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第三章 異世界の馬車窓から
逆に何故疑問に思って居なかったのかが不思議だよなと思った滞在期間の話
しおりを挟む敏和さんとは色々話をした。
祝福をくれている妖精は、思考能力アップする事から知識の妖精だと思われる(これは僕が妖精本人に聞いて正解だとわかった)
という事から始まり、この世界に来た一番最初に体調に異変を生じるのは、召喚された自分達が、この世界から異物と見做されていて、妖精から祝福を貰う(妖精が身体に入る)事により、この世界と同調するのではないかとか。
「何故男性ばかりで女性は居ないのかも考えたのだけど、それはわからないままなのだよ。
例えば、大戦後などだと戦争で亡くなる男性の数が多いので、男児の出生率が上がる事などある様だけど、それが当てはまるわけでもないし」
「それは『今までの生活環境と全く違う場所だし、戦う事となるのかもしれないから、女の人を喚ぶのはかわいそう』らしいです」
敏和さんと話をする時は、スペシャルゲスト的にニヤとピヤを呼んでいる。
敏和さんとの会話は、この世界の人達にはあまり広げない方がいいかもしれないので、スイには遠慮して貰った。
ニヤ達に関しては、敏和さんの疑問に答えられる範囲で答えて貰っている。
元の世界の事を聞かれても、ニヤ達なら大丈夫だと思うし、まず僕以外に伝える術がないから。
「いや、言葉は通じなくても文字で伝える事は出来るのではないのかい」
はっ!そうか!
記憶の子とかもいるんだから、【会話】じゃないけど、どうにか出来ないことも無いのか。
敏和さんからの突っ込みに、痛い所を突かれたけれど、ニヤ達に
「ここでの会話は他の人には秘密にしておいて」
とお願いしたら、了承してくれた。
ダークな面はあるけれど、謀る事は無い……と言うより、二人のことを信じているので同席してもらい、話を聞いたりしている。
「後不思議に思っていることが、この国には謀(はかりごと)をする人間が居ないのだが。
勿論それは良い事だけれど、少々不自然な気もするのだよ」
あー、僕も同意見。
その辺はどうなの、ニヤ。
『ん~それはワタシが言っていい事なのか分からないの。
王様の秘密だから王様に直接聴くのがいいの』
……なに、そのネタ振り!
まぁこのフラグはそのうち回収させていただきますわ。
「どうも秘密がある様なので、国王に聞けと言われました。
これは聞ける機会が有れば聞いてみたいと思います。
教えてもらえて、他の人に言ってもいいと言われたら伝えますね」
教えてもらえるかはわからないけど、一度聞いてみるのはアリかな。
「国家機密とかなら私には教えなくて良いからね」
敏和さんもそれで納得してくれた。
「地球から召喚しているけれど、何故日本人ばかりなのかな」
うん、確かに。
時代は色々だけど、地球上でとても小さな島国からしか召喚されないのは何でだろう。
『うんとね、考え方が柔軟だからかな。
たった一つの信じているモノがある人は、その一つのモノが無い世界は受け入れ難いみたいで、パニックになったり、凶暴になったりするから』
一つのモノって宗教かな。
『そうそう、黒い髪の種族の人達は割りかし一つのモノに固執してないのが多いからなの』
黒髪か、確かギリシアとか、インドとかも神様沢山居たよな?
『だから結構スムーズに話が進むの。
とーい昔は色々喚んで失敗もしてたみたいなの。
だから繋いじゃったって言う記憶があるの』
へー、召喚自体は以前から有ったのか。
「どうも失敗を踏まえて、日本人が喚びやすいようにゲート?を繋げたそうです」
「成る程、ヤオロズの神がいる日本人なら、色々受け入れ易いと言うのはわかるね」
「まあ、何でも神様にしちゃいますからね」
「自然現象や動物、日用品でもね」
「魔物には妖精の祝福は無いのに、ハーフだと祝福持ちの人が居るよね。
その場合魔物の魔法ではなく、妖術を使うのは何故なのかな」
『ん~、魔物の身体じゃなくても魔素を取り込む心臓が完全に魔物の物なら魔法使えると思うけど、人の血が混じると完全なる魔物の心臓じゃなくなるの』
「だそうです」
何だかファンタジー映画でも見ている様だ。
通訳しているだけだけど、ワクワクしと楽しい。
この世界の事だけではなく、日本の22世紀に有ったとんでも無いことや、23世紀の日本についても教えてもらった。
本来なら未来の人が過去の人に教えるのは【タイムパラドックス】?とか言うのが起こるので、よく無い事なのだけれど、日本には戻れないのだし、第一日本じゃあもう死人だし。
岸家の書も見せて貰ったし、工房へも内緒で連れて行って貰った。
敏和さんと奥さんの馴れ初めも面白かった。
何でも交渉で他国を回っている時に拾った猫が、実はライオンの獣人だったそうで、初めて人化した時にマジで腰を抜かしたそうだ。
確かに、猫と思っていたのがライオンで、さらに人になったら驚くよな。
岸家の滞在は、言われてみれば自分でも疑問に思っていた、と言う事を色々知る事が出来て、知的好奇心が大満足な日々だった。
そんな岸家からの帰りの馬車の中で、スイに聞かれた。
「随分楽しそうでしたね」
今回はほぼ一人で敏和さんと会っていたので、スイと別行動だったから拗ねてる?
「楽しかったよ」
でもここは正直に答えておこう。
だって本当に楽しかったんだから。
「なら後見人はキシ家へ頼みますか?」
スイに言われたんだけれど、それは何だか違う気がした。
確かに色々知る事が出来たのは楽しかったけれど、それは……なんて言うのかな、特別な事として楽しかったのであって、これからの長い日々を考えると、後見人として付き合うより、たまに遊びに行くお宅、の方がしっくりとくる。
日々の生活を考えると、今のところヤギ家かトキ家かな。
研究や開発より、農業や商売の方が性格的に向いていると思うし、堅実に働いて生きて行きたいからね。
向いている仕事で収入を得て、ずーっと先になるだろうけど、僕も運命の人と出会って、今度こそ幸せな家庭を築きたいな。
「まあ、まだ後三軒回るんだから、決めるには早いと思うよ」
だから今のところの考えは、まだ口に出さずにおこう。
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