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第84話 でも、でも、リーリエ一筋だもん

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(ちょ、ライナー、お前、お前いつ帰ってきてたんだ!
絶対見てた!絶対に見てた!)

「うあああああああああああぁぁぁぁぁ!」

休憩所を疾走していくジュードを、ポカンとした顔で、見ていた部隊の人々は感心していた。

「ルクセンドルトラックの王子はこんな時にも鍛練を欠かさないようだ!ようし、俺たちも、飲み終えたやつから、体暖めるぞ!」


戦争をしている間に季節は過ぎて少し肌寒くなっていた。
来月はマリー達の赤ちゃんの出産予定月だ。


「はぁ、はぁ、はぁ、...。ああああああああああ。」






なんか、昨日の記憶がはっきり残ってるから、ルーイと、一緒に居てると、恥ずかしくて、たまんないのに

あいつめー。

掘り返しやがって...。

なるべく意識しないようにしてたのに、どんな顔して話せば良いんだよ...。ハッ。

これリーリエにばれたらヤバくね?

え、ヤバくね?

え、これどうでしょう?

どうなのこれ?


俺、リーリエと一つになるのが夢だったのに...。



え、これもしかしてもしかすると、俺の知らないざまぁルート?


え、でもリーリエと婚約破棄してないよ?

え、これどーいうアレなの?



ぐるぐるぐるぐる、目が回り始めたジュード。ふらふらしてきた。

後ろから走ってきた隊員達が気付いて走りよる。

「どうされました?大丈夫ですか?」

「...。も、ダメかも...。」



ふらりと倒れこむジュードを走りより、支えたのはライナーだった。


「ジュード様大丈夫ですか?ちょっと、睡眠不足なんですから、自重しないと...。」


「ううう...。お前って、そういう奴だよな...。」


「全く。手がかかるお人だ。」


そう言いながら、ジュードをお姫様抱っこをして、テントに戻っていく姿は、美麗だったという。


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