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第一章
第34話:グビッと
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まだみんな混乱から立ち直れていないが、あまり時間がない。これも言っておかなければ。
「最後にまだ重要なことがあります。この混沌石の破壊は、あと約三時間以内に行わなければ………………ダンジョンから出られなくなる可能性が高いです」
一通りの簡単な説明を終えたが、すぐには誰も口を開かなかった。
いや、開けなかったのだろう。
信じてもらえないだろうか。
徐々に不安が増していき、静寂がやかましく感じだしたその時、もう一度椿さんが代表して口を開いた。
「すみません。ちょっと受け止めるのに時間がかかりました」
「いえ。自分でも突拍子もないことを言っている自覚はありますから……」
どうすれば信じて貰えるだろうか?
このタスクを一人でこなすのは困難だ。
なにせ地図で示された場所が、中央のゲートを挟んで反対側のダンジョン最奥の広場だ。
道中の敵を鎧袖一触蹴散らしていくぐらいのスピードで進まなければ、間に合わない。
時間内に辿り着くだけでも至難の業だ。
それに、そもそもオレの強さなどたかが知れている。
異邦人につけられたマーカーは、混沌石があるとされている場所の側から動こうとしていない。そのことから、混沌石を破壊しようとすれば、異邦人と戦闘になる可能性が高い。
どこまで話せばいい? 何をどう話せば信じて協力して貰える?
もうオレのユニークスキル『ダンジョンアドミニストレーター』のことを打ち明けてしまうか?
などと葛藤していたのだが……。
「霧島さん、急ぎましょう。場所はどこですか?」
「え?」
「にししし。霧島さん、驚きすぎ! 案内してくれるんでしょ?」
「あ、え、はい。いや、そうじゃなくて、そんな簡単に信じてくれるんですか?」
「はい。内容が内容だけにどこまで理解出来ているかは正直自信ないですが、霧島さんと今日一緒に過ごして、このような異常事態に嘘を吐くような人ではないと、それぐらいはわかりますから」
美人の椿さんにハニカミながらそんな風に言われたから……一瞬意識飛びそうになったわ!
いや、オレ、めっちゃ悩んでたんだけど……。
なにか人としての器の違いを見せつけられた気分だ。
でも……悪くない。
今のところパーティーを組むつもりはないが、こういう探索者仲間が出来るのはいいものだな。
「あ、ありがとうございます」
「しかし霧島さん、いったいどんなスキル持ってるん? 依頼で知り合ってなかったら根掘り葉掘り聞けたのにな~」
残念がる三上さんのその言葉に、本当に依頼で知り合って良かったと胸を撫で下ろす。
三上さんにグイグイ来られたら、ポロッと話してしまいそうで怖い……。
「こんな時に茶化さないの。それより霧島さん、時間制限があるのなら急ぎましょう」
「はい。そうですね。場所はわかりやすいのですが……ここから一番遠い場所になります」
「ということは、反対側の最奥の広場?」
「はい。そこに混沌石が設置されているようです。それに異邦人がその側にいるので邪魔してくるかと……恐らく戦闘に……」
実際、異邦人とやらがどういった存在なのかもわからないので、本当に邪魔してくるかはわからないのだが、最悪を想定して行動するのがダンジョンの基本だ。
三上さんが「もしかしてダンジョンシステムと交信してクエストを発行して貰えるスキルかな?」などと当たらずも遠からずの予想を呟いているので内心ヒヤヒヤする……。
「それじゃすぐに出発しましょう。敵はゴブリンだから、避けるより最短コースを選んでいきます。本庄、三上さん、悪いけど道中の戦闘は任せていい?」
「任せて! ゴブリンなんて蹴散らしてあげるわ!」
「私もぜんぜん大丈夫! でも、ちょっとスポドリだけ飲ませて! あっ、霧島さん、皆の分もよろしく~!」
今回、必要最低限のものは除いて荷物は全てオレの管理者倉庫に入れてある。
だから預けたスポーツドリンクを出してと言ってきたのだが、そう言うことなら……。
「じゃぁ、これはオレからの差し入れってことで」
オレは冷やしてから管理者倉庫に入れて状態保存設定しておいた『体力回復ポーション』を人数分取り出して手渡していく。
「え? これポーションじゃん? って、それに今どうやって取り出したの!? あれ? はぁ!? キンキンに冷えてるし!?」
こんな事してたらそのうち色々バレるかもしれないが、今は百花の人たちが頼みの綱だ。
少しでも力になりたい気持ちのほうが強かった。
「それ、体力回復ポーションです。いっぱいあるのでドリンク代わりに飲んで下さい」
「い、いっぱいあるって、これ、普通に一本数万するやつ……。しかも常に品薄で中々手に入らないのに……」
それは軽トラダンジョンのリソースを消費していくらでも手に入るから。
高ランクのポーションは無理だが、低ランクのポーションは全種類用意できる。
元々コボルトなどを倒してポーションを集めていたのだが、直接リソースから交換できる事に気付いたので本当にたくさんあるんだ。
「な、なんでキンキンに冷えてるの……?」
最近はいつもエナジードリンクの代わりに飲んでいるからとは言えない。
戦闘訓練の後の一杯は格別なんだよな。
疲労が一気に回復するし。
「まぁまぁ。細かいことは気にしないでグビッといっちゃって」
「そんな、お酒じゃないんだから……」
ちょっと混乱させてしまったようだが、みんな「美味しい!」「元気出た!」と喜んでいるので問題ない。はず。
「森羅さんも遠慮せずに飲んで。これから強行軍になるだろうから」
「は、はい。それでは頂きます!」
最後まで遠慮していた森羅さんも飲み終わったので、これで移動も幾分楽になるだろう。
「ちょっと色々思うところはあるけど……うん、今は一旦忘れましょう……」
椿さんがなにかを無理やり納得させている。
「え~と……霧島さん、ありがとうございます。お陰で疲労が回復しました。出発しましょう!」
こうしてオレたちは、イレギュラー討伐の疲れを吹き飛ばし、この状況を打開するため出発したのだった。
「最後にまだ重要なことがあります。この混沌石の破壊は、あと約三時間以内に行わなければ………………ダンジョンから出られなくなる可能性が高いです」
一通りの簡単な説明を終えたが、すぐには誰も口を開かなかった。
いや、開けなかったのだろう。
信じてもらえないだろうか。
徐々に不安が増していき、静寂がやかましく感じだしたその時、もう一度椿さんが代表して口を開いた。
「すみません。ちょっと受け止めるのに時間がかかりました」
「いえ。自分でも突拍子もないことを言っている自覚はありますから……」
どうすれば信じて貰えるだろうか?
このタスクを一人でこなすのは困難だ。
なにせ地図で示された場所が、中央のゲートを挟んで反対側のダンジョン最奥の広場だ。
道中の敵を鎧袖一触蹴散らしていくぐらいのスピードで進まなければ、間に合わない。
時間内に辿り着くだけでも至難の業だ。
それに、そもそもオレの強さなどたかが知れている。
異邦人につけられたマーカーは、混沌石があるとされている場所の側から動こうとしていない。そのことから、混沌石を破壊しようとすれば、異邦人と戦闘になる可能性が高い。
どこまで話せばいい? 何をどう話せば信じて協力して貰える?
もうオレのユニークスキル『ダンジョンアドミニストレーター』のことを打ち明けてしまうか?
などと葛藤していたのだが……。
「霧島さん、急ぎましょう。場所はどこですか?」
「え?」
「にししし。霧島さん、驚きすぎ! 案内してくれるんでしょ?」
「あ、え、はい。いや、そうじゃなくて、そんな簡単に信じてくれるんですか?」
「はい。内容が内容だけにどこまで理解出来ているかは正直自信ないですが、霧島さんと今日一緒に過ごして、このような異常事態に嘘を吐くような人ではないと、それぐらいはわかりますから」
美人の椿さんにハニカミながらそんな風に言われたから……一瞬意識飛びそうになったわ!
いや、オレ、めっちゃ悩んでたんだけど……。
なにか人としての器の違いを見せつけられた気分だ。
でも……悪くない。
今のところパーティーを組むつもりはないが、こういう探索者仲間が出来るのはいいものだな。
「あ、ありがとうございます」
「しかし霧島さん、いったいどんなスキル持ってるん? 依頼で知り合ってなかったら根掘り葉掘り聞けたのにな~」
残念がる三上さんのその言葉に、本当に依頼で知り合って良かったと胸を撫で下ろす。
三上さんにグイグイ来られたら、ポロッと話してしまいそうで怖い……。
「こんな時に茶化さないの。それより霧島さん、時間制限があるのなら急ぎましょう」
「はい。そうですね。場所はわかりやすいのですが……ここから一番遠い場所になります」
「ということは、反対側の最奥の広場?」
「はい。そこに混沌石が設置されているようです。それに異邦人がその側にいるので邪魔してくるかと……恐らく戦闘に……」
実際、異邦人とやらがどういった存在なのかもわからないので、本当に邪魔してくるかはわからないのだが、最悪を想定して行動するのがダンジョンの基本だ。
三上さんが「もしかしてダンジョンシステムと交信してクエストを発行して貰えるスキルかな?」などと当たらずも遠からずの予想を呟いているので内心ヒヤヒヤする……。
「それじゃすぐに出発しましょう。敵はゴブリンだから、避けるより最短コースを選んでいきます。本庄、三上さん、悪いけど道中の戦闘は任せていい?」
「任せて! ゴブリンなんて蹴散らしてあげるわ!」
「私もぜんぜん大丈夫! でも、ちょっとスポドリだけ飲ませて! あっ、霧島さん、皆の分もよろしく~!」
今回、必要最低限のものは除いて荷物は全てオレの管理者倉庫に入れてある。
だから預けたスポーツドリンクを出してと言ってきたのだが、そう言うことなら……。
「じゃぁ、これはオレからの差し入れってことで」
オレは冷やしてから管理者倉庫に入れて状態保存設定しておいた『体力回復ポーション』を人数分取り出して手渡していく。
「え? これポーションじゃん? って、それに今どうやって取り出したの!? あれ? はぁ!? キンキンに冷えてるし!?」
こんな事してたらそのうち色々バレるかもしれないが、今は百花の人たちが頼みの綱だ。
少しでも力になりたい気持ちのほうが強かった。
「それ、体力回復ポーションです。いっぱいあるのでドリンク代わりに飲んで下さい」
「い、いっぱいあるって、これ、普通に一本数万するやつ……。しかも常に品薄で中々手に入らないのに……」
それは軽トラダンジョンのリソースを消費していくらでも手に入るから。
高ランクのポーションは無理だが、低ランクのポーションは全種類用意できる。
元々コボルトなどを倒してポーションを集めていたのだが、直接リソースから交換できる事に気付いたので本当にたくさんあるんだ。
「な、なんでキンキンに冷えてるの……?」
最近はいつもエナジードリンクの代わりに飲んでいるからとは言えない。
戦闘訓練の後の一杯は格別なんだよな。
疲労が一気に回復するし。
「まぁまぁ。細かいことは気にしないでグビッといっちゃって」
「そんな、お酒じゃないんだから……」
ちょっと混乱させてしまったようだが、みんな「美味しい!」「元気出た!」と喜んでいるので問題ない。はず。
「森羅さんも遠慮せずに飲んで。これから強行軍になるだろうから」
「は、はい。それでは頂きます!」
最後まで遠慮していた森羅さんも飲み終わったので、これで移動も幾分楽になるだろう。
「ちょっと色々思うところはあるけど……うん、今は一旦忘れましょう……」
椿さんがなにかを無理やり納得させている。
「え~と……霧島さん、ありがとうございます。お陰で疲労が回復しました。出発しましょう!」
こうしてオレたちは、イレギュラー討伐の疲れを吹き飛ばし、この状況を打開するため出発したのだった。
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