35 / 57
三章
35.デュポン公爵夫人の懺悔
しおりを挟む
俺とデュポン公爵夫人は縛られた状態で、話し始めた。できれば普通の状態で話したかったのだが…贅沢を言っていられる余裕はない。
「デュポン公爵夫人に、謝罪しなければならないと思っていました。私が、豊穣祭のことや王女たちの事をいろいろとお願いしたばかりに、巻き込んでしまって…。」
「いえ、アルノー殿下。それは違います。それらのことがあったにせよ、なかったにせよ、これは私の責任です。私の懺悔を聞いていただけますか?アルノー殿下にしか、お話できそうにありません。」
「懺悔…?」
“懺悔”というデュポン公爵夫人の言葉に俺は首を傾げた。なぜ倒れた側のデュポン公爵夫人に、懺悔することがあるのだろうか…?
「アルノー殿下はあの日、私が吐いたものをご覧になりましたか?何か、変わったことがありませんでしたか?」
「そのことは私も、デュポン公爵夫人にお伺いしようと思っていました。その…食べ物には見えないものが混じっていたのです…。」
「そうですか…。私が生死の境をさまよったのはそれが原因ですね。そしてそれは、王妃様達も飲まれていたものです。」
デュポン公爵夫人は原因と、それは王妃たちも飲んでいたものだと断定した。しかし…何故、そこまで言い切れるのだろうか?
「どうして、お分かりになるのですか?」
「私にその薬を見せた方が…おっしゃっていました。」
「薬を見せた方が…?」
「その方は、これは王妃たちが飲んでいた、“男児を妊娠する薬だ”とおっしゃいました。この薬を飲んで男児を妊娠したが、世継ぎを産ませてなるものかと妃同士は憎み合い、呪い合ったのだと…!」
「男児を妊娠する薬…?!まさか、そんなものが…?!」
「実際、側妃様は男児を死産されていると…。それは私も噂で聞いたことがあったので…信じてしまいました。」
そう言えば、父も言っていた、陛下が“身ごもっても死んでしまうなら仕方ない”といって世継ぎを諦めた、と…。
「その…デュポン公爵夫人に薬を見せた方はどうやってその薬を手に入れ…どうしてデュポン公爵夫人がその薬を手に入れたのですか?」
「…その方は王妃様たちと交流している時に、薬の存在を知り偶然手に入れたと。この薬が元凶で呪い合い殺し合ったのだから、この恐ろしい薬を世に広めないため…また後宮の呪いを慰めるために持っていると仰っていました。私はその話を聞いて、その薬が欲しくてたまらなくなりました。男児がほしい…世継ぎをあと数年で産めなければ、第二夫人を迎えると言われていた私は…喉から手が出るほどにそれを欲しました。私には呪い合う第二夫人はまだいないのですから飲んでもいいはずだと。…いくらお支払いすればいいのかと尋ねましたが、その方がどうしても譲れないとお断りになると、私は我慢できずに後宮の部屋へ…。」
それは誰の部屋?まさか…?俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「…ナタ様の部屋へ忍び込み、薬を飲みました。私が後宮の部屋に向かったことは、デュポン公爵家の執事も証言するはずです。」
「あの日、後宮にいらしたのはそういった訳だったのですね…。」
「そうです。本当に愚かでした。しかし、呑み込んだ後、急激に具合が悪くなって…。あの薬しか原因は考えられません。ナタ様によると、宮廷医ヒューゴ・クラテス伯爵が妃たちに特別に調剤した薬だ、と…。」
「ヒューゴ・クラテス伯爵が…?まさか…!」
「ナタ様にその話を伺った後、ヒューゴ・クラテス伯爵に男児を妊娠する薬のことを後宮のことは伏せて尋ねましたが、そのような薬はないと仰って…。むしろ性別の決定は神の領域だと叱られ、直前に医師契約を反故にした恨みから譲っていただけないのだと私は考え言い合いになり、ヒューゴ・クラテス伯爵とはその場で決別してしまいました。しかし私が薬を飲んで倒れたあと、ヒューゴ・クラテス伯爵が執拗に吐き出したものを探していたと聞き、思ったのです。私に薬を譲らなかったのも、それが毒薬と知っていたからではありませんか?吐き出したものを探していたのは証拠隠滅のため…自分の調剤の失敗を隠すなどの理由があったとしたら…!」
デュポン公爵夫人はそこまで一気に話すと、涙を流した。実際ヒューゴが宮廷医の職を失ったのは陛下に妃達の死が”処方した薬のせいだ”と疑われたからだ。信じたくはないが、それを”うそだ”と簡単に言うことは出来ない。俺は、相槌を打つことさえ出来なかった。
「また、ナタ様も、本当にあれが毒だとご存じなかったのでしょうか?陛下だって、本当にお気づきになられていなかったのですか…?当時からナタ様は宮廷に出入りし、二人は噂になっておられました。それで邪魔になった王妃様たち、今度はアルノー殿下を…!」
「……。」
それで、“妃達が亡くなられたときに後宮に関わった、すべての人を疑っている”ということか。確かにそうだ。そう言われたら、陛下だって怪しい。でも…。
「デュポン公爵夫人…話していただいて、ありがとうございます。後宮に忍び込んだことは、その…罪を償って頂く必要があると思いますが…。デュポン公爵夫人は“男児が欲しい”という呪いに、かかっていらっしゃったのですね。きっと。」
「……アルノー殿下。殿下にならわかっていただけると思いました。世継ぎが産めない、私の気持ちを…。だから私の罪については、アルノー殿下にお任せしたいのです。よろしいでしょうか?」
「わかりました。私は必ず、犯人を捕まえ後宮の呪いを解きます。犯人を明らかにするにあたり、デュポン公爵夫人のことはまだ公にはできません。苦しいと思いますが…。」
デユポン公爵夫人は涙を流しながら頷いた。
周囲から“世継ぎを”、“産めないなら第二夫人を”と言われ、デュポン公爵夫人は相当、追い詰められたんだろう。公爵家でさえそうなのだから、王妃たちのプレッシャーは如何ほどだったか、想像に難くない。
それで真偽不明の、“男児を妊娠する薬”を飲んでしまったのだろうか…。
どうして、女児では駄目なのだ…。同じ命で、同じ、陛下の血を引いている、聡明な子供たちなのに、まるでいないように扱われる…。
俺は憤りを感じた。この状況にも、それを利用して妃たちを殺害した犯人にも。
必ず、犯人を明らかにしなければならない…。
話し疲れた頃、教会から正午の祈りの時間を知らせる鐘が鳴り響いた。
テレーズ様は鐘の音が鳴りやむ前に部屋に戻ってきてデユポン公爵夫人を開放すると、召使に車寄せまで送るように指示した。あれ…?俺のことは…?!
「アルノーはこのままでいいでしょう。少しは反省しなさい。」
テレーズ様は、フン、と鼻を鳴らすと再び部屋を出行き、本当に、戻ってこなかった。
「デュポン公爵夫人に、謝罪しなければならないと思っていました。私が、豊穣祭のことや王女たちの事をいろいろとお願いしたばかりに、巻き込んでしまって…。」
「いえ、アルノー殿下。それは違います。それらのことがあったにせよ、なかったにせよ、これは私の責任です。私の懺悔を聞いていただけますか?アルノー殿下にしか、お話できそうにありません。」
「懺悔…?」
“懺悔”というデュポン公爵夫人の言葉に俺は首を傾げた。なぜ倒れた側のデュポン公爵夫人に、懺悔することがあるのだろうか…?
「アルノー殿下はあの日、私が吐いたものをご覧になりましたか?何か、変わったことがありませんでしたか?」
「そのことは私も、デュポン公爵夫人にお伺いしようと思っていました。その…食べ物には見えないものが混じっていたのです…。」
「そうですか…。私が生死の境をさまよったのはそれが原因ですね。そしてそれは、王妃様達も飲まれていたものです。」
デュポン公爵夫人は原因と、それは王妃たちも飲んでいたものだと断定した。しかし…何故、そこまで言い切れるのだろうか?
「どうして、お分かりになるのですか?」
「私にその薬を見せた方が…おっしゃっていました。」
「薬を見せた方が…?」
「その方は、これは王妃たちが飲んでいた、“男児を妊娠する薬だ”とおっしゃいました。この薬を飲んで男児を妊娠したが、世継ぎを産ませてなるものかと妃同士は憎み合い、呪い合ったのだと…!」
「男児を妊娠する薬…?!まさか、そんなものが…?!」
「実際、側妃様は男児を死産されていると…。それは私も噂で聞いたことがあったので…信じてしまいました。」
そう言えば、父も言っていた、陛下が“身ごもっても死んでしまうなら仕方ない”といって世継ぎを諦めた、と…。
「その…デュポン公爵夫人に薬を見せた方はどうやってその薬を手に入れ…どうしてデュポン公爵夫人がその薬を手に入れたのですか?」
「…その方は王妃様たちと交流している時に、薬の存在を知り偶然手に入れたと。この薬が元凶で呪い合い殺し合ったのだから、この恐ろしい薬を世に広めないため…また後宮の呪いを慰めるために持っていると仰っていました。私はその話を聞いて、その薬が欲しくてたまらなくなりました。男児がほしい…世継ぎをあと数年で産めなければ、第二夫人を迎えると言われていた私は…喉から手が出るほどにそれを欲しました。私には呪い合う第二夫人はまだいないのですから飲んでもいいはずだと。…いくらお支払いすればいいのかと尋ねましたが、その方がどうしても譲れないとお断りになると、私は我慢できずに後宮の部屋へ…。」
それは誰の部屋?まさか…?俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「…ナタ様の部屋へ忍び込み、薬を飲みました。私が後宮の部屋に向かったことは、デュポン公爵家の執事も証言するはずです。」
「あの日、後宮にいらしたのはそういった訳だったのですね…。」
「そうです。本当に愚かでした。しかし、呑み込んだ後、急激に具合が悪くなって…。あの薬しか原因は考えられません。ナタ様によると、宮廷医ヒューゴ・クラテス伯爵が妃たちに特別に調剤した薬だ、と…。」
「ヒューゴ・クラテス伯爵が…?まさか…!」
「ナタ様にその話を伺った後、ヒューゴ・クラテス伯爵に男児を妊娠する薬のことを後宮のことは伏せて尋ねましたが、そのような薬はないと仰って…。むしろ性別の決定は神の領域だと叱られ、直前に医師契約を反故にした恨みから譲っていただけないのだと私は考え言い合いになり、ヒューゴ・クラテス伯爵とはその場で決別してしまいました。しかし私が薬を飲んで倒れたあと、ヒューゴ・クラテス伯爵が執拗に吐き出したものを探していたと聞き、思ったのです。私に薬を譲らなかったのも、それが毒薬と知っていたからではありませんか?吐き出したものを探していたのは証拠隠滅のため…自分の調剤の失敗を隠すなどの理由があったとしたら…!」
デュポン公爵夫人はそこまで一気に話すと、涙を流した。実際ヒューゴが宮廷医の職を失ったのは陛下に妃達の死が”処方した薬のせいだ”と疑われたからだ。信じたくはないが、それを”うそだ”と簡単に言うことは出来ない。俺は、相槌を打つことさえ出来なかった。
「また、ナタ様も、本当にあれが毒だとご存じなかったのでしょうか?陛下だって、本当にお気づきになられていなかったのですか…?当時からナタ様は宮廷に出入りし、二人は噂になっておられました。それで邪魔になった王妃様たち、今度はアルノー殿下を…!」
「……。」
それで、“妃達が亡くなられたときに後宮に関わった、すべての人を疑っている”ということか。確かにそうだ。そう言われたら、陛下だって怪しい。でも…。
「デュポン公爵夫人…話していただいて、ありがとうございます。後宮に忍び込んだことは、その…罪を償って頂く必要があると思いますが…。デュポン公爵夫人は“男児が欲しい”という呪いに、かかっていらっしゃったのですね。きっと。」
「……アルノー殿下。殿下にならわかっていただけると思いました。世継ぎが産めない、私の気持ちを…。だから私の罪については、アルノー殿下にお任せしたいのです。よろしいでしょうか?」
「わかりました。私は必ず、犯人を捕まえ後宮の呪いを解きます。犯人を明らかにするにあたり、デュポン公爵夫人のことはまだ公にはできません。苦しいと思いますが…。」
デユポン公爵夫人は涙を流しながら頷いた。
周囲から“世継ぎを”、“産めないなら第二夫人を”と言われ、デュポン公爵夫人は相当、追い詰められたんだろう。公爵家でさえそうなのだから、王妃たちのプレッシャーは如何ほどだったか、想像に難くない。
それで真偽不明の、“男児を妊娠する薬”を飲んでしまったのだろうか…。
どうして、女児では駄目なのだ…。同じ命で、同じ、陛下の血を引いている、聡明な子供たちなのに、まるでいないように扱われる…。
俺は憤りを感じた。この状況にも、それを利用して妃たちを殺害した犯人にも。
必ず、犯人を明らかにしなければならない…。
話し疲れた頃、教会から正午の祈りの時間を知らせる鐘が鳴り響いた。
テレーズ様は鐘の音が鳴りやむ前に部屋に戻ってきてデユポン公爵夫人を開放すると、召使に車寄せまで送るように指示した。あれ…?俺のことは…?!
「アルノーはこのままでいいでしょう。少しは反省しなさい。」
テレーズ様は、フン、と鼻を鳴らすと再び部屋を出行き、本当に、戻ってこなかった。
106
あなたにおすすめの小説
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる