職も住処もなくした私が訳ありアパートの管理人にスカウトされました。何やら事情があるようです。

ピヨピヨ

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調査業務解決編1

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 葵はバタバタと手を動かすが、完全に憑依された舞香にのしかかられ体はびくともしない。目がかすんできたその時リンと鈴の音がきこえた。

「祓へ給え、清め給え……」

 騒動を割くように静かだが力ある言葉が響く。これは祝詞? 昔、祖母が神社にお参りにいったときに、唱えていたのを聞いたことがある。
憑依された舞香の手が緩む。すかさず葵は舞香から逃れ、げほげほと咳き込んだ。

 何とか起き上がれるようになる頃には、舞香は既に鎮まっていてピクリとも動かない。
そしてそばに男が一人立っている。

「うわっ」

 驚いて葵は飛び上がった。

「落ちついて、水原さん」

 瀧崎の声だ。

「しゃ、しゃ、社長……。今頃遅いです! ひどいです! あんまりです」

 すると瀧崎は静かに舞香を抱き上げ、彼女のベッドへ横たえた。彼女はぐったりと気を失っていた。

「とりあえず、撒いた塩の掃除をして」
「は、はい」

 葵は慌てて、返事をする。しかし、明け方なので、掃除機は使えない。葵は持参してきた箒で部屋を掃いた。なるほど箒はこの為に持たされたのかと納得する。ここが絨毯ではなくフローリングで良かった。

 一通り掃除が終わると滝崎が温かいペットボトルをよこした。最近いつも飲んでいる銘柄のカフェオレだ。

「ありがとうございます」

 葵はげっそりとした様子で受け取る。もう部屋の電気はつくようになっていたので、ダイニングだけ明かりをともす。先ほどスイッチを押してもつかなかったのはやはり霊障だったのだ。葵はぶるりと震えた。滝崎が来なかったらどうなっていたのだろう。首をへし折られていたかもしれない。

 とりあえず葵は甘ったるいカフェオレを口に含む。コーヒーの香りと濃いミルクの味にほっとさせられた。

「社長、怖かったです。私には無理かもしれません」

 つい弱気になる。それほど生霊は恐ろしかった。殺されかけたのだ。力であらがえるものではない。

「あれほど、扉を開けるなと言ったのに。それから絶対に榊は手放すな」

 確かに舞香の様子に驚きうっかり手放してしまった。

「あの、外を見て誰もいないからって、瀬戸様が開けてしまって」

 葵は少し言い訳を試みる。

「瀬戸様は霊が見えない。それを止めるのが君の役目だろう。何の為にここにいるんだ」
「…………」

 彼の言う通りだ。

「ドアを開けなければ、入ってこなかったんですね」

 葵がしょんぼりという。もしかして、首? まだひと月なのに。だが、自分にはこの仕事は向いていないかもしれない。それに怖すぎるから、首になっても。いや、まだひと月分しか働いていないし、次の職も決まってないし。葵は悶々とした。
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