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残念世界で残念ながら俺も残念だった様です
しおりを挟む「ガーム・タリタル!初代ですか!」
話を聞き終えたシルジットが驚きの声を上げる。
「あー、そうだな、アイツ人族束ねて王様になってたな」
「歴史書に有った、建国時に尽力を尽くしてくれた魔族とは貴方ですか?」
シルジットがすごく前のめりだ。
「さーて、そんな事私は知らないよ。
ただ今より昔は魔族の暴走激しかったからね、特にシーズンの時なんかは。
だから私はちょちょっと血を吸ってただけだ」
魔族って長生きな分それぞれに歴史があるんだな。
でも建国時から生きてるってこの人幾つ?
魔族の年齢なんて考えるだけ無駄か。
「ここ暫く深く眠ってたんだけど、久々に起きたら人族が面白い事してるって聞いてね、これは私も参加しようって待ってたんだ。
今年は特にリザードマンが暴走起こしそうな感じだったから、ちょっと血を吸いながらだけどね」
脳筋の闘争欲を抑えられるなんて、俺的に有難い能力だ。
「協力いただけるならとても有り難いです。
えっと…見返りと言いますか、何か希望は有りますか?
出来る限りの事はしますので」
ギブアンドテイクの世界なんだから、協力してもらえるならこちらも何か返さないと。
「見返り?そんなの一緒に居てくれるだけで良いさ。
町作るって事は定住するんだろ?
しかも魔族なら皆人族より長生きだ。
独りぼっちにならなくて良くなるんだからそれで良いさ」
独りっきりでこれからも長い年月生きていく事が無くなるんだから、こちらの方が有り難いよ…。
小さく呟いた言葉は、俺の耳には届いた。
一瞬俯いたけど、顔を上げた時にはもう笑ってた。
「てなわけで私の名前はガーリック、ガームとリックから取って自分で名付けたんだ。
よろしくな!」
魔族なのに自分で名付けるなんて珍しいって言うか、初めてだ。
名前の付け方も納得出来る付け方だ。
…………でもさ、吸血鬼なのにガーリックって……もう、本当……なんだかなぁ…………
*****
なんだろうなぁ……
魔力使い果たしたら死んじゃう上に、魔族に小突かれたら重症を負う人族。
男ばかりの魔族はシーズンバトルで勝ったら女体化で、子供産んで一年も育てると死んじゃうし、ナンバーツーは妊娠したら食べられる。
人魚は下半身海獣だし、アルラウネは妖艶な花の魔物の筈が、親指姫と同性婚してるし、一匹狼は引きこもり、エルフはご年配で、吸血鬼はチャラ男……
いや、もう本当になんだかなぁ…………。
ひとまずその場で休み翌朝、リザードマンに話しかけるも無気力のまま。
「協力……?面倒だなぁ……まあ気が向いたらな」
一応話はしたけど、きちんと覚えててくれるのかなぁ…。
その場に居ても仕方ないので、オーガの住処に向かう。
「あの人達、シーズンバトルとか大丈夫なのかなぁ」
あんな無気力で種族繁栄の戦いなんてできるのか?
俺が呟くとガーリックは笑いながら答える。
「いや、無理だろ」
「いいんかい!」
思わず突っ込んじゃった俺にガーリックは更に笑う。
「だってシーズンバトルって繁栄の為に必要な事なんでしょ?
それなのにこれでいいの?」
「繁栄とか言ったってシーズンだから必ず子供出来るって事無いわけよ」
「寧ろ出来ないことの方が多いな」
トンソクとオニギリが言う。
サクラは馬の姿のまま頷いた。
「いや、出来にくいなら尚更機会を逃しちゃいけないんじゃないですか?」
焦る僕に魔族の四人は顔を見合わせて笑う。
「コーは細かい事気にするなぁ。
なる様にしかなんないんだし、シーズンバトルの無い年が有っても問題ないだろ」
「そうそう、魔族は人族と違って丈夫で長生きなわけだし」
「そうだね、今年がダメならまた来年でいいだろ」
頷くサクラは馬のまま笑ってる…馬の笑顔ってちょっと怖い。
本当にこんな軽くて良いの?
種族繁栄が、生き物の第一じゃ無いのかと思う僕が可笑しいの?
『アルジ、気楽に行こうよ』
アンズにまで言われてしまった。
魔族本人達が良いなら良いのか?本当に?
『て言うか、お前さん俺達のバトルダメにしたの忘れてないかい?』
ワーウルフが突っ込みが入る。
…………………………あ…………!
こう言うのって棚上げと言うか、喉元過ぎれば熱さを忘れると言うか………。
「……ぷっ!!」
魔族の間で大爆笑が、シルジット達も仕方ないですねぇと言いたげな生温い ーい目でこちらを見ている……。
『アルジ、ドンマイ!』
アンズちゃん、それ追い打ちにしかならない…………。
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