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第六章 偽り
筋書き
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「なになに!? 何処まで行くの!?」
「まぁまぁ、いいじゃないのぉ。久しぶりに男同士で……さ?」
「何か怖い!?」
俺は、コウヤの首に腕を回し、城の中庭まで仲良く連行していった。
「まぁ、ここならいいだろう」
「げほげほっ……扱いが雑だよ!?」
そこで俺は、コウヤをじっと見つめる。
「な……なに?」
「師匠! 助けてくれ!」
「だから、意味が分かんないんだって!?」
「察しろ!」
「雑い!?」
コウヤがあまりにも察しが悪いので、鍛治師の村で、勇者達が帰ってからの出来事を話した。
「えっと……何してんの?」
「えっと……何してんだろうね?」
俺は、コウヤの素直な疑問に答えられず、疑問で返す事になった。
「取り敢えずだな、コウヤって元の世界でもリア充イケメンクソヤロウだっただろ? ここでも、エルミアといい感じのリア充クソヤロウじゃん? だから、上手くこう色々まとまるような手段を知ってると思ってさ。知ってるよな? 知ってるって言ってくれるよな?」
「目力が本気過ぎる上に、何気にクソヤロウ言い過ぎ!?」
「細かい事を気にするなって。で、マジでどうしたらいい?」
俺は、軽口をやめてコウヤ懇願の目を向ける。
「どうするって言ったって、聞いた感じじゃ、既に詰んでいる様にしか……ごはっ!」
俺は、コウヤの肩をがっしり掴み再度、聞き直す。
「ドウシタライイ?」
「近い近い!? 分かったから! 考えるから!」
「そうか! やっぱり、男友達ってのは有難いな!」
「……そうだね」
「ん? どうかしたか?」
「いや、何でもないよ!」
そこから、俺とコウヤは今の状況をどの様に改善するべきなのかを話し合った。
「結論としては、結局ヤナが『約束破って女を捨てるクソヤロウ』になるか、『約束守ってハーレムクソヤロウ』になるかの二択みたいだね」
「がはっ……クソヤロウが、ブーメランしてきやがった……」
「まぁ、ここは異世界で、相手が複数いるのは珍しくないみたいだし、いいんじゃない? それにヤナだって、別に相手が嫌いってわけじゃないんでしょ?」
「お前、召喚者の癖にえらいオープンで先進的な感じだな……」
俺は、コウヤの言い方に驚愕していると、コウヤは苦笑していた。
「僕がいた家は、結構特殊だったからさ……」
「特殊?」
「まぁ、そんな事はいいじゃない! 兎に角、その辺は僕がどう思うかってより、シラユキとルイとアリスがどう思うかじゃない? 三人にGの如き目で見られる事に耐えれば、ハーレムでもありじゃない?」
「……スキルに、頼ろうかな……」
「きっとヤナなら、最後には何とか出来るって」
コウヤがニッコリと微笑みながら、そう言うものだから、一瞬その笑顔に見とれそうになったところで、ヤナビの囁きが聞こえた。
「マスター、今度はソッチですか?」
「いやぁあああああ! 違う! 違うんだぁあああああ!」
俺は、コウヤをその場に置いて駆け出した。
「はぁ……僕の方こそ、詰んでいるよね…」
コウヤの空を見上げながら呟かれた言葉は、この時の俺の耳には届くことはなく、青い空に吸い込まれていった。
元の部屋に戻り、取り敢えず俺の用事は終わった事を伝えると、セアラの報告も終わった所だったらしい。
「王と大臣がいないが、あの二人に直接報告しなくていいのか?」
「「「え?」」」
「いや、だから王と大臣に……あぁ、うん、俺は何も見なかった。何も見ていない。さぁ、用事も済んだし、行くぞ」
部屋の隅におっさん二人が、結界の様なものに閉じ込められ、ぎゅうぎゅう詰めになっている姿が見えた気がしたが、スルーした。
勇者達は、この後王都で少し休んだら迷宮都市国家デキスに向かうらしく、一度西都イスタルに寄って、その後王都には戻らず、迷宮でレベリングを行うそうだ。
「俺も迷宮都市国家デキスには行ってみたいと思っているから、そっちでまた会うかもな」
「またその時には、『契約』してる女の子が増えてたりしてね!」
「ハハハ、ルイは何ヲイッテイルンダ?」
「ヤナ君……」
「やめて、そんな目を向けないで!」
シラユキから、半眼の厳しい目線を頂いた所で、俺は逃げる様に城を後にした。
俺たちは、昼まで薬屋や食料品を物色しながら買い漁り、昼飯を屋台で食べた後にギルドへと向かった。
ギルドの受付に行くと、ラビナから竜達の解体と査定の結果が出たので、ガストフ支部長室へ行って欲しいと言われ、俺は支部長室へと向かった。
扉をノックし名乗ると、中からガストフ支部長が中に入るようにと、声が聞こえた。
「どうだった?」
「あぁ、やはりかなりの良素材だな。氷雪竜の内臓系は最高級の回復薬の素材になるだろう。本体の皮は竜にしては柔そうだったが、本来の皮であろうモドキ達の氷と雪に酷似した外皮は、鎧や盾を作成するのに上等な素材だな。後は牙や爪なんかは、ナイフ系や投擲するのに良い武器の素材になりそうだな」
「へぇ、やっぱり竜ってのは、素材の塊みたいもんなんだな」
「そうだ、飛竜でさえも、この辺じゃ中々お目にかかれんしな。その上、今回は上位種の氷雪竜だからな、全て何かの素材になる。そこでだ、本体の方の素材も幾らかギルドに売ってくれんか?」
「あぁ、いいぞ。量が少ない貴重な部分以外の、比較的量が取れそうな部位は、全て半分はギルドに売却でいい」
「そうか! それは、助かる! それでだ、売却額の件なんだが……」
「そっちの査定額でいい。特に金には困ってないしな、あんたを信用しておくよ」
「わかった。最終的な詳細はラビナに伝えておくから、そっちから聞いてくれ。あと一つ、話があるんだが、時間はいいか?」
ガストフ支部長は、商談がひと段落しホッとした顔から一転して、真剣な顔になっていた。
「ん? いいぞ。なんだ?」
「北の魔物の大氾濫を防いだ功績と今回の氷雪竜討伐の功績を持って、お前さんをAランクへのランクアップを推薦しようと思っている。それでだ、お前さんにはギルド本部に出向いて、Aランクのランクアップ試験を受けて貰いたい」
Aランク以上へのランクアップは、所属する支部のギルド長の推薦を受けないと、そもそもランクアップ試験が受けられない。それをガストフ支部長は、推薦を出すので俺にAランクへのランクアップ試験を受ける様に伝えてきた。
「氷雪竜討伐は、俺だけじゃないけどいいのか?」
「あぁ、問題ない。既に北都ノスティ支部ギルド経由で、お前さんとディアナ、カヤミでの討伐は事実確認はしている。それにだ、元々北の魔物の大氾濫を食い止めた功績だけで十分だったんだが、あまりもそれ自体がアレな話でな、本部の査定部門から信憑性にかけると言われてしまってな」
「アレな話?」
「『そんな事をする様な、頭がイカれた奴が居るわけない』ってな。クックック、まぁ証拠もないしな、誰かさんが迷宮周辺を壊滅的に破壊してくれたものだから、何にも残っとらんかったからな」
「……それなら、うん、仕方がないな。で、すぐに向かえばいいのか?」
「いや、今回の氷雪竜の件も合わせての推薦だから、大丈夫だと思うが受理には少し時間がかかるだろう。受理されたら、呼出で連絡してやるから、それまで好きにしていてくれていい。まぁ、そんなに時間はかからんだろうから、ゆっくり本部のあるデキスへと向かってくれていいがな」
「そうか、ならどうせデキスには行こうと思ってたし、ゆっくり向かうとするさ」
ガストフ支部長との話を終えて、受付に戻ると既視感を感じる様に、四人が固まっていたが、今度は俺が声をかける前に、何故か円陣を組み出した。
「絶対採取するわよ!」
「「おぉ!」」
「えらい気合い入ってんな。なんの採取クエストなんだ?」
「「「ひゃぁ! いつからそこに!」」」
「いやいや、お前らが円陣組んでるから、話しかけるの少し待ってただけだよ」
俺は、既視感を思い切り感じながらも、ガストフ支部長の話を三人に聞かせた。
「あなたもいよいよ、Aランクになるわけね」
「まだ試験を受けられるか、分からんけどな。それでだ、一応ガストフ支部長の話だと大丈夫だという話だから、取り敢えず迷宮都市国家デキスまで向かおうと思うんだが……」
「「「是非に!」」」
いきなり三人同時に、熱意のこもった同意を得て、驚いているとアシェリが確認してくる。
「デキスに向かうという事は、西都イスタルに、まず行くということですよね?」
「あぁ、そうなるな」
「よし!」
「さっきから、何をそんなに気合を入れているんだ?」
俺が三人の行動を訝しんでいると、ラビナが口を開こうとした。
「三人は、特殊効能薬草のリンゼイツ草を……イエ何モシリマセン……ガタガタ」
「何を震えているんだ?」
「ひぃ!? 何も聞かないで下さい! 私は何も知らないし、見てません!」
俺の後ろを見ながら、怯えるラビナを見て、振り返るがニコニコ笑顔の三人しかいなかった。
「まぁ、よく分からんが、取り敢えず西都イスタルに向かうか」
「「「はい!」」」
「……何なんだ?」
「旦那様! 大変です! ライ様を誘拐するとの予告状が、届きました!」
「何だと! 直ちに、護衛の強化とギルドへ犯人探しのクエストを依頼しろ!」
「は! 直ちに!」
西都イスタルの豪商キンナリは、執事のセバスに指示を出したあと、椅子に深く腰をかけ直した。
「うちのライを誘拐しようとする輩なぞ、捕まえて血祭りにあげてくれるわ」
そして筋書きのある物語が幕を開けた
「まぁまぁ、いいじゃないのぉ。久しぶりに男同士で……さ?」
「何か怖い!?」
俺は、コウヤの首に腕を回し、城の中庭まで仲良く連行していった。
「まぁ、ここならいいだろう」
「げほげほっ……扱いが雑だよ!?」
そこで俺は、コウヤをじっと見つめる。
「な……なに?」
「師匠! 助けてくれ!」
「だから、意味が分かんないんだって!?」
「察しろ!」
「雑い!?」
コウヤがあまりにも察しが悪いので、鍛治師の村で、勇者達が帰ってからの出来事を話した。
「えっと……何してんの?」
「えっと……何してんだろうね?」
俺は、コウヤの素直な疑問に答えられず、疑問で返す事になった。
「取り敢えずだな、コウヤって元の世界でもリア充イケメンクソヤロウだっただろ? ここでも、エルミアといい感じのリア充クソヤロウじゃん? だから、上手くこう色々まとまるような手段を知ってると思ってさ。知ってるよな? 知ってるって言ってくれるよな?」
「目力が本気過ぎる上に、何気にクソヤロウ言い過ぎ!?」
「細かい事を気にするなって。で、マジでどうしたらいい?」
俺は、軽口をやめてコウヤ懇願の目を向ける。
「どうするって言ったって、聞いた感じじゃ、既に詰んでいる様にしか……ごはっ!」
俺は、コウヤの肩をがっしり掴み再度、聞き直す。
「ドウシタライイ?」
「近い近い!? 分かったから! 考えるから!」
「そうか! やっぱり、男友達ってのは有難いな!」
「……そうだね」
「ん? どうかしたか?」
「いや、何でもないよ!」
そこから、俺とコウヤは今の状況をどの様に改善するべきなのかを話し合った。
「結論としては、結局ヤナが『約束破って女を捨てるクソヤロウ』になるか、『約束守ってハーレムクソヤロウ』になるかの二択みたいだね」
「がはっ……クソヤロウが、ブーメランしてきやがった……」
「まぁ、ここは異世界で、相手が複数いるのは珍しくないみたいだし、いいんじゃない? それにヤナだって、別に相手が嫌いってわけじゃないんでしょ?」
「お前、召喚者の癖にえらいオープンで先進的な感じだな……」
俺は、コウヤの言い方に驚愕していると、コウヤは苦笑していた。
「僕がいた家は、結構特殊だったからさ……」
「特殊?」
「まぁ、そんな事はいいじゃない! 兎に角、その辺は僕がどう思うかってより、シラユキとルイとアリスがどう思うかじゃない? 三人にGの如き目で見られる事に耐えれば、ハーレムでもありじゃない?」
「……スキルに、頼ろうかな……」
「きっとヤナなら、最後には何とか出来るって」
コウヤがニッコリと微笑みながら、そう言うものだから、一瞬その笑顔に見とれそうになったところで、ヤナビの囁きが聞こえた。
「マスター、今度はソッチですか?」
「いやぁあああああ! 違う! 違うんだぁあああああ!」
俺は、コウヤをその場に置いて駆け出した。
「はぁ……僕の方こそ、詰んでいるよね…」
コウヤの空を見上げながら呟かれた言葉は、この時の俺の耳には届くことはなく、青い空に吸い込まれていった。
元の部屋に戻り、取り敢えず俺の用事は終わった事を伝えると、セアラの報告も終わった所だったらしい。
「王と大臣がいないが、あの二人に直接報告しなくていいのか?」
「「「え?」」」
「いや、だから王と大臣に……あぁ、うん、俺は何も見なかった。何も見ていない。さぁ、用事も済んだし、行くぞ」
部屋の隅におっさん二人が、結界の様なものに閉じ込められ、ぎゅうぎゅう詰めになっている姿が見えた気がしたが、スルーした。
勇者達は、この後王都で少し休んだら迷宮都市国家デキスに向かうらしく、一度西都イスタルに寄って、その後王都には戻らず、迷宮でレベリングを行うそうだ。
「俺も迷宮都市国家デキスには行ってみたいと思っているから、そっちでまた会うかもな」
「またその時には、『契約』してる女の子が増えてたりしてね!」
「ハハハ、ルイは何ヲイッテイルンダ?」
「ヤナ君……」
「やめて、そんな目を向けないで!」
シラユキから、半眼の厳しい目線を頂いた所で、俺は逃げる様に城を後にした。
俺たちは、昼まで薬屋や食料品を物色しながら買い漁り、昼飯を屋台で食べた後にギルドへと向かった。
ギルドの受付に行くと、ラビナから竜達の解体と査定の結果が出たので、ガストフ支部長室へ行って欲しいと言われ、俺は支部長室へと向かった。
扉をノックし名乗ると、中からガストフ支部長が中に入るようにと、声が聞こえた。
「どうだった?」
「あぁ、やはりかなりの良素材だな。氷雪竜の内臓系は最高級の回復薬の素材になるだろう。本体の皮は竜にしては柔そうだったが、本来の皮であろうモドキ達の氷と雪に酷似した外皮は、鎧や盾を作成するのに上等な素材だな。後は牙や爪なんかは、ナイフ系や投擲するのに良い武器の素材になりそうだな」
「へぇ、やっぱり竜ってのは、素材の塊みたいもんなんだな」
「そうだ、飛竜でさえも、この辺じゃ中々お目にかかれんしな。その上、今回は上位種の氷雪竜だからな、全て何かの素材になる。そこでだ、本体の方の素材も幾らかギルドに売ってくれんか?」
「あぁ、いいぞ。量が少ない貴重な部分以外の、比較的量が取れそうな部位は、全て半分はギルドに売却でいい」
「そうか! それは、助かる! それでだ、売却額の件なんだが……」
「そっちの査定額でいい。特に金には困ってないしな、あんたを信用しておくよ」
「わかった。最終的な詳細はラビナに伝えておくから、そっちから聞いてくれ。あと一つ、話があるんだが、時間はいいか?」
ガストフ支部長は、商談がひと段落しホッとした顔から一転して、真剣な顔になっていた。
「ん? いいぞ。なんだ?」
「北の魔物の大氾濫を防いだ功績と今回の氷雪竜討伐の功績を持って、お前さんをAランクへのランクアップを推薦しようと思っている。それでだ、お前さんにはギルド本部に出向いて、Aランクのランクアップ試験を受けて貰いたい」
Aランク以上へのランクアップは、所属する支部のギルド長の推薦を受けないと、そもそもランクアップ試験が受けられない。それをガストフ支部長は、推薦を出すので俺にAランクへのランクアップ試験を受ける様に伝えてきた。
「氷雪竜討伐は、俺だけじゃないけどいいのか?」
「あぁ、問題ない。既に北都ノスティ支部ギルド経由で、お前さんとディアナ、カヤミでの討伐は事実確認はしている。それにだ、元々北の魔物の大氾濫を食い止めた功績だけで十分だったんだが、あまりもそれ自体がアレな話でな、本部の査定部門から信憑性にかけると言われてしまってな」
「アレな話?」
「『そんな事をする様な、頭がイカれた奴が居るわけない』ってな。クックック、まぁ証拠もないしな、誰かさんが迷宮周辺を壊滅的に破壊してくれたものだから、何にも残っとらんかったからな」
「……それなら、うん、仕方がないな。で、すぐに向かえばいいのか?」
「いや、今回の氷雪竜の件も合わせての推薦だから、大丈夫だと思うが受理には少し時間がかかるだろう。受理されたら、呼出で連絡してやるから、それまで好きにしていてくれていい。まぁ、そんなに時間はかからんだろうから、ゆっくり本部のあるデキスへと向かってくれていいがな」
「そうか、ならどうせデキスには行こうと思ってたし、ゆっくり向かうとするさ」
ガストフ支部長との話を終えて、受付に戻ると既視感を感じる様に、四人が固まっていたが、今度は俺が声をかける前に、何故か円陣を組み出した。
「絶対採取するわよ!」
「「おぉ!」」
「えらい気合い入ってんな。なんの採取クエストなんだ?」
「「「ひゃぁ! いつからそこに!」」」
「いやいや、お前らが円陣組んでるから、話しかけるの少し待ってただけだよ」
俺は、既視感を思い切り感じながらも、ガストフ支部長の話を三人に聞かせた。
「あなたもいよいよ、Aランクになるわけね」
「まだ試験を受けられるか、分からんけどな。それでだ、一応ガストフ支部長の話だと大丈夫だという話だから、取り敢えず迷宮都市国家デキスまで向かおうと思うんだが……」
「「「是非に!」」」
いきなり三人同時に、熱意のこもった同意を得て、驚いているとアシェリが確認してくる。
「デキスに向かうという事は、西都イスタルに、まず行くということですよね?」
「あぁ、そうなるな」
「よし!」
「さっきから、何をそんなに気合を入れているんだ?」
俺が三人の行動を訝しんでいると、ラビナが口を開こうとした。
「三人は、特殊効能薬草のリンゼイツ草を……イエ何モシリマセン……ガタガタ」
「何を震えているんだ?」
「ひぃ!? 何も聞かないで下さい! 私は何も知らないし、見てません!」
俺の後ろを見ながら、怯えるラビナを見て、振り返るがニコニコ笑顔の三人しかいなかった。
「まぁ、よく分からんが、取り敢えず西都イスタルに向かうか」
「「「はい!」」」
「……何なんだ?」
「旦那様! 大変です! ライ様を誘拐するとの予告状が、届きました!」
「何だと! 直ちに、護衛の強化とギルドへ犯人探しのクエストを依頼しろ!」
「は! 直ちに!」
西都イスタルの豪商キンナリは、執事のセバスに指示を出したあと、椅子に深く腰をかけ直した。
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そして筋書きのある物語が幕を開けた
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