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第二章 色々やってみよう

妖術を使ってみた(やっと)

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「じゃあウチもやってみよう。
まずは水でも出してみる?」
いや、出してみる、なんて簡単に言うなあ。

とりあえず芝の上にシャワーで水を撒くイメージで水出してもらえる?頭の中で水の妖精に言ってみると、

『わかった』

と返事が有って、イメージ通りの水が撒かれる………庭中に。

「範囲を決めないから…」

剪定をしていた庭師さん、びしょ濡れにしちゃってごめんなさい。
勿論僕達も濡れてしまった…。

目の前の1メートル四方に範囲を縮めて、と追加で頼むと撒かれる水が指定した範囲に狭まる。

「成る程、あやふやだといけないのがよく分かった」
ありがとうと水を止めてもらう。

「水の術だと、蒸発させる事も出来るはずだから頼んでみて。
頼み方間違えると、ミイラみたいに干からびるからね」

え?何それこわい。

この場合は…今水で濡れたから、その水分だけを取っ払って……で良いのかな?

妖精にお願いすると『これで良いの?』と水気が飛んでいった。

「おおお、成る程成る程、こんな感じか」

ちょっと気分良くしてると、ニトからも「上出来」と良い評価をもらえた。

「攻撃だと水を刃の様に研ぎ澄まして飛ばしたり、水の球を作って相手を窒息させたりも出来るけど、やるなよ」

やんねぇよ!怖いなあ。

「後は水だとキレイな飲み水や、風呂に水なんかも頼めるかな。
勿論木々や畑に水を撒いたり、土の妖精と協力して川の流れを変えたり、水に関する事なら思いつく限りの事が出来る……と思う」

「断言出来ないのは、やっぱり言葉通じないからか?」

「そりやそうさ。
妖精だからって、何でも出来るとは限らないかもしれないだろ?
こっちの思い込みで負担かけるのは良くないからね」

そうだよな。何でもかんでも出来るだろうって負担をかけて、消滅してしまった、なんて事になってしまうのは避けなきゃね。

「じゃあ次は風の術を思いつく事をやってみて」
「思いつく、ねえ……。
じゃあ東館のそばに生えている木の花を一輪落としてみて。
一輪で良いからね。
そしてここまで飛ばして運んで。

『了解~』

風の子が指を振ると風の刃が飛んで行き、てっぺん近くの花が一輪落ちる。
その花が地面に着く前に、今度は緩やかな風が吹き、花は僕の手元に落ちた。

「ほう、二つの指示を出すとはなかなかだな。
今度は文句なしに上出来」

ふふん、まあね。
と言うか君が頑張ってくれたからだよね、ありがとう。
風の子に御礼を言うと、照れた様に身体をくねらす。

そこで黙ってないのがニヤ達だ。

『ズルイの!
ワタシ達だって色々出来るのに二人だけってズルイの!』

『ボク達もっと色んな事出来るのに~~』

ニヤはプンプン怒ってピヤは泣き出す。
責めらせた水の子と風の子は、オロオロし出すしでカオスだ。

「ニヤ達は時間と空間だったよね?」

『得意なのはそうだけど、他のも使えるんだよ』

『そうそう、水だって風だって使えるの!
見てて!』

そう言ったニヤが風を起こし、先程の木を指差すと…………

メキメキメキメキ……

指差した木を中心に、十本近い木が根元から折れて倒れた……。

「え?ちょっ……何してんの!ウチ!」

慌てたニトに肩を掴まれる。

「何って……僕にも分かんないよ、ニヤがワタシにも出来るっていきなり……」
倒れた木の周りに庭師や、城の中からも人が出て来て集まる。

「暴走か?」
「いや、対抗心なんじゃないかな?」
「草花の妖精か木の妖精が居たら呼んでみて、もしかしたら再生出来るかも」
「え?折れてるのに戻るか?」
「ダメ元でもやらなきゃダメだろ」
「そうか、可能性があるならやってみよう」

二人でワタワタしていると、
「あーなーたーたーちー、一体何をやらかしているんですか」
氷点下な微笑みを浮かべながらスイが近づいて来る。

うわー、余りの恐ろしさに思わず震えがきたよ、マジで。




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