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第一章
第28話:式神
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「さて、盛り上がっている所悪いが時間だ。そろそろ出発しようか」
椿さんの一言で部屋の雰囲気が変わった。
皆それぞれの言葉で了承の言葉を返すと、素早く準備を終わらせ部屋を出ていく。
「おっと……急ごうか」
「百花の人たちって、オンオフの切り替え凄いですよね~」
同じく慌てて準備を終えた森羅さんと一緒に部屋を出ると、百花の人たちを追ってダンジョンゲートへと急ぐ。
ゲート手前あたりで椿さんと協会職員の桐生さんが最終確認をしていたので問題なく追いついたが、ダンジョンでは遅れないように気をつけないといけないな。
「森羅さんと霧島さんもいるわね。それではダンジョンに入ります。イレギュラーなんてさっさと片付けてしまいましょう」
その後の調査でゴブリンの数は150匹前後だと判明しているのに、たった1パーティー6人でもまるで気負った様子もない。さすがBランク探索者パーティーだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ダンジョンに入ってからも特に問題らしい問題も起こらず、順調に奥へと進んでいく。
基本、スライムは無視し、ゴブリンも鎧袖一触蹴散らしていく。
それも斥候役の三上さん一人で。
ゴブリン数匹程度だと、接敵してから倒し終わるまで10秒もかからない。
レベル20目前まで来てオレも強くなったつもりでいたが、その今のオレでも目で追うのが難しいレベルの速さだ。強さの桁が違う。
誰かが「Eランクダンジョンはチュートリアルだ」と言っていた意味がわかった気がする。
「お。まただ。この先に六匹のゴブリンがいるよ」
「やっぱりイレギュラーの影響かな? 遭遇率高いね」
え? これって遭遇率高いんだ。
いつも簡易マップで探して効率よく見つけてるから、遭遇率とか言われてもいまいちピンとこない。
「じーーー」
ん? な、なんか三上さんに凄い見られてるんだが……。
というか、口で「じー」って言ってるよね……?
「えっと、なんかありました?」
「霧島さんって、探知系のスキル持ってるでしょ?」
は? いきなりなに!? なぜわかった!?
「ど、どうしたんですか急に?」
「だって、下手すると私より早く気付いてる節があるよ?」
「そんなことは……」
斥候役もしてるだけあって、周りをよく見てるな……。
「それにこれだけ遭遇率高いのに反応超薄いし?」
「ちょっと三上さん! いくら機密保持契約結んでるからってパーティー外の人のスキルを詮索するのはマナー違反よ!」
「はーい。椿ママ~」
「誰がママよ! あなたと三つしか変わらないわよ!!」
「私誕生日まだだから今は四つです~」
三上さんが百花のムードメーカーで、リーダーの椿さんが引き締め役って感じなんだろうけど、Eランクダンジョンだと簡単過ぎて緊張感にかけるんだろうな。かといって油断しているわけでもなさそうだが。
でも、話題が逸れて助かった。
「でもさぁ、森羅さんもだけど、霧島さんも見学だけだと暇じゃない? よかったら次戦ってみる~?」
「三上さん! あなた、単に二人のスキル見てみたいだけでしょ!」
「あはは。バレたか~」
ぉぉぅ……ここにもスキルマニアがいたよ。
椿さん、このパーティーのツッコミ役でもあるのかな? なかなか苦労してそうだ。
「でも椿、私達で何かアドバイスとか出来るかもしれないし、意外とありじゃない?」
「穂上までそんなこと言って……」
百花のメンバーのうち四人は高校からの同級生で、三上さんだけ最近加入したらしい。
なので、この四人はお互い呼び捨てなのに、一番年下の三上さんだけまだ「さん」付けという逆転現象が起きているそうだ。
で? 歳がいくつかって?
オレ、まだ死にたくないので。
高ランク探索者の女性に歳を聞くとか自殺志願者ですか?
「あの! 百花の皆さんにアドバイスして頂けるなら私は戦ってみたいです!」
「でしょでしょ~! 鏡花ちゃん、戦ってみたいって~! 霧島さんはどうするどうする~?」
ん~スキルとか管理者ローブはバレたくないけど、百花の人たちにアドバイス貰えるのは正直かなり魅力的なんだよな。
よし! オレも見てもらおう!
「そうですね。アドバイスして貰えるのなら私も嬉しいですし、オレもお願いします」
「はぁ~霧島さんまで……。わかったわ。じゃぁ三上さんが間引きして、危なくなったらしっかりサポートするように」
「まっかせて~!」
こうしてオレと森羅さんが交互に戦闘して、それをアドバイスして貰えることになった。
そして数分後。
「それじゃぁ、まずは鏡花ちゃん! もう少ししたら接敵するよ。数は三匹だから間引きなしで!」
「はい! 最初から全力でいきます!」
お? もしかしてこの間教えて貰った式神が見れる?
ちょっと年甲斐もなくワクワクしてきたぞ!
興味津々で見ていると、森羅さんは二枚の人型の紙を取り出して、それを宙に浮かべ……って、浮かんでる!?
「急々如律令! 異界の門より至りて我に仇なす敵を討て! 式神召喚『前鬼』『後鬼』!」
二体の鬼を呼び出した。
「え? ……鬼!?」
この間は確かに小柄な三人の男性だったはず。しかも探索者風の身なりをした。
しかし、今出現したのは大柄な男女の鬼だった。
手には棍を持ち、和服を纏い、威風堂々としている。
何種類か呼び分けられるということだろうか?
そんなふうにオレが疑問に思っていると、それに気付いた森羅さんが教えてくれた。
「先日、霧島さんが見たのは別の式神なんです。呼び出しと維持コストが安いのと、人に化ける変化の能力を持っているので常用しているのはあちらなんですが、あまり強くはないので……」
聞いてみると、普通のゴブリンぐらいならまったく問題なく相手出来るそうだが、フィールドボスには刃が立たなかったようだ。
最初からこちらの式神を使ってたら勝てたのかもしれない。
それほど、この二体の式神『前鬼』と『後鬼』からは覇気のようなものを感じた。
ダンジョンで人のスキルを見てちょっと不謹慎かもしれないが、マジでカッコいい!
ちょっとスキルマニアになる人の気持ちがわかったかもしれない。一緒にされたくはないが。
「ギャギャ!!」
その後ろ姿に見惚れていると、ようやくゴブリンが現れた。
椿さんの一言で部屋の雰囲気が変わった。
皆それぞれの言葉で了承の言葉を返すと、素早く準備を終わらせ部屋を出ていく。
「おっと……急ごうか」
「百花の人たちって、オンオフの切り替え凄いですよね~」
同じく慌てて準備を終えた森羅さんと一緒に部屋を出ると、百花の人たちを追ってダンジョンゲートへと急ぐ。
ゲート手前あたりで椿さんと協会職員の桐生さんが最終確認をしていたので問題なく追いついたが、ダンジョンでは遅れないように気をつけないといけないな。
「森羅さんと霧島さんもいるわね。それではダンジョンに入ります。イレギュラーなんてさっさと片付けてしまいましょう」
その後の調査でゴブリンの数は150匹前後だと判明しているのに、たった1パーティー6人でもまるで気負った様子もない。さすがBランク探索者パーティーだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ダンジョンに入ってからも特に問題らしい問題も起こらず、順調に奥へと進んでいく。
基本、スライムは無視し、ゴブリンも鎧袖一触蹴散らしていく。
それも斥候役の三上さん一人で。
ゴブリン数匹程度だと、接敵してから倒し終わるまで10秒もかからない。
レベル20目前まで来てオレも強くなったつもりでいたが、その今のオレでも目で追うのが難しいレベルの速さだ。強さの桁が違う。
誰かが「Eランクダンジョンはチュートリアルだ」と言っていた意味がわかった気がする。
「お。まただ。この先に六匹のゴブリンがいるよ」
「やっぱりイレギュラーの影響かな? 遭遇率高いね」
え? これって遭遇率高いんだ。
いつも簡易マップで探して効率よく見つけてるから、遭遇率とか言われてもいまいちピンとこない。
「じーーー」
ん? な、なんか三上さんに凄い見られてるんだが……。
というか、口で「じー」って言ってるよね……?
「えっと、なんかありました?」
「霧島さんって、探知系のスキル持ってるでしょ?」
は? いきなりなに!? なぜわかった!?
「ど、どうしたんですか急に?」
「だって、下手すると私より早く気付いてる節があるよ?」
「そんなことは……」
斥候役もしてるだけあって、周りをよく見てるな……。
「それにこれだけ遭遇率高いのに反応超薄いし?」
「ちょっと三上さん! いくら機密保持契約結んでるからってパーティー外の人のスキルを詮索するのはマナー違反よ!」
「はーい。椿ママ~」
「誰がママよ! あなたと三つしか変わらないわよ!!」
「私誕生日まだだから今は四つです~」
三上さんが百花のムードメーカーで、リーダーの椿さんが引き締め役って感じなんだろうけど、Eランクダンジョンだと簡単過ぎて緊張感にかけるんだろうな。かといって油断しているわけでもなさそうだが。
でも、話題が逸れて助かった。
「でもさぁ、森羅さんもだけど、霧島さんも見学だけだと暇じゃない? よかったら次戦ってみる~?」
「三上さん! あなた、単に二人のスキル見てみたいだけでしょ!」
「あはは。バレたか~」
ぉぉぅ……ここにもスキルマニアがいたよ。
椿さん、このパーティーのツッコミ役でもあるのかな? なかなか苦労してそうだ。
「でも椿、私達で何かアドバイスとか出来るかもしれないし、意外とありじゃない?」
「穂上までそんなこと言って……」
百花のメンバーのうち四人は高校からの同級生で、三上さんだけ最近加入したらしい。
なので、この四人はお互い呼び捨てなのに、一番年下の三上さんだけまだ「さん」付けという逆転現象が起きているそうだ。
で? 歳がいくつかって?
オレ、まだ死にたくないので。
高ランク探索者の女性に歳を聞くとか自殺志願者ですか?
「あの! 百花の皆さんにアドバイスして頂けるなら私は戦ってみたいです!」
「でしょでしょ~! 鏡花ちゃん、戦ってみたいって~! 霧島さんはどうするどうする~?」
ん~スキルとか管理者ローブはバレたくないけど、百花の人たちにアドバイス貰えるのは正直かなり魅力的なんだよな。
よし! オレも見てもらおう!
「そうですね。アドバイスして貰えるのなら私も嬉しいですし、オレもお願いします」
「はぁ~霧島さんまで……。わかったわ。じゃぁ三上さんが間引きして、危なくなったらしっかりサポートするように」
「まっかせて~!」
こうしてオレと森羅さんが交互に戦闘して、それをアドバイスして貰えることになった。
そして数分後。
「それじゃぁ、まずは鏡花ちゃん! もう少ししたら接敵するよ。数は三匹だから間引きなしで!」
「はい! 最初から全力でいきます!」
お? もしかしてこの間教えて貰った式神が見れる?
ちょっと年甲斐もなくワクワクしてきたぞ!
興味津々で見ていると、森羅さんは二枚の人型の紙を取り出して、それを宙に浮かべ……って、浮かんでる!?
「急々如律令! 異界の門より至りて我に仇なす敵を討て! 式神召喚『前鬼』『後鬼』!」
二体の鬼を呼び出した。
「え? ……鬼!?」
この間は確かに小柄な三人の男性だったはず。しかも探索者風の身なりをした。
しかし、今出現したのは大柄な男女の鬼だった。
手には棍を持ち、和服を纏い、威風堂々としている。
何種類か呼び分けられるということだろうか?
そんなふうにオレが疑問に思っていると、それに気付いた森羅さんが教えてくれた。
「先日、霧島さんが見たのは別の式神なんです。呼び出しと維持コストが安いのと、人に化ける変化の能力を持っているので常用しているのはあちらなんですが、あまり強くはないので……」
聞いてみると、普通のゴブリンぐらいならまったく問題なく相手出来るそうだが、フィールドボスには刃が立たなかったようだ。
最初からこちらの式神を使ってたら勝てたのかもしれない。
それほど、この二体の式神『前鬼』と『後鬼』からは覇気のようなものを感じた。
ダンジョンで人のスキルを見てちょっと不謹慎かもしれないが、マジでカッコいい!
ちょっとスキルマニアになる人の気持ちがわかったかもしれない。一緒にされたくはないが。
「ギャギャ!!」
その後ろ姿に見惚れていると、ようやくゴブリンが現れた。
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