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授業を終えて、村瀬とともにいつもの最寄り駅へ辿り着いた。大きな駅ではなく入口はひとつしかない。ホームへと進んでいく
「なぁ~、言おうか悩んでたけど、その顔で隣歩かれると俺が相手だって勘違いされそうなんですけど~。」
やれやれといった表情で俺を見上げている。
「へっ!?どんな顔してた?」
「ぽわぽわしてるよ」
ふと背後から声がして2人して慌てて振り返る。
胸板だ!
「え!ぽわぽわってどんな...ってか、え!?」
俺が慌てふためいてる間に村瀬は、どうも~と胸板と挨拶を交わしていた
「ぽわぽわ!上手いこと表しますね!じゃ、お邪魔しちゃ悪いので俺はここまでで」
ニヤニヤと村瀬が去ろうとすると、あ、まって。と胸板が引き留めた。
「向こうに彼が居ると思うからちゃんと合流してね」
「彼?」
村瀬が誰のことか訪ねようとする前に、また背後から声がした。
「俺ですかね」
少年だ。後ろ向いたり前を向いたり俺たちは何してるんだか...
「そうそう君のことだよ。この2人は放っとくと餌食だからね。」
「やっぱり、そう思いますか」
はぁ~と、少年は、ため息混じりに言っている。なんのことを言っているのか分からない俺たちは頭の上にたくさんのクエスチョンマークを出しながら、また明日なと手を振り、村瀬はぐいぐいと押されながら別車両の場所へと移動して行った。
「同じ電車に乗るのに変な感じだな...」
「寂しい?みんなで帰る?」
ボソッと俺が呟くと胸板が遠慮がちに顔を覗き込んできた。
「わっ、えーと、....少しだけ」
「仲良いもんね、親離れ的な感じかな?」
胸板に、問いかけられ、そんな感じかもと答える。
「あ、でも逆かも。あっちが親っぽい」
俺が付け加えると胸板はハハハと笑った。
「君、見た目の割にぽわぽわしてるもんな~ところで、年下なのか年上なのかも分からないんだけど年下かな?」
たしかに!何も知らない。
「高校1年生の16歳。ていうか、それよりも名前知りたい!です!」
「確かに。名前も知らないのに付き合ってたね俺たち。俺は18歳。高3」
「年上かなとは思ってました。」
納得して頷いていると、老け顔だからね、と胸板が苦笑した。
「違います!頼れるって言うか落ち着いてるって言うか...あ、俺は森 咲也って言います」
「もりさくや...名前を呼び捨てで呼んでももいいかな?」
「もちろんです。家族以外にあまり名前で呼ばれないからすこし恥ずかしいです」
「そうなんだ?彼氏感があって嬉しい」
胸板が微笑む。....清潔感ある人だなぁ本当に。
「俺は、板野 悠生」
「ゆうせい?かっこいい名前ですね!顔に合ってます。」
「ハハハ、ありがとう。で、なんて呼んでくれるの?」
「みんなになんて呼ばれてます?」
さりげなく聞いてみた
「そうだな、実は友達がいないんだ。だから名前では呼ばれてないな。」
俺も、村瀬くらいしかいないしな...呼び捨ても気が引ける...
「悠生くん...?」
呼んでみて、表情がみたくて胸板の様子をうかがった。胸板、もとい悠生くんは大きな手のひらで自らの顔を覆っている。
「...君のそのツンとした綺麗な顔に、君付けされると...いや、ほんと君こないだの変態と同じにはなりたくないけど色気いきなりだすよね?」
は?!
「え?!よく分かんないですけど無自覚ですからね?!」
「自覚ありだったら怖いよ!敬語もやめよう、対等でいたいな」
ハハハとまた悠生くんが笑ったところで、電車が到着するアナウンスがなる。
なんとなく、2人とも無言で電車が止まるのを見ている。
付き合ってる...っていう感じはよく分からないけど、地に足がついてない感じがして、腹の奥が、妙にそわそわする。
悠生くんの隣に立っている事が嬉しくて、口元が緩む。こっそりと悠生くんの顔を見てみると横顔もキリッとしていて鼻が高くて輪郭もシュッとしていて、横から見てもしっかりとした体格がわかる。あの腕の中にいたんだよな、この間。守ってもらったんだ...と思うと、そわそわどころかギリギリと軋む。
これが、恋なのか?ただの腹痛か??こんなにも気持ちが落ち着かないもんなのか?
扉が開き電車に乗った。次の駅に備えてなるべく隅へ乗り込む。
「大丈夫か?」
悠生くんが覗き込んでくる。
「なにが?」首を傾げる俺を見て悠生くんは微笑んだ
「大丈夫そうだな。俯いて黙ってしまったから電車怖いのかと思って」
「ああ、うん。平気、それどころじゃないし」
首を傾げる悠生くん本人に、まさか、
悠生くんがとなりにいて、そわそわギリギリしててそれどころじゃありません。なんて言えないしとっさに別の内容を考えた
「悠生くんは、どこの駅で降りる?」
「咲也が降りる駅で乗り換えてもうすこし行く」
「結構遠いね」
「そうだね、わざわざ遠いところ選んだからね」
「そうなんだ?」
「地元でゲイバレしたからな…ちょっと田舎だからか、存在が浮いてしまったんだ。」
「え!俺傷口えぐった?」
あわあわと俺が慌てると悠生くんは気にしないで、と微笑んだ。
「それに、咲也も今は同性愛者だよ、平気?」
そう言って、急に無表情になった悠生くんは少し怖かった。
「それよりも、安心したかな今は。色々、あるんだろうけど俺にはまだよくわからないし。」
悠生くんの表情が、不思議そうな顔に変わる。怖くなくなった。
「上手く言えないんだけど今日は色んな表情の悠生くんが見れて嬉しいな。とか隣に立ってるだけで嬉しいなとか、そういう感情俺にもあるんだなって。自慢じゃないけど、好意って押し付けられることが多くて苦手だったけど、好意を向けて貰えて嬉しいなって素直に思える自分に安心した感じ?」
悠生くんが黙って聞いてくれている。
「それに、なにが支障なのかとかも、実際体験してみないとわからない、それを一緒に乗り越えられる人なのかとかもお試し期間で見極めるものなのかなァって思うしお互いにね」
そうこう話してるうちに次の駅に付き、人の並が押し寄せてきた。
悠生くんが俺を庇うようにして立ってくれた。
「男前だな、ますます惚れた。絶対俺の男にするしその見極めで振り落とされないように頑張るわ、覚悟して」
耳元で、悠生くんが言うその声音で俺は、そわそわともギリギリともちがう、ゾクゾクとした感覚を得た。
「なぁ~、言おうか悩んでたけど、その顔で隣歩かれると俺が相手だって勘違いされそうなんですけど~。」
やれやれといった表情で俺を見上げている。
「へっ!?どんな顔してた?」
「ぽわぽわしてるよ」
ふと背後から声がして2人して慌てて振り返る。
胸板だ!
「え!ぽわぽわってどんな...ってか、え!?」
俺が慌てふためいてる間に村瀬は、どうも~と胸板と挨拶を交わしていた
「ぽわぽわ!上手いこと表しますね!じゃ、お邪魔しちゃ悪いので俺はここまでで」
ニヤニヤと村瀬が去ろうとすると、あ、まって。と胸板が引き留めた。
「向こうに彼が居ると思うからちゃんと合流してね」
「彼?」
村瀬が誰のことか訪ねようとする前に、また背後から声がした。
「俺ですかね」
少年だ。後ろ向いたり前を向いたり俺たちは何してるんだか...
「そうそう君のことだよ。この2人は放っとくと餌食だからね。」
「やっぱり、そう思いますか」
はぁ~と、少年は、ため息混じりに言っている。なんのことを言っているのか分からない俺たちは頭の上にたくさんのクエスチョンマークを出しながら、また明日なと手を振り、村瀬はぐいぐいと押されながら別車両の場所へと移動して行った。
「同じ電車に乗るのに変な感じだな...」
「寂しい?みんなで帰る?」
ボソッと俺が呟くと胸板が遠慮がちに顔を覗き込んできた。
「わっ、えーと、....少しだけ」
「仲良いもんね、親離れ的な感じかな?」
胸板に、問いかけられ、そんな感じかもと答える。
「あ、でも逆かも。あっちが親っぽい」
俺が付け加えると胸板はハハハと笑った。
「君、見た目の割にぽわぽわしてるもんな~ところで、年下なのか年上なのかも分からないんだけど年下かな?」
たしかに!何も知らない。
「高校1年生の16歳。ていうか、それよりも名前知りたい!です!」
「確かに。名前も知らないのに付き合ってたね俺たち。俺は18歳。高3」
「年上かなとは思ってました。」
納得して頷いていると、老け顔だからね、と胸板が苦笑した。
「違います!頼れるって言うか落ち着いてるって言うか...あ、俺は森 咲也って言います」
「もりさくや...名前を呼び捨てで呼んでももいいかな?」
「もちろんです。家族以外にあまり名前で呼ばれないからすこし恥ずかしいです」
「そうなんだ?彼氏感があって嬉しい」
胸板が微笑む。....清潔感ある人だなぁ本当に。
「俺は、板野 悠生」
「ゆうせい?かっこいい名前ですね!顔に合ってます。」
「ハハハ、ありがとう。で、なんて呼んでくれるの?」
「みんなになんて呼ばれてます?」
さりげなく聞いてみた
「そうだな、実は友達がいないんだ。だから名前では呼ばれてないな。」
俺も、村瀬くらいしかいないしな...呼び捨ても気が引ける...
「悠生くん...?」
呼んでみて、表情がみたくて胸板の様子をうかがった。胸板、もとい悠生くんは大きな手のひらで自らの顔を覆っている。
「...君のそのツンとした綺麗な顔に、君付けされると...いや、ほんと君こないだの変態と同じにはなりたくないけど色気いきなりだすよね?」
は?!
「え?!よく分かんないですけど無自覚ですからね?!」
「自覚ありだったら怖いよ!敬語もやめよう、対等でいたいな」
ハハハとまた悠生くんが笑ったところで、電車が到着するアナウンスがなる。
なんとなく、2人とも無言で電車が止まるのを見ている。
付き合ってる...っていう感じはよく分からないけど、地に足がついてない感じがして、腹の奥が、妙にそわそわする。
悠生くんの隣に立っている事が嬉しくて、口元が緩む。こっそりと悠生くんの顔を見てみると横顔もキリッとしていて鼻が高くて輪郭もシュッとしていて、横から見てもしっかりとした体格がわかる。あの腕の中にいたんだよな、この間。守ってもらったんだ...と思うと、そわそわどころかギリギリと軋む。
これが、恋なのか?ただの腹痛か??こんなにも気持ちが落ち着かないもんなのか?
扉が開き電車に乗った。次の駅に備えてなるべく隅へ乗り込む。
「大丈夫か?」
悠生くんが覗き込んでくる。
「なにが?」首を傾げる俺を見て悠生くんは微笑んだ
「大丈夫そうだな。俯いて黙ってしまったから電車怖いのかと思って」
「ああ、うん。平気、それどころじゃないし」
首を傾げる悠生くん本人に、まさか、
悠生くんがとなりにいて、そわそわギリギリしててそれどころじゃありません。なんて言えないしとっさに別の内容を考えた
「悠生くんは、どこの駅で降りる?」
「咲也が降りる駅で乗り換えてもうすこし行く」
「結構遠いね」
「そうだね、わざわざ遠いところ選んだからね」
「そうなんだ?」
「地元でゲイバレしたからな…ちょっと田舎だからか、存在が浮いてしまったんだ。」
「え!俺傷口えぐった?」
あわあわと俺が慌てると悠生くんは気にしないで、と微笑んだ。
「それに、咲也も今は同性愛者だよ、平気?」
そう言って、急に無表情になった悠生くんは少し怖かった。
「それよりも、安心したかな今は。色々、あるんだろうけど俺にはまだよくわからないし。」
悠生くんの表情が、不思議そうな顔に変わる。怖くなくなった。
「上手く言えないんだけど今日は色んな表情の悠生くんが見れて嬉しいな。とか隣に立ってるだけで嬉しいなとか、そういう感情俺にもあるんだなって。自慢じゃないけど、好意って押し付けられることが多くて苦手だったけど、好意を向けて貰えて嬉しいなって素直に思える自分に安心した感じ?」
悠生くんが黙って聞いてくれている。
「それに、なにが支障なのかとかも、実際体験してみないとわからない、それを一緒に乗り越えられる人なのかとかもお試し期間で見極めるものなのかなァって思うしお互いにね」
そうこう話してるうちに次の駅に付き、人の並が押し寄せてきた。
悠生くんが俺を庇うようにして立ってくれた。
「男前だな、ますます惚れた。絶対俺の男にするしその見極めで振り落とされないように頑張るわ、覚悟して」
耳元で、悠生くんが言うその声音で俺は、そわそわともギリギリともちがう、ゾクゾクとした感覚を得た。
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