【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

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第五章 問題は尽きないようです

おやすみなさい

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ベルンリグールから戻る時、何かあった時のため(まぁクズ皇帝の監視だけど)遠見の子と遠話の子に残ってもらう事にした。

僕がラグノルに戻っても妖精達が大丈夫な様に、僕の血を内包した水晶を作って、いくつか設置してきた。

……何で僕の血にそんな力があるかなんて深く考えたくないから、そう言うものなんだと周りにゴリ押しした。

そんなこんなでベルンリグールのゴタゴタは終結した。

のだけれど、一月も経たないうちにクズ皇帝から連絡が入り、急遽また北方へ移動する事になる。

宗教国家【ルスプス】が、『神を語る不届き者』と『その偽神を奉る不敬な国』として攻め入ってくると言う情報が入ったとの事。

勿論トモ家からもその情報は入ったのだけれど、戦力として当てにしていたフェンディスが、兵を出すのを拒んだため、ルスプスの神官が武器を持ち攻め入ろうとしたけれど、髭マロがベルンリグールに至る前に殲滅。

その後僕がルスプスのトップの元へ飛び、クズ皇帝の時と同じく、原初の方々に責任を取ってもらった。
2回目だからすんなりと終わったよ。


でも、そこで問題がひとつ……。

クズの時と違い、原初の方々は情に訴える作戦に出た様で、世界の命を生み出した事により力が尽き、僕の力を借りて何とか意思の疎通ができるだけで、元の姿を顕現させることもできない。
などと切々と訴えたそうだ。

………その結果どうなったかって?

宗教国家が認める現人神(あらひとかみ)と呼ばれる様になってしまった………………勘弁して……。


スイとネイは誇らしげだし、ニトは腹を抱えて大笑いするし、王家の一族は【現人神の居る国】なんて近隣諸国に広げちゃうし、僕を召喚したカイも褒め称えられて、微妙な顔だ。

そして各地から僕の顔を見る為に、ラグノルが巡礼地になってしまう……。

僕は普通のおっさんです!

と主張しても誰も納得してくれない……何故だ!!


*****


そんなこんなで賑やかに?時は過ぎ、周りの人たちが順に寿命を迎えていく。
100年以上の寿命があったとしても、僕の数千年の寿命に比べるとあっという間だ。

生涯僕の世話をしてくれたスイも、いつも僕をからかっていたニトももういない。

ネイは最期まで独り身を通し、ずっと僕の近くに居た。
そのうち運命の人が現れると思っていたけれど、ネイの運命の人は僕だった様だ。
勿論結婚する訳でも、付き合う訳でもなく、ただ添い遂げただけ。

ネイが亡くなる頃にやっと身長が1メートル10センチほどの僕に、何をどうしてあげることもできず(いや、どうもこうもしたくはないけどね)近衛を引退後、僕の家に越してきて、ただただ側に居ただけ…。

なんだろう…僕がこの世界に来てしまったばかりに、ネイに普通の幸せな家庭を持てなくしてしまった様で、落ち込んでしまった。

そんな僕に原初の方々が裏技を教えてくれた。
100年以上共に過ごして、更にパワーアップしたニヤ達や、他の妖精達の力を使い、ネイの魂を妖精として生まれ変わらせたんだ。
勿論ネイも望んだから出来たことだけど。

他の妖精は【こんな力が欲しい】と願うことで生み出せる。
けれどその場合、それは新たな生命で有って、妖精の個性や性格はそれぞれだ。

でもネイの場合、妖精に転生させたので、ネイの記憶も人格もそのまま、妖精として生まれ変わる事ができた。

ただし、僕との繋がりが強い為、一連托生で、僕の命が尽きる時、ネイも消えてしまう。
その事を伝えてもネイは逆に本望だと転生を選び、僕のそばに居る。

原初の方々にも割とちょくちょく会いに行った。
会えるメンバーは毎回違ったけれど、いつでも歓迎してくれて、楽しい時間を過ごす。

ニヤ達やネイが側に居るからと言って、見知った顔が一人減り、二人減りしていくのを見送るのは、かなりダメージが重なるものだ。

しかも、原初の方々が僕と会話をする事で力を使った為、次第にその意識が薄れて無に還ってしまった。
毎回話をするメンバーが違ったので、まさか消えてしまっているとは思わなかったんだ。

最期に消えた水の人に、僕は泣きながら謝ったけれど、意識はなくなっても、この星に溶け込むだけだし、何より楽しかったんだから、謝らなくていいと慰められてしまう。


召喚されて500年後、キリもいいからと僕は眠りにつく事にした。

一緒に眠りにつくのはニヤとピヤとネイだ。
他の妖精達には世界を見守ってもらい、何かあれば起こしてもらう事になっている。

ヤバイ事が起こるたび、僕は目覚めて問題を起こす人を説得し、説得が無理なら実力行使で排除する。

そうして僕はまた眠りにつく。

眠る僕は夢を見る。

夢の中では懐かしい面々が笑顔で揃っている。
僕の力なのか、夢の中の人々は当時のままの人格があるようで、夢の中だけれど、僕たちは普通に暮らしている。

…………本当に夢なのか、もしかして並行世界なのか…。

ただ皆が笑ってそこで生きている、幸せな世界だ。




日本でちょっと辛いことはあったけれど、子供のイタズラで召喚されてしまったけれど、色々問題もあったけれど、今日も僕は幸せな夢の中だ。


そんな僕の人生を聞いてくれてありがとう。
またいつかどこかで会えるといいね。


おやすみなさい…………。







ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー


本編はこれにて終了です。
明日、明後日で番外編二話投稿して完結となります。
番外編もお付き合いよろしくお願いします。







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