職も住処もなくした私が訳ありアパートの管理人にスカウトされました。何やら事情があるようです。

ピヨピヨ

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出会い

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 水原葵23歳無職。

 今日で住む場所を失った。キャリーバッグに一個に荷物をつめ、ただいま夜の街を放浪中。貯金がそこをつき現在所持金三千円。

 これから、どうしよう。

 子供の頃からそうだった。当たり棒付きアイスすらあたったことがない。大好きだったおばあちゃんにそうはなしたら、「人の運は平等なんだよ。ただそれを掴めるかどうかにかかっているんだよ」なんて言われた。

 それならば、私の運はどこにあったのだろう?

 行き交う人々は飲み会帰りのサラリーマンや、カップルに大学生の馬鹿さわぎ、カラオケ帰りの高校生。幸せそうな人を横目にみながら、私はごろごろとキャリーバッグを転がす、雑踏の中、カップルにぶつかりそうになって、男性の方に「ちっ」と舌打ちされた。ちょっと落ち込む。

 あてどなく一人で歩いているのは自分だけなのだろうかとうつむいてしまう。世界に、一人ぼっちな気がしてきた。
 
 最初に勤めた小さな会社は潰れ、それ以来、職を転々とし、やっとありついた派遣の仕事もつい先日きられたばかり。そしてとうとう住む場所まで失った。

 鬱々とした気分で繁華街の雑踏を歩いていると、ふと強い視線を感じた。

 立ち止まり、顔を上げれば、道路の片隅に座る占い師。黒い布で覆われた四角い机の上には光を抑えた照明。これ心が弱っていると目が合っちゃうやつだ。

 慌てて通り過ぎようとすると「ちょっとそこの御方」と声をかけられた。振り返ると占い師が手招きしている。地味な感じの二十台半ばくらいの男性。
 彼はサラリーマンみたいなスーツを着ている。いや、どっからどう見てもサラリーマン。なんで占い師? 副業なの? もうちょっとそれらしい格好すればいいのに。


 無視しようかとも思ったけれど、人恋しいのかなぜか占い師の方へ体が吸い寄せられる。

「あなたは今人生の岐路に立っていますね」
 当たり前のことを神妙な顔でいう占い師。
「はい、立っています。そんなことを言ったら毎日が生きるか死ぬかの人生の岐路というか、瀬戸際です」

 ついうっかり答えてしまった。
 占いの見料は二千円と書いてある。私の全財産は三千円、占ってもらったら死を早めるだけ。もちろん縋りたい気持ちはある。



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