軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸

文字の大きさ
28 / 58
第一章

第28話:式神

しおりを挟む
「さて、盛り上がっている所悪いが時間だ。そろそろ出発しようか」

 椿さんの一言で部屋の雰囲気が変わった。
 皆それぞれの言葉で了承の言葉を返すと、素早く準備を終わらせ部屋を出ていく。

「おっと……急ごうか」

「百花の人たちって、オンオフの切り替え凄いですよね~」

 同じく慌てて準備を終えた森羅さんと一緒に部屋を出ると、百花の人たちを追ってダンジョンゲートへと急ぐ。
 ゲート手前あたりで椿さんと協会職員の桐生さんが最終確認をしていたので問題なく追いついたが、ダンジョンでは遅れないように気をつけないといけないな。

「森羅さんと霧島さんもいるわね。それではダンジョンに入ります。イレギュラーなんてさっさと片付けてしまいましょう」

 その後の調査でゴブリンの数は150匹前後だと判明しているのに、たった1パーティー6人でもまるで気負った様子もない。さすがBランク探索者パーティーだ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 ダンジョンに入ってからも特に問題らしい問題も起こらず、順調に奥へと進んでいく。
 基本、スライムは無視し、ゴブリンも鎧袖一触蹴散らしていく。
 それも斥候役の三上さん一人で。

 ゴブリン数匹程度だと、接敵してから倒し終わるまで10秒もかからない。
 レベル20目前まで来てオレも強くなったつもりでいたが、その今のオレでも目で追うのが難しいレベルの速さだ。強さの桁が違う。

 誰かが「Eランクダンジョンはチュートリアルだ」と言っていた意味がわかった気がする。

「お。まただ。この先に六匹のゴブリンがいるよ」

「やっぱりイレギュラーの影響かな? 遭遇率高いね」

 え? これって遭遇率高いんだ。
 いつも簡易マップで探して効率よく見つけてるから、遭遇率とか言われてもいまいちピンとこない。

「じーーー」

 ん? な、なんか三上さんに凄い見られてるんだが……。
 というか、口で「じー」って言ってるよね……?

「えっと、なんかありました?」

「霧島さんって、探知系のスキル持ってるでしょ?」

 は? いきなりなに!? なぜわかった!?

「ど、どうしたんですか急に?」

「だって、下手すると私より早く気付いてる節があるよ?」

「そんなことは……」

 斥候役もしてるだけあって、周りをよく見てるな……。

「それにこれだけ遭遇率高いのに反応超薄いし?」

「ちょっと三上さん! いくら機密保持契約結んでるからってパーティー外の人のスキルを詮索するのはマナー違反よ!」

「はーい。椿ママ~」

「誰がママよ! あなたと三つしか変わらないわよ!!」

「私誕生日まだだから今は四つです~」

 三上さんが百花のムードメーカーで、リーダーの椿さんが引き締め役って感じなんだろうけど、Eランクダンジョンだと簡単過ぎて緊張感にかけるんだろうな。かといって油断しているわけでもなさそうだが。

 でも、話題が逸れて助かった。

「でもさぁ、森羅さんもだけど、霧島さんも見学だけだと暇じゃない? よかったら次戦ってみる~?」

「三上さん! あなた、単に二人のスキル見てみたいだけでしょ!」

「あはは。バレたか~」

 ぉぉぅ……ここにもスキルマニアがいたよ。
 椿さん、このパーティーのツッコミ役でもあるのかな? なかなか苦労してそうだ。

「でも椿、私達で何かアドバイスとか出来るかもしれないし、意外とありじゃない?」

「穂上までそんなこと言って……」

 百花のメンバーのうち四人は高校からの同級生で、三上さんだけ最近加入したらしい。
 なので、この四人はお互い呼び捨てなのに、一番年下の三上さんだけまだ「さん」付けという逆転現象が起きているそうだ。

 で? 歳がいくつかって?

 オレ、まだ死にたくないので。
 高ランク探索者の女性に歳を聞くとか自殺志願者ですか?

「あの! 百花の皆さんにアドバイスして頂けるなら私は戦ってみたいです!」

「でしょでしょ~! 鏡花ちゃん、戦ってみたいって~! 霧島さんはどうするどうする~?」

 ん~スキルとか管理者ローブ装備はバレたくないけど、百花の人たちにアドバイス貰えるのは正直かなり魅力的なんだよな。

 よし! オレも見てもらおう!

「そうですね。アドバイスして貰えるのなら私も嬉しいですし、オレもお願いします」

「はぁ~霧島さんまで……。わかったわ。じゃぁ三上さんが間引きして、危なくなったらしっかりサポートするように」

「まっかせて~!」

 こうしてオレと森羅さんが交互に戦闘して、それをアドバイスして貰えることになった。



 そして数分後。

「それじゃぁ、まずは鏡花ちゃん! もう少ししたら接敵するよ。数は三匹だから間引きなしで!」

「はい! 最初から全力でいきます!」

 お? もしかしてこの間教えて貰った式神が見れる?
 ちょっと年甲斐もなくワクワクしてきたぞ!

 興味津々で見ていると、森羅さんは二枚の人型の紙を取り出して、それを宙に浮かべ……って、浮かんでる!?

「急々如律令! 異界の門より至りて我に仇なす敵を討て! 式神召喚『前鬼』『後鬼』!」

 二体の鬼を呼び出した。

「え? ……鬼!?」

 この間は確かに小柄な三人の男性だったはず。しかも探索者風の身なりをした。

 しかし、今出現したのは大柄な男女の鬼だった。
 手には棍を持ち、和服を纏い、威風堂々としている。

 何種類か呼び分けられるということだろうか?

 そんなふうにオレが疑問に思っていると、それに気付いた森羅さんが教えてくれた。

「先日、霧島さんが見たのは別の式神なんです。呼び出しと維持コストが安いのと、人に化ける変化へんげの能力を持っているので常用しているのはあちらなんですが、あまり強くはないので……」

 聞いてみると、普通のゴブリンぐらいならまったく問題なく相手出来るそうだが、フィールドボスには刃が立たなかったようだ。

 最初からこちらの式神を使ってたら勝てたのかもしれない。
 それほど、この二体の式神『前鬼』と『後鬼』からは覇気のようなものを感じた。

 ダンジョンで人のスキルを見てちょっと不謹慎かもしれないが、マジでカッコいい!
 ちょっとスキルマニアになる人の気持ちがわかったかもしれない。一緒にされたくはないが。

「ギャギャ!!」

 その後ろ姿に見惚れていると、ようやくゴブリンが現れた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

処理中です...