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201 変態セックス合戦〜前編〜
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いよいよ年の瀬。時期が時期だけにリョウは仕事の方が大忙しで家にほとんどいない日もあるほどだった。
家にいてもやることは特にないけど、外は寒いからどこにも行きたくない。
僕は家にいても分厚いコート姿にマフラー、顔にはマスクと完全防備である。
それもそのはずで、アオイと仲良く流行り風邪に感染したせいで、クリスマスという一大イベントを寝て過ごすハメになってしまったからだ。
「はあ~、寒いし、暇だなぁ。師走なんか大嫌いだよ……」
僕が弱音を吐いていると、家のインターホンが鳴った。
宅急便かと思って家のドアを開けると、そこにはカスケが立っていた。
「カスケ……なんだか久しぶりだね!」
「最近リョウが仕事で忙しいようだから、様子を見に来たんだ。身体の方はもう大丈夫かい?」
「うん、もう平気。外は寒かったでしょ。良かったら、温かい飲み物でもどう?」
「じゃあ、お言葉に甘えて♡」
カスケを家に上げると、僕はコーヒーメーカーの前でカップや砂糖などの支度を始めた。
背後にカスケがいることに気がつくと、ビクっと身体を震わせ、慌てて微笑む。
「もう少し待ってね。あッ、そうだ! お腹減らない? 僕、何か作るからさ」
1人でいる時間を紛らわすために、少しでもカスケを繋ぎ止めておきたかったのだ。
「アキラ、ここ一週間くらいリョウとエッチしてないだろ?」
「えッ⁉︎ 何で……」
「ぼくなら、惚れた相手を放っておいたりはしないけどな」
僕の言葉を遮るように、カスケがよく通る声ではっきりと告げた。
ドクン……。
僕は自分の心臓がたてる音を開いた。男のひと言に、たわいもなくグラついてしまう自分の脆さを感じる。
「変な冗談はやめてよね……」
僕の前に、ゆっくりとカスケが歩み寄る。
「ぼくと結婚してくれたら、アキラに好きなだけ贅沢させてあげられるだけの環境を与えるよ。もちろん、息子のアオイくんも一緒でいいよ。3人で素敵な家庭を築き直そう♡」
一瞬の沈黙があった。
僕はカスケに向き直り、無理やり微笑みながら唇を開く。
「カスケったら、今日はどうしちゃったの? 何か変にがっついてるというか……」
戸惑う僕の身体をふいに抱きすくめ、カスケが唇を重ねようとした。
「……カスケッ⁉︎」
僕が顔をそむけ、カスケの指が僕のおとがいにのびる。
「!」
強引に顔を引き戻された僕は、一瞬のうちに唇を奪われていた。
「んんん!」
唇を封じたまま、カスケは抗う僕をその場に押し倒す。
「考えてもごらん。ぼくはリョウよりもアキラとの付き合いが長いし、アキラに告白したのもリョウより速かった。それなのに、ぼくはアキラに選ばれなかった。だから考えたんだ。アキラに選ばれなかった理由を……。そして、ついにその答えが分かったんだ」
仰向けにさせた僕の胸の下に体重を乗せ、カスケは巧みに僕の動きを封じて言った。
「ぼくに足りなかったのは積極性だったんだよ。多少強引でもアキラに対して、リョウ以上の求愛行動を取るべきだったと心の底から反省してるんだ。でも、今からでも遅くはない。ぼくはまだ自分にはアキラに選んでもらえるだけの可能性があると確信している!」
腕を極め、脇腹で僕の上体を圧し、太腿にまたがる。
カスケが自分の右腕を完全にフリーにしたまま、巧みなグランドテクニックで僕の身体を制していた瞬間、知らない間にリョウが帰ってきていた。
「――おいおい、俺を差し置いて随分とアキラに楽しいことやってくれてるじゃねえか」
「リョウッ⁉︎」
驚いたカスケは慌てて僕の上から起き上がる。
「カスケ~、いくら独り身だからって既婚者に手ぇ出すのはいけねえなぁ」
「うるさい! こっちは出番の少なさにもうウンザリなんだよ!」
怒り狂うカスケをよそにリョウはカバンからチラシを取り出して唐突に提案した。
「カスケ、結婚相手を探したいなら、このイベントに参加してきたらどうだ?」
リョウに渡された街コンのチラシを見ながら、カスケは乗り気じゃなさそうな反応を示した。
「えぇ~、ぼくは誰でもいいってわけじゃないんだぞ」
「でも、セフレは見つかるんじゃないか?」
「セックスするのもアキラがいい!」
「ワガママだなぁ~、横恋慕するヤツはモテねえぞwww」
リョウとカスケがしばらく口論しているのを尻目に僕は街コンのチラシを見た。
「街コンかぁ……僕みたいなモテないヤツが行ったら地獄だろうなぁ~」
僕がつぶやくと、リョウとカスケは優しく頭を撫でてくれながら言った。
「いやいや、むしろアキラはモテ過ぎて周囲の競争率がヤバイぐらいだろうが♡」
「そうそう、リョウの言う通り♡ 街コンの会場が間違いなく戦場と化すだろうね」
僕がネガティブになっていると、2人は即座にいつも慰めてくれる。中身の方はリョウとカスケにそこまでの大差はないと言っても過言じゃないくらい2人とも良い男たちだ。それに2人ともお金持ちのイケメンという完璧に近いスペック。後、優劣を決める点と言えば……。
「やっぱり、身体の相性だよ♡ 最後はセックスが物を言うんじゃないかなぁ?」
僕がそう言うと、リョウとカスケは顔を見合わせてニヤッと笑う。
「セックス勝負ってか。面白え、どっちがアキラをイカせられるか勝負といこうや、カスケ!」
「ああ、受けて立つさ。こんな日が来るんじゃないかと思って、ペニス増大サプリを飲み続けた甲斐があったよ!」
かくして、リョウとカスケによるセックス合戦が幕を開けるのであった。
家にいてもやることは特にないけど、外は寒いからどこにも行きたくない。
僕は家にいても分厚いコート姿にマフラー、顔にはマスクと完全防備である。
それもそのはずで、アオイと仲良く流行り風邪に感染したせいで、クリスマスという一大イベントを寝て過ごすハメになってしまったからだ。
「はあ~、寒いし、暇だなぁ。師走なんか大嫌いだよ……」
僕が弱音を吐いていると、家のインターホンが鳴った。
宅急便かと思って家のドアを開けると、そこにはカスケが立っていた。
「カスケ……なんだか久しぶりだね!」
「最近リョウが仕事で忙しいようだから、様子を見に来たんだ。身体の方はもう大丈夫かい?」
「うん、もう平気。外は寒かったでしょ。良かったら、温かい飲み物でもどう?」
「じゃあ、お言葉に甘えて♡」
カスケを家に上げると、僕はコーヒーメーカーの前でカップや砂糖などの支度を始めた。
背後にカスケがいることに気がつくと、ビクっと身体を震わせ、慌てて微笑む。
「もう少し待ってね。あッ、そうだ! お腹減らない? 僕、何か作るからさ」
1人でいる時間を紛らわすために、少しでもカスケを繋ぎ止めておきたかったのだ。
「アキラ、ここ一週間くらいリョウとエッチしてないだろ?」
「えッ⁉︎ 何で……」
「ぼくなら、惚れた相手を放っておいたりはしないけどな」
僕の言葉を遮るように、カスケがよく通る声ではっきりと告げた。
ドクン……。
僕は自分の心臓がたてる音を開いた。男のひと言に、たわいもなくグラついてしまう自分の脆さを感じる。
「変な冗談はやめてよね……」
僕の前に、ゆっくりとカスケが歩み寄る。
「ぼくと結婚してくれたら、アキラに好きなだけ贅沢させてあげられるだけの環境を与えるよ。もちろん、息子のアオイくんも一緒でいいよ。3人で素敵な家庭を築き直そう♡」
一瞬の沈黙があった。
僕はカスケに向き直り、無理やり微笑みながら唇を開く。
「カスケったら、今日はどうしちゃったの? 何か変にがっついてるというか……」
戸惑う僕の身体をふいに抱きすくめ、カスケが唇を重ねようとした。
「……カスケッ⁉︎」
僕が顔をそむけ、カスケの指が僕のおとがいにのびる。
「!」
強引に顔を引き戻された僕は、一瞬のうちに唇を奪われていた。
「んんん!」
唇を封じたまま、カスケは抗う僕をその場に押し倒す。
「考えてもごらん。ぼくはリョウよりもアキラとの付き合いが長いし、アキラに告白したのもリョウより速かった。それなのに、ぼくはアキラに選ばれなかった。だから考えたんだ。アキラに選ばれなかった理由を……。そして、ついにその答えが分かったんだ」
仰向けにさせた僕の胸の下に体重を乗せ、カスケは巧みに僕の動きを封じて言った。
「ぼくに足りなかったのは積極性だったんだよ。多少強引でもアキラに対して、リョウ以上の求愛行動を取るべきだったと心の底から反省してるんだ。でも、今からでも遅くはない。ぼくはまだ自分にはアキラに選んでもらえるだけの可能性があると確信している!」
腕を極め、脇腹で僕の上体を圧し、太腿にまたがる。
カスケが自分の右腕を完全にフリーにしたまま、巧みなグランドテクニックで僕の身体を制していた瞬間、知らない間にリョウが帰ってきていた。
「――おいおい、俺を差し置いて随分とアキラに楽しいことやってくれてるじゃねえか」
「リョウッ⁉︎」
驚いたカスケは慌てて僕の上から起き上がる。
「カスケ~、いくら独り身だからって既婚者に手ぇ出すのはいけねえなぁ」
「うるさい! こっちは出番の少なさにもうウンザリなんだよ!」
怒り狂うカスケをよそにリョウはカバンからチラシを取り出して唐突に提案した。
「カスケ、結婚相手を探したいなら、このイベントに参加してきたらどうだ?」
リョウに渡された街コンのチラシを見ながら、カスケは乗り気じゃなさそうな反応を示した。
「えぇ~、ぼくは誰でもいいってわけじゃないんだぞ」
「でも、セフレは見つかるんじゃないか?」
「セックスするのもアキラがいい!」
「ワガママだなぁ~、横恋慕するヤツはモテねえぞwww」
リョウとカスケがしばらく口論しているのを尻目に僕は街コンのチラシを見た。
「街コンかぁ……僕みたいなモテないヤツが行ったら地獄だろうなぁ~」
僕がつぶやくと、リョウとカスケは優しく頭を撫でてくれながら言った。
「いやいや、むしろアキラはモテ過ぎて周囲の競争率がヤバイぐらいだろうが♡」
「そうそう、リョウの言う通り♡ 街コンの会場が間違いなく戦場と化すだろうね」
僕がネガティブになっていると、2人は即座にいつも慰めてくれる。中身の方はリョウとカスケにそこまでの大差はないと言っても過言じゃないくらい2人とも良い男たちだ。それに2人ともお金持ちのイケメンという完璧に近いスペック。後、優劣を決める点と言えば……。
「やっぱり、身体の相性だよ♡ 最後はセックスが物を言うんじゃないかなぁ?」
僕がそう言うと、リョウとカスケは顔を見合わせてニヤッと笑う。
「セックス勝負ってか。面白え、どっちがアキラをイカせられるか勝負といこうや、カスケ!」
「ああ、受けて立つさ。こんな日が来るんじゃないかと思って、ペニス増大サプリを飲み続けた甲斐があったよ!」
かくして、リョウとカスケによるセックス合戦が幕を開けるのであった。
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