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エピローグ
赤い夕陽
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季節は日が沈むのが遅く感じられるようになってきた初夏だった。今日は雲一つなく、初夏というよりはもう真夏じゃないかと思うほど暑くてしょうがなかった。そんな日中を過ぎやっと太陽が沈む気になってくれた夕暮れ時、白い教会と呼ばれる小さい町には不釣り合いな立派な教会に夕陽が差し込んできた。教会の中は外より涼しかったのに差し込んできた夕陽のせいで温度が上がり暑さを感じさせる筈だった…俺は暑さなんて感じられないほど全身から冷や汗を流し教会で立ち尽くしていた。
この白い教会は豊穣の女神様を祀っている。白を基調とした美しい教会だが、少し変わっているのが女神様の像が祀ってある背後に森の彫刻が施された木の扉があり、扉を開けると森に繋がっているのだ。なんでも女神様は森からやって来たという話がある為に扉があるらしい。
そんな白い教会に入り込んだ夕陽の光が教会の中を赤く染め上げる中、目の前の白い石の床に広がって行く神父の赤い血の色は夕陽とは全然違う色なんだなんて、どうでもいい事を思い浮かべながら私は必死に落ち着こうとしていた。
なんて事を…いくらどうしようもない奴だとしても殺すつもりはなかったのに…くそっ!元々は此奴が悪いのにどうしてこんな事にっ!こんなどうしようもない奴の為に俺の人生は終わったっていうのか!
「くそっ!此奴のせいで!!」
彼はそう激昂しながら横たわる神父をさらに蹴り上げていた。
「くそっ!元々は此奴の悪事を見かけたから止める為にっ!!」
強く蹴り上げたその瞬間に神父の身体が転がり生気の抜けた目が彼の方を向いた。まるで死んでいるのにまだ俺を痛めつけるのか?と非難しているかのような目で彼を見つめているようだった。いやそう感じたのは彼だった。
「はっ!俺は何て事を!殺した上にこんな事をするなんて…」
さっきまでは自分は悪くない不運なだけだったという気持ちでいっぱいだったのだが、やはり自分は人殺しで死んだ者に対して更に暴力を加えるという最低な人間だったという事実を知り、現実を受け入れた。
「…そうしよう。それがいい!俺のような人間はまた何をきっかけに人を殺してしまうかわからない…このまま騎士団に自首をしに行こう…」
そう思い至り彼は、女神の像の前の血だまりに横たわる息が止まった神父に背を向け出口に足を向けた。彼は出口に向かう中、自分の背中に倒れている神父から恨みがこもった目を向けられている気がして、幾度となく立ち止まっては神父が生きているのではないかと確認をしに戻った。そして確かめる度に神父の死を思い知らされ、地獄に落ちたような気になるのだった。
この白い教会は豊穣の女神様を祀っている。白を基調とした美しい教会だが、少し変わっているのが女神様の像が祀ってある背後に森の彫刻が施された木の扉があり、扉を開けると森に繋がっているのだ。なんでも女神様は森からやって来たという話がある為に扉があるらしい。
そんな白い教会に入り込んだ夕陽の光が教会の中を赤く染め上げる中、目の前の白い石の床に広がって行く神父の赤い血の色は夕陽とは全然違う色なんだなんて、どうでもいい事を思い浮かべながら私は必死に落ち着こうとしていた。
なんて事を…いくらどうしようもない奴だとしても殺すつもりはなかったのに…くそっ!元々は此奴が悪いのにどうしてこんな事にっ!こんなどうしようもない奴の為に俺の人生は終わったっていうのか!
「くそっ!此奴のせいで!!」
彼はそう激昂しながら横たわる神父をさらに蹴り上げていた。
「くそっ!元々は此奴の悪事を見かけたから止める為にっ!!」
強く蹴り上げたその瞬間に神父の身体が転がり生気の抜けた目が彼の方を向いた。まるで死んでいるのにまだ俺を痛めつけるのか?と非難しているかのような目で彼を見つめているようだった。いやそう感じたのは彼だった。
「はっ!俺は何て事を!殺した上にこんな事をするなんて…」
さっきまでは自分は悪くない不運なだけだったという気持ちでいっぱいだったのだが、やはり自分は人殺しで死んだ者に対して更に暴力を加えるという最低な人間だったという事実を知り、現実を受け入れた。
「…そうしよう。それがいい!俺のような人間はまた何をきっかけに人を殺してしまうかわからない…このまま騎士団に自首をしに行こう…」
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