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23訓練の始まり
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シロガネは、式神たちにコハクの鍛錬や呪術の指導を任せることにした。
月の雫の件がある。
それぞれが、それぞれの思いを持ってコハクと向き合う。交流を深めることは大切なことだと考えたからだ。
属性の特徴や性質は、既に理解している。
しかし、迷わずに使えるには経験に勝るものはない。では、どの属性から始めるのか。
シロガネは決めている。それは、最初から決まっていた。
シロガネから今後の呪術の訓練について、コハクは説明を受けた。
「最初はスイセンに頼もうと思っている」
「いいんじゃないの。初めて会った式神はスイセンだしね。じゃあ、その次は誰にするのか決めているの?」
「決めているさ。ザクロだよ」
「ねぇ、聞いてもいい?」
「どうしたんだい」
「スイセンは水属性で、その後のザクロは、光属性だよね。なんていうかな……。普通ならば、選ばない順番だなぁって思ったんだ。別に、ザクロが嫌とかじゃないよ。シロガネが、この二つを最初から決めていた感じがするから」
「そうだよ。この属性は、コハクにとって大切だからね」
「やっぱり、そうなんだ。ボクの瞳には、この二つの色がある。それは水と光であってる?」
「当たりだ」
「そっか……」
コハクは納得した様子だ。
陰陽道の知識と呪力を制御して操作ができるようになれば、コハクの中に眠る力、守護する者の存在を感じるようになる。防御する者と攻撃する者の二つの力は、二人の守護者がいる。
「コハクには、水と光の神使が守護しているよ」
「うん! えっ?! 神使いなの?」
「おや、驚くんだね」
「だって! それじゃあ、シロガネの式神たちと同じで……」
シロガネは何も言わずに、コハクを見つめている。
「そうだね、そうだった……ボクとシロガネは同じだったね」
「そうさ。これを機に、コハクが色々と気づいてくれないか。思い出してくれたらと思っているだろう、かな?」
「えっ! シロガネ、わかるの?」
「うーん、なんていうのかなぁ……呪力から、察せることもあるというか。感じるような気がするという程度だよ。二人からすれば、的外れなと、思っているかもしれないね」
シロガネが、守護者たちに気遣う。
「ボクは、ぜんぜん、わからないから……。これって、ボクの力が足りないせいなんだ。頑張るからね。もうちょっと待っててね!」
コハクの思いを届けたくて、守護者たちに向けて声を出して伝えた。
「その力を培うための訓練だね。そして、思い出してあげればいい」
「力をつけて思い出す」
「それだけでもないよ」
「えっ、他にもあるの? 呪術かな?」
「知識、それもだね」
「まだあるの」
シロガネが、もったいぶる。
もうっと、いう感じで、プゥーっとコハクが頬を膨らませた。
その拗ねている姿が可愛いらしいと、シロガネは楽しくなる。
「コハクは呪術を使えるはずだけど、記憶がないから使えない。だから、今一度、陰陽道について学んで知識を得ている。そして、式神の皆と訓練をしていく事で、呪術を使いこなせるようなる。そうすれば、記憶を呼び覚ますきっかけになって封印が解けるのではと考えている」
「記憶が戻れば、封印が解かれる。それじゃあ、記憶が戻らなければ、封印は解けないってこと」
「違うよ。この間のように、コハクの力が上回れば、封印は破れるよ。そうすれば、記憶が戻る。つまり、記憶が戻るのが先か、呪力によって強引に封印を破るか。だから、今のコハクが出来ることをするんだよ」
「そのための呪術なんだね」
「その通り」
コハクは気持ちを新たに、呪術の特訓に取り組もうと誓った。
シロガネの考えを理解して、コハクはシロガネの式神たちから手ほどきを受けることになる。
シロガネが、水属性のスイセンを召喚した。
事情は先に伝えてあるようだ。
スイセンは呼ばれた理由を聞かずに、静かにかしこまっている。
「前に話した通りだ。コハクのことを頼むよ、スイセン」
「よろしくね、スイセン!」
コハクが元気よく声をかけた。
「よろしく、お願い致します。皇より、最初に声をかけて頂いたことをたいへん名誉に思います。誠心誠意を持って、コハク殿が立派に水属性を極められるように、指導していきたいと思っております。コハク殿、皇の期待に応えられるように、精一杯の努力をなさいますよう、心して下さい」
硬い。長い。重い。
シロガネもコハクも、スイセンの意気込みに呑まれている。
「いや、そんなに気を張る必要はないぞ。気軽にというか、うん、無理せずにな。出来ることからコツコツと頼む」
「甘いです。コハク殿に対して皇は、本当に甘い。いつもの非情さは、どこに消えてしまうのでしょうね。それではいつまで経っても、コハク殿が独り立ち出来ません」
スイセンが、コハクの知らないシロガネの話をする。
しかも、シロガネのことを非情だという。
話しが見えなくて、コハクは驚いた。
コハクの知っているシロガネは、いつも微笑んでいる。
コハクのことを大切に思ってくれて、優しい言葉をかけてくれる。
「ねぇ、シロガネのどういうところが非情っていうの?」
「お知りになりたいのですか。教えて差し上げましょう。コハク殿が、ご存知ないのは仕方ありません。貴方の前では、皇は猫を被っておいでですからね。そうですね、非情とは少々違うかもしれませんが、私たち式神に過酷な使命を下されます。それはまぁ、良いのです。信頼して頂けている証ですからね。全身全霊を持って任務に当たるのは当然です。言うなれば、魔物と戦いですか。その容赦ない戦い方を目の当たりにすれば、コハク殿も戦慄が走って、皇の見る目が変わるやもしれませんね。後は、人に対して無関心。悪人に対しては無慈悲です。これを非情と言わず、なんと言うのでしょうか」
澱みなくスイセンが言い切った。とても満足気な表情である。
色々と大変なのだと、コハクは悟った。
シロガネの式神たちに対する態度とコハクに対する態度の違いは顕著だが、主人としては当然だろう。
魔物の戦いが、大変だと理解している。
だけど、戦慄を覚えるほどの戦いが、どのような物なのか想像し難い。
そして、人に対して非情なのかは分からなかった。
何故なら、シロガネがコハク以外の人と親しくしている話しや、その姿を見たことがなかったからだ。
唯一、買い物をする時に話しをしている姿を見るだけで、それは客の立場だ。親しくではないだろう。
スイセンの言葉をコハクは咀嚼した。
そして、ずっと黙ったままのシロガネと目が合った。
「スイセンの言う通りだよ。前にも言ったと思うが、私が優しさを抱くのコハクだけさ。他の者に興味はない」
シロガネは、優しい声で潔く言い切り微笑んだ。
嬉しさと恥ずかしさが混在するコハクの鼓動は早くなる。
絆されそうになるが、これで終わりにしない。確認しなければいけない。
「でも、退魔士として魔物退治をするのは、人のためでしょう?」
「退魔士の仕事は、私の使命だ。魔物に苦しむ人々が救いを求めるならば、その願いに力を尽くすだけさ」
「それって、まるで……」
魔物がいるは、シロガネのせいだから助けるのだと言っているようだった。
コハクは、それを尋ねる勇気がなくなる。
違う。それは、シロガネを信じるからこそ聞く必要はない。
「うん、わかったよ。話してくれてありがとう。それじゃ、ボクも弟子として、師匠と同じく魔物に非情にならなきゃ。人は……、シロガネ以外に親しい人なんていない。シロガネ以上に大切な人はいない。それって、同じってことだよねっ」
「……コハク」
シロガネの本質の一端が見えたはずだ。それは闇深い謎で、恐ろしく思うのは当然である。
だけどコハクは、シロガネを是として全てを飲み込んだ。尚且つ、自身も同じだとシロガネに告げたのだ。
それは、シロガネの心を浄化する。
それは、思いを繋げる悦びとなる。
「私には、コハクだけだよ」
シロガネが、珍しく嬉しそうな笑顔を見せた。
月の雫の件がある。
それぞれが、それぞれの思いを持ってコハクと向き合う。交流を深めることは大切なことだと考えたからだ。
属性の特徴や性質は、既に理解している。
しかし、迷わずに使えるには経験に勝るものはない。では、どの属性から始めるのか。
シロガネは決めている。それは、最初から決まっていた。
シロガネから今後の呪術の訓練について、コハクは説明を受けた。
「最初はスイセンに頼もうと思っている」
「いいんじゃないの。初めて会った式神はスイセンだしね。じゃあ、その次は誰にするのか決めているの?」
「決めているさ。ザクロだよ」
「ねぇ、聞いてもいい?」
「どうしたんだい」
「スイセンは水属性で、その後のザクロは、光属性だよね。なんていうかな……。普通ならば、選ばない順番だなぁって思ったんだ。別に、ザクロが嫌とかじゃないよ。シロガネが、この二つを最初から決めていた感じがするから」
「そうだよ。この属性は、コハクにとって大切だからね」
「やっぱり、そうなんだ。ボクの瞳には、この二つの色がある。それは水と光であってる?」
「当たりだ」
「そっか……」
コハクは納得した様子だ。
陰陽道の知識と呪力を制御して操作ができるようになれば、コハクの中に眠る力、守護する者の存在を感じるようになる。防御する者と攻撃する者の二つの力は、二人の守護者がいる。
「コハクには、水と光の神使が守護しているよ」
「うん! えっ?! 神使いなの?」
「おや、驚くんだね」
「だって! それじゃあ、シロガネの式神たちと同じで……」
シロガネは何も言わずに、コハクを見つめている。
「そうだね、そうだった……ボクとシロガネは同じだったね」
「そうさ。これを機に、コハクが色々と気づいてくれないか。思い出してくれたらと思っているだろう、かな?」
「えっ! シロガネ、わかるの?」
「うーん、なんていうのかなぁ……呪力から、察せることもあるというか。感じるような気がするという程度だよ。二人からすれば、的外れなと、思っているかもしれないね」
シロガネが、守護者たちに気遣う。
「ボクは、ぜんぜん、わからないから……。これって、ボクの力が足りないせいなんだ。頑張るからね。もうちょっと待っててね!」
コハクの思いを届けたくて、守護者たちに向けて声を出して伝えた。
「その力を培うための訓練だね。そして、思い出してあげればいい」
「力をつけて思い出す」
「それだけでもないよ」
「えっ、他にもあるの? 呪術かな?」
「知識、それもだね」
「まだあるの」
シロガネが、もったいぶる。
もうっと、いう感じで、プゥーっとコハクが頬を膨らませた。
その拗ねている姿が可愛いらしいと、シロガネは楽しくなる。
「コハクは呪術を使えるはずだけど、記憶がないから使えない。だから、今一度、陰陽道について学んで知識を得ている。そして、式神の皆と訓練をしていく事で、呪術を使いこなせるようなる。そうすれば、記憶を呼び覚ますきっかけになって封印が解けるのではと考えている」
「記憶が戻れば、封印が解かれる。それじゃあ、記憶が戻らなければ、封印は解けないってこと」
「違うよ。この間のように、コハクの力が上回れば、封印は破れるよ。そうすれば、記憶が戻る。つまり、記憶が戻るのが先か、呪力によって強引に封印を破るか。だから、今のコハクが出来ることをするんだよ」
「そのための呪術なんだね」
「その通り」
コハクは気持ちを新たに、呪術の特訓に取り組もうと誓った。
シロガネの考えを理解して、コハクはシロガネの式神たちから手ほどきを受けることになる。
シロガネが、水属性のスイセンを召喚した。
事情は先に伝えてあるようだ。
スイセンは呼ばれた理由を聞かずに、静かにかしこまっている。
「前に話した通りだ。コハクのことを頼むよ、スイセン」
「よろしくね、スイセン!」
コハクが元気よく声をかけた。
「よろしく、お願い致します。皇より、最初に声をかけて頂いたことをたいへん名誉に思います。誠心誠意を持って、コハク殿が立派に水属性を極められるように、指導していきたいと思っております。コハク殿、皇の期待に応えられるように、精一杯の努力をなさいますよう、心して下さい」
硬い。長い。重い。
シロガネもコハクも、スイセンの意気込みに呑まれている。
「いや、そんなに気を張る必要はないぞ。気軽にというか、うん、無理せずにな。出来ることからコツコツと頼む」
「甘いです。コハク殿に対して皇は、本当に甘い。いつもの非情さは、どこに消えてしまうのでしょうね。それではいつまで経っても、コハク殿が独り立ち出来ません」
スイセンが、コハクの知らないシロガネの話をする。
しかも、シロガネのことを非情だという。
話しが見えなくて、コハクは驚いた。
コハクの知っているシロガネは、いつも微笑んでいる。
コハクのことを大切に思ってくれて、優しい言葉をかけてくれる。
「ねぇ、シロガネのどういうところが非情っていうの?」
「お知りになりたいのですか。教えて差し上げましょう。コハク殿が、ご存知ないのは仕方ありません。貴方の前では、皇は猫を被っておいでですからね。そうですね、非情とは少々違うかもしれませんが、私たち式神に過酷な使命を下されます。それはまぁ、良いのです。信頼して頂けている証ですからね。全身全霊を持って任務に当たるのは当然です。言うなれば、魔物と戦いですか。その容赦ない戦い方を目の当たりにすれば、コハク殿も戦慄が走って、皇の見る目が変わるやもしれませんね。後は、人に対して無関心。悪人に対しては無慈悲です。これを非情と言わず、なんと言うのでしょうか」
澱みなくスイセンが言い切った。とても満足気な表情である。
色々と大変なのだと、コハクは悟った。
シロガネの式神たちに対する態度とコハクに対する態度の違いは顕著だが、主人としては当然だろう。
魔物の戦いが、大変だと理解している。
だけど、戦慄を覚えるほどの戦いが、どのような物なのか想像し難い。
そして、人に対して非情なのかは分からなかった。
何故なら、シロガネがコハク以外の人と親しくしている話しや、その姿を見たことがなかったからだ。
唯一、買い物をする時に話しをしている姿を見るだけで、それは客の立場だ。親しくではないだろう。
スイセンの言葉をコハクは咀嚼した。
そして、ずっと黙ったままのシロガネと目が合った。
「スイセンの言う通りだよ。前にも言ったと思うが、私が優しさを抱くのコハクだけさ。他の者に興味はない」
シロガネは、優しい声で潔く言い切り微笑んだ。
嬉しさと恥ずかしさが混在するコハクの鼓動は早くなる。
絆されそうになるが、これで終わりにしない。確認しなければいけない。
「でも、退魔士として魔物退治をするのは、人のためでしょう?」
「退魔士の仕事は、私の使命だ。魔物に苦しむ人々が救いを求めるならば、その願いに力を尽くすだけさ」
「それって、まるで……」
魔物がいるは、シロガネのせいだから助けるのだと言っているようだった。
コハクは、それを尋ねる勇気がなくなる。
違う。それは、シロガネを信じるからこそ聞く必要はない。
「うん、わかったよ。話してくれてありがとう。それじゃ、ボクも弟子として、師匠と同じく魔物に非情にならなきゃ。人は……、シロガネ以外に親しい人なんていない。シロガネ以上に大切な人はいない。それって、同じってことだよねっ」
「……コハク」
シロガネの本質の一端が見えたはずだ。それは闇深い謎で、恐ろしく思うのは当然である。
だけどコハクは、シロガネを是として全てを飲み込んだ。尚且つ、自身も同じだとシロガネに告げたのだ。
それは、シロガネの心を浄化する。
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