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はじまり
1話 始まりのきっかけ
しおりを挟むただいつも通りの日常の筈だった。
高校の終業式も終わり、俺はバイト先の喫茶店へ向かう為海沿いの道を歩いていた。
今日はマスターからシュークリームの作り方を教わる予定だ。喫茶店で出すお菓子類はマスターにまだ及ばないしても、商品としてお店に出せると言われている。
道の途中、蝶々を追いかけて自分の横を通り過ぎる子供が目に入ってきた。
後ろの方で母親がベビーカーを押しながら通り過ぎた子供に向かって、蝶々を追いかけるのをやめて戻ってくる様に叫んでいる。
蝶々はひらひらと道路から海へ逃げる様に飛んで行く。それを捕まえようと子供がガードレールの上に登った!
危ない!そう思ったのと同時に俺の身体は動いていた。子供がバランスを崩し身体が海へと投げ出された瞬間、俺は身を乗り出し精一杯手を伸ばした!
子供の手をどうにか掴むと、子供の名前を叫びながら隣に走って来た母親に向かって勢いよく引っ張りあげる、母親が子供をしっかりと抱きとめた。
良かったぁ…ほっとしたのも束の間、俺はバランスを崩しそのまま海へ落ちてしまった。
……
…
夢を見ていた。
家族揃ってお昼を食てるごく普通の夢を。
俺にはもう家族がいない。つまらない駄洒落ばかり言うけど、走るのが速くて運動会でいつも自慢だった父。
変わった料理ばかり出すけど、いつも悲しいことや怖いことがあると抱きしめてくれる、異国から嫁いだ優しい母。
何処にでも付いて回るのが嫌で、でも一番可愛いと思っていた4歳下の妹がいた。
俺が少し反抗的だった10歳の頃、ある日家族で父の友人の家へ遊びに行くというのを、俺は面倒だと言って家に残った。
家族の乗った車に後ろを走っていたトラックが激突してきた。家族の車は崖から海に落ち行方不明となった。
そして俺だけが残された。
俺の事は、隣町に住む父方の叔母家族が引き受けてくれる事になった。
「直人くん、もうすぐ5年生なのに転校するのも大変でしょ?
うちに来ても気を使って疲れるだろうし、ちょうどあの家も持ち家だから、そこに住んだらどう?
お金の事は気にしなくていいのよ?ちゃんと面倒みてあげますからね。」
「ありがとうございます。
家族の思い出が詰まった家に居たいと思っていたので、すごく嬉しいです。」
笑顔でそう返事を返すと、叔母は心底安心した顔で叔母家族の元へ報告しに戻った。
叔母家族がその話を聞いて、全員ほっとした顔をしたのを俺は遺影の側で眺めていた。
実際は10歳の子供が一人で一軒家に住むのは大変だった。葬儀の日までのほんの僅かな日だけでも、洗濯、料理、掃除など、どうしていいのか分からなかった。
でも叔母家族に頼りたいとは思えなかったし、あの家を出たくなかったのは本当だ。俺は反抗的な態度をしていた為に家族を亡くしてしまった気がしていて、誰にでも本心を隠して良い子の仮面を被るようになっていた。
でもただ一人、今のバイト先の喫茶店のマスターだけは違った。
11歳の頃、俺が熱を出しフラフラしながらも病院に行った帰り道、店の前で力尽きて倒れた所をマスターが介抱してくれた。
俺が目を覚ますと、親に連絡をするから連絡先を教えて欲しいと言うマスターに...両親は亡くなり、今は叔母が保護者だと伝え、叔母に連絡をするのはやめてくれと必死に頼んだ。
マスターはあまりにも必死だった俺を見て、叔母には連絡せず俺が元気になるまで看病してくれた。
いま思うとあのマスターが保護者に連絡をしないという事はなかっただろう。マスターは叔母に上手く話をつけてくれたに違いない。
元気になってからもマスターは賄いを食べさせてくれたり、生きていく上で必要な知識やマナーを教えてくれた。俺を孫の様に可愛がってくれている。
マスターは常連さんから老紳士とも呼ばれている。気品が漂うマスターはとてもマナーに煩かった。
そのマスターに育てられたと言っても過言ではない俺は、高校では何故かいい所の御曹司だと勘違いされている…。
マスターのお陰でグレる事もなく17歳になった今、喫茶店のバイトとしてマスターの元で働いている。マスターの事は心から尊敬し、彼にだけは本心を出すことが出来た。
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もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
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