レイプされて男性恐怖症になった僕に彼氏ができた件

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第40話 警官に捕まった件〜前編〜

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 もしもαとΩの力関係が逆転したら――。
 ある日を境に世界中のΩに強大な力が宿り、Ωがαやβに抵抗し始めた。
 そして、世界中でΩたちの反逆が始まろうとしていた……。


「きっと、この力は日頃から男たちに虐げられ、産む機械として人間扱いされてこなかったΩに神様が与えてくれたプレゼントなんだよ♡ ボクたち、Ωが世界を統べる日が来たんだ!」


 尾芽牙おめがくんはαが支配する男社会を解体するために現体制をひっくり返そうとしている極左団体のリーダー格として暗躍していた。


「でも、やめた方がいいんじゃない? αに逆らっても、ろくなことがないと思うけどなぁ。それに全てのΩが特殊能力を持ったわけじゃないんだし……」


 全てのΩが強大な力を手にしたわけではなく、中には僕のように相変わらず非力なΩも存在する。


「大丈夫、安心して♡ 力を持たないΩはボクがちゃんと守ってあげるから!」


 そう言うと、尾芽牙おめがくんは僕の口元にキスをする。


「男に抑圧されてきた人生におさらばし、ボクはアオイくんと共に新しい未来を切り開く! そしてアオイくんを一護いちごから奪ってみせる!」


 尾芽牙おめがくんはやる気満々でαが支配する男社会に憎悪を燃やしながら作戦を練るのだった。




ーーー




 僕は尾芽牙おめがくんと一護いちごくんの3人で高級レストラン店にいた。


尾芽牙おめが、話って何だよ?」
「実は一護いちごにもボクの組織に入ってもらいたくてね。その代わり、今日はボクの奢りで好きなだけ食べていいからさ♡」


 それを聞いた一護いちごくんはポカーンとした表情を浮かべる。


「おいおい、俺がそんな反社会的グループに入ると思うのか?」
「この世界のΩのために立ち上がろうという気が一護いちごにはないわけ? 呆れたなぁ、こんな男がアオイくんの彼氏だなんて……」


 やれやれと言いたげな仕草をすると、尾芽牙おめがくんは僕の方を見た。


「Ωの地位向上のために一護いちごは強力してくれないらしいよ。アオイくん、どう思う?」
「えっと……まあ、その」


 男の人は苦手だけど、男と戦争なんてことになったら大変だし、僕みたいな非力なΩに勝ち目はない。正直なところ、面倒ごとはごめんだ。


「分かるよ、アオイくんの気持ち。一護いちごの手前、素直に協力したいとは言い出せないんだろ? 世の中のΩはアオイくんみたいに優しい子ばっかりだから男共が付け上がるんだよ」


 そこまで言うと、尾芽牙おめがくんはいきなり窓の外の方に注意を向けた。


「ああ、ヤバイかも……。実は早くもボクの組織は警察からマークされててね。2人ともボクの関係者だと思われたはずだから、一緒に逃げないと捕まっちゃうかもぉ~♡」


 僕と一護いちごくんはまんまと罠に嵌められたことを悟ると、嫌々ながらレストランを後にした。




ーーー




 駅まで来てやっと安心かと思われたとき、尾芽牙おめがくんが動きを止めた。


「まずいね、どうやら公共交通機関は使えそうにないみたい……」


 尾芽牙おめがくんの目が駅の柱の陰で乗降客に目を光らせる警官の姿を映し出す。
 尾芽牙おめがくんは僕と一護いちごくんの手を引いて逃げ出した。すぐに警官たちが目ざとく僕たちを見つける。


「そこのΩ、止まれ~ッ! 一緒にいるαは用心棒か⁉︎ 全員、内乱罪で逮捕する!!!」


 通行人たちが何ごとかという目で逃げる僕たちと追う警官たちを見つめた。
 僕たち3人は必死になって逃げる、逃げる、逃げる。
 我が国で内乱罪(政府の転覆など、国家の基本的組織を不法に変革・破壊する目的で暴動を起こす罪)が適用された例は一つもない。おそらくαにとって、男社会を解体するということはアイデンティティの崩壊を意味するのだろう。
 大多数のαにとって、Ωなんか精液を吐き出すだけの便器のようなものでしかない。それだけにΩが強い力を持つことに対して、ひどく腹を立てているわけだ。
 肉便器を肉便器らしくさせてやる、と言いたげな顔つきで警官は迫ってきた。
 追う警官と逃げる僕たち。ただただ訳も分からず、必死になって逃げているだけで、どこへ逃げようなんてことも頭にはなかった。
 警官の銃口が僕の背中をとらえた。


「あぶないッ!」


 一護いちごくんが咄嗟に僕をかばい、銃弾が一護いちごくんの脇腹に命中した。


「やったぜ! αに逆らい、男社会を破壊しようとするヤツはこうなるのさwww」


 警官がそう言うと、さすがの一護いちごくんでも数歩歩いて、かたわらの木に取りすがって崩れ折れる。
 次の瞬間、僕は麻酔銃で撃たれ、一瞬にして気を失うのだった。




ーーー




 気がつくと、僕は真っ白な部屋の中にいた。清潔なベッドの上で目を開ける。


「……ここは?」


 太陽の光はもう昼で、光が射し込む窓を見ると鉄格子がはまっていてドアも鉄のオリだった。


「やっと気がついたか。特別に貴様だけは免罪にしてやる。まあ、他のヤツらはほぼ死刑確定だろうけどなぁwww」


 僕は自分の身体を点検しながら、警官をにらみつけた。服は昨日着ていたままだった。


「免罪にしてやる代わりにテメエの屈辱に震えるツラを拝ませなぁ。そのためにオマエが起きるのを待っていたのさ。たっぷりとΩに生まれた屈辱を味わわせてやるぜwww」


 そのときオリの外に大勢の足音が聞こえ、警官が何人かオリの中に入ってきた。
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