軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸

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第一章

第35話:異邦人

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 オレたち七人はダンジョンの中を駆けていた。
 簡易マップのお陰で索敵範囲の広いオレが索敵を受け持ち、三上さんと本庄さんが道中のゴブリンを文字通り蹴散らしていく。

 既に中央のゲートを通り越し、後三〇分もあれば到着するだろう。



 ゲートはやはり閉じられており、困惑した探索者たちがたむろしていた。
 今日はイレギュラー討伐により規制がかかっていたのが幸いしてその数は少なかったが、ゲートから出られないことにパニック寸前だった。

 だから……臨時管理者となったオレの権限でシステムメッセージを流して場を収めておいた。


≪現在異常事態発生のため、ダンジョンゲートは閉じられております≫

≪一部探索者に緊急クエストを発行しており、クリアを確認次第ゲートは再度開かれます≫

≪ただし、クエストクリアには時間がかかる可能性があるため、出来るだけ戦闘を避け、力を温存し、冷静な行動を心掛けて下さい≫


 よし。これで希望という名の餌を提示出来た。
 追い詰められた探索者が、自暴自棄になって馬鹿なことをするのを暫くは防げるだろう。


「「「………………………………………………」」」


 その代わり……百花と森羅さんみんなの混乱が加速してジト目と無言の圧がひどいことになっているが……。



 こうして道中は大きな問題もなく(?)地図が示す場所まで残り一〇分ほどの所まで辿り着いた。

「みんなお疲れ様。ここで一旦休憩をとりつつ、作戦を立てて突入します。霧島さん、正確な残り時間はわかりますか?」

 第三の視界に表示されたタスク1の残り時間に意識を向ける。

「はい。残り一時間五〇分です」

 ゲート前で多くの探索者が混乱していたので、それを落ち着けるのに少し時間を取られてしまったが、それでも今のところ順調だ。

「ではすみませんが、残り一時間半になったら知らせて頂けますか? それまでに作戦を………………えっと、何をされているのですか?」

 オレは管理者倉庫からテーブルと人数分の椅子を取り出して設置すると、テーブルの上に体力回復ポーションドリンクを並べていく。

 あっ、ちょっとお菓子つまめるものも出しておくか。
 じゃがもこでいいかな? 女の子みんな好きだよね?

「い、今は詮索しない……忘れる……今は忘れろ私……」

 椿さんが遠い目して何か自分に言い聞かせている。
 最初は高ランク探索者の威厳を見せるためかちょっと尖った喋り方だったけど、徐々に崩れてきたな。

 うん。こちらの方がいいと思う。

「霧島さん、貴重なポーションをありがとうございます。代金は後でお支払いします」

「いや、本当にいっぱいあるので代金は結構ですよ。ほら」

 少ししか持ってないと思われると遠慮しそうなので、適当に全種類の低ランクポーションを机に並べていく。

「あっ、せっかくですから、戦闘時に持っておくと有用なものは携帯しておいてください」

「「「………………………………………………」」」

 えっと……みんな無言になって固まっているが、作戦を立てなくて大丈夫だろうか?

「き、霧島さんは試験の時からどこか他の探索者と違うとは思っていましたが、いろいろと想像以上ですね」

 森羅さん、ちょっと笑顔が引きつって見えるのは気のせい……?


 いやね。オレだってかなり思い切ったことをしているとは思ってるよ?
 でも、ここで出来ることをしないで後になって後悔はしたくない。
 きっとその後悔というのは取り返しがつかないことに繋がる気がするんだ。

 だから事態解決に向けて少しでも有利に事を運べるものがあるのなら、出し惜しみはしないと決めたのだ。

「今は詮索しない……忘れる……頑張って忘れろ私……」

 頑張って忘れるって難しいそうだな。

「ひ、ひとまずポーションはありがたく頂きます! 代金のお話はまた後で……」

 みんなキンキンに冷えた体力回復ポーションを一気飲みして一息ついたようだ。
 作戦について話が始まった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 作戦が一通り決まったところで狙ったように時間になった。

「椿さん、今ちょうど残り一時間半になりました」

「ありがとうございます。それじゃぁみんな、覚悟はいい?」

 椿さんの問い掛けに、みんなニヤリと笑みを浮かべて頷く。

「当然! こんな未知の体験、血が滾らないわけがないわ!」

 本庄さんが獰猛な笑みを浮かべ、一見大人しそうな日暮さんまでやる気に満ちている。
 百花は見た目こそ全員モデルと言われてもいいほどの美貌だが、その根底はやはり探索者だ。それも上澄みと言われるAランク探索者に実力で並ぶほどの。

 今までにも、何度も危ない場面を乗り越えてきたのだろう事がうかがい知れた。

「それじゃぁ行きましょう!」

 今回もオレと森羅さんは少し離れた後方で待機だ。
 ただイレギュラーの時と違い、周囲にまばらにゴブリンの集団がいくつかあるので、こちらに近づいてきたら邪魔にならないように倒しておくというちゃんとした役目がある。

 正式な管理者なら魔物の配置を変えて遠ざけたり、異邦人に魔物の群れをぶつけるように配置したりなど色々出来ることがあるのだが、どうも臨時管理者は各種情報にアクセス出来るだけで戦いにおいてはあまり役に立てそうにない。

 力不足を感じて歯がゆいが、今は百花彼女たちを信じるしかない。

「は、始まりました!」

 森羅さんが作戦が始まったと声をあげる。
 と同時に、穂上さんの掻楯が分裂して陣地を形成していく。

 その陣地の隙間から、異邦人と思われる存在が見えた。

「あれが、異邦人か……?」

 肌がどす黒いがシルエットだけなら人と変わらない。

 だけど……そいつから何か・・が溢れ出していた。
 それを目にしただけで怖気がした。

 なんだあれは……?

 感じる感覚は魔力に近い。
 魔力自体あやふやなものだが、探索者ならある程度は感じ取ることができる。

 その魔力に似て非なるもの……明らかに違う。
 魔力はなんというか、澄んでいるとというか、とても綺麗なものに感じる。

 だけど、異邦人から溢れ出しているそれ・・は澱んでいる。
 見ているだけで気持ち悪くなる。とても不快なものだった。
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