2 / 3
第1章 猫がいなくなった
2 昼休みのエンジェル
しおりを挟む
転校生には主に二種類いる。
昼休みに、女子の取り巻きに注目を浴びるものとそうでもないもの、という分け方ができる。
この分け方において、谷津仁は後者であった。
帰り道。道草をくったので結局、団地が見え始めたのは十七時四十六分のことだった。
清子とはここでお別れだ。そう思うとなんだか無性に寂しくもなるが、それは仕方ないことだと思えば、そうも思える、というものなのだろうか?
谷津仁は、ドアを閉めた……
そして、すぐに駆け出した!
「ねェー、清子ちャン」
最後の方は半ば声は消えかかっていたが、洗濯物の干されているベランダから、仁は叫んだ。
清子が振り返って、「何?」と聞いた。
仁が答えた。「猫が消えた!」
*
団地・グランドオールド・ハイツ十七号棟は、十四号棟の隣、十六号棟の斜向かいに位置している。
仁は157号室の住民だった。
このハイツはペットOKで、仁も猫を飼っている。これは引越しの時にペットショップで買ったもので、チャトラのスコティッシュフォールドで名前は「作兵衛」だった。
「さくー、どこにいるんだー!?」
「さ、さくべえ……」
清子は一応固まりはしたが、フッ。
「それなら、頼りになるところがあるわ」
清子の目が輝き始めた!
*
さて、このあと浩介と仁は、新入りとして探偵団に迎え入れられたわけだが、夜9時の「第二回会合」で、仁はこのことを話した。
団長は、「初めての事件だ」と喜んでいたが、他の面々は、微妙そうな表情をしている。
だって、そうだろう? 探偵ごっこだと思っていたら、まさか本当に事件が舞い込んでくるなんて……。
それでもその連中も、十秒もすれば顔に英気が。
「やるか!」という気になったのだ!
*
印刷会社フォルテは古い印刷会社だった。山田のおっちゃんが一人で経営している。
豊田・佐藤・伊野村・三瀬・仁の所属する4班は、このフォルテに協力を要請して、猫の貼り紙を作ってもらうことにした。
ポスターの担当をしたのは、浩介含め3名が所属する2班と、団長も所属する5班だった。
そのほか広報は1班と3班で、仁は特例で3班の仕事も請け負っていた。
フォルテのおっちゃんは、愛車を磨きながら、
「なんのようだね」
「協力がほしいのです」
「代金は」
「六千円」伊野村が両手で6を作った。
「よし、いいだろう。引き受けよう」
親切らしくフォルテのおっちゃんは答えた。
事件はいよいよ大詰めになってきた!
昼休みに、女子の取り巻きに注目を浴びるものとそうでもないもの、という分け方ができる。
この分け方において、谷津仁は後者であった。
帰り道。道草をくったので結局、団地が見え始めたのは十七時四十六分のことだった。
清子とはここでお別れだ。そう思うとなんだか無性に寂しくもなるが、それは仕方ないことだと思えば、そうも思える、というものなのだろうか?
谷津仁は、ドアを閉めた……
そして、すぐに駆け出した!
「ねェー、清子ちャン」
最後の方は半ば声は消えかかっていたが、洗濯物の干されているベランダから、仁は叫んだ。
清子が振り返って、「何?」と聞いた。
仁が答えた。「猫が消えた!」
*
団地・グランドオールド・ハイツ十七号棟は、十四号棟の隣、十六号棟の斜向かいに位置している。
仁は157号室の住民だった。
このハイツはペットOKで、仁も猫を飼っている。これは引越しの時にペットショップで買ったもので、チャトラのスコティッシュフォールドで名前は「作兵衛」だった。
「さくー、どこにいるんだー!?」
「さ、さくべえ……」
清子は一応固まりはしたが、フッ。
「それなら、頼りになるところがあるわ」
清子の目が輝き始めた!
*
さて、このあと浩介と仁は、新入りとして探偵団に迎え入れられたわけだが、夜9時の「第二回会合」で、仁はこのことを話した。
団長は、「初めての事件だ」と喜んでいたが、他の面々は、微妙そうな表情をしている。
だって、そうだろう? 探偵ごっこだと思っていたら、まさか本当に事件が舞い込んでくるなんて……。
それでもその連中も、十秒もすれば顔に英気が。
「やるか!」という気になったのだ!
*
印刷会社フォルテは古い印刷会社だった。山田のおっちゃんが一人で経営している。
豊田・佐藤・伊野村・三瀬・仁の所属する4班は、このフォルテに協力を要請して、猫の貼り紙を作ってもらうことにした。
ポスターの担当をしたのは、浩介含め3名が所属する2班と、団長も所属する5班だった。
そのほか広報は1班と3班で、仁は特例で3班の仕事も請け負っていた。
フォルテのおっちゃんは、愛車を磨きながら、
「なんのようだね」
「協力がほしいのです」
「代金は」
「六千円」伊野村が両手で6を作った。
「よし、いいだろう。引き受けよう」
親切らしくフォルテのおっちゃんは答えた。
事件はいよいよ大詰めになってきた!
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる