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第一章
第50話:だいふくのせい
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ぐるぐる回ると言っても、犬が自分の尻尾を追いかける、あの可愛いぐるぐるではない。そもそもアビスコボルトは普段は二足歩行をしている。
どんなぐるぐるか?
まるで回転台に載ったフィギュアのようなぐるぐるだ。
登場し終わったというのに、未だにぐるぐる回っているアビスコボルトに、周囲にちょっと変な空気が漂う。
ぐるぐるぐるぐると、オレはいったい何を言っているんだろう……。
ところでさぁ………………だいふく~!?
リハーサルは普通に召喚してたよな!?
なに勝手に演出加えてくれちゃってるの!?
だいふくに指示されたポーズをしているのだろうアビスコボルトが、死んだ目をしてどこか遠いところを見ているんだが!?
片膝付いて左手で天井を指差し、右手は肘を折って胸の前で構えている。
例えて言うなら、サッカー選手がゴールを決めたときとか、陸上のスター選手がパフォーマンスでしそうなポーズだ。
しかも、召喚し終わってだいぶん経ったのに、だいふくが床に広がる陰を操作して回しているのか、未だにゆっくり回転し続けている……。
だいふく、やめてあげて!?
もうアサシンコボルトのHPは全損しているぞ!?
あと、格好つけて台詞を言ったオレも、HPが危険域に差し掛かっている!
「き、霧島さんは、なかなか個性的な召喚のされ方をするのですね……」
椿さんにめっちゃ気を遣わせてしまった!?
あの、頬が引きつってるのは気のせいですよね?
三上さんなんかもう、お腹痛いって笑い転げてる。
うん。どうせなら笑って貰った方がダメージが少ないのでありがたい。
でも、その笑ってる本人は傷に障ったのか、痛い痛い言いながら笑って今もダメージを受け続けているが。
さて、オレはこんな事態に有効なスキルを持っていたな……………………分析!!
「は、はははは。えっと、アビスコボルトってかなり高位の魔物で、自然に周囲を威圧してしまわないか心配だったんですよ。なので、ちょっとお茶目な登場の仕方をさせてみました!」
思考加速してまで必死に取り繕う言葉を考えてみたが、こんな言い訳しか思いつかなかった!
もう、そういうことにしておいてくれ!!
「な、なるほど! 心遣いありがとうございます!!」
いやぁ~!? 森羅さん、そんな尊敬するような目を向けないで!?
それはそれで追撃ダメージが入るから!?
「と、とりあえずアビスコボルト、こっちに来てくれ」
「わふぅ……」
心なしかアビスコボルトの声に元気がない気がする。いや、うん。きっと気のせいだ……。
でも、ようやく恥ずかしいポーズから解放されたからか、ちょっとホッとしている。
なんか……うちのだいふくがすまん。
くっ……だいふくのせいで、また話が脱線しまくってるな。
今日は規制がかかって人数が少なかったとはいえ、オレたち以外にも閉じ込められている探索者がいるのだから、ちょっと巻きでいこう。
「えっと、ちょっと悪ふざけをしてしまったけど、このアビスコボルトは本当に強くて。たぶんですけど、Sランク探索者に並ぶのではないかと思っています」
レベルだけなら完全にSランクと同等なのは間違いない。
ただ、探索者でレベル100を超えた人がいったいどれぐらい強いのかオレにはわからないからな。もしかするとSランク探索者の方が強いかもしれないし、逆の可能性だってある。
「す、すごいですね。本当にSランク探索者ぐらい強いのなら、異邦人を倒したというのも納得です」
「でも、そこまで圧倒的な従魔を召喚出来るのなら、どうして普段から連れ歩かないのでしょう? やはり召喚コストの問題ですか?」
そうなんだよな。これは聞かれるだろうと思っていた。
だって、こんなにすごい従魔を呼べるのなら、異邦人の相手をさせろって話だ。
本当は作戦を練っていた段階では、だいふくがあんな桁違いの強さを手に入れていることも知らなかったし、アビスコボルトたちについてはその存在すら知らなかったわけだけど、それを話すわけにもいかない。
だからあらかじめ考えておいた話をしておく。
軽トラダンジョンやだいふくに触れないように、それでいて出来るだけ嘘を言わないように……。
「まず、普段から連れ歩かない理由は単純です。オレが強くなれないからです」
「あ、もしかして、レベルの高い探索者が側にいると経験値が入らないっていうのと同じ現象が起きるんですか」
後づけの理由ではあるが、これは本当の話だ。
このアビスコボルトを連れ歩くと、出番がないとかいう意味ではない。
連れ歩いているだけで、オレ一人で戦ったとしても恐らくレベルが上がらなくなる。
こいつが本当にオレが呼び出した従魔なら、それこそアビスコボルトだけに戦わせてもレベルは上がっていくはずだけど、あくまでも召喚したのはだいふくだからだ。
そしてそのだいふくは、オレの管理する軽トラダンジョンのフィールドボスではあるが、もちろんだいふくもオレが召喚したわけでもない。
「はい。そういうことです。それから、アビスコボルトはいつでも呼び出せるわけではなく、ある準備をする必要がある上で、且つ、必ず呼び出せるとは限らないんですよ」
ある準備とは、だいふくが側にいるかどうか。
もしくは通用ゲートを使った通行許可が取れているダンジョンかどうかだ。
このダンジョンは臨時管理者に就任しているから制限はないが、他のダンジョンでは恐らく通用ゲートを通って軽トラダンジョンに行くことは出来ないだろう。
それでもゲートを出現させるだけなら許可がなくても出来るようなので、これからはゲートシールドとして活躍して貰おうと思う。
ちなみに、その上で呼び出せるかどうかはだいふくの機嫌次第だ……。
とっておきのおやつを管理者倉庫にいくつか入れておくか。
「わかりました。いろいろ制限があるとだけ理解しておきます。みんなもそのつもりでね」
「ありがとうございます」
つまり、探索者協会への報告をする時もそれ以上は話さないでいてくれるということだろう。
その後の話は比較的スムーズに進んだ。
どんなぐるぐるか?
まるで回転台に載ったフィギュアのようなぐるぐるだ。
登場し終わったというのに、未だにぐるぐる回っているアビスコボルトに、周囲にちょっと変な空気が漂う。
ぐるぐるぐるぐると、オレはいったい何を言っているんだろう……。
ところでさぁ………………だいふく~!?
リハーサルは普通に召喚してたよな!?
なに勝手に演出加えてくれちゃってるの!?
だいふくに指示されたポーズをしているのだろうアビスコボルトが、死んだ目をしてどこか遠いところを見ているんだが!?
片膝付いて左手で天井を指差し、右手は肘を折って胸の前で構えている。
例えて言うなら、サッカー選手がゴールを決めたときとか、陸上のスター選手がパフォーマンスでしそうなポーズだ。
しかも、召喚し終わってだいぶん経ったのに、だいふくが床に広がる陰を操作して回しているのか、未だにゆっくり回転し続けている……。
だいふく、やめてあげて!?
もうアサシンコボルトのHPは全損しているぞ!?
あと、格好つけて台詞を言ったオレも、HPが危険域に差し掛かっている!
「き、霧島さんは、なかなか個性的な召喚のされ方をするのですね……」
椿さんにめっちゃ気を遣わせてしまった!?
あの、頬が引きつってるのは気のせいですよね?
三上さんなんかもう、お腹痛いって笑い転げてる。
うん。どうせなら笑って貰った方がダメージが少ないのでありがたい。
でも、その笑ってる本人は傷に障ったのか、痛い痛い言いながら笑って今もダメージを受け続けているが。
さて、オレはこんな事態に有効なスキルを持っていたな……………………分析!!
「は、はははは。えっと、アビスコボルトってかなり高位の魔物で、自然に周囲を威圧してしまわないか心配だったんですよ。なので、ちょっとお茶目な登場の仕方をさせてみました!」
思考加速してまで必死に取り繕う言葉を考えてみたが、こんな言い訳しか思いつかなかった!
もう、そういうことにしておいてくれ!!
「な、なるほど! 心遣いありがとうございます!!」
いやぁ~!? 森羅さん、そんな尊敬するような目を向けないで!?
それはそれで追撃ダメージが入るから!?
「と、とりあえずアビスコボルト、こっちに来てくれ」
「わふぅ……」
心なしかアビスコボルトの声に元気がない気がする。いや、うん。きっと気のせいだ……。
でも、ようやく恥ずかしいポーズから解放されたからか、ちょっとホッとしている。
なんか……うちのだいふくがすまん。
くっ……だいふくのせいで、また話が脱線しまくってるな。
今日は規制がかかって人数が少なかったとはいえ、オレたち以外にも閉じ込められている探索者がいるのだから、ちょっと巻きでいこう。
「えっと、ちょっと悪ふざけをしてしまったけど、このアビスコボルトは本当に強くて。たぶんですけど、Sランク探索者に並ぶのではないかと思っています」
レベルだけなら完全にSランクと同等なのは間違いない。
ただ、探索者でレベル100を超えた人がいったいどれぐらい強いのかオレにはわからないからな。もしかするとSランク探索者の方が強いかもしれないし、逆の可能性だってある。
「す、すごいですね。本当にSランク探索者ぐらい強いのなら、異邦人を倒したというのも納得です」
「でも、そこまで圧倒的な従魔を召喚出来るのなら、どうして普段から連れ歩かないのでしょう? やはり召喚コストの問題ですか?」
そうなんだよな。これは聞かれるだろうと思っていた。
だって、こんなにすごい従魔を呼べるのなら、異邦人の相手をさせろって話だ。
本当は作戦を練っていた段階では、だいふくがあんな桁違いの強さを手に入れていることも知らなかったし、アビスコボルトたちについてはその存在すら知らなかったわけだけど、それを話すわけにもいかない。
だからあらかじめ考えておいた話をしておく。
軽トラダンジョンやだいふくに触れないように、それでいて出来るだけ嘘を言わないように……。
「まず、普段から連れ歩かない理由は単純です。オレが強くなれないからです」
「あ、もしかして、レベルの高い探索者が側にいると経験値が入らないっていうのと同じ現象が起きるんですか」
後づけの理由ではあるが、これは本当の話だ。
このアビスコボルトを連れ歩くと、出番がないとかいう意味ではない。
連れ歩いているだけで、オレ一人で戦ったとしても恐らくレベルが上がらなくなる。
こいつが本当にオレが呼び出した従魔なら、それこそアビスコボルトだけに戦わせてもレベルは上がっていくはずだけど、あくまでも召喚したのはだいふくだからだ。
そしてそのだいふくは、オレの管理する軽トラダンジョンのフィールドボスではあるが、もちろんだいふくもオレが召喚したわけでもない。
「はい。そういうことです。それから、アビスコボルトはいつでも呼び出せるわけではなく、ある準備をする必要がある上で、且つ、必ず呼び出せるとは限らないんですよ」
ある準備とは、だいふくが側にいるかどうか。
もしくは通用ゲートを使った通行許可が取れているダンジョンかどうかだ。
このダンジョンは臨時管理者に就任しているから制限はないが、他のダンジョンでは恐らく通用ゲートを通って軽トラダンジョンに行くことは出来ないだろう。
それでもゲートを出現させるだけなら許可がなくても出来るようなので、これからはゲートシールドとして活躍して貰おうと思う。
ちなみに、その上で呼び出せるかどうかはだいふくの機嫌次第だ……。
とっておきのおやつを管理者倉庫にいくつか入れておくか。
「わかりました。いろいろ制限があるとだけ理解しておきます。みんなもそのつもりでね」
「ありがとうございます」
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その後の話は比較的スムーズに進んだ。
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