軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸

文字の大きさ
27 / 52
第一章

第27話:討伐隊

しおりを挟む
 結局、護衛が一人ついているという話は、式神というレアスキルを隠すためと森羅さん自身を守るための虚偽の報告だったことがわかった。
 森羅さん自身も護衛がついているという話を知らなかったため、探索者協会から森羅家に確認をしたところ、あっさり認めて謝罪されたそうだ。

 はた迷惑な……。

 まあでも、気持ちはわからないでもない。
 森羅さんは大企業のお嬢様だし、ダンジョンの中の出来事すべてがログに残ると言っても、抑止力にしかならない。
 犯罪がバレるのを覚悟した人を相手にした場合にはなんの効果もないのだから。

 状況報告を終えたのはまだ昼過ぎだったが、さすがに色々あって疲れたのでこの日は浅井ダンジョンでの探索は諦め、そのまま家に帰ることにしのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 フィールドボスの一件があってから数日後。
 浅井ダンジョン最奥のイレギュラーに対して討伐隊が派遣されることが決定した。

 そのため、今日は浅井ダンジョンには入場規制がかかっている。

 にも関わらず、オレは今日も探索者協会浅井支部へと訪れていた。

「霧島さん! こちらです!」

「森羅さん、おはようございます。早めに来たつもりだったけど、もうみんな集まっているんですか?」

 理由は、その討伐隊にオレと森羅さんも同行することになったからだ。

 なぜそんな事になっているのかと言うと、今回の討伐隊が森羅家お抱えの高ランクパーティーによって行われることになり、経験を積ませるために森羅さんも同行することになったのだが、オレも一緒にどうかと誘われたからだ。

 ただ、森羅さんとは違って指名依頼という形をとってもらっているので、ちゃんと報酬が出る。しかも、森羅家からのお礼も兼ねてということでかなり高額な……。

 お礼も兼ねているとはいえ、さすがに同行して見学するだけで高額の報酬を貰うのは気が引けたので、アイテムボックスが使えると打ち明け、荷物持ちをさせて貰うことになった。

「はい。もう皆さん集まっていますが、集合時間にはまだ余裕があるので大丈夫ですよ」

 討伐隊の皆が待っている会議室に向かう間、森羅さんと少し話をしたが、もうすっかり元気になっているようだ。

「元気になったのは良かったけど、昨日も潜っていたんですか?」

「はい。でも、昨日は中の時間の流れが遅くて、出てきたら五時間も経ってたのでびっくりしました」

 それは知ってる。

「ですよね。私も少しですが潜ってました」

 オレも昨日潜って時間の流れがかなり遅かったから、すぐに出てきて駐車場に停めた軽トラのダンジョンの方に潜っていた。
 コボルト相手に何時間も戦っていたらレベルも上がって19になった。
 最初の目標のレベル20も目前。スキルこそ発現していないがメイスの扱いにもだいぶん慣れてきた。なかなか順調だ。
 ただ、浅井ダンジョンの時間の流れる早さに合わせて売る魔石の数は調整して少なめにしておいたので、儲けは少なかった。

「そうなんですね! それならメッセージを送れば良かったな~」

 他愛もない話をしながら歩いていると、すぐに会議室に着いた。

「椿さん、霧島さんが来られました!」

 会議室に入ると、そこには六人の探索者が集まっていた。
 驚くことに討伐隊は1パーティーだけらしいので、もう全員揃っていることになる。

 森羅さんが言った『椿さん』らしき人がこちらに歩いて来たので挨拶をしておく。

「失礼します。今日、荷物持ちとして同行させて頂く霧島です」

「Bランクパーティー『百花』のリーダーをしている椿だ。なんでもアイテムボックスを使えるらしいな。助かるよ」

 話には聞いていたが本当に女性だけで構成されたパーティーのようだ。
 部屋の中には女性しかおらず、ちょっと気後れしてしまいそうだ。

 その上、椿さんは現代風にアレンジされた和風のボディーアーマーを着用しており、思わず見惚れてしまいそうになるぐらいに綺麗な人だった。

「はい。厳密にはアイテムボックスに似たスキルなんですが、その、口外しないようにお願いします」

「あぁ、わかっている。そういう契約も結んでいるから心配しないでくれ。そもそも我々は森羅の分家にあたる者だ。本家が恩を受けた者に不利益になるようなことはしない」

 機密保持契約を結んでもらっているので大丈夫だろうとは思っていたが、森羅さんの家の身内なら安心だな。

「わかりました。改めてよろしくお願いします」

 その後、メンバーの紹介を受けたが、みんなモデルをやっていると言われてもおかしくないぐらいに美人揃いで、ちょっと驚いた。
 高レベルの探索者は纏っている魔力の影響で実年齢よりも若々しくなるのだが、ここまで容姿が整っているのは元から綺麗な人たちなのだろう。

 メンバー構成は、リーダーで後方アタッカー、弓使いの椿さん。
 盾役で掻楯使いの穂上さん。ちなみに本来は並べ置いて使う盾なのだそうだが、この人は持ち歩いて使うらしい……。
 前衛アタッカーのうちの一人が槍使いの本庄さん。
 もう一人が二刀流で斥候も兼ねる三上さん。
 最後に後衛で陰陽系の技を使うサポート役の日暮さんだ。

「え~~~期待の新人みたいなこと聞いてたけど、既にベテランの風格を醸し出してない?」

 淡々と準備をしていると、パーティー最年少らしい三上さんに突っ込まれた。

「ははは……森羅さんと同じ日に探索者になったから一応新人ですよ。まぁ見ての通り新人って呼ばれるような歳ではないですが」

 普通の新人探索者と比べれば、軽トラダンジョンで何倍もの時間潜っているけど新人です。

「いや、そういう意味ではないですって! ほんとに風格っていうかなんていうか……」

「わかる~! なんかこれからイレギュラーの討伐に同行するとは思えないぐらい落ち着いてるよね!」

「ははは。そうですか? 自分ではわからないですね」

 あと、ここまで落ち着いてるのは、この三日間、軽トラダンジョンで大勢の敵と戦う想定の訓練をしていたからだな。
 ダンジョンリソースが溢れかえるほど貯まってたから、奮発して大量のコボルトを配置して戦闘訓練を繰り返していたのだ。

 本来ならダンジョンリソースが1000を超えるとダンジョンブレイクが起きる危険があるのだけど、うちのダンジョンはブレイクしない設定にしてあるのでリソースがたまり続けている。
 しかも普段は配置する魔物の数も、討伐される数も少ないので省エネだ。
 だから元々リソースがかなり貯まっていたのだけれど、少し前からその貯まる速度が急激に上がっていた。

 ダンジョンアドミニストレーターを取得した時に植え付けられた知識によると、強い魔物を配置するとリソースの回復速度があがるらしいのだが……そこだけちょっと心配だ。
 もしかして、最近スライム一〇匹に加えて、コボルト、ニワトリクイックチキン、クレイジーシープをそれぞれ10匹ほど配置して警備兼雑用をさせて色々実験をしているのだが、それが影響しているのだろうか?

 でも、普通のダンジョンと比べればそれでも配置している魔物の数は圧倒的に少ないはず。
 ん~まだまだダンジョンの管理はわからないことだらけだな。

 まぁとにかく、リソースにかなり余裕が出来てきたので、ちょっと贅沢にコボルトを配置して対多数の訓練をしていたというわけだ。今回オレの出番は無いだろうけど。

「さて、盛り上がっている所悪いが時間だ。そろそろ出発しようか」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです

青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。 混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。 もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。 「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」 思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。 その時、見知らぬ声が響く。 「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」 これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...