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第二章 激動
【第47話:凶報】
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オレ達は3時間ほど街道を歩き続け、ようやくその日の宿とする守りの家に到着した。
「なんだ?今日はやけに人が多いな?」
ここを何度か利用したことのある騎士の一人がそう呟く。
すると、ちょうど宿から外に出てきていた商人風の男が、
「騎士様 こんばんは でございます。私どものキャラバンの者が多くご迷惑をおかけします。私どものキャラバンはテリトンの街に向かっていたのですが、5体を超えるオーガの群れが街道近くに現れてしまいまして…」
そのため引き返してきたのですと、申し訳なさそうに話しかけてくる。
すると騎士がオレの方を向いてニッと笑うと、
「そういう事か。それなら喜べ。オーガの集団ならそこの冒険者が討伐してくれたぞ」
と面白そうに教えるのだった。
それを聞いた商人の男は、
「なんと!? 冒険者様、本当に助かりました。明日出発できれば約束の期日までに荷を届けられそうです!」
と頭をさげて慌ただしく宿に戻っていくのだった。
そこから宿中にその知らせを届けると早速出発の準備整え就寝し、翌朝日が昇らないうちにそのキャラバンは出発していくのだった。
ちなみに街道守備隊への説明などは騎士隊長のメンフィスが買って出てくれていたので、その日オレ達のパーティーはゆっくりと過ごさせてもらったのだった。
~
翌朝、オレ達は守りの家に隣接する宿で朝食をとると、少し雑談などをしてゆっくりしてから出発する事になった。
ここからコルムスの街へ行くには後もう一度守りの家に泊まらなければいけないので、急いでもあまり意味がなかったのだ。
こうしてオレ達は朝少し遅い時間に出発し、特に魔物に襲われることもなく無事に次の守りの家まで到着するのだった。
~
オレ達は道中で騎士たちやユリ様、メアリと色々話して過ごしていたのですっかり打ち解けており、今は宿の食堂でこれから向かうコルムスの街の事を聞いていた。
コルムスの街は人口2000人ほどでテリトンの街よりかなり小さな街だ。
森が近い事もあって木工製品と狩りが盛んで、街から比較的に近い所に湖もあることから漁をしている人も多い。
これだけだと何の特徴もない街なのだが、エルフ達との交易が盛んなために商人が多く集い、比較的活気のある街だった。
街の話からまた雑談に変わると、オレ達がテリトンの街でしたことを知ったメンフィスが、
「いやぁ。君たちがパーティー結成してまだ数日とか本当に信じられないな。しかも君たちがテリトンで噂に聞いた英雄だったとはなぁ」
と、しきりに感心している。
そしてそれを聞いたメアリが、
「へ~。ユウトたちはそんな凄い事をやっていたのね。やっぱりついてきて正解だったわね!」
うんうんと一人で頷きながら何か納得して満足気だった。
ただ、オレの方はそんな噂になっていることを知って、
(うわぁ…。あんまり目立ちたくないのになぁ。国の偉い人とかに目をつけられないといいけど…)
とか思って少し心配になる。
そんなオレの気も知らずにパズは
「ばうぅ♪」
と、自分たちが噂になっていたことにご機嫌なようだったが…。
そこから話題が二転三転し、楽しい雰囲気のままそろそろお開きにしましょうかと話していた時にその知らせが飛び込んできた。
食堂に一人の街道守備隊員が息を切らせて飛び込んできたかと思うと、
「大変です!先ほど早馬で知らせが届いたのですが、コルムスの街が闇の眷属と思われる集団に襲われているそうです!」
と叫ぶのだった。
~
「本当ですか!?街は、街は大丈夫なのですか!?」
それにいち早く反応したのは先ほどまでオレ達の会話を楽しそうに聞いていたユリ様だった。
「はい!エルフ達が闇の眷属の動きを察知して知らせてくれたそうで奇襲は免れ、エルフの協力を得て何とか持ちこたえているそうです!ただ…、少し劣勢のようでして早馬はテリトンの街に援軍を求めに向かいました」
と報告する。
少しだけホットするオレ達だったが、劣勢と言う情報に気を引き締めなおす。
「ユリ様!我々もすぐに向かいましょう!ここからなら明け方には街に着くはずです!」
と若い騎士のセグが提案するが、オレはそれを聞いて危険に思い反対する。
「失礼ですが、それはおやめになった方が良いかと思います」
セグは反対された事に逆上して、
「なんだと!街が襲われているのに何もせずにここで待っていろと言うのか!」
と怒鳴ってくるのだが、メンフィスが割って入り諫める。
「セグ!頭を冷やせ。ユウトの言う通りだ。我々の使命はユリ様の身の安全を守る事だ。街に入れるかもわからない状態でユリ様と一緒に向かってその身を危険にさらしてどうする」
そう諭されて悔しそうにするセグ。
するとユリ様が、
「ユウト様。どうかお力をお貸しいただけないでしょうか?悔しいですが私が向かっても足手纏いでしょう。あなた達のパーティーの力をどうか、どうか私にお貸しください!」
そう言って深く頭をさげてくるのだった。
元より、話を聞いてすぐ向かうつもりだったオレはリリル、メイ、そしてパズに視線を送りその意志を確認すると、
「頭をあげてください。オレ達はたとえ頼まれなくても向かいますよ。どこまで力になれるかわかりませんが、闇の眷属が絡んでいるのなら見過ごすわけにはいきません」
と伝えるのだった。
「「そうでござる!(ばぅ!)」」
メイとパズがすぐさま賛同の意を伝え、リリルも
「私も微力ながらユウトさんと、みんなで力を合わせてがんばります!」
と伝える。
そしてそれを聞いていたメアリも顎に指をおいて少し悩んだ後、
「私の仲間の子たちも協力してるみたいだし、私も一緒に行かせてもらうわ」
と協力を申し出るのだった。
こうしてオレ達のパーティーとメアリを合わせた四人と二匹は、すぐさまコルムスの街に向かう事になるのだった。
奇抜な移動方法により3時間と言う短時間で…。
「なんだ?今日はやけに人が多いな?」
ここを何度か利用したことのある騎士の一人がそう呟く。
すると、ちょうど宿から外に出てきていた商人風の男が、
「騎士様 こんばんは でございます。私どものキャラバンの者が多くご迷惑をおかけします。私どものキャラバンはテリトンの街に向かっていたのですが、5体を超えるオーガの群れが街道近くに現れてしまいまして…」
そのため引き返してきたのですと、申し訳なさそうに話しかけてくる。
すると騎士がオレの方を向いてニッと笑うと、
「そういう事か。それなら喜べ。オーガの集団ならそこの冒険者が討伐してくれたぞ」
と面白そうに教えるのだった。
それを聞いた商人の男は、
「なんと!? 冒険者様、本当に助かりました。明日出発できれば約束の期日までに荷を届けられそうです!」
と頭をさげて慌ただしく宿に戻っていくのだった。
そこから宿中にその知らせを届けると早速出発の準備整え就寝し、翌朝日が昇らないうちにそのキャラバンは出発していくのだった。
ちなみに街道守備隊への説明などは騎士隊長のメンフィスが買って出てくれていたので、その日オレ達のパーティーはゆっくりと過ごさせてもらったのだった。
~
翌朝、オレ達は守りの家に隣接する宿で朝食をとると、少し雑談などをしてゆっくりしてから出発する事になった。
ここからコルムスの街へ行くには後もう一度守りの家に泊まらなければいけないので、急いでもあまり意味がなかったのだ。
こうしてオレ達は朝少し遅い時間に出発し、特に魔物に襲われることもなく無事に次の守りの家まで到着するのだった。
~
オレ達は道中で騎士たちやユリ様、メアリと色々話して過ごしていたのですっかり打ち解けており、今は宿の食堂でこれから向かうコルムスの街の事を聞いていた。
コルムスの街は人口2000人ほどでテリトンの街よりかなり小さな街だ。
森が近い事もあって木工製品と狩りが盛んで、街から比較的に近い所に湖もあることから漁をしている人も多い。
これだけだと何の特徴もない街なのだが、エルフ達との交易が盛んなために商人が多く集い、比較的活気のある街だった。
街の話からまた雑談に変わると、オレ達がテリトンの街でしたことを知ったメンフィスが、
「いやぁ。君たちがパーティー結成してまだ数日とか本当に信じられないな。しかも君たちがテリトンで噂に聞いた英雄だったとはなぁ」
と、しきりに感心している。
そしてそれを聞いたメアリが、
「へ~。ユウトたちはそんな凄い事をやっていたのね。やっぱりついてきて正解だったわね!」
うんうんと一人で頷きながら何か納得して満足気だった。
ただ、オレの方はそんな噂になっていることを知って、
(うわぁ…。あんまり目立ちたくないのになぁ。国の偉い人とかに目をつけられないといいけど…)
とか思って少し心配になる。
そんなオレの気も知らずにパズは
「ばうぅ♪」
と、自分たちが噂になっていたことにご機嫌なようだったが…。
そこから話題が二転三転し、楽しい雰囲気のままそろそろお開きにしましょうかと話していた時にその知らせが飛び込んできた。
食堂に一人の街道守備隊員が息を切らせて飛び込んできたかと思うと、
「大変です!先ほど早馬で知らせが届いたのですが、コルムスの街が闇の眷属と思われる集団に襲われているそうです!」
と叫ぶのだった。
~
「本当ですか!?街は、街は大丈夫なのですか!?」
それにいち早く反応したのは先ほどまでオレ達の会話を楽しそうに聞いていたユリ様だった。
「はい!エルフ達が闇の眷属の動きを察知して知らせてくれたそうで奇襲は免れ、エルフの協力を得て何とか持ちこたえているそうです!ただ…、少し劣勢のようでして早馬はテリトンの街に援軍を求めに向かいました」
と報告する。
少しだけホットするオレ達だったが、劣勢と言う情報に気を引き締めなおす。
「ユリ様!我々もすぐに向かいましょう!ここからなら明け方には街に着くはずです!」
と若い騎士のセグが提案するが、オレはそれを聞いて危険に思い反対する。
「失礼ですが、それはおやめになった方が良いかと思います」
セグは反対された事に逆上して、
「なんだと!街が襲われているのに何もせずにここで待っていろと言うのか!」
と怒鳴ってくるのだが、メンフィスが割って入り諫める。
「セグ!頭を冷やせ。ユウトの言う通りだ。我々の使命はユリ様の身の安全を守る事だ。街に入れるかもわからない状態でユリ様と一緒に向かってその身を危険にさらしてどうする」
そう諭されて悔しそうにするセグ。
するとユリ様が、
「ユウト様。どうかお力をお貸しいただけないでしょうか?悔しいですが私が向かっても足手纏いでしょう。あなた達のパーティーの力をどうか、どうか私にお貸しください!」
そう言って深く頭をさげてくるのだった。
元より、話を聞いてすぐ向かうつもりだったオレはリリル、メイ、そしてパズに視線を送りその意志を確認すると、
「頭をあげてください。オレ達はたとえ頼まれなくても向かいますよ。どこまで力になれるかわかりませんが、闇の眷属が絡んでいるのなら見過ごすわけにはいきません」
と伝えるのだった。
「「そうでござる!(ばぅ!)」」
メイとパズがすぐさま賛同の意を伝え、リリルも
「私も微力ながらユウトさんと、みんなで力を合わせてがんばります!」
と伝える。
そしてそれを聞いていたメアリも顎に指をおいて少し悩んだ後、
「私の仲間の子たちも協力してるみたいだし、私も一緒に行かせてもらうわ」
と協力を申し出るのだった。
こうしてオレ達のパーティーとメアリを合わせた四人と二匹は、すぐさまコルムスの街に向かう事になるのだった。
奇抜な移動方法により3時間と言う短時間で…。
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