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第8話 きっかけ
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「我に……相棒だと? 確かに我は一人で動けぬ以上、誰か別の者と行動を共にしなければならぬが……お主が、我と共に行動してくれると言うのか?」
「え?……あぁ、そうだった、そうだった。かわいい子には、旅をさせろというだろ? 試しにカンを、ポイっと何処かへ送りこもうかと思ってるんだけど、良いよね?」
「は? 話が急に飛んでないか? 言葉のキャッチボールが、全く出来ておらぬぞ? 相棒がどうとか言うのは、どうしたのだ」
イチカとの噛み合わない会話にカンが混乱していると、そんな事には全く構わずにイチカは両手をデスクの上に置いた。
そして、魔力を両手の掌に集中し始めると、徐々にカンの足元に魔法陣が浮かび始めた。
「おい、これはなんだ!? 何をする気なのだ!?」
「何をするって、カンの相棒を探す旅にでるんじゃないか。そんなに驚く事でもないよ、ここにはカンの相棒になろうとする者がいないってことは、探しに行くしかないでしょ?」
「いやいやいや、いきなり旅とか言われても唐突過ぎるわ。そもそも相棒なら、お主がなれば良いではないか。我をこんな空き缶に、転生させた元凶であるのだぞ? 責任取るのだ、責任を。誠意を見せてみよ」
「何が悲しくて、空き缶なんかの相棒にならなくちゃいけないのさ。僕は、行く先々でボコボコになるカンを肴に、笑いながらコーヒーを飲みたいんだよ」
「鬼畜か貴様ぁああ!」
カタカタと震えながら全身で怒りを表現するカンに対して、全く悪びれる様子もないイチカは、軽い口調で言葉を続けた。
「大丈夫、大丈夫。なんとかなるって。魔王……目指すんだろ?」
「まぁ、そうなのだが。ちょいちょいお主の言動に、悪意を感じるのだが……な!? 身体が光に包まれた!?」
「では、行ってらっしゃい」
「カァアアアアアアン……」
カンのボディが輝き始めると、その輝きは次第に強くなり、遂には光の中に消えてカンは見えなくなっていくのだった。
「……は!? ここは……公園?」
『目を覚ましたようだね、カン』
先ほどまでの鮮烈な光が消えると、やっとカンは周りの景色が見えるようになった。
そして周りを見渡した結果、ここが"公園"である事を把握したのだった。現状の場所を正確にではないものの、大体はどんな所にいるのか理解したカンに、どこからともなく声が聞こえてきた。
「その声は、イチカであるな! 我を何処に、飛ばしたのだ!」
『君の夢を叶える為の、有能なるコーチに向かって、随分な口のききかたじゃないか』
「……コーチ……って、お主が我の指導者だと!? もっと言えば、魔王になる為の指導ってなんぞや!?」
『君を召喚したのは、僕だし。全力で応援しようと思ってね。最初の転移だし、サービスでボディも綺麗に直しておいたよ。初回限定レッスン時の、サービス的なものと思ってくれたら嬉しいな』
「おぉお! 初回限定キタぁあああ! ではないわ! 元に戻せるなら、力尽くで引っ張ったりせずに、始めから直せ!」
『そう興奮していると周りが見えなくなるよ?……"カンは、自分の夢を実現させる為の指導者がいた事に喜ぶ余り、自分が置かれている状況に気づいていなかった"……』
「ん? イチカよ何なのだ、いきなり説明口調になりよって」
カンに聞こえてくるイチカの声が、突如としてナレーションのように説明口調となった。
カンはイチカの変貌に不気味さ感じ不安を覚え、変調ぶりを問い質した。しかし、なおもイチカのナレーションは続いたのだった。
『"そして、カンが強くなる最初の試練が、今まさに訪れようとしていた"……と言ったところで、良いかな。カンの相棒なんだけどね、僕は嫌だから他の誰かを探そうと思うんだけど、その為には出会いが大事だと僕は思うんだ』
「いや、だから、お主はさっきから何を……」
『出会いのきっかけは、僕が作ってあげるから、心配しなくて大丈夫。カンを魔王……的なものへと導く為に、僕も全力で支援するよ」
自分の神核の欠片を持っているカンの視界を、イチカは"感覚共有化"により除き見ることが出来た。
そして、カンはイチカの神核の欠片を有している事により、自覚は無いがイチカの持っている知識も共有化している状態になっていた。
イチカが深い記憶や重要な知識などには、自身の神核の欠片を持っているカンであっても読み取れない様にプロテクトをかけているが、それ以外の一般知識的なものはカンも自然と持っている状態で転生したのだった。
その為、逆に知っているが故に、この後の展開に絶望する事になるのであった。
「今だぁ!」
「え? カァアアアアアアン!?」
誰かに思い切り良く蹴飛ばされたカンは、空中を飛びながらイチカの声を聞いた。
『そこはね、カンがちゃんと誰かとコミュニケーション取れる様に、そこの公園限定だけど"子供達の遊びで缶蹴りが物凄く流行っている公園"になる様に、"限定的強制誘導区域"に改竄しておいたからね。嬉しいだろ?』
「ここは地獄カァアアアアアアン!? 缶蹴りぃいいい!?」
・・・・・・・
名前: カン
種族: 喋る空き缶(Lv.1)
体力: 9(最大10)
技能: 全言語理解
状態: 側面に凹み
現在地: 缶蹴りが物凄く流行っている公園
・・・・・・・
「え?……あぁ、そうだった、そうだった。かわいい子には、旅をさせろというだろ? 試しにカンを、ポイっと何処かへ送りこもうかと思ってるんだけど、良いよね?」
「は? 話が急に飛んでないか? 言葉のキャッチボールが、全く出来ておらぬぞ? 相棒がどうとか言うのは、どうしたのだ」
イチカとの噛み合わない会話にカンが混乱していると、そんな事には全く構わずにイチカは両手をデスクの上に置いた。
そして、魔力を両手の掌に集中し始めると、徐々にカンの足元に魔法陣が浮かび始めた。
「おい、これはなんだ!? 何をする気なのだ!?」
「何をするって、カンの相棒を探す旅にでるんじゃないか。そんなに驚く事でもないよ、ここにはカンの相棒になろうとする者がいないってことは、探しに行くしかないでしょ?」
「いやいやいや、いきなり旅とか言われても唐突過ぎるわ。そもそも相棒なら、お主がなれば良いではないか。我をこんな空き缶に、転生させた元凶であるのだぞ? 責任取るのだ、責任を。誠意を見せてみよ」
「何が悲しくて、空き缶なんかの相棒にならなくちゃいけないのさ。僕は、行く先々でボコボコになるカンを肴に、笑いながらコーヒーを飲みたいんだよ」
「鬼畜か貴様ぁああ!」
カタカタと震えながら全身で怒りを表現するカンに対して、全く悪びれる様子もないイチカは、軽い口調で言葉を続けた。
「大丈夫、大丈夫。なんとかなるって。魔王……目指すんだろ?」
「まぁ、そうなのだが。ちょいちょいお主の言動に、悪意を感じるのだが……な!? 身体が光に包まれた!?」
「では、行ってらっしゃい」
「カァアアアアアアン……」
カンのボディが輝き始めると、その輝きは次第に強くなり、遂には光の中に消えてカンは見えなくなっていくのだった。
「……は!? ここは……公園?」
『目を覚ましたようだね、カン』
先ほどまでの鮮烈な光が消えると、やっとカンは周りの景色が見えるようになった。
そして周りを見渡した結果、ここが"公園"である事を把握したのだった。現状の場所を正確にではないものの、大体はどんな所にいるのか理解したカンに、どこからともなく声が聞こえてきた。
「その声は、イチカであるな! 我を何処に、飛ばしたのだ!」
『君の夢を叶える為の、有能なるコーチに向かって、随分な口のききかたじゃないか』
「……コーチ……って、お主が我の指導者だと!? もっと言えば、魔王になる為の指導ってなんぞや!?」
『君を召喚したのは、僕だし。全力で応援しようと思ってね。最初の転移だし、サービスでボディも綺麗に直しておいたよ。初回限定レッスン時の、サービス的なものと思ってくれたら嬉しいな』
「おぉお! 初回限定キタぁあああ! ではないわ! 元に戻せるなら、力尽くで引っ張ったりせずに、始めから直せ!」
『そう興奮していると周りが見えなくなるよ?……"カンは、自分の夢を実現させる為の指導者がいた事に喜ぶ余り、自分が置かれている状況に気づいていなかった"……』
「ん? イチカよ何なのだ、いきなり説明口調になりよって」
カンに聞こえてくるイチカの声が、突如としてナレーションのように説明口調となった。
カンはイチカの変貌に不気味さ感じ不安を覚え、変調ぶりを問い質した。しかし、なおもイチカのナレーションは続いたのだった。
『"そして、カンが強くなる最初の試練が、今まさに訪れようとしていた"……と言ったところで、良いかな。カンの相棒なんだけどね、僕は嫌だから他の誰かを探そうと思うんだけど、その為には出会いが大事だと僕は思うんだ』
「いや、だから、お主はさっきから何を……」
『出会いのきっかけは、僕が作ってあげるから、心配しなくて大丈夫。カンを魔王……的なものへと導く為に、僕も全力で支援するよ」
自分の神核の欠片を持っているカンの視界を、イチカは"感覚共有化"により除き見ることが出来た。
そして、カンはイチカの神核の欠片を有している事により、自覚は無いがイチカの持っている知識も共有化している状態になっていた。
イチカが深い記憶や重要な知識などには、自身の神核の欠片を持っているカンであっても読み取れない様にプロテクトをかけているが、それ以外の一般知識的なものはカンも自然と持っている状態で転生したのだった。
その為、逆に知っているが故に、この後の展開に絶望する事になるのであった。
「今だぁ!」
「え? カァアアアアアアン!?」
誰かに思い切り良く蹴飛ばされたカンは、空中を飛びながらイチカの声を聞いた。
『そこはね、カンがちゃんと誰かとコミュニケーション取れる様に、そこの公園限定だけど"子供達の遊びで缶蹴りが物凄く流行っている公園"になる様に、"限定的強制誘導区域"に改竄しておいたからね。嬉しいだろ?』
「ここは地獄カァアアアアアアン!? 缶蹴りぃいいい!?」
・・・・・・・
名前: カン
種族: 喋る空き缶(Lv.1)
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現在地: 缶蹴りが物凄く流行っている公園
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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