軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸

文字の大きさ
5 / 52
第一章

第5話:返事したのオレじゃない

しおりを挟む
 倒れ込んだ状態からくるりと横に転がって仰向けになり、呼吸を整える。

「ぜぇはぁ……ぜぇはぁ……」

 元々田舎暮らしで体力に自信はあったのだが、リモートワークになって引きこもりがちになったせいか、思った以上に体力が落ちていたようだ。
 いろいろ片付いたら少し運動でも始めるか……。

「しかし、なんであんな急に走り出したんだ?」

 万歳するように掲げたオレの手には、脱力しただいふくが確保されている。

「ばぅ?」

「ばぅ? じゃねぇよ……お前なぁ……」

 いや、本当になんでこんな走って……。

「あ……原因はご飯の器それか!?」

 だいふくを追っかけている時に前方でなにかキラって光るものが見えた気がしたんだが、ご飯の器を追いかけて走ってたのか……。

 そう言えば昔だいふくにボール遊びを覚えさせようとしてボールを投げたら、ボールを咥えようとするたびに前足で蹴飛ばしてしまって延々走り続けていたな……。
 きっとダンジョンに入った時に器を落として転がったせいで、サッカーのドリブルみたいな状態になっていたのだろう。最後は一緒に転がってたけど。

 思わず想像して笑いそうになるけど、よく考えたらそんな場合じゃない!

「ま、周りに魔物は!?」

 だいふくを抱っこしたまま飛び起きて周囲を見渡すが、今のところ大丈夫なようだ。
 視界の開けている場所で良かったとホッと息を吐き出す。

「ばぅわぅ!」

「わかったわかった。器も拾っておくから」

 この期に及んでまだ器を拾おうとするだいふくの姿になんだか緊張しているのが馬鹿馬鹿しく思えてくる。
 だからといって、さすがにこんな場所で気は抜かないけど。

「とりあえず急いでここを出よう」

 器を拾い、歩き出そうとした時だった。

≪ユニークスキル『ダンジョンアドミニストレーター』を獲得しました≫

 突然脳内に声が響いた。

「はっ? え? なにこれ?」

 たぶん耳から入った声ではない。
 直接脳内に響くような変な聞こえ方だった。

「え……スキルって……」

 ダンジョン探索者はレベルを上げることによってスキルを獲得することがある。
 でも普通は、何十、何百という数の魔物と戦い、戦闘を繰り返してようやく運が良ければ・・・・・・獲得できるって感じだったはずだ。探索者になって何年も経つのに、レベルアップによる身体能力の強化だけでスキルがゼロという人も多いと聞く。

 しかし極稀に、それこそ数千人に一人ぐらいの割合で、ダンジョンに入っただけでスキルを得る人がいる。そういった人たちのことをダンジョンという環境に適性を持つ者として『ダンジョン適合者』と呼ぶのだそうだ。

 このことは結構有名で、始めてダンジョンに入る時、みんな自分にその幸運が訪れることを期待して神社にお参りに行くんだとか。いかにも日本人らしい。

「しかしこれって……まさか、オレがダンジョン適合者だったってことか」

 ダンジョンに入って一定時間過ごすことでステータスを取得し、レベルを上げられる準備が整うと言われているんだが、入って数分たった今になって遅れてスキル取得のアナウンスが聞こえたのはそれが理由だろう。

「しかも、ユニークスキルって言ってなかったか?」

 スキルの種類は剣技のようなものから魔法のようなものまで多肢にわたる。
 中には生産系と呼ばれるような戦闘の役に立たないものもあり、その全てはまだ解明されていない。

 そして数多くあるスキルの中でも、一番謎に包まれているのがユニーク・・・・スキルだと言われている。
 所持している人が少なく珍しいだけのレアスキルと異なり、世界でたった一人だけしか取得できないスキルだ。

 その存在だけは公にされているが、その詳細は秘匿されていてオレみたいな一般人にはどんなスキルが存在するのかさえ知ることはできない。
 もちろん『ダンジョンアドミニストレーター』なんて怪しいスキルは、噂ですら聞いたことがない。

 仕事がIT系だからアドミニストレーターの意味ぐらいはわかる。

「直訳すれば、ダンジョンの管理者ってことだよな?」

 言葉からはテーブルトークRPGとかのダンジョンマスターやゲームマスターを想起させられるが……。

「そうだ。たしかスキルって意識することで自然にその使い方がわかるって話だったよな?」

 さっそくとばかりに自分の内に意識を向ける。だいふくを抱っこしたまま……。

「………………じたばたしてるから集中しずらいな!」

 かと言って下ろして、またどっかいかれては困る。
 なんとか頑張って、そのまま雑念を払ってスキルについて意識を向けた。

 集中すること十数秒。

「え……まじか……」

 いや、ちょっとこれは……まじか。
 昨日からすっかりまじか教の教祖になってしまっている。

「本当にダンジョンの管理っぽいことができるみたいだ……」

 なんでも自由自在ってわけではなさそうだが、本当にダンジョンマスターに近しいことができそうだ。
 保有するダンジョンリソースの範囲内という制限があるようだが、魔物の配置やポップ率など、かなりいろいろなことが設定できる。

 他にもフィールドマップの表示などの付随的な能力も使えるようになるらし……。

≪本ダンジョンの管理者に就任しますか?≫

 スキルについて確認していると、また脳内に声が響いた。

 本ダンジョンって今オレがいるこのダンジョンのことだよな。
 めっちゃ興味はあるけど、勝手にそんなことしていいのか?
 この後、探索者協会に連絡して「オレのダンジョンです」とか報告するのか?

 いやいや、そういうわけにはいかないだろう。
 断ろうと口を開きかけた時、だいふくが吠えた。

「ばぅ!」

≪承諾確認しました。あなたは本ダンジョンの管理者に就任しました≫

≪以後、本ダンジョンは識別名『霧島 蒼司きりしま そうじ』の管理下に置かれます≫

 は? 教祖として一言いいか……?

「まじか……」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

処理中です...