【完結】アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー

七地潮

文字の大きさ
103 / 109

チートですか?

しおりを挟む

『あれ?俺やっちまった?』

ベルアルムの話を聞いて内心焦る俺。

「神官見習いの者が受け取り、私に持って来たのですが、前回の魔石の付与と言い、貴女には何か特別な力があるのではないのですか?」
ベルアルムが微笑みながらも、真っ直ぐこちらを見ている。

「それは以前ビアトゥール様の前で、偶然だったと実証してみたのではないのですか?」 
兄が庇ってくれるけど、ベルアルムは視線を逸らさない。

「そうですね、あの時は偶然だと思いました。
しかしこの二つは間違いなく、サリフォル嬢の作品ですよね?」
それは間違い無いので頷くと、少しだけ視線が柔らかくなった。

「別に責めているわけではありません。
体に障るといけませんから、楽にしてください」
そう言われて「はいそうですね」なんてリラックスできるわけない。

「ただお話をお伺いしたいだけなのです。
この二つを作る時と、魔石の付与の時に何を考えていたのか、共通の点がないか、思い出していただけませんか?」

共通点………俺何を考えてたっけ?
当時のことを思い返してみる。


兄のプレゼントの時は……頑張る兄を応援したいとか?
頑張り過ぎて過労死しないかとかだっけ?
正直あんまり覚えていない。


花瓶敷きの時は……

以前の俺ん家では母親も姉貴も花を飾るなんて習慣はなく、花は生活から離れている物だった。
携わるとすれば、祖父母の墓参りの仏花か、高校の時、クラスメイトがバイクで事故死した事故現場に、献花した時くらいかな。

だから俺にとって花とは、【死者に手向ける物】だ。

でも、墓参りの時にせよ、事故現場にせよ、切り花はすぐ枯れてしまうから、枯れた花を見るともの寂しい気持ちになったよな。

花が長持ちすれば良いのに。

次の花を供えるまで咲き誇っていてくれると、死者も寂しくないだろうな………とか考えてたっけ?


燭台敷きの時は…ロウソクとか炎って命と関連して思い浮かべることって多いよな。
命の灯火って言葉もあるし。

確か命のロウソクって話なかったっけ?
何パターンか【命】や【寿命】と【ロウソク】を掛け合わせた話があったような?

人魚の赤いロウソクとかもラストは村が全滅するとかじゃなかったっけ?

何にせよロウソクが消えるのって縁起がよろしくないみたいだから、長持ちすれば良いよね。

消そうとするまで消えなきゃ良いのに………………とかなんとか考えていたような?



共通点…【死】をイメージすることから逃れると言うか、長生き(長持ち)するようにって思いがこもってた?
王子のことを考えて付与した時は、命に関する事は考えていなかった…よね?
だから普通の付与だったの?

「共通する事で思い当たるとすれば、命を長く繋ぐ事…でしょうか?
死から遠ざかるイメージを思い描いていたかもしれません」

それ以外に思い当たらないし、コレって俺が死んだ記憶を思い出したからってのが関係しているのかな?

そこまでは言えないけど、言葉にして告げてみると、ベルアルムは一つ頷くと、持っていたバックから小瓶に入った水と小皿、小さな空(から)の魔石を取り出した。
小瓶の中身は聖水かな?

「こちらに聖水と魔石をお持ちしました。
今一度試してみて頂きたいのですが、身重の方に無理は言いたくありません」
どうされるかは貴女が決めて下さい、なんてベルアルムは言うけど、検証しなけりゃいけない流れじゃないの、これ。

側のソファーに座る兄とリズヴァーンに目を向ける。
リズヴァーンは黙ったままだけど、兄はベルアルムに俺の代わりに聴いてくれた。

「検証するとしてその結果、キャスティーヌに特別な付与の力が有ったとしたら、貴方はどうなさるつもりか聞かせて頂きたい」

そうそれ。
もし、このなんだか微妙な付与が、チート(とも言えない)スキルだったら、俺ってもしかして【延命の付与の聖女サマ】とか何とかになっちゎったりしちゃったりして?

イヤ~~~~!!!


「実は…今回の話は、私のところで止めているのです」

え?神殿が俺を利用しょうとかそんな感じじょないの?

「見習いの者にも、これらを持ち込まれたお二人にも、口外しないようにと伝えております」

え?んじゃ何でここに来たの?
検証しようとしてんの?

「それなら検証する必要もないのでは?」

そうだよね、さすがシスコンサマ、俺が嫌がりそうな事からは、キッチリ守ってくれる。

ベルアルムは暫く考え込み、顔を上げてニッコリ笑った。
ん?さっきまでと笑顔の質が違うような?


「正直に申し上げましょう。
好奇心です」


ヲイ!!!

「私、知らないことを知るのが好きなのです。
知らないこと、わからないこと、疑問に思ったことをそのままにしておくのが嫌なのです。
もし、キャスティーヌ様に付与を与える力が有ったとしても、一般の方には少なくとも、神官なら誰でもできることです。
多重付与は珍しいけれど、できる者がいないわけでも有りません。
ですから、何かをしようと言うわけではありません。
ただ、本当に多重付与ができるのか、お守り刺繍で付与魔石程の効果が出せるのか、それが知りたいだけなのです」

……おーい、知的好奇心満たしたいだけなのかよ!
え?マジでそれだけ?
本当に神殿へ拉致とか、力尽きるまで付与をやらされるとか、そんなの無しなの?

つーか俺の能力って、好奇心満たすだけの【チート】ではなくほんの【ちっと】の能力なの?

えーーーーーー…。

いや、スッゴイチートとか有って、色々な騒動に巻き込まれたいとか、そんなんじゃないよ。
平穏無事が一番だよ?

でも【転生者】としては、こう…さあ……人々が羨むというか、沢山の人に引っ張りだこにされるような能力があるモンなんじゃないの~?


なんだよ、ガッカリだよ、何て心の中で言ってる間に、兄が話を進めていく。

「キャスティーヌに何かをさせようというのではないと?」
「はい、これからも第三者に漏らすことはありません」
「キャスティーヌの不本意なことはさせたくないのだが」
「強制はしません。
ただ俗世にもこんなに素晴らしい方が居るのだと確信したいのです。
そしてできるなら、一般の方でもここまでできるのだから、神に使える者としては、精進し同じレベルまで行けるように努力するための教材として使わせていただけるとありがたいです」
「そこからバレればキャスティーヌが騒動に巻き込まれるのでは?」
「勿論彼女の事を公にすることは絶対にしません」
「それを保証できるのか?」
「信じていただくしかないです」
「貴方を信じろと?」
「私個人が信じられないのなら、私の信仰心を信じていただけませんか?」

あー、置いてけぼりで話が進んでいる。
まあ楽だけどね。
だって兄が俺…キャスティーヌの振りになる事を、絶対にするわけないからね。

絶対に。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな
恋愛
 略奪系ゲーム『花盗人の夜』に転生してしまった。  しかも、ヒロインに婚約者を奪われ断罪される悪役令嬢役。  これは円満な婚約解消を目指すしかない!

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

『偽りの血筋が溢れる世界で、ただ一人の君を見つけ出す 〜捨てられた公爵家の猫は騎士団長に溺愛されて逃げられません〜』

高瀬あい
恋愛
「にゃーーーーー!!(待てやコラァーーーー!)」 野良暮らしを逞しく満喫中の長毛種の猫。その中身は、高慢な義母によって魔物の森へ捨てられた成人女性の転生者だった。 ​獲物の魔力を少しだけ「チュウチュウ」と吸って、お返しに相手をピカピカに浄化し、傷を癒す。 そんな能力のおかげて気楽な自給自足な生活を送っていたある日、主人公は誘拐されかけた少年を助け(というか魔獣に激突し)、血まみれの冷徹騎士団長・エリオットに拾われてしまう。 ​「汚い。……洗おう」 「にゃーん!(お風呂は嫌! 離しなさいこのイケボ!)」 ​お揃いのリボンを結ばれ、美味しい魔力のご飯を献上される至福の贅沢生活。 しかし、生活費代わりとして騎士団長の中にある魔力の淀みを夜な夜な癒やすうち、その力は「聖獣」として覚醒していき、邪な輩の目を引くことに。 「お前は絶対渡さないよ。お前の帰る場所は、私の元だけだーー」 騎士団長からのヤバい溺愛を盾に、幸せペット生活、守らせていただきます!

攻略なんてしませんから!

梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです! 【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/ 閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。 此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。 *攻略なんてしませんから!別ルート始めました。 【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました

処理中です...