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第三章 異世界の馬車窓から
初代様の記録〜其の壱〜
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信長の言葉遣いが統一性がない、今の言葉と昔の言葉が混ざってる、と思われるのはすみませんが、
【記録の妖精の翻訳により、言葉遣いがまちまちです】
とさせて下さい。
………、はい、作者がおバカさんなもので、すみません…
ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー
石はほんのり暖かく、引き込まれるような感覚を感じたと思ったら、頭の中にぼんやりとしたイメージが浮かんで来たので目を閉じる……。
*****
天正十年夏、背後の憂いは武田の倅が亡くなったことで一旦収まりよったので、西を任せておるサルに、兵と物資の補給を兼ね、毛利を抑える為西へ向かう。
途中定宿である本能寺で、坊主や商人を集め茶会を催す為一泊する。
その早朝、謀反の知らせに賊を迎え撃つが、圧倒的な兵力差にこちらの少ない兵は次々と倒れていく。
そのうち火の手が上がり、我も肩を射られ、槍を取り落としてしまう。
ハゲめ、やりおる。
だがこの首容易く渡すのも癪ゆえ、寺の奥、種子島の置いてある部屋へと向かい、火薬に火を点ける事とした。
やれやれ、どこぞのジジイと同じ最期と言うのもおかしきことよ。
所詮この世は夢現(ゆめうつつ)なかなか面白き人生ではあった、良しとしよう。
後のことは残る者に任せて、そろそろ逝くとしようか……。
火薬に火を点け、目の前が白くなったと思ったが、なぜ我は床に這いつくばっておるのだ?
周りを取り囲むのは鎧を着た兵ではなく、見たことのない伴天連供だ。
この世は広いと言うから見たことのない姿の者や、耳にした事も無い言の葉も有るだろうが、体の自由が効かぬのは何故だ。
爆発による身体の傷も無いようだが、頭だけは割れるように痛む。
周りの者供から悪意は感じぬが、いつまでも這いつくばってはおれぬ。
何とか立ち上がろうとしていると、我の周りを小さき妖が取り囲んだ。
小さき妖は様々な色の光を纏い、宙を飛んでいる。
口が動いているようだが、何を申しておるのかは、さっぱりわからぬ。
わからぬのだが、自分を受け入れろと言っている様に感じる。
害意は感じぬし、好きにすれば良いと思っていると、小さき者達は我の身体に吸い込まれていった。
頭がさらに痛くなり、吐き気も催すが、しばし耐えると、ふと全ての不快感が収まり、頭が冴える感覚がした。
気づくと周りを取り囲む者共の言葉も理解できる。
我は立ち上がり、この中の主人(あるじ)であろう、上座に座る男に近寄る。
「ここはどこだ」
「ここはあなた方の居た世界とは違う場所、この国はラグノルと言います」
「異なる世界?あの世では無いのか」
「いえ、妖精の術により、あなた方を招きましたが、普通の国です」
「何故我を招いた」
「一方的で申し訳ないのですが、我々だけではどうしょうもなく、神の導きでこの窮地を救って頂ける方々を招きました」
「神などは信じぬが、窮地とは?」
この国の王という者の話を聞くと、人は元来北方に住まわっておったが、領地を求め南下し、そこに住んでおった妖(あやかし)…魔物を追いやり、国を興したそうだ。
数百年の時が経ち、今その魔物供に主(ぬし)が生まれ、反逆にあっているとの事。
戦さが我を呼んだのか。
面白い。
一度は終わった人生だが、もうひと暴れさせてもらうとするか。
「名前を伺って宜しいですか?」
「我か?我の名は 織田 太政大臣(だじょうだいじん)三郎 信長……いや、ただの織田 信長だ」
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