冷徹社長と完璧秘書、二人きりの“業務報告”は蜜の味

どえろん

文字の大きさ
10 / 35

第10話:生涯契約の“調印式”と、新たなる戦いの序曲

しおりを挟む
「……俺と、結婚してくれ」

 静寂が戻った会議室に、俺のプロポーズの言葉が響き渡る。
 それは、勝利の熱も、会社での立場も関係ない、ただの橘 蓮という男としての、魂からの願いだった。

 雫は、俺の胸に顔をうずめたまま、小さく、小刻みに震えていた。
 やがて、ゆっくりと顔を上げた彼女の瞳は、決壊したダムのように涙で溢れていた。

「……夢、なのでしょうか」
「夢じゃない」
「わたくしが、蓮さんの、奥様に……? 何も持たない、ただの秘書だったわたくしが……?」

 まだ信じられない、と彼女の瞳が揺れる。
 長年彼女を縛り付けてきた、“自分には何もない”という劣等感の呪い。
 俺は、その呪いを、俺の愛で完全に解いてやりたかった。

「お前には、俺がいる。俺には、お前がいる。それ以上に、何か必要なものがあるか?」

 俺は彼女の涙を親指で優しく拭うと、その唇に誓いのキスを落とした。
 深く、長く、もう二度と離さないと魂に刻みつけるように。

 唇が離れた時、彼女は嗚咽混じりの声で、しかしはっきりと、俺に告げた。

「……はい……っ♡ 喜んで……! 蓮さんの、お嫁さんに、してください……っ♡♡」

 その言葉を聞いた瞬間、俺の中で最後の理性のタガが弾け飛んだ。
 勝利の興奮、愛する女が俺のものになるという歓喜、そして、これまでの全てが報われたという達成感。
 それら全てが混じり合い、抑えきれないほどの激しい衝動となって、俺を突き動かした。

「……雫」

 俺は、先程まで会社の運命を左右する書類が置かれていた、巨大なマホガニーの会議テーブルを手のひらで撫ぜた。

「ここで、俺たちの生涯契約の“調印式”を行う」
「え……? ここで……?」

 戸惑う彼女を、俺は軽々と抱き上げる。

「ああ。ここは、俺たちが共に戦い、勝利を掴んだ場所だ。そして、これから始まる俺たちの人生の、最初の舞台にふさわしい」

 俺は彼女をテーブルの中央にそっと座らせると、その前にひざまずいた。
 そして、まるで聖なる儀式のように、彼女のスカートの裾に手をかける。

「ひゃっ……♡ れ、蓮さん……役員の皆さんが、ついさっきまでここに……」
「だから良いんだろう?」

 俺は悪戯っぽく笑い、彼女のストッキング越しに、華奢な足首にキスを落とした。
 そして、まるで極上のワインを味わうように、ゆっくりとその足を舐め上げていく。

「あ、あっ……♡♡ だめ、です……そんな、場所で……♡♡」

 彼女の白い肌が、羞恥と興奮でみるみるうちに桜色に染まっていく。
 俺はストッキングをゆっくりと引き下げると、露わになった彼女の秘裂に顔をうずめた。

「これは、契約前の最終確認だ。お前が、本当に俺だけのものになるという覚悟の証を……見せてみろ」
「あ“ぁああああーーーーーっっ♡♡♡」

 雫は甲高い声を上げ、テーブルの縁を強く掴む。
 俺の舌が、勝利の甘い蜜を貪るように、激しく彼女を求め始める。
 古賀会長が座っていた椅子、役員たちが見つめていたモニター。その全てに見せつけるように、俺たちはこの神聖な場所を、二人だけの愛の祭壇へと変えていった。

「もう、むりぃ……♡ 蓮さん、の、せいで……わたくし、おかしくなっちゃう……っ♡♡」

 何度も絶頂に達し、ぐったりと身体を震わせる彼女の上に、俺は静かに覆いかぶさった。

「これから、調印だ。……俺の全てで、お前の身体にサインする。もう二度と、消えないように」

 熱く、硬い“調印”のペンが、彼女の最も柔らかな場所へとゆっくりと沈んでいく。
 それは、今までで一番深く、一番確かな、魂の結合だった。

「愛してる、雫……!」
「わたくしも……っ♡ あなただけを、愛しています……蓮さんっ……!」

 勝利の祝砲のように、肌と肌がぶつかる音が響く。
 俺たちは、会社の未来も、世間の目も、何もかもを忘れ、ただ一つの存在として溶け合った。

 永遠にも思えるほどの時間が過ぎ、俺たちが深い余韻の中で絡み合っていた、その時。

 ――ブブッ、ブブッ。

 無粋な振動音が、静寂を破った。
 俺のジャケットの内ポケットで、プライベート用の携帯が震えている。
 無視しようとしたが、執拗に鳴り続けるそれに、俺は眉をひそめて画面を見た。

 そこに表示されていた名前に、俺は息を呑んだ。

『橘 靜子』

 ……俺の、母親だった。
 何年も連絡を取っていなかった、橘の本家からだった。

 嫌な予感が、背筋を走る。
 俺は雫の乱れた髪を優しく撫で、決意を固めて通話ボタンを押した。

「……もしもし」
『蓮さん、お久しぶり。……あなた、大変なことをしてくれたそうね』

 電話の向こうから聞こえてきたのは、氷のように冷たい、しかしどこまでも気品のある母の声だった。

『あなたの個人的なスキャンダルは、橘家の恥です。……近々、一度、その“秘書”の方を連れて、実家へいらっしゃい。……お話があります』

 それは、祝福の言葉ではなかった。
 古賀会長との戦いが終わった今、俺たちの前には、もっと厄介で、もっと根深い、“家”という名の最後の敵が立ちはだかっていた。

 俺は電話を切り、腕の中で不安そうに俺を見つめる雫を、強く抱きしめた。

「……どうやら、結婚式を挙げる前に、もう一つ、片付けなきゃいけない戦いがあるらしい」

 俺の言葉に、雫は黙ってこくりと頷いた。
 その瞳には、もう怯えの色はなかった。俺の隣で戦うと決めた、強い光が宿っていた。

【続く】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

M&A成立の代償は、冷徹CEOとの夜の“特別業務”でした〜完璧な右腕(秘書)は、幼馴染の執着から逃げられない〜

どえろん
経済・企業
経営危機に陥った老舗メーカーを立て直すべく、若くしてCEOに就任した御堂 蓮(みどう れん)。その完璧な右腕として冷徹に業務を遂行する敏腕秘書の結衣(ゆい)。 社内では「氷の最強タッグ」と恐れられる二人だが、実は幼馴染。ある夜、大型買収(M&A)の成功を祝う社長室で、張り詰めていた糸が切れ、二人は“一夜の過ち”を犯してしまう。 「ビジネスパートナー」という一線を越えた日から、昼間は厳しい上司、夜は結衣を甘く縛り付ける雄へと変貌する蓮。企業戦略の裏で繰り広げられる、執着と快楽のオフィス・ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...