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40ゲンゲの結界
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ゲンゲの過去の話しを終えて、いよいよ訓練に入る。
「訓練といってもなぁ。ワシは武器を作り、盾とし戦う。守りとして皆の力になる。コハクどのに、教えることがあるのかの」
「あるよ。守りがあるから、安心して皆んなが戦えるんだ。それを知りたいと思う」
「そう言ってもらえるとは、嬉しい限りじゃ。ならば、ワシも教え甲斐があるのう」
ゲンゲが、地面に片足を膝まずいて手を置いた。
「ならば、手始めに」
そして、呪文を唱えると、地面に術式が展開された。土壁が出現して空高く、そびえ立った。
なおも、ゲンゲが呪文を唱え続ければ、次々に土壁がいくつも現れる。
気がつけば、ゲンゲとコハクをぐるりと囲んでいた。
「解」
ゲンゲの土壁が消えた。
「土を思うままに操られるんだねっ」
「そうじゃ。土や砂、石に岩。この力は武器や武具を作る為に必要な質のよい鉱石を探せる。ありがたいの」
「盾として、武器を作るのに大切な力だね」
ゲンゲが、しっかりと頷いた。
「次は、この力を持って鍛治職人としての技を見せようぞ」
呪文が響くといくつも術式が宙に現れた。
その術式の中から現れた数々の物を、コハクは見上げて感嘆する。
「すごい。武器や武具がいっぱいだ」
「これらは皆が使っている物と同じじゃ。万が一、壊れても同じ武器や武具を使えるようにしてある。その他にも戦う相手によっては武器を変える方が良いからな、色々と取り揃えて用意しておるぞ」
「すごいや! えっと……、短剣と脇差はザクロ。太刀はスイセン。大太刀はアヤメで、打刀はシオン」
「皆の使う武器を把握しておるのは良い事じゃ」
「ねぇ、この薙刀と槍は誰の武器?」
「薙刀と槍はワシのじゃ」
「凄いや、ねぇ名前は?」
「あるぞ。薙刀はアストラ。槍はガルス」
「かっこいいー、やっぱり武器に名前っていいね」
「うむ、同意見じゃ」
「どうして、薙刀と槍の二本を使うの」
「防御をしながら戦うモノによって、薙刀と槍を使い分ける為じゃな」
「防御しながらだったら、片手だよね……」
「あぁ。体格に恵まれているからの。力があるゆえ薙刀も槍も扱い易い」
そんなはずないとコハクは思う。
槍は突き、薙刀は払いで、遠くの敵に攻撃できる。しかし、遠い分だけ間合いの感覚が大切で、当てるにはそれなりの技量が必要だ。決して力でなんとかなるわけではない。
「たくさんの武器を作るために、色々な剣術を学んだゲンゲだから、出来るんだ」
コハクの知見に、ゲンゲは感心しながら笑った。
「シロガネは武器を使わないよね」
「使わなぬな。呪術で全てを賄えるのだから、不要じゃ。邪魔でしか無いじゃろ」
「僕はね。これがあるよ」
コハクは、懐にから小さな袋を取り出して飛去来器を取り出した。
「それは鹿の角じゃな」
「正解! カセギだよ」
コハクは、スイセンとの訓練で鹿の角を使った時の話しをゲンゲにした。
「なるほど……」
ゲンゲが、繁々と飛去来器を見つめていた。
「三又か。さすがシロガネ公よ」
「すごいの?」
「ただの遊び道具ならば二又で良いはずじゃ。それを三又にしたのは、そういう訳よの」
「武器にするためにって事だよね。なら十字でもいい気がするけど……」
「確かに、飛去来器は羽根の枚数は関係なく戻ってくる。だが、コハクどのに合う手頃な大きさや重さに投げ易さを考えてじゃと、推測できるのぉ」
「なるほど……」
「のう、コハクどのよ。これをワシに預からせてもらえぬか。コハクどのが使いやすいように少し加工させてもらえんか」
突然の申し出に、コハクは悩む。
飛去来器はシロガネが作ってくれた物である。けど、スイセンとの訓練で使って、武器としての物足りなさを感じた。
今、ゲンゲから申し出があった事実に、コハクの感覚は間違いではなかったということだ。それに、シロガネならば、相応の物を渡すはずだ。もしかすると、ゲンゲに仕上げさせるつもりだったのではないだろうか。コハクは推察した。
「スマン! シロガネ公がコハクどのを思って作った物だったな。ワシが手を入れるなんて浅はかな……」
「違うよ。持ち手があれば、使い勝手がよくなるって思っていたんだ。だから、ゲンゲに使える武器にして欲しい。それに角はもう一つあるよ」
コハクは使用していない角が一本と、使用した角の残りを袋から出して見せた。
「ほう。それらも使っても良いのか」
コハクは躊躇いなく頷いた。
「ならば、コハクどのが使える武器、武具でもよいの。何か作ってみよう」
「ありがとうゲンゲ!」
コハクは大喜びした。
「ゲンゲの土属性と白虎の金属性は相性がいいよね」
「だろうな。ワシの腕前以上の物が作れているのは間違いないの。だが、良いものが作れたとわかるが、それを白虎の力なのだという認識が薄い。式神としては申し訳ないなことじゃ」
「そうなんだ。あっ、ちょっと閃いた気がする」
コハクが、顎に手をつけて少し遠くを見るように耽けている。
ゲンゲは、静かにコハクを見守った。
しばらくすると、コハクの瞳が大きく瞬きをした。考えを終えたようだが、何やらブツブツと呟いている。
すると術式が展開して、細い鉄の銀糸がスルスルと流れるように現れた。その細い銀糸は長く延々と伸びて出てくる。次第に銀糸は重なり絡まる。それは何かを編んでいるようだ。
それはコハクとゲンゲを包むほどの大きさとなった。
「コレは……」
細く繊細な編み目と銀色の輝きに、ゲンゲが溜め息のような声を出す。その横で、コハクはふうっと一息を吐いた。
「呪力が思った以上に必要だった。編み物って大変なんだね。でも、初めてにしては上手く出来たかな」
「コレはなんじゃ」
「えっとね。ゲンゲの土属性と白虎の金属性の二つを生かして結界に出来ないかなって思ったんだ」
コハクは呪術と術式の説明を始めた。
ゲンゲのように鍛治の経験がなく、まだ全ての属性を使いこなせているわけではない。
だから、金属の加工を上手く出来るには時間を要する。そこで、呪力操作で細い糸のような呪力を集める練習を応用した。それを生かせる方法として、編み物を思いつく。それは本を読み、実際に編んでいる姿を見た記憶があったからだ。
「自信はなかったけど、なんとかなるかもって、やってみたんだ。そうしたら、結界じゃなくて中に閉じ込めちゃった」
コハクが照れながら微笑む。
だが、土属性から鉱物を生成して、金属性で糸にした。それを球体の結界とする。土壁とは違う、まさしく土属性と金属性が合わさった結界であろう。
「いや、コレはこれで良いぞ。コハクどのにはな」
「そうかな?」
うむっとゲンゲが頷く。
「大雑把なワシには編み物は出来んからな。だが、デカい金属板なら出せるぞ。それを鍛治の技術で球体になる形にして合わせる。それに強度を持たせれば、暫しの緊急の避難所とならぬか」
「なるほど! 結界じゃなくて避難所なのが、いいね。さすがゲンゲだよ」
「何を言う。考えたのはコハクどのじゃ」
その後、ゲンゲは今まで無意識で使っていた金属性の呪力を意識するようにした。
鉄板を出現して球体の避難所を作ろうとしたが、思いのほか時間がかかった。土壁のようにすぐに出現できなかったのだ。
「上手くいかんな。コハクどのは、どのようにして土を鉄にした」
「鉄じゃなくて鋁(アルミニウム)だと思う」
「なぬ? それはどういう事だ」
「ごめん。無意識に軽くて扱いやすい金属を選んだみたい」
コハクは自身の行った呪文と術式を説明した。
ゲンゲは土属性なので、土に含まれる鉱物や鉱石の物質を呪術によって増幅できる。
だけど今のコハクは、経験不足から土属性を使いこなせない。
だからコハクは、糸にして編む為に必要な量をあちこちから少しずつ集めることにした。
そして、無意識に編みやすい金属を選んでいたのだ。しかも、編んで作る結界にはもちろん隙間がある。
それに引き換え、ゲンゲの鉄板の避難所は供給量が足りない。そして、鍛治にて加工しているから時間がかかった。
全ては一度の必要量と過程、その時間、速さに厚みの違いがあった。
「なるほど……薄くすれば……」
「うん、薄くして耐久性を確保」
「難しいぞ」
「ゲンゲは鍛治職人だから、無意識に鉄を選んでいるんだ。でも薄くするなら、一時の避難所ならば、他の金属でもいいんじゃない?」
「確かに、刀は鉄でなければなるまいが、その他ならば……。いかんな、考えが懲り固まっておったわ」
ガハハっとゲンゲが笑った。
「ならば、コハクと同じ、アルミニウムという物でよいかの」
「ううん」
コハクが違うと頭を振った。
ゲンゲが目を大きくして少しだけ驚いた顔している。
「軽銀合金かな?」
「それは、なんだ?」
「アルミ合金とは、アルミニウムに他の金属を添加して作った合金で、強度や耐食性などが向上した物だよ」
「なるほど、それは良いな」
「でもね。欠点もある。熱伝導性が高くて、電気を通しやすい。でも、これは鉄も同じだから、その辺りは呪術で補うって感じでどう?」
「悪くない。しかし、知らぬ鉱石じゃからな」
「鉄礬土(ボーキサイト)っていう鉱石を電気分解してアルミニウムっていう素材にしているんだ」
「初めて聞くが……。コハクどのは、なぜにそれを知っている」
「昔とった杵柄? 的な……。忘れていた記憶の一部だよ」
今までの無邪気なコハクの様子とは異なる雰囲気に、その子供らしくない表情にゲンゲは息を潜めた。
その後、ゲンゲはアルミ合金をあらかじめ用意をしておき、必要に応じて呪術で呼び出して使うという方法をとることにした。
「訓練といってもなぁ。ワシは武器を作り、盾とし戦う。守りとして皆の力になる。コハクどのに、教えることがあるのかの」
「あるよ。守りがあるから、安心して皆んなが戦えるんだ。それを知りたいと思う」
「そう言ってもらえるとは、嬉しい限りじゃ。ならば、ワシも教え甲斐があるのう」
ゲンゲが、地面に片足を膝まずいて手を置いた。
「ならば、手始めに」
そして、呪文を唱えると、地面に術式が展開された。土壁が出現して空高く、そびえ立った。
なおも、ゲンゲが呪文を唱え続ければ、次々に土壁がいくつも現れる。
気がつけば、ゲンゲとコハクをぐるりと囲んでいた。
「解」
ゲンゲの土壁が消えた。
「土を思うままに操られるんだねっ」
「そうじゃ。土や砂、石に岩。この力は武器や武具を作る為に必要な質のよい鉱石を探せる。ありがたいの」
「盾として、武器を作るのに大切な力だね」
ゲンゲが、しっかりと頷いた。
「次は、この力を持って鍛治職人としての技を見せようぞ」
呪文が響くといくつも術式が宙に現れた。
その術式の中から現れた数々の物を、コハクは見上げて感嘆する。
「すごい。武器や武具がいっぱいだ」
「これらは皆が使っている物と同じじゃ。万が一、壊れても同じ武器や武具を使えるようにしてある。その他にも戦う相手によっては武器を変える方が良いからな、色々と取り揃えて用意しておるぞ」
「すごいや! えっと……、短剣と脇差はザクロ。太刀はスイセン。大太刀はアヤメで、打刀はシオン」
「皆の使う武器を把握しておるのは良い事じゃ」
「ねぇ、この薙刀と槍は誰の武器?」
「薙刀と槍はワシのじゃ」
「凄いや、ねぇ名前は?」
「あるぞ。薙刀はアストラ。槍はガルス」
「かっこいいー、やっぱり武器に名前っていいね」
「うむ、同意見じゃ」
「どうして、薙刀と槍の二本を使うの」
「防御をしながら戦うモノによって、薙刀と槍を使い分ける為じゃな」
「防御しながらだったら、片手だよね……」
「あぁ。体格に恵まれているからの。力があるゆえ薙刀も槍も扱い易い」
そんなはずないとコハクは思う。
槍は突き、薙刀は払いで、遠くの敵に攻撃できる。しかし、遠い分だけ間合いの感覚が大切で、当てるにはそれなりの技量が必要だ。決して力でなんとかなるわけではない。
「たくさんの武器を作るために、色々な剣術を学んだゲンゲだから、出来るんだ」
コハクの知見に、ゲンゲは感心しながら笑った。
「シロガネは武器を使わないよね」
「使わなぬな。呪術で全てを賄えるのだから、不要じゃ。邪魔でしか無いじゃろ」
「僕はね。これがあるよ」
コハクは、懐にから小さな袋を取り出して飛去来器を取り出した。
「それは鹿の角じゃな」
「正解! カセギだよ」
コハクは、スイセンとの訓練で鹿の角を使った時の話しをゲンゲにした。
「なるほど……」
ゲンゲが、繁々と飛去来器を見つめていた。
「三又か。さすがシロガネ公よ」
「すごいの?」
「ただの遊び道具ならば二又で良いはずじゃ。それを三又にしたのは、そういう訳よの」
「武器にするためにって事だよね。なら十字でもいい気がするけど……」
「確かに、飛去来器は羽根の枚数は関係なく戻ってくる。だが、コハクどのに合う手頃な大きさや重さに投げ易さを考えてじゃと、推測できるのぉ」
「なるほど……」
「のう、コハクどのよ。これをワシに預からせてもらえぬか。コハクどのが使いやすいように少し加工させてもらえんか」
突然の申し出に、コハクは悩む。
飛去来器はシロガネが作ってくれた物である。けど、スイセンとの訓練で使って、武器としての物足りなさを感じた。
今、ゲンゲから申し出があった事実に、コハクの感覚は間違いではなかったということだ。それに、シロガネならば、相応の物を渡すはずだ。もしかすると、ゲンゲに仕上げさせるつもりだったのではないだろうか。コハクは推察した。
「スマン! シロガネ公がコハクどのを思って作った物だったな。ワシが手を入れるなんて浅はかな……」
「違うよ。持ち手があれば、使い勝手がよくなるって思っていたんだ。だから、ゲンゲに使える武器にして欲しい。それに角はもう一つあるよ」
コハクは使用していない角が一本と、使用した角の残りを袋から出して見せた。
「ほう。それらも使っても良いのか」
コハクは躊躇いなく頷いた。
「ならば、コハクどのが使える武器、武具でもよいの。何か作ってみよう」
「ありがとうゲンゲ!」
コハクは大喜びした。
「ゲンゲの土属性と白虎の金属性は相性がいいよね」
「だろうな。ワシの腕前以上の物が作れているのは間違いないの。だが、良いものが作れたとわかるが、それを白虎の力なのだという認識が薄い。式神としては申し訳ないなことじゃ」
「そうなんだ。あっ、ちょっと閃いた気がする」
コハクが、顎に手をつけて少し遠くを見るように耽けている。
ゲンゲは、静かにコハクを見守った。
しばらくすると、コハクの瞳が大きく瞬きをした。考えを終えたようだが、何やらブツブツと呟いている。
すると術式が展開して、細い鉄の銀糸がスルスルと流れるように現れた。その細い銀糸は長く延々と伸びて出てくる。次第に銀糸は重なり絡まる。それは何かを編んでいるようだ。
それはコハクとゲンゲを包むほどの大きさとなった。
「コレは……」
細く繊細な編み目と銀色の輝きに、ゲンゲが溜め息のような声を出す。その横で、コハクはふうっと一息を吐いた。
「呪力が思った以上に必要だった。編み物って大変なんだね。でも、初めてにしては上手く出来たかな」
「コレはなんじゃ」
「えっとね。ゲンゲの土属性と白虎の金属性の二つを生かして結界に出来ないかなって思ったんだ」
コハクは呪術と術式の説明を始めた。
ゲンゲのように鍛治の経験がなく、まだ全ての属性を使いこなせているわけではない。
だから、金属の加工を上手く出来るには時間を要する。そこで、呪力操作で細い糸のような呪力を集める練習を応用した。それを生かせる方法として、編み物を思いつく。それは本を読み、実際に編んでいる姿を見た記憶があったからだ。
「自信はなかったけど、なんとかなるかもって、やってみたんだ。そうしたら、結界じゃなくて中に閉じ込めちゃった」
コハクが照れながら微笑む。
だが、土属性から鉱物を生成して、金属性で糸にした。それを球体の結界とする。土壁とは違う、まさしく土属性と金属性が合わさった結界であろう。
「いや、コレはこれで良いぞ。コハクどのにはな」
「そうかな?」
うむっとゲンゲが頷く。
「大雑把なワシには編み物は出来んからな。だが、デカい金属板なら出せるぞ。それを鍛治の技術で球体になる形にして合わせる。それに強度を持たせれば、暫しの緊急の避難所とならぬか」
「なるほど! 結界じゃなくて避難所なのが、いいね。さすがゲンゲだよ」
「何を言う。考えたのはコハクどのじゃ」
その後、ゲンゲは今まで無意識で使っていた金属性の呪力を意識するようにした。
鉄板を出現して球体の避難所を作ろうとしたが、思いのほか時間がかかった。土壁のようにすぐに出現できなかったのだ。
「上手くいかんな。コハクどのは、どのようにして土を鉄にした」
「鉄じゃなくて鋁(アルミニウム)だと思う」
「なぬ? それはどういう事だ」
「ごめん。無意識に軽くて扱いやすい金属を選んだみたい」
コハクは自身の行った呪文と術式を説明した。
ゲンゲは土属性なので、土に含まれる鉱物や鉱石の物質を呪術によって増幅できる。
だけど今のコハクは、経験不足から土属性を使いこなせない。
だからコハクは、糸にして編む為に必要な量をあちこちから少しずつ集めることにした。
そして、無意識に編みやすい金属を選んでいたのだ。しかも、編んで作る結界にはもちろん隙間がある。
それに引き換え、ゲンゲの鉄板の避難所は供給量が足りない。そして、鍛治にて加工しているから時間がかかった。
全ては一度の必要量と過程、その時間、速さに厚みの違いがあった。
「なるほど……薄くすれば……」
「うん、薄くして耐久性を確保」
「難しいぞ」
「ゲンゲは鍛治職人だから、無意識に鉄を選んでいるんだ。でも薄くするなら、一時の避難所ならば、他の金属でもいいんじゃない?」
「確かに、刀は鉄でなければなるまいが、その他ならば……。いかんな、考えが懲り固まっておったわ」
ガハハっとゲンゲが笑った。
「ならば、コハクと同じ、アルミニウムという物でよいかの」
「ううん」
コハクが違うと頭を振った。
ゲンゲが目を大きくして少しだけ驚いた顔している。
「軽銀合金かな?」
「それは、なんだ?」
「アルミ合金とは、アルミニウムに他の金属を添加して作った合金で、強度や耐食性などが向上した物だよ」
「なるほど、それは良いな」
「でもね。欠点もある。熱伝導性が高くて、電気を通しやすい。でも、これは鉄も同じだから、その辺りは呪術で補うって感じでどう?」
「悪くない。しかし、知らぬ鉱石じゃからな」
「鉄礬土(ボーキサイト)っていう鉱石を電気分解してアルミニウムっていう素材にしているんだ」
「初めて聞くが……。コハクどのは、なぜにそれを知っている」
「昔とった杵柄? 的な……。忘れていた記憶の一部だよ」
今までの無邪気なコハクの様子とは異なる雰囲気に、その子供らしくない表情にゲンゲは息を潜めた。
その後、ゲンゲはアルミ合金をあらかじめ用意をしておき、必要に応じて呪術で呼び出して使うという方法をとることにした。
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