【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

文字の大きさ
91 / 161
第三章 異世界の馬車窓から

初代様の記録〜其の壱〜

しおりを挟む

ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー

信長の言葉遣いが統一性がない、今の言葉と昔の言葉が混ざってる、と思われるのはすみませんが、
【記録の妖精の翻訳により、言葉遣いがまちまちです】
とさせて下さい。
………、はい、作者がおバカさんなもので、すみません…


ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー




石はほんのり暖かく、引き込まれるような感覚を感じたと思ったら、頭の中にぼんやりとしたイメージが浮かんで来たので目を閉じる……。


*****


天正十年夏、背後の憂いは武田の倅が亡くなったことで一旦収まりよったので、西を任せておるサルに、兵と物資の補給を兼ね、毛利を抑える為西へ向かう。

途中定宿である本能寺で、坊主や商人を集め茶会を催す為一泊する。

その早朝、謀反の知らせに賊を迎え撃つが、圧倒的な兵力差にこちらの少ない兵は次々と倒れていく。

そのうち火の手が上がり、我も肩を射られ、槍を取り落としてしまう。

ハゲめ、やりおる。

だがこの首容易く渡すのも癪ゆえ、寺の奥、種子島の置いてある部屋へと向かい、火薬に火を点ける事とした。

やれやれ、どこぞのジジイと同じ最期と言うのもおかしきことよ。

所詮この世は夢現(ゆめうつつ)なかなか面白き人生ではあった、良しとしよう。
後のことは残る者に任せて、そろそろ逝くとしようか……。


火薬に火を点け、目の前が白くなったと思ったが、なぜ我は床に這いつくばっておるのだ?

周りを取り囲むのは鎧を着た兵ではなく、見たことのない伴天連供だ。
この世は広いと言うから見たことのない姿の者や、耳にした事も無い言の葉も有るだろうが、体の自由が効かぬのは何故だ。

爆発による身体の傷も無いようだが、頭だけは割れるように痛む。

周りの者供から悪意は感じぬが、いつまでも這いつくばってはおれぬ。
何とか立ち上がろうとしていると、我の周りを小さき妖が取り囲んだ。

小さき妖は様々な色の光を纏い、宙を飛んでいる。

口が動いているようだが、何を申しておるのかは、さっぱりわからぬ。
わからぬのだが、自分を受け入れろと言っている様に感じる。

害意は感じぬし、好きにすれば良いと思っていると、小さき者達は我の身体に吸い込まれていった。
頭がさらに痛くなり、吐き気も催すが、しばし耐えると、ふと全ての不快感が収まり、頭が冴える感覚がした。

気づくと周りを取り囲む者共の言葉も理解できる。
我は立ち上がり、この中の主人(あるじ)であろう、上座に座る男に近寄る。

「ここはどこだ」
「ここはあなた方の居た世界とは違う場所、この国はラグノルと言います」
「異なる世界?あの世では無いのか」
「いえ、妖精の術により、あなた方を招きましたが、普通の国です」
「何故我を招いた」
「一方的で申し訳ないのですが、我々だけではどうしょうもなく、神の導きでこの窮地を救って頂ける方々を招きました」
「神などは信じぬが、窮地とは?」

この国の王という者の話を聞くと、人は元来北方に住まわっておったが、領地を求め南下し、そこに住んでおった妖(あやかし)…魔物を追いやり、国を興したそうだ。

数百年の時が経ち、今その魔物供に主(ぬし)が生まれ、反逆にあっているとの事。

戦さが我を呼んだのか。
面白い。

一度は終わった人生だが、もうひと暴れさせてもらうとするか。

「名前を伺って宜しいですか?」
「我か?我の名は 織田 太政大臣(だじょうだいじん)三郎 信長……いや、ただの織田 信長だ」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...