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第一章 異世界だねぇ
妖精王夫婦
しおりを挟む『ちょっと離れなさいよ!この泥棒猫!』
何で異世界でこんなワードが?
と言うセリフを言った女王は、振りかぶった平手で思いっきり頬を叩く………旦那の。
『えー、酷~い、ボクもこの人好きー、離れない~』
言いながらグズグズと泣き出す旦那さん。
いや、こっちの方が泣きたいのだが。
『ダーメ!わたしが一番なの!
そして皆んなが二番なの!
貴方はどんべなの!』
どんべとか久しぶりに聞いた…いやいや、そこではなくて
「二人は夫婦?」
二人を指差す。
『ええそうなの。
わたし女王でこの人妖精王なの。
生まれた時から夫婦なのよ』
「あー…では夫婦は仲良くして下さい。僕を挟まずに」
『仲は良いの。
でもとうちゃんが一番なの』
『え~、僕もとうちゃん?が好き~』
「二人は夫婦でしょう?
ならお互いが好きなんだよね?」
え?仮面夫婦?妖精のトップだからとりあえずの夫婦ってやつなのか?
真夏の夜夢でも、お互い愛人作ってたよな。
え?僕が愛人なのか?
『王は王、王は旦那だけど、好きなのはとうちゃんなの』
『僕も奥さんは女王だけど、とうちゃんが好き!』
「……二人は仲悪いの?」
思わず近くの妖精に聞いてみたら、周りの妖精はクスクス笑いながら答えてくれる。
『二人仲良し』
『ラブラブ~』
『アッツアツ』
うーん…そうか、好きの種類が違うとか言うやつか。
そうだよな、僕だってお嫁さんに対する好きと、親兄弟に対する好き、動物に対する好きは全部違うもんな。
などと考えいる間にも、左肩に乗った王と右肩の女王は、競い合うように左右からチュウしてくる。
……違うんだよな?
まぁいい、いつもの様に動物に懐かれたと思っておこう。
しかし重さは無いといえ、肩に頭の上、膝の上や背中にも張り付いて、今の僕は妖精塗れだ。
害も無いから好きにさせておこう。
半ば諦めて、思いついた事を聞いてみる。
「そう言えばさっき出てた熱が下がってるみたいだけど、もしかして治してくれたとか?」
本当に思いつきだったけど、ふとそんな気がした。
『そう、熱出たのわたし達が一番を争ってたからなの。
それで熱出たの。
争い終わったから熱下がったの。
一番が決まったから話が出来るの』
熱が出たのも下がったのも、コイツらのせ……おかげか。
『でもこれからは大丈夫なのよ。
病気や怪我は治せるの』
そりゃ有り難い。
『むー!ボクも!ボクもあげるの、祝福!』
女王と話してたら(言葉発して無いけど)左肩の王が、ぷーっと頬を膨らせて、飛び上がったと思ったら身体の中に入ってきた……溶け込んだって言うのか?
その瞬間、頭痛再び……。
身体なのか精神なのか、とにかく異物が入って来た違和感なのかな?
と冷静に判断してたら、すぐに頭痛は治まった。
成る程、最初の体調不良は異世界に来て波動が合わなくて、次の体調不良は妖精が一気に入って来たから、次は女王が来て中で争ってたから、か?
『うん、そんな感じなの?』
何故そこで疑問形?
本人もわかってない?
『だってこんな事初めてなの』
『そうだね、三人の仲間が祝福あげようって時も一番最初が誰って決めてから行くから、皆いっぺんにって初めてだよね。
それに奥さんが祝福あげるの500年前の初代様以来?』
僕の中から出てきた王が左肩に戻る。
『今は女王だから色々術使えるの。
初代様に祝福あげた時は、まだ時間の術しか使えなかったの。
この人は空間の術で、ワタシ達と皆んなで沢山の祝福あげたの』
女王の時間の術と、旦那…妖精王の空間の術だけでもなかなか強そうな組み合わせだな。
『とうちゃんにはいーっぱい祝福あるから長生きしてね』
女王に言われるけど、7000年以上生きるってもはや罰ゲームでしょう…。
『罰ゲームじゃないよう、祝福だよぅ』
言いながら王はまたシクシクと泣き出す…。
「はいはい、言葉が悪かったです。
祝福です。
アリガトウゴザイマス」
投げやりに言葉を発してると、扉が開いて毛布を持ったマキが部屋に入って来た。
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