【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

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第一章 後半

第91話:頼もしすぎる?

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 リリーとルルーが加わり、神獣の刹那様が現れたことにより戦況は大きく変わろうとしていた。

 しかし、それを見ていた魔王てとらぽっどは、それがどうしたとばかりに余裕のある態度を崩さず、こちらの話が終わるのをニコニコとしながら待っていた。
 楽しみで仕方ないといった表情を浮かべている。

 まぁ、いきなり攻撃されなくてこちらとしては助かった。

「話は終わったようだな! そこの人族。さっきの攻撃は驚いたぞ? ひさしぶりに戦いの高揚を覚えたのだ!」

 戦うことに飢えているのだろうか?
 戦闘狂というやつか。

「なぁ。ビフロンス? おだだち殴っだら駄目なのが?」

「てとらぽっど様が手を出すなと言うのだから仕方ないではないか」

「だでも、人数増えだし一人ぐらいバレないどな?」

「いや、どう考えてもバレるわ!」

 静観していた二人が漫才のようなものを始めたが、アスタロトがそろそろ痺れを切らして手を出してきそうだ。
 今のうちにこちらも相手を決めておこうか。

「リリー、ルルー。混戦になったら厄介だ。あいつらが参戦してきたときのために、それぞれ戦う相手を決めておこう」

 とりあえずオレが魔王をなんとか抑えておいて……などと考えていると……。

「わかりました。それじゃぁ私たちが魔王で……にゃ」

「魔王は私に任せる……にゃ」

≪じゃぁ、私が魔王とやらの相手をしてみせましょう≫

 まさかの全員が魔王との戦いをご希望だった。

 あ、あれ? 二人ともこんな性格だったっけ?
 なぜかこちらも戦闘狂の集まりになってしまっていたようだ。

「えっと……セツナ様……セツナが魔王を抑えている間に、オレたちで六魔将の二人を各個撃破する作戦でいこうか?」

 なんかリリーとルルーの視線が不満そうだ……。

 え? 本当にどうなってる?
 二人ともこんなに戦いに飢えてたっけ?

 我がパーティーの良心のはずが……。

「仕方ありませんね。この場はセツナ様にお譲りします……にゃ」

「でも、あとで合流する……にゃ」

 リリーとルルーと離れていたのは、本当に少しの時間だ。
 一日も経っていない。
 だというのに、そのたった数時間の間にいったい何があった……。

 これは……ジルだ。
 絶対にジルがなにかしたんだ!

 あとで詳しく聞き出さないと……。
 とりあえずそう結論づけると、無理やり魔王たちに意識を切り替えた。

「じゃぁ、オレが巨大化したアスタロトを……」

「「アスタロト筋肉馬鹿は任せて……にゃ」」

「え? でも、巨大化してて結構やばそうだぞ?」

 二人とも相性的にあまり良くない気がするのだが……。

「「ア・ス・タ・ロ・ト筋・肉・馬・鹿は任せて……にゃ」」

「あ、はい。お願いします」

 えっと……本当にジルのやつ何をしたんだ?
 歴戦の戦士のような面構えになってるんだが……?

 オレは数時間の間に纏う雰囲気を一変させた二人の姿に困惑しつつ、ジルにあったらどう問い詰めようかと別のベクトルに闘志を燃え上がらせるのだった。



 受け持つ相手が決まった後、先陣を切ったのはセツナ様だった。

≪魔王よ。城に篭っていれば良いものを。このような場に出てきたこと後悔するがいい≫

 そう告げると、自身に白いオーラのようなものを纏い、そのまま閃光となって魔王てとらぽっどへと飛びかかった。

 セツナ様は一気に宙を駆け抜けると、一撃を加えては空中に足場を作って反転。
 息つく暇もなく、次々と攻撃を加えていく。

 魔王を中心に釘付けにして一方的な展開だ。

「くおぅ!? なんだこの白いのは!? とんでもなく速いのだ!」

 しかし、その口調をみる限りはまだまだ余裕がありそうだ。
 そもそも『てとらぽっど』とかふざけているとしか思えないような名前だが、そんな名前の癖に強さが尋常じゃない。幼女のような見た目とあわせて強さとのギャップがすさまじい。

 ただ、セツナ様も先ほど言った言葉に嘘はないようだ。
 まだまだこれは挨拶程度の攻撃だったようで、受けきってみせた魔王てとらぽっどに、にやりと獰猛な笑みをみせた。

 もともとの強さが違うだろうから仕方ないが、同じジルの加護を受けた仲間でも、オレよりずっと強そうだ。

「と……凹んでる場合じゃないな。向こうは決着まで時間がかかりそうだし、先にこっちを片付けるとするか」

 アスタロトがすでにこちらに向かって歩き出していた。

「はい。じゃぁ、こっちのアスタロト筋肉馬鹿は私たちが貰うの……にゃ」

「筋肉は脳みそだけで十分なの……にゃ」

 よく考えるとルルーの思考がちょっと危険な方向に傾いている気がしてならないが、とりあえずアスタロトは任せて、オレは自分の相手を片付けるとしよう。それって脳筋はオーケーってことだよね?

「じゃぁ、ビフロンスや配下の魔物はオレに任せてくれ」

 さて……自分の戦いに集中するとしよう。

 魔王陣営あちらで唯一まともそうなビフロンスに向けて挨拶がわりの雷鳴を放ち、月歩で一気に距離を詰める。
 隣で静かに控えていた杏と柚も阿吽の呼吸でオレに続いてくれている。呼吸はしてないが。

 しかし、呼び出された不死の軍団や魔王と共に現れた魔物たちが邪魔をして、なかなかビフロンスのもとまで辿り着けない。

 それでもなんとか魔物を蹴散らし道を切り開くと、ビフロンスに向けて渾身の突きの一撃を放った。

 だが、さすがは魔将といったところか。
 渾身の突きは肩を掠めるにとどまり、すぐさま不死の軍団が間に割って入って有効打とはならなかった。

 杏と柚も周りの雑魚相手に無双しいているが、とにかく数が多すぎて捌ききれていない。

「なめるなよ! 小僧!」

 距離をとることに成功したビフロンスが怒りのままにそう叫ぶと、周りにひときわ大きな魔法陣が現れた。

 くっ!? 高位の魔族は詠唱なしでも魔法を即発動出来るから対応が後手に回ってしまう!

「調子に乗りおって……」

 そう呟いたビフロンスの隣には、蛇の下半身に女性の上半身を持つ魔族が出現していた。
 その大きさは巨大化したアスタロトにも引けを取らない。

「ナーガよ。その名前粋な小僧を叩き潰してやれ!」

「ビフ爺は人使いが荒い。さっきアスタロトの能力解放をしてやった。妾の役目は終わった」

「自分でも戦わぬか! さっさとその小僧をぶち殺せ!」

 召喚したのはどうやらただの魔物や魔族ではないようだ。
 ビフロンスと対等に口を利いている感じからすると……。

「仕方ない。六魔将が一人『自在鞭のナーガ』が相手をしてやろう」

 と言って、禍々しい巨大な鞭を出現させたのだった。
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