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7 2ndクエスト『三枝の発掘』

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 水曜日の夕方、高山美登里は機嫌が悪かった。普段、冷静な態度で部下に接する美登里が方々に当たり散らしている。

 普段なら、水曜日は定時にそそくさと帰るか、もしくは出先から直帰するのだが、このひは珍しく就業時間を過ぎてもダラダラと残っていた。

”さすが美智香。動きがはやいねぇ“

 美登里の苛立ちを見て、朔太は美智香が白樺専務をうまく連れ出したことを察する。美登里にとって水曜日は白樺と逢瀬を重ねる『お約束の日』なのだ。絶好の機会に見えるが、今回は美登里に対してはここまで。

“美登里しばらくはお預けだよ”

「高山さぁん、今日お時間無いですかぁ?」

 絶妙なタイミングで芹那が高山に語りかける。

「たまには付き合って下さいよぉ」
「ちょっと、田沼さん。私まだ仕事が…」
「いいじゃ無いですかぁ、ねえ朔太くん」

 芹那が朔太に目配せをする。

「はいグループ長。あとは自分たちがやっときますので。ねえ三崎さん」
「ええ、大丈夫ですよ」

 朔太は芹那に優しく微笑みかける。芹那はその微笑みに対して微笑み返すが、その目が恍惚に震えているようだった。

“芹那。あとでたっぷりご褒美あげるからね”

 そのメッセージは芹那に充分届いていることが伺い知れた。

 芹那が美登里をうまく連れ出すと、奈帆は急にソワソワしだした。

「どうしました?三崎さん?」
「朔太くん…私も今日は帰っていいかな?」
「?…ああ、ご家庭のご用事ですね?大丈夫ですよあとは任せてください」
「…いつもごめんなさい。朔太くんに任せてばかりで」
「いえいえ、自分は大丈夫ですんで早くご主人のもとへ帰ってください」
「ありがとう…」

 朔太にとっても奈帆と2人きりになれることは願ってもないことではあるのだが、それは現在の朔太のステージでは無い。

“奈帆もまだだよ。君は最終クエストなんだから”

 奈帆も帰して、芹那も美智香も他に駆り出されている現在になっては、朔太の持ち駒も無くなってしまうわけだが、今日の朔太にとってはこれは予定通りだった。

 おおよその社員が帰った閑散としたしたオフィスの中、朔太のPCの中が既に1週間先までに終わらせなければいけない仕事がもう完了している。そもそも朔太は残業までした終わらせなければいけない仕事などない。
 それでも今日は残らなければならない理由が朔太にはあった。理由というより目的が。

「おつかれさまです」
「え?」
「あ!ごめんなさい。三枝さんミルクティー派じゃなかったでしたっけ?」
「あ!ううん!いや、そう。コーヒー苦手で…」
「良かった!いつも遅くまでおつかれさまです。もう一息頑張りましょう」

 三枝真里奈のデスクにミルクティーを置いて朔太は自分のデスクに戻った。

“さあ新規クエストの始まりだよー”

 悠々とデスクに戻る朔太の背中に、真里奈か焦げ付くような視線を向けていた。



「嬉しいなぁ。美智香ちゃんと仲良くなれるなんて」

 ホテルの最上階にあるバーで美智香は白樺に肩を抱かれながら飲んでいた。

“何年前の口説き方よ。これ…”

 確かに夜景はキレイだし、お酒も美味しいのだが、美智香はどうしても気乗りがしない。
 正直サッサと帰りたいのだが、時間が早いため、これでは朔太との約束が守れない。

 白樺は既に50を超えている。美智香の倍近い年齢だ。
 その割には清潔で年相応の不快感は無いのだが、いわゆるダンディというのから2つ3つ差し引いた位の印象を与えるおじさまといえる。要するに世間の言うところのバブルをいつまでも引きずっている人種なのだろう。

“やだな。この後、部屋のキーとか出てきちゃうんだろうな”

 美智香の想像どおり、白樺はポケットかホテルのキーを取り出した。昔のドラマであれば、部屋番号が入ったプレートに繋がれたキーがジャラッと出てくるのであろうが、取り出されたのがカードキーであるから一瞬なんだかわからない。

「美智香ちゃん。ここより景色の良い部屋があるんだけど。そこで、ゆっくり飲み直そう」

 勝手に盛り上がっている白樺の気を削ぐ事も出来ずに、美智香は部屋へついて行く事になった。

「ん…ふぅん…んっ…あぁ…」

 ベッドに横たわった美智香の身体を白樺は愛おしそうに撫でまわした。

「はぁ…凄いよ…美智香ちゃん…はぁ…はぁ…社の男ども…悔しがるだろうなぁ…」

 言っている事はおじさん丸出しなのだろうが、その手つきはとても修練で、美智香はあっという間に衣服を剥がれてしまった。

「はぁ…はぁ…。きれいなオッパイだ。舌に吸い付いてくる」
「あっ…専務…やめ…あんっ…」
「専務なんてやめてくれ。ナオユキって呼んでくれよ」
「……んっ…ナオユキ…さん…あっ…ダメっ…」

 名前を呼ばれることて興奮が深まった白樺、尚も入念に美智香の身体を愛撫する。

“ちょっと待って…上手い…”

 美智香にとって、年寄りのセックスなんてしつこいだけだと思っていたが、その何度も往来する手の、適度な圧力に自然と身体が捩れてしまう。

「あっ…ナオユキさん…いやっ…あっ…」
「気持ちいいんだろ?美智香?身体が悦んでるのが分かるよ」
「やめっ…あっ…あぁっ…」

 徐々に痺れて行く頭では、白樺の手の動きが把握出来ない。
 乳首に少し触れては背中を走り、足のふくらはぎを掴んでいたと思ったら脇をくすぐる。神出鬼没に現れては去り、そして一番敏感な箇所に触れて行く。

「ナオユキさん…ナオユキさん…」

 美智香は自然と白樺の背中に手を回していた。それに抵抗する事なく白樺は美智香に身体を寄せて、そして美智香にくちづけた。

「んっ!んんっ!」

 長い舌でねっとりと口の中を掻き回されると美智香は自然と身体から力が抜けて行くのを感じた。
 強引に掻き回すその舌使いに、美智香の脳裏には朔太の顔が思い描かれる。

「んっ!んはっ…!んんっ…!んっ…」

 その間も白樺の手は美智香の身体を走り続ける。いつのまにか美智香は脚を大きく開いてヴァギナを指でいじられていた。

「凄い。美智香のマンコ、キツキツなのに指がするって入った」
「あっ!せっ…ナオユキさん!いやっ」
「ん?一本じゃ足りないかな?もう一本入れてみる?」
「やっ!あっ!あぁっ!」

 断る間もなく白樺は2本の指で美智香の膣内を撫で始めた。

「あっ!あっ!あぁっ!あっ!」
「イヤらしい音。美智香はスケベな娘だね」
「そんなっ…あっ…」
「だってこの音。凄いよグチョグチョだよ。しかもキュウキュウに締めて」
「ダメっ!あっ!あぁっ!」

 丹念に掻き回されて、美智香は絶頂に達した。自分でも太腿や尻に愛液が垂れているのが感じられた。

「美智香は、凄くかんじやすいね。誰かに可愛がって貰ってるのかな?」

 白樺の言葉で、美智香は朔太の激しいセックスを思い起こす。身体の芯が熱く蠢くのを感じた。

「きっと、若い人のチンコは硬くて逞しいんだろうね」

 美智香は頭だけでなく身体でも朔太のセックスを記憶している。
 白樺の言葉は、いちいち朔太の亡霊を美智香の身体の上で蘇らせる。

「とても敵わないけど、でも、僕のチンコも、美智香きっと気にいるよ?」

 白樺は美智香の前に自分のペニスを差し出す。

“ちょっと…大きくない?”

 美智香の目の前に差し出されたそれは、ひと目見て朔太や美智香が知るその他の男より大きく見えた。
 しかし、それは、まだ美智香の想像でしか無かった。
 白樺のペニスはその大きさを想像させるだけの物ではあるが、実際は白樺の股間でぶら下がっているだけで勃起には至っていなかった。

 

 
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