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誕生日
誕生日-1-
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「胡桃、もうすぐ誕生日なのか」
それは一週間ぶりに剛史が部屋に来てくれて、待ちきれなくてベッドの上で抱き合っていた時だった。
キスして服の上から体を触っていて、ふと彼は水玉のカレンダーを見て呟いた。
確かに一週間後にBirthdayという文字が書かれてある。
思い出したように頷いた。
「そういえば来週でした。ハタチになります」
「へえ、ハタチか。じゃあお祝いしないとな」
ニッコリ笑って、彼女の手に唇をあてた。
さりげない仕草に胡桃は心が跳ねる。
「プレゼント、何が欲しい」
「な、なんでも嬉しいです。すごく欲しいものってあまり浮かばなくて……」
元々、物欲がないので親や友人からプレゼントの希望を聞かれても、貰えるものはありがたく頂いていた。
だから急に言われても求めているものは特にない。
剛史に貰えるものなら何だって嬉しかった。ハンカチでも飾りでも何でも。でも彼は口を尖らせている。
「ふうん……まあいいや。とりあえず誕生日は空けといて。一緒にお祝いしたい」
「はいっ!嬉しいです」
彼と一緒にいられるだけで満足だ。
生まれて初めて恋人と過ごせる誕生日。胸の鼓動が早くなる。
笑っている彼にぎゅっと抱きついた。突然の事で悩ましいため息を吐く剛史。
「……ったく、ここではしないんだろ。俺、我慢できなくなりそう」
「あ、口を塞いで良ければ……」
「胡桃が満足できないからだめ。さ、行こう」
「……ありがとうございます」
起き上がって二人で部屋から出る。車をアパートの入口に止めて、左右を確認した胡桃はゆっくりその中へ行く。
ホテルに着いたら、時間を空けて別々で入っていく。受付を無視して胡桃は彼の待つ部屋まで足を運ぶ。
慣れてきたが、普通の恋人のように一緒に入れない寂しさが時折出てくるようになった。
「仕方ない」と心に言い聞かせて、部屋の扉を静かに叩く。
彼が待っている。
扉を開けたら夢の中に沈んでいける。
それを糧にして、今日も表側は煌びやかな世界へ胡桃は一歩を踏み出していくのだ。
それは一週間ぶりに剛史が部屋に来てくれて、待ちきれなくてベッドの上で抱き合っていた時だった。
キスして服の上から体を触っていて、ふと彼は水玉のカレンダーを見て呟いた。
確かに一週間後にBirthdayという文字が書かれてある。
思い出したように頷いた。
「そういえば来週でした。ハタチになります」
「へえ、ハタチか。じゃあお祝いしないとな」
ニッコリ笑って、彼女の手に唇をあてた。
さりげない仕草に胡桃は心が跳ねる。
「プレゼント、何が欲しい」
「な、なんでも嬉しいです。すごく欲しいものってあまり浮かばなくて……」
元々、物欲がないので親や友人からプレゼントの希望を聞かれても、貰えるものはありがたく頂いていた。
だから急に言われても求めているものは特にない。
剛史に貰えるものなら何だって嬉しかった。ハンカチでも飾りでも何でも。でも彼は口を尖らせている。
「ふうん……まあいいや。とりあえず誕生日は空けといて。一緒にお祝いしたい」
「はいっ!嬉しいです」
彼と一緒にいられるだけで満足だ。
生まれて初めて恋人と過ごせる誕生日。胸の鼓動が早くなる。
笑っている彼にぎゅっと抱きついた。突然の事で悩ましいため息を吐く剛史。
「……ったく、ここではしないんだろ。俺、我慢できなくなりそう」
「あ、口を塞いで良ければ……」
「胡桃が満足できないからだめ。さ、行こう」
「……ありがとうございます」
起き上がって二人で部屋から出る。車をアパートの入口に止めて、左右を確認した胡桃はゆっくりその中へ行く。
ホテルに着いたら、時間を空けて別々で入っていく。受付を無視して胡桃は彼の待つ部屋まで足を運ぶ。
慣れてきたが、普通の恋人のように一緒に入れない寂しさが時折出てくるようになった。
「仕方ない」と心に言い聞かせて、部屋の扉を静かに叩く。
彼が待っている。
扉を開けたら夢の中に沈んでいける。
それを糧にして、今日も表側は煌びやかな世界へ胡桃は一歩を踏み出していくのだ。
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