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第一章
第4話:ゴロゴロ
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ちょっとビビりながらも、なんとか無事に爺ちゃんの家まで戻ってきた。
もちろんダンジョンゲートも一緒だ。
でも、空間に固定された場合のことを考えて、できるだけ家から離れたところに止めてある。
心情的にはゲートさっきの場所にポイしてきたかったが、あの辺りに住んでいるのはみんな知り合いだし、迷惑をかけるわけにはいかない。
だからダンジョンゲートと一緒に戻ってきたのは仕方ないのだが、このままだと爺ちゃんの形見とも言えるこのフルカスタムの軽トラが接収されることになる。
「爺ちゃんから大事にしてやってくれって頼まれたのにな……」
悩みに悩んだが、どう考えても隠し通せるものではない。
自分で魔物を倒せてダンジョンブレイクを回避できるのならまだしも、そんなのトップクラスの探索者でもないと無理だ。
いや。そもそも一人では、たとえトップクラス探索者だったとしても、よほど難易度の低いダンジョンじゃないと魔物の間引きが追いつかないだろう。
昔、夢を諦めないで探索者になっていれば、まだわずかな可能性はあったかも知れないけど……。
「そんなこと、今さら言っても仕方ないな」
爺ちゃんの家でのんびり過ごして、こっちに引っ越すかどうかをゆっくり考えて決めるつもりだったのに、とんでもないことになった。
空を見上げると、もううっすらと白み始めている。
「諦めて連絡するか……」
オレはスマホを取り出すと、もう一度「日本探索者協会」をネットで検索して電話番号を調べることにした。
「普通の窓口は九時からか。お。緊急連絡先があるな」
しかし連絡する覚悟は決めたけど、これ、どうやって説明すればいいかな。
馬鹿正直に軽トラの荷台にダンジョンゲートが出来ましたって言って信じてもらえるのか? オレだったら悪戯を疑うが……。
「ちゃんと状況を説明できるように、しっかり確認しておくか」
荷台の後ろに回り込むと、爺ちゃんがカスタムで付けたアルミブリッジを引き出す。
ブリッジってのは耕運機とかを荷台に積む時とかに使うスロープみたいなものだ。
普段ならこんなもの使わずに荷台に飛び乗っているが、躓いてダンジョンの中に……とか洒落にならないからな。
「へぇ~不思議なもんだな。本当に空間が歪んで見える」
テレビや動画などで見たことはあるが、実物を見るのは始めてだ。
ここまで近くで見ることが出来るのなんて探索者ぐらいだし、この先こんな機会はそうそうないだろう。
そう考えるとなんだか興味が湧いてきた。
最初は混乱してしまってそれどころではなかったが、冷静になってみるとゲートというものになんだかわくわくしている自分に気付く。
童心に帰るという感じだろうか。
オレの年代の男なら、誰しもが子供の頃には探索者に憧れていたからな。
うちは両親をダンジョンブレイクで亡くしているから不謹慎に思われるかもしれないが、正直言って両親の記憶はほとんどないし、連日探索者の活躍するニュースを見て育ったから恨みよりも憧れや興味の方が強かった。
と言っても、ダンジョンの中に入る度胸なんてものはない。
それこそ未だに連日ダンジョン関連の犠牲者の報道がなされている状況で、免許すら持ってないオレが一人で入るなんて、それは度胸ではなく無謀なだけだ。
「ばぅ!」
「え?」
ダンジョンゲートに気を取られていると、足元にご飯の器を加えただいふくがいた。
ブリッジを使って荷台にあがってきたのか。
「ば、ばぅぅ~……!?」
はっ? え? まじか?
今……だいふくがオレのところまで来ようとして、ゲートに触れて……!?
「うぉぉぉぉ!? だいふく~!!」
オレはそのままダンジョンゲートへと無謀にも飛び込んだのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一瞬の浮遊感のあと、目が眩んで転びそうになった。
「まぶしっ!? っ!? とと……あぶね」
さっきまでまだ薄暗い中にいたので、目が眩んで一瞬何が起こったのかわからなかった。
だけど、少しして明るさに目が慣れてくると、想像していたダンジョンの中とは全然違う光景に息を呑んだ。
「え? 外?」
爽やかな風が吹く草原。
どこまでも澄み渡る青い空。
薄暗い洞窟や遺跡のようなものを想像していたので、完全に意表をつかれた。
「これってたしか、フィールドタイプだっけ……」
ダンジョンに圧倒的に多いのは洞窟や遺跡のようなタイプなのだが、海外には森林や砂漠、湿地などのフィールドタイプのものも存在していたはずだ。
だけど、フィールドタイプのダンジョンは全体の数パーセントと聞くし、日本にも数えるほどしかなかったはず。まさかこのダンジョンがそうだとは思わなかった。
「って、そんなこと考えてる場合じゃない! だいふく~!」
幸いなことに周りに魔物の姿らしきものは見えないし、だいふくもすぐに見つけられたのだが……なぜか、走って遠ざかっていっている。
「え? なんで? というか、お前そんな早く走れたのかよ!?」
今まで散歩でも見たことないような速さで駆けていくだいふく。
オレも後を追いかけるがなかなかその差が縮まらない。
そしてそのまま緩い下り坂に差し掛かった時だった。
「あ、転がった……」
短い足で必死に走っていたのだが、躓いたのか、ゴロゴロと坂を転がり始めた。
はやっ!? それ絶対、走るより速いよな!?
縮まった差がまた開いていく。
「まじか!?」
転がるだいふくを必死に追いかけ、ダイビングキャッチするように飛び込んで確保したのは、坂を下りきったあとだった。
もちろんダンジョンゲートも一緒だ。
でも、空間に固定された場合のことを考えて、できるだけ家から離れたところに止めてある。
心情的にはゲートさっきの場所にポイしてきたかったが、あの辺りに住んでいるのはみんな知り合いだし、迷惑をかけるわけにはいかない。
だからダンジョンゲートと一緒に戻ってきたのは仕方ないのだが、このままだと爺ちゃんの形見とも言えるこのフルカスタムの軽トラが接収されることになる。
「爺ちゃんから大事にしてやってくれって頼まれたのにな……」
悩みに悩んだが、どう考えても隠し通せるものではない。
自分で魔物を倒せてダンジョンブレイクを回避できるのならまだしも、そんなのトップクラスの探索者でもないと無理だ。
いや。そもそも一人では、たとえトップクラス探索者だったとしても、よほど難易度の低いダンジョンじゃないと魔物の間引きが追いつかないだろう。
昔、夢を諦めないで探索者になっていれば、まだわずかな可能性はあったかも知れないけど……。
「そんなこと、今さら言っても仕方ないな」
爺ちゃんの家でのんびり過ごして、こっちに引っ越すかどうかをゆっくり考えて決めるつもりだったのに、とんでもないことになった。
空を見上げると、もううっすらと白み始めている。
「諦めて連絡するか……」
オレはスマホを取り出すと、もう一度「日本探索者協会」をネットで検索して電話番号を調べることにした。
「普通の窓口は九時からか。お。緊急連絡先があるな」
しかし連絡する覚悟は決めたけど、これ、どうやって説明すればいいかな。
馬鹿正直に軽トラの荷台にダンジョンゲートが出来ましたって言って信じてもらえるのか? オレだったら悪戯を疑うが……。
「ちゃんと状況を説明できるように、しっかり確認しておくか」
荷台の後ろに回り込むと、爺ちゃんがカスタムで付けたアルミブリッジを引き出す。
ブリッジってのは耕運機とかを荷台に積む時とかに使うスロープみたいなものだ。
普段ならこんなもの使わずに荷台に飛び乗っているが、躓いてダンジョンの中に……とか洒落にならないからな。
「へぇ~不思議なもんだな。本当に空間が歪んで見える」
テレビや動画などで見たことはあるが、実物を見るのは始めてだ。
ここまで近くで見ることが出来るのなんて探索者ぐらいだし、この先こんな機会はそうそうないだろう。
そう考えるとなんだか興味が湧いてきた。
最初は混乱してしまってそれどころではなかったが、冷静になってみるとゲートというものになんだかわくわくしている自分に気付く。
童心に帰るという感じだろうか。
オレの年代の男なら、誰しもが子供の頃には探索者に憧れていたからな。
うちは両親をダンジョンブレイクで亡くしているから不謹慎に思われるかもしれないが、正直言って両親の記憶はほとんどないし、連日探索者の活躍するニュースを見て育ったから恨みよりも憧れや興味の方が強かった。
と言っても、ダンジョンの中に入る度胸なんてものはない。
それこそ未だに連日ダンジョン関連の犠牲者の報道がなされている状況で、免許すら持ってないオレが一人で入るなんて、それは度胸ではなく無謀なだけだ。
「ばぅ!」
「え?」
ダンジョンゲートに気を取られていると、足元にご飯の器を加えただいふくがいた。
ブリッジを使って荷台にあがってきたのか。
「ば、ばぅぅ~……!?」
はっ? え? まじか?
今……だいふくがオレのところまで来ようとして、ゲートに触れて……!?
「うぉぉぉぉ!? だいふく~!!」
オレはそのままダンジョンゲートへと無謀にも飛び込んだのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一瞬の浮遊感のあと、目が眩んで転びそうになった。
「まぶしっ!? っ!? とと……あぶね」
さっきまでまだ薄暗い中にいたので、目が眩んで一瞬何が起こったのかわからなかった。
だけど、少しして明るさに目が慣れてくると、想像していたダンジョンの中とは全然違う光景に息を呑んだ。
「え? 外?」
爽やかな風が吹く草原。
どこまでも澄み渡る青い空。
薄暗い洞窟や遺跡のようなものを想像していたので、完全に意表をつかれた。
「これってたしか、フィールドタイプだっけ……」
ダンジョンに圧倒的に多いのは洞窟や遺跡のようなタイプなのだが、海外には森林や砂漠、湿地などのフィールドタイプのものも存在していたはずだ。
だけど、フィールドタイプのダンジョンは全体の数パーセントと聞くし、日本にも数えるほどしかなかったはず。まさかこのダンジョンがそうだとは思わなかった。
「って、そんなこと考えてる場合じゃない! だいふく~!」
幸いなことに周りに魔物の姿らしきものは見えないし、だいふくもすぐに見つけられたのだが……なぜか、走って遠ざかっていっている。
「え? なんで? というか、お前そんな早く走れたのかよ!?」
今まで散歩でも見たことないような速さで駆けていくだいふく。
オレも後を追いかけるがなかなかその差が縮まらない。
そしてそのまま緩い下り坂に差し掛かった時だった。
「あ、転がった……」
短い足で必死に走っていたのだが、躓いたのか、ゴロゴロと坂を転がり始めた。
はやっ!? それ絶対、走るより速いよな!?
縮まった差がまた開いていく。
「まじか!?」
転がるだいふくを必死に追いかけ、ダイビングキャッチするように飛び込んで確保したのは、坂を下りきったあとだった。
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