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クレームです

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この世界に来てそろそろ10日くらい。
俺は今とても欲求不満です。

異世界なのに魔法が使えない?
元々魔法なんて使えないですし。

召喚されたのにハーレムも無い?
元から彼女居た事無いですし。

チートも無いし無双もしない?
剣道やっててそこそこ強くても、所詮は初戦敗退(おっと、親父ギャグ)のレベルですし。

そんな事よりもずっと大事な事…


ご飯が食べたいです!


*****


母さんの資料と言う名のコレクションの中でも、異世界モノではお約束なのが、主人公は料理が出来る。
または鑑定スキルとかで、異世界の食材を使い元の世界の料理を作ったり、チートで元の世界の料理や食材を召喚出来る。

それか元の世界の食材が(現地人には知られていなくても)その辺に普通にあったり。
ケチャップとかソースとか、色んな調味料とかの作り方知ってたり…。


え?俺ですか?
俺は一般的な高校生ですよ?

両親とばあちゃんと一緒に住んでる男子高生、部活やったりバイトしたりしてんのに、料理なんて作るわけがない。

近くにいくらでもコンビニや、ファーストフード店が有るし、デリバリーもある。
家ではばあちゃんが料理作ってんのに、自分で作るなんて余程料理に興味ないとやんないでしょ。

しかも味噌や醤油の作り方?
逆にそんなの知ってる運動部員って、世の中に何人いるの?
調味料なんて買ってくるモノでしょ?


なので今とても欲求不満です。
だからクレーム入れてみます。

「ご飯が食べたいです、味噌汁飲みたいです、ラーメン食べたいです、煮物が食べたいです、カレーが食べたいです、ハンバーガーが食べたいです、コーラ飲みたいです!」

《そんな事言われても…》

「俺の居た世界から取り寄せて下さい」

《無理です。
似たような食材はあるので創意工夫して下さい》

「なら鑑定のスキル下さい、制作のスキル下さい」

《元からあなたに【真偽眼】があればそれを強化する事は出来ますが…》

ああ、騙されやすい俺にモノの本質を見抜くなんて無理だよね。

《鑑定スキル所持の純血種の方を仲間にすれば良いのでは?》

その手があったか!

《色々な制作系のスキルは、今まで貴方が会った魔族の方々も持っていますけれど、料理に関する技術は持っている方は居ませんね》

この残念女神、いつも半端だな。

《今年産まれる純血種に、食材や料理に関する制作の技術スキルを与えましょうか?》

「!!!是非お願いします!」

《貴方との親和性を強化して、貴方の思い浮かべた物を作れる様に調整する、それで良いですか?》

「そんな事出来るんですか?」
それぞまさしくチートでは無いですか、

《今、生きている方に干渉はできませんが、これから育まれる命でしたら干渉する事は出来ます》

うわー、初めてちゃんと神様に見える。
言ってみるモンだね。

「では絶対にお願いしますね!!」

重ね重ねお願いして、意識を体に戻す。


そして気づいた、純血種が独り立ちするのに一年、最短でも一年後?

しかも思い浮かべるって、製造方法とか分からなくても大丈夫なの?

何だかんだ詰めが甘い気がするんだけど………。
あの残念女神だから凄く不安だ……。





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