男だらけの変態異世界冒険譚

M

文字の大きさ
83 / 87
日常編part④

83 奴隷商人ギルド

しおりを挟む
 商売っ気のある行商人たちは即席に露店をつくって、こまごました商品を並べていたりする。それだけの活気があると、奴隷商人が金儲けをしようとうじゃうじゃ現れる。
 奴隷商人たちは、これほどの人出があれば奴隷の需要だってあるにちがいないと、広場の一角を借りて商売をしている。
 それは奴隷市と言いながら、半ば見世物小屋のようでもあった。奴隷というのは、あちこちから集めてきた少年たちだ。
 さらわれて転売されてきた子、食いつめた家族の口減らしのために身売りさせられた子、捕虜にされて奴隷の身分に堕ちた子など、出自はさまざまだったが、奴隷商人にとって少年たは、稼ぎの種でしかなかった。
 そんなわけで広場の一角を仕切らせて小さな門を構え、淫らな芸まで仕込んだあげく、木戸銭を稼ぐことにしたのである。
 奴隷商人の狙いは正しかった。
 長旅で色気の足りない生活をつづけてきた男たちが、目の保養をしようとばかりに、小屋に集まってきたのである。
 狭い敷地の中では小さな舞台を用意した守銭奴が自ら声を張り上げている。


「お次はこちら! お代は銀貨10枚からだよぉ~!」


 舞台裏から連れてこられたのは僕だった。うす汚れた粗末な薄布を巻きつけているだけの格好をさせられている。
 奴隷商人ギルド壊滅のために、僕は奴隷に扮して潜入捜査を試みた結果、ホントに奴隷として売り出されてしまったのだ。
 人前に引きずり出されて、僕は足がすくんでしまう。僕のことを、奴隷商人は手にした鞭の柄でこづく。


「こら、ボーッとしてねえで教えたとおりお客様に見せてさしあげろwww」


 奴隷商人は手荒く、僕の尻を叩いた。
 薄布の裾がめくれて、白いパンツがはだけると、逆三角形の小さな丘が、男たちの眼前でひらめく。


「さあ、どうした~? とっとと、始めるんだよ!」


 奴隷商人の恫喝に、僕はビクリと身体をすくめ、モソモソと悩ましげに腰を動かし始める。汗ばんだ薄布のミニスカートが、太腿にピッタリと貼りついて離れない。


「ああ……はううッ」


 僕の素肌にはジットリと汗が浮かび上がっている。それが、スカートの下までしみ込んだ湿気と微妙にまざり合い、パンツの布が股間にぴったりと絡みついている。
 スカートは、僕の下半身をもうしわけ程度に隠しているだけだ。半袖のチュニックの胸もとを押しあげている乳首は、硬くしこり立って、まるでつまんでくださいと誘いをかけているようで、自分でも嫌になってしまう。
 膝頭がガクガクと震えている。僕は今誰かに触れられただけで、気を失ってしまいそうだった。
 男たちの視線は、僕の身体に集中している。
 僕の片手は、脇腹を下へ滑り降りていった。スカートの割れ目を指先でかきわけると、薄い純白のパンツが少しずつ見えてくる。
 僕は薄布のスカートをたくしあげる。パンツはすっかり濡れていた。薄布にクッキリと股間の形が透けだして見える。
 パンツを膝までずり降ろし、妖しく指をくねらせた。


「はうッ、くうッ」


 卑猥にさらけだされて、小さな穴の周囲から溢れでた蜜は、僕の太腿にまでしたたっている。


「うひょお~、顔面にナマ液ブッかけたくなっちまうぜ」


 男たちの欲情したため息に気づいて我に返り、僕は剥き出しになったままの股間を慌てて隠した。そして、いきなり羞恥心に襲われたように、大粒の涙をボロボロとこぼす。
 奴隷商人は、僕の髪を無造作につかんで身体を起こさせると、両頰に指をかけて顔を観衆に向けさせる。


「買った。銀貨15枚!」
「おれは17枚出すぜ!」
「何言いやがる。こちら20枚だ!」


 男たちは淫らな調教とセックスへの期待を胸に秘めて、思いおもいに金額をつりあげていった。
 銀貨が22枚から25枚……30枚……どんどんつりあがってゆく。


「ダンジョンから飛び降りたつもりで、銀40枚でどうだ!」


 隅の方から飛んできた声に、奴隷商人はにんまりと笑って笛を鳴らした。


「よぉ~し、売った! 40枚で決まり~ッ!」


 奴隷商人は言いながら、軽く拍手をして声の主を眺める。
 男が持ってきた麻袋の中に手を入れ、ジャラジャラと重そうな音をたてる銀貨の数を確かめると、奴隷商人は空の麻袋を男に戻した。


「どうも、ありがとうございます! あとは犯すなり扱き使うなり好きにしてくだせえ」


 銀貨を受け取った奴隷商人の隙を狙って、観衆の頭を飛びこえ踏みこえながら、すばしっこく僕は逃げ去っていった。


「あ、あいつッ!!!」


 叫びを背に受けながら、奴隷商人は必死の形相で舞台を飛び降りる。


「こりゃ、面白いぜ」


 客が騒ぎだした。
 商品を逃がしたとあっては、奴隷商人の名折れである。
 追いつかれると、奴隷商人は勢いよく僕の身体に飛びついた。


「クソ、よくも逃げやがったな……」


 奴隷商人は僕の足首を捕まえた。が、そこへヒビキがやって来て、見事な顔面キックを食らわす。
 ミシッ。
 顔面へ痛烈につま先がメリこみ、奴隷商人は鼻血を噴きあげる。
 ドッとばかりに、観衆から笑いが湧き起こった。
 ヒビキは魔法を使うまでもなく、他の奴隷商人を一撃でKOした。


「どうやら奴隷商人ギルドの下っ端だけしかいなかったようだ」
「なんだか僕が潜入した意味があんまりなかったね……」
「そんなことはないさ。ミライのいやらしい格好を見れて、俺は満足だったぜ♡」
「も~う、いつも僕はこういう役どころばっかりだよ……」


 ヒビキは満面の笑顔を浮かべると、剥き出しになっている僕のお尻を熱心に撫であげながらキスの雨を降らせるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...