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Kちゃんの異変

半同棲状態

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Kちゃんが一人暮らしを始めたことで、私は図に乗ってしまった。
Kちゃんの家に何日も入り浸るようになってしまったのだ。

引っ越しから1ヶ月ほど経ち、Kちゃんに聞いてみた所、
私はてっきり私のためにKちゃんが私が住む区に引っ越してきたのだと思っていたのだが、そうではないというのだ。

確かに、私と過ごしたいのだったら同棲しようと言ってくるだろうが、それは言われた覚えはない。

彼は、スノーボードのインストラクターの資格を取るために山に近い私の区に引っ越してきたと言った。

実際は私と過ごせる時間が増えるのを楽しみにしていたのもあると思うが、思った以上に私が来るもんだから引いたのだろう。そんなことにも気付かない私は1人の時間が欲しい彼の気持ちも考えずに入り浸ってしまった。

それから少しずつケンカが増えていった。

優しくて大人だったKちゃんが、少しずつ変わっていった。

私の服装に文句を言ったり、
一挙手一投足に文句を言うようになった。

でも、彼は私と出かける事は辞めなかった。
出掛け先でケンカになっても2人で出かける時間は作ってくれた。
あれは愛だった。

しかし、恋も愛もわからない私はただ好きと言う気持ちに任せて彼の気持ちに寄り添うことができずに自分の気持ちを押し付けた。

どんどんケンカは増えていった。

友達に相談しても原因はわからなかった。
その出来事にのみ焦点を当てるとどう考えても理不尽な文句を言われている内容だ。今で言えばモラハラだ。

しかし、いまならわかる。
あまりにも近くに行きすぎた事で負担になっていたのだ。

Kちゃんは毎週土曜日、バスケに行くことにした。
Kちゃんは私と少し距離を置く事で関係を修復しようとしたのだ。
私はなにもわからず、裏切られた気持ちになり、とてもショックだったが、Kちゃんがバスケが好きなことを知っていたので応援した。

それにより、自分の時間が増えた。それまで、Kちゃん一色の日々で、親友のRに相談するたびに、男は一瞬だけど、友達は一生だよと言われていたのだが、
その時は意味がわからなかったが、今は身に沁みている。

この時にKちゃんがくれた自分の時間が、今の自分を輝かせてくれている。

いつも忙しかった土曜日に友達と遊ぶ時間ができた。いまでも思い出して笑える思い出の数々だ。これは、Kちゃんと居続けていたら持てなかった思い出だ。

男達は別れたら縁も切れるが、友達は縁が切れない。
私はこんなにいろんな男と恋愛をするつもりがなかったから、常にこの人と結婚すると思い込んで生きていたためにこんなことにも気付くのが遅れてしまったのだ。
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