに……」
彼女が知る「お菓子」は、硬く、ただ甘いだけの、保存食に近いものだけだった。だが、このクッキーは、食べる喜びそのものだった。彼女の作ったクッキーは、彼女の心と、そして彼女の舌に、強烈な衝撃を与えた。その涙は、単なる感動ではない。自分の手で、この奇跡を生み出せたことへの、純粋な歓喜の涙だった。
(涙を流して、クッキーの味に感動する……王都の貴族は、こんな感情をとうの昔に忘れてしまったわ)
エリアーナは、アンナのその「純粋な味覚」に、心を揺さぶられた。彼女の涙は、エリアーナが王都で失った、『食べる喜び』という、最も大切なものを思い出させてくれた。そして、彼女の才能を、何よりも確信させた。
「アンナ。貴女の味覚は、本物よ。それは、この地の土壌と同じくらい、純粋で、研ぎ澄まされたものだわ」
エリアーナは、アンナの前に膝をついた。公爵令嬢が、村の少女に、頭を下げて話しかけるという、異様な光景だ。その瞬間、周囲の若者たちも、息を飲む。
「貴女には、レシピを正確に再現する力がある。そして、それ以上に、『作品』を理解し、素材の微妙な変化に対応できる、優れた舌がある。王都の誰よりもね。貴女の舌は、私の研究を完成させるために、絶対に必要不可欠な『センサー』よ」
エリアーナは、彼女に手を差し出した。彼女の顔には、真剣なパティシエールの情熱が燃えている。
「私と一緒に、このアトリエで『作品』を作らない? 貴女のその舌は、私の研究(スローライフ)を完成させるために、必要な『センサー』だわ。私が、貴女に、全ての技術(パティシエール)を教える」
アンナは、目の前の公爵令嬢の、真剣な瞳を見つめた。公爵令嬢が、彼女の貧しい出自や、粗末な服ではなく、彼女の才能だけを見てくれている。その事実に、彼女の胸は張り裂けそうだった。
「……っ! はい! 喜んで、お嬢様! 師匠!」
アンナは、袖で涙を拭い、エリアーナの手を、力強く握り返した。その手は、水仕事で鍛えられた、正直で小さな手だった。その誓いは、辺境の冷たい空気の中で、熱い決意となって固まった。
この瞬間、不毛の地と呼ばれた辺境領地で、最高のパティシエールと、最高の味覚を持つ一番弟子との「共闘」が始まった。アトリエの外では、午後の冷涼な日差しが、彼らの未来を祝福するかのように、石壁に長く、新しい影を落としていた。
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