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番外編ーこぼれ話集ー
その10 馬車の中
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皆さんこんにちは。
トウ・ドウ・ウチこと東堂内 柊一郎です。
城を出てトキ家へ向かう馬車の中、なぜか僕は今、座席の上で絶賛正座中です………。
*****
王城を出て、馬車で町中を行く僕と秋彦さん。
窓の外から見える町並みは、前回と違う。
道なんて沢山あるんだから、前回と違う道を通ってるんだろうな。
それにしてもなかなか到着しないな…。
などと思いながら、珍しくも静かな秋彦さんをチラ見すると、
「あー、ちょっと寄り道しようと思ってね。
大丈夫、その分余裕を持って到着時間伝えてるから」
そう言ってまた口を閉じる。
何が用があるのかな?
なんて思っていた僕は、呑気者でした。
馬車が止まったので外を見てみると、町の外の草原のど真ん中だ。
「それじゃあわたしは少し席を外しますね」
そう告げると、御者の人は馬車から離れて行った。
残ったのは僕と秋彦さんのみ。
「取り敢えず座ろうか」
言われて地面に座るけど、なぜか向かい合わせ?
フーーッと大きくため息をついた秋彦さんの、スーツの胸ポケットから、一人の妖精が顔を出す。
あれってもしや……。
「もしもし、マッキー、聞こえるかい?」
『はいはーい、いつもの如く感度良好』
やっぱり遠話の子か。
「もうさー、おっちゃん呆れて口ポカーンだよ。
ちょっとそこに座りなさい」
「いや、座ってますけど?」
「正座だよ、せ、い、ざ!
俺たち君にはほとほと呆れたよ、マッキーも言ってやれ」
『うっちーくん、ニトから聞いたよ、君何してるの?』
え?一体何が始まったの?
思わず口がポカンと開く。
「何ポカーンとしてんの、まさか身に覚えが無いとでも?」
前置きも何もなく、いきなり責められても、何が何やら…。
『君さー、自分らがあれだけ言ったのに、なんでBLルート突入してんの?』
………はーーーー⁈
「ちょっ、それ何の言い掛かり⁉︎」
「あの真面目君を落としたんだろ?
耽美趣味はいただけないねぇ」
真面目君とはネイのことか。
「落としてない!
誤解もいいとこじゃん!
ただ目を見て話をしただけじゃん!」
「目と目で通じ合う~、か?うん色っぽい~ってやつか?」
『スキルのせいで孤高を貫いていた孤独な青年の、心の隙間にそっと寄り添って…か?
君は一体どこを目指しているんだ?』
「どこも目指してな~~い!
妄想を爆走させないで!」
誤解も甚だしい!
『じゃあ何で周りに女の子を置かないの?』
「なぜ男で周り固めてんの?」
「だ~か~ら~、前も言ったけどど、好きでそうしてんじゃなくて、そうなってたの」
自分からそうしたんじゃないんだし。
そして始まる二人の妄想の暴走。
『それでも「専属メイド付けて下さい」とか…』
「女教師に個人レッスンして貰いたいですとか言えるよね?」
『専属メイドに、膝枕、添い寝、一緒にお風呂のフルコース……』
「女教師に、一つ問題を解くたびにご褒美の……」
『君は僕の専属なんだから、僕の言うことは何でも聞かなきゃダメなんだよ、とか……』
「先生、僕に大人の個人授業を……とか」
……うん、この二人の性癖と言うか、AVのラインナップがわかるな。
と言うか、正座までして僕は何を聞かされているんだろう。
「はーはーはー…話は逸れたけど、とにかく!君の女っ気の無さは異常だよ」
異常と言われても…。
「うちの店に来たら女の子付けるからね」
それ、何か違う店なんじゃないの?
『そうだよ、アッキー。
いっそのこと女子寮でも作って、そこに放り込んじゃえ』
「おっ!女子寮と管理人!
それもアリだね」
ナイナイナイナイ。
「そりゃあ可愛い女の子が側に居ると、嬉しくはあるよ。
だけどまず大前提で、僕はこの幼児体形だから、何もできないし、未発達だからもよおしもしない。
さらに周りの人って、寿命長くても二百~三百年だろ?
僕が女の子と付き合えるようになるまでに何百年かかると思ってんの?」
そう、何百年も経たないと大人になれないんだから、そう言う欲求も体と共に成熟していくんだと思う。
今は綺麗な女性や、可愛い女の子見ても『ああ綺麗だね、可愛いね』としか思えないし。
だから僕にも運命の人が居たとしても、出会うのはそれこそ何百年、下手したら何千年とか先になるんだろうな。
『ま?それま?
何百年も禁欲生活?
魔法使い通り越して神にでもなるの?』
「うわ~…ムッチンプリプリのチャンネー居ても、絵に描いた餅状態?
イケイケギャルに乗っかられても、無反応?」
『アッキー、そんな可哀想な子の周りを女の子で囲むのって、拷問にならないか?』
「そこにヘブンが有ってもゲートをくぐる事も出来ないなんて……」
『柊一郎、なんて可哀想な子』
「これはもう黙って見守るしかないか」
『それな』
…………何だろう、空気が痛い……。
『……いやー、うっちーはうっちーのままでイイヨ!』
「そうだね、おじさん達がでっかいお世話サマーだったよ!」
『うんうん、今日の話は無かった事で。
じゃあまたな』
…………………………………………。
「あー……御者呼んでこようかな。
早く店に戻らなきゃ、時間食っちゃったな~」
牧さんの通話は途絶え、秋彦さんは馬車の元へ。
…………泣いてなんかいないやい!
ちょっと目に熊澤さんの毛が入っただけだい!
その後、トキ家に着くまで、馬車の中の空気は物質化したように重かった……。
トウ・ドウ・ウチこと東堂内 柊一郎です。
城を出てトキ家へ向かう馬車の中、なぜか僕は今、座席の上で絶賛正座中です………。
*****
王城を出て、馬車で町中を行く僕と秋彦さん。
窓の外から見える町並みは、前回と違う。
道なんて沢山あるんだから、前回と違う道を通ってるんだろうな。
それにしてもなかなか到着しないな…。
などと思いながら、珍しくも静かな秋彦さんをチラ見すると、
「あー、ちょっと寄り道しようと思ってね。
大丈夫、その分余裕を持って到着時間伝えてるから」
そう言ってまた口を閉じる。
何が用があるのかな?
なんて思っていた僕は、呑気者でした。
馬車が止まったので外を見てみると、町の外の草原のど真ん中だ。
「それじゃあわたしは少し席を外しますね」
そう告げると、御者の人は馬車から離れて行った。
残ったのは僕と秋彦さんのみ。
「取り敢えず座ろうか」
言われて地面に座るけど、なぜか向かい合わせ?
フーーッと大きくため息をついた秋彦さんの、スーツの胸ポケットから、一人の妖精が顔を出す。
あれってもしや……。
「もしもし、マッキー、聞こえるかい?」
『はいはーい、いつもの如く感度良好』
やっぱり遠話の子か。
「もうさー、おっちゃん呆れて口ポカーンだよ。
ちょっとそこに座りなさい」
「いや、座ってますけど?」
「正座だよ、せ、い、ざ!
俺たち君にはほとほと呆れたよ、マッキーも言ってやれ」
『うっちーくん、ニトから聞いたよ、君何してるの?』
え?一体何が始まったの?
思わず口がポカンと開く。
「何ポカーンとしてんの、まさか身に覚えが無いとでも?」
前置きも何もなく、いきなり責められても、何が何やら…。
『君さー、自分らがあれだけ言ったのに、なんでBLルート突入してんの?』
………はーーーー⁈
「ちょっ、それ何の言い掛かり⁉︎」
「あの真面目君を落としたんだろ?
耽美趣味はいただけないねぇ」
真面目君とはネイのことか。
「落としてない!
誤解もいいとこじゃん!
ただ目を見て話をしただけじゃん!」
「目と目で通じ合う~、か?うん色っぽい~ってやつか?」
『スキルのせいで孤高を貫いていた孤独な青年の、心の隙間にそっと寄り添って…か?
君は一体どこを目指しているんだ?』
「どこも目指してな~~い!
妄想を爆走させないで!」
誤解も甚だしい!
『じゃあ何で周りに女の子を置かないの?』
「なぜ男で周り固めてんの?」
「だ~か~ら~、前も言ったけどど、好きでそうしてんじゃなくて、そうなってたの」
自分からそうしたんじゃないんだし。
そして始まる二人の妄想の暴走。
『それでも「専属メイド付けて下さい」とか…』
「女教師に個人レッスンして貰いたいですとか言えるよね?」
『専属メイドに、膝枕、添い寝、一緒にお風呂のフルコース……』
「女教師に、一つ問題を解くたびにご褒美の……」
『君は僕の専属なんだから、僕の言うことは何でも聞かなきゃダメなんだよ、とか……』
「先生、僕に大人の個人授業を……とか」
……うん、この二人の性癖と言うか、AVのラインナップがわかるな。
と言うか、正座までして僕は何を聞かされているんだろう。
「はーはーはー…話は逸れたけど、とにかく!君の女っ気の無さは異常だよ」
異常と言われても…。
「うちの店に来たら女の子付けるからね」
それ、何か違う店なんじゃないの?
『そうだよ、アッキー。
いっそのこと女子寮でも作って、そこに放り込んじゃえ』
「おっ!女子寮と管理人!
それもアリだね」
ナイナイナイナイ。
「そりゃあ可愛い女の子が側に居ると、嬉しくはあるよ。
だけどまず大前提で、僕はこの幼児体形だから、何もできないし、未発達だからもよおしもしない。
さらに周りの人って、寿命長くても二百~三百年だろ?
僕が女の子と付き合えるようになるまでに何百年かかると思ってんの?」
そう、何百年も経たないと大人になれないんだから、そう言う欲求も体と共に成熟していくんだと思う。
今は綺麗な女性や、可愛い女の子見ても『ああ綺麗だね、可愛いね』としか思えないし。
だから僕にも運命の人が居たとしても、出会うのはそれこそ何百年、下手したら何千年とか先になるんだろうな。
『ま?それま?
何百年も禁欲生活?
魔法使い通り越して神にでもなるの?』
「うわ~…ムッチンプリプリのチャンネー居ても、絵に描いた餅状態?
イケイケギャルに乗っかられても、無反応?」
『アッキー、そんな可哀想な子の周りを女の子で囲むのって、拷問にならないか?』
「そこにヘブンが有ってもゲートをくぐる事も出来ないなんて……」
『柊一郎、なんて可哀想な子』
「これはもう黙って見守るしかないか」
『それな』
…………何だろう、空気が痛い……。
『……いやー、うっちーはうっちーのままでイイヨ!』
「そうだね、おじさん達がでっかいお世話サマーだったよ!」
『うんうん、今日の話は無かった事で。
じゃあまたな』
…………………………………………。
「あー……御者呼んでこようかな。
早く店に戻らなきゃ、時間食っちゃったな~」
牧さんの通話は途絶え、秋彦さんは馬車の元へ。
…………泣いてなんかいないやい!
ちょっと目に熊澤さんの毛が入っただけだい!
その後、トキ家に着くまで、馬車の中の空気は物質化したように重かった……。
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