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日常編
5 変態ダンジョン〜前編〜
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「――よし、いくぞ」
今日も僕たちはクエストに挑んでいた。お宝が眠る神殿は、複雑なこの迷宮の最下層にある。
慎重に中をさぐってから僕に声をかけたヒビキは真四角の穴にすべりこんだ。身につけているのは、最低限の道具を入れた小さめのカバンだけだ。こういった狭い場所では、身軽な方がいい。僕も小ぶりのザックひとつしか持っていない。
僕たちは手にしたランプで足もとを照らしながら、階段をゆっくりと降りる。
さすがに風化はしているが、壁も床も入り口と同じく精巧に造られ、闇の底へと続いていた。最後に人が入ってから、どれほどの月日が経っているだろう。地下の空気は冷たく埃が積もっている。
10メートルほどで階段が終わった。そこから右に曲がって通路がある。右側の壁にそい、ほぼ正方形の通路を僕たちは慎重に進んだ。
5メートルもいかないうちに、薄くなっていた背後の光が唐突に消えた。
「ヒビキ……入り口、閉まっちゃったんだけど」
「まあ、気にすんな。あんだけ大仕掛けの入り口なら、自動的に閉まるくらいは当然さ。先を急ごう」
怯えて立ち止まった僕をなだめて、ヒビキは暗闇を透かし見る。ランプの光だけではいかにも心細く、見える範囲は限られていた。だが、ヒビキは夜目が効くように訓練しているようで気配をさぐることもできる。僕はヒビキを見失いように一生懸命付いていった。
僕たちは前進していく。
黙々と歩きながら、ヒビキは通路の構造を観察する。
奇妙な通路だった。緩やかに降りる通路は不規則に折れ曲がっていて、幅も多様だ。気まぐれとしか思えない設計だが、不思議と全体の調和は取れていた。
「いったい、何を考えて、こんな風に造ったんだろうな……」
壁一面に刻まれた精緻なレリーフが、ランプの光を受けて、不気味な陰影を浮かばせている。
2時間ほど進んだところで、手帳に記した迷宮の構造図で現在地を確認する。
この手のダンジョンは、概して侵入者の方向感覚を狂わせるためのものだ。が、鍛え抜かれたヒビキの方向感覚はしっかりしていた。まだ2~3階層分しか降りていないにもかかわらず、ダンジョンの規模がある程度まで分かったらしい。
「う~ん……この調子では、神殿に着くのは夜になりそうだな」
野営の準備はできるが、ダンジョンでは昼も夜もない。
いったん小休止した後、さらに前進を続けた。
いくつかの角を曲がったところで、急に通路が広くなった。縦横、それぞれ倍くらいになる。しかし、通路の左右は巨大な石像の列で埋められていた。
頭が天井に届くほどの像かいくつも並んでいるだけで、かなり心理的プレッシャーになった。
「何だろう、これ? 変な像がいっぱい……みぃ~んな、のっぺら坊だね」
「だなぁ……まあ気にせず進むとしようぜ」
身長5メートル近くある石像は、どれも顔の造形がないばかりでなく、胴も手脚もすべて円筒でできていた。どう見ても手抜きとしか思えない。
「気をつけろ、ミライ」
ヒビキの声に緊張感がみなぎる。
「何か感じたの?」
「いや、そういう訳じゃない。ただの勘さ」
ヒビキは不審げに辺りを見まわしている。
僕たちは前後を確認しながら、石像の並ぶ回廊をゆっくりと進んだ。
30メートルはある列の半ばまできた時、ヒビキの目の前に影がすべり出た。ズシンと響く重い音は足音だろうか。それは、いくつも重なって聞こえた。
「やっぱり――ゴーレムか」
「ヒビキッ!!! こっちからも来たよ!」
とても動くようには見えない、丸太のごとき手脚を不細工に動かすゴーレムの姿は、どこか悪夢めいていた。
石同士がこすれる不気味な音が僕たちを前後から挟むように近づいてくる。
暗がりでゴーレムと出食わすというのは、気持ちいいものではない。まして、ぞろぞろと大勢で出てくるとなれば、どんな姿でも見たくはない。
「ゴーレムの護衛とは随分とありがちなパターンじゃねえか」
「大した造りだとは思うけど、デザインの方は可愛さに欠けるね」
のっぺりとした冷たい石の頭に、ふと殺意にも似た表情が浮かんだ。
「ミライ、下がってろ! 徹底的に叩き潰してやるぜッ!!!」
前後から迫るゴーレムの群れへヒビキは飛び込んでいった。
すると、ヒビキはいきなり股間を丸出しにする。
次の瞬間、3体のゴーレムの胴が澄んだ音をたてて、二つに斬り裂かれた。くずおれたゴーレムは死んだのか、それっきり身動きひとつしない。ヒビキは他のゴーレムが唸りをあげて振り降ろしてくる手脚の攻撃を縫って、自らのチンポを縦横無尽に振るった。
ヒビキによって次々と石の人形劇たちは切断されていく。鋼鉄の肉棒の力をもってすれば、岩石を斬ることなど容易だった。
縦割りや横切りにと、ゴーレムたちは無表情のまま、ただの石塊となった。
さらに持ち前の身軽さで飛びまわり、渦巻くチンポを操りながら着実にゴーレムを撃退していく。
ヒビキの攻撃の前に、さしものゴーレムも数を減らしていった。が、何百もいてはきりがなかった。倒れた仲間を押しのけて、次々と後続部隊が迫ってくる。
「派手に一発かますぜッ!」
僕を連れてゴーレムの群れを抜けたヒビキは黒い塊がひしめく通路へ振りかえり、身構えた。
すると、ヒビキの股間からネバネバした液体がほとばしり出た。両脚を左右にしこたま開いて射精する姿はものすごく変態的だが、真面目な顔でやってるヒビキにそうは言えない。
ヒビキはアソコからチロチロと噴出している液体をゴーレムに噴きかけた。
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
声帯を持たないと思われたゴーレムが悲鳴をあげる。
凄まじい衝撃と振動が駆け抜けて、通路全体を揺るがせた。もうもうたる埃の渦が消え去った後、回廊に動く物体はなかった。
「すごい技だとは思うけど……変態的過ぎるかな」
「おいおい、そんなに褒めるなよ~♡」
褒めたつもりはなかったが、ヒビキは嬉しそうにサムズアップをする。
僕たちはゴーレムの群れを撃破した勢いで、4層ほど下っていった。
途中、壁の一部が崩れていたり、床に大穴が開いていた以外は特に障害はなかった。
今日も僕たちはクエストに挑んでいた。お宝が眠る神殿は、複雑なこの迷宮の最下層にある。
慎重に中をさぐってから僕に声をかけたヒビキは真四角の穴にすべりこんだ。身につけているのは、最低限の道具を入れた小さめのカバンだけだ。こういった狭い場所では、身軽な方がいい。僕も小ぶりのザックひとつしか持っていない。
僕たちは手にしたランプで足もとを照らしながら、階段をゆっくりと降りる。
さすがに風化はしているが、壁も床も入り口と同じく精巧に造られ、闇の底へと続いていた。最後に人が入ってから、どれほどの月日が経っているだろう。地下の空気は冷たく埃が積もっている。
10メートルほどで階段が終わった。そこから右に曲がって通路がある。右側の壁にそい、ほぼ正方形の通路を僕たちは慎重に進んだ。
5メートルもいかないうちに、薄くなっていた背後の光が唐突に消えた。
「ヒビキ……入り口、閉まっちゃったんだけど」
「まあ、気にすんな。あんだけ大仕掛けの入り口なら、自動的に閉まるくらいは当然さ。先を急ごう」
怯えて立ち止まった僕をなだめて、ヒビキは暗闇を透かし見る。ランプの光だけではいかにも心細く、見える範囲は限られていた。だが、ヒビキは夜目が効くように訓練しているようで気配をさぐることもできる。僕はヒビキを見失いように一生懸命付いていった。
僕たちは前進していく。
黙々と歩きながら、ヒビキは通路の構造を観察する。
奇妙な通路だった。緩やかに降りる通路は不規則に折れ曲がっていて、幅も多様だ。気まぐれとしか思えない設計だが、不思議と全体の調和は取れていた。
「いったい、何を考えて、こんな風に造ったんだろうな……」
壁一面に刻まれた精緻なレリーフが、ランプの光を受けて、不気味な陰影を浮かばせている。
2時間ほど進んだところで、手帳に記した迷宮の構造図で現在地を確認する。
この手のダンジョンは、概して侵入者の方向感覚を狂わせるためのものだ。が、鍛え抜かれたヒビキの方向感覚はしっかりしていた。まだ2~3階層分しか降りていないにもかかわらず、ダンジョンの規模がある程度まで分かったらしい。
「う~ん……この調子では、神殿に着くのは夜になりそうだな」
野営の準備はできるが、ダンジョンでは昼も夜もない。
いったん小休止した後、さらに前進を続けた。
いくつかの角を曲がったところで、急に通路が広くなった。縦横、それぞれ倍くらいになる。しかし、通路の左右は巨大な石像の列で埋められていた。
頭が天井に届くほどの像かいくつも並んでいるだけで、かなり心理的プレッシャーになった。
「何だろう、これ? 変な像がいっぱい……みぃ~んな、のっぺら坊だね」
「だなぁ……まあ気にせず進むとしようぜ」
身長5メートル近くある石像は、どれも顔の造形がないばかりでなく、胴も手脚もすべて円筒でできていた。どう見ても手抜きとしか思えない。
「気をつけろ、ミライ」
ヒビキの声に緊張感がみなぎる。
「何か感じたの?」
「いや、そういう訳じゃない。ただの勘さ」
ヒビキは不審げに辺りを見まわしている。
僕たちは前後を確認しながら、石像の並ぶ回廊をゆっくりと進んだ。
30メートルはある列の半ばまできた時、ヒビキの目の前に影がすべり出た。ズシンと響く重い音は足音だろうか。それは、いくつも重なって聞こえた。
「やっぱり――ゴーレムか」
「ヒビキッ!!! こっちからも来たよ!」
とても動くようには見えない、丸太のごとき手脚を不細工に動かすゴーレムの姿は、どこか悪夢めいていた。
石同士がこすれる不気味な音が僕たちを前後から挟むように近づいてくる。
暗がりでゴーレムと出食わすというのは、気持ちいいものではない。まして、ぞろぞろと大勢で出てくるとなれば、どんな姿でも見たくはない。
「ゴーレムの護衛とは随分とありがちなパターンじゃねえか」
「大した造りだとは思うけど、デザインの方は可愛さに欠けるね」
のっぺりとした冷たい石の頭に、ふと殺意にも似た表情が浮かんだ。
「ミライ、下がってろ! 徹底的に叩き潰してやるぜッ!!!」
前後から迫るゴーレムの群れへヒビキは飛び込んでいった。
すると、ヒビキはいきなり股間を丸出しにする。
次の瞬間、3体のゴーレムの胴が澄んだ音をたてて、二つに斬り裂かれた。くずおれたゴーレムは死んだのか、それっきり身動きひとつしない。ヒビキは他のゴーレムが唸りをあげて振り降ろしてくる手脚の攻撃を縫って、自らのチンポを縦横無尽に振るった。
ヒビキによって次々と石の人形劇たちは切断されていく。鋼鉄の肉棒の力をもってすれば、岩石を斬ることなど容易だった。
縦割りや横切りにと、ゴーレムたちは無表情のまま、ただの石塊となった。
さらに持ち前の身軽さで飛びまわり、渦巻くチンポを操りながら着実にゴーレムを撃退していく。
ヒビキの攻撃の前に、さしものゴーレムも数を減らしていった。が、何百もいてはきりがなかった。倒れた仲間を押しのけて、次々と後続部隊が迫ってくる。
「派手に一発かますぜッ!」
僕を連れてゴーレムの群れを抜けたヒビキは黒い塊がひしめく通路へ振りかえり、身構えた。
すると、ヒビキの股間からネバネバした液体がほとばしり出た。両脚を左右にしこたま開いて射精する姿はものすごく変態的だが、真面目な顔でやってるヒビキにそうは言えない。
ヒビキはアソコからチロチロと噴出している液体をゴーレムに噴きかけた。
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
声帯を持たないと思われたゴーレムが悲鳴をあげる。
凄まじい衝撃と振動が駆け抜けて、通路全体を揺るがせた。もうもうたる埃の渦が消え去った後、回廊に動く物体はなかった。
「すごい技だとは思うけど……変態的過ぎるかな」
「おいおい、そんなに褒めるなよ~♡」
褒めたつもりはなかったが、ヒビキは嬉しそうにサムズアップをする。
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途中、壁の一部が崩れていたり、床に大穴が開いていた以外は特に障害はなかった。
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