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第15話 常時発動M型
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「今日は、すこぶる良い天気だそうだよ」
「うむ、まさに晴天といったところだの」
書斎窓から見える青空を見ながら、唐突に天気の話を始めたイチカに、カンは思わず言葉を返していた。
「旅立ちには、うってつけだね!」
「待てぇえええ!」
しかし、"旅"というキーワードが出てきた時点で嫌な予感を感じた為、焦りながら話を止めたのだった。
「何だよ!」
「怒りたいのは、我の方なんだが……まぁ、良い。我のステータスにある技能にある〝言語理解〟は分かるが、この〝常時発動M型(凹み耐性Lv.1)〟とは何ぞ?」
取り敢えず、またカンをどっかに旅立たせ、その様子をコーヒーでも飲みながら楽しもうと思っていたイチカは、カンに話の流れを止められてイラついていた。
カンは、そろそろ慣れてきたイチカの理不尽さをスルーすると、自身のボディに記載されたステータス中に、名前からでは想像が難しいスキルについて、イチカに尋ねたのだった。
「公園であまりにも変態し過ぎて、その結果として子供を本気で泣かせたでしょ。凹まされて興奮するような空き缶なんだから、きっとその時に取得じゃない?」
「は?……興奮しておらんわぁああ! 泣かしたのは、確かに事実だが!」
「まぁ、事実なんだから良いじゃない。正直、カンのスキルを取得した理由とか、そんな興味無いし」
「おのれぇ……」
イチカの言葉に、人の身であれば額に青筋でも浮き上がっていそうな程に苛立つカンであったが、イチカの言葉には偽りはなかった。
カンは、他者に深い傷を刻みつけた行為と、子供や高校生達に蹴られる度に興奮していた結果として、"世界の理"はカンに新たなるスキルを取得させていた。
そして、取得した『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』は、カン以外には取得している者はいない所謂ユニークスキルと呼ばれるものであった。
当然、イチカはその事実に気づいているばかりか、自身の能力である『天衣無縫』により、カンの魂に対して『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』を取得するように改竄していたのだった。
カンの魂を改竄したタイミングとしては、かっちゃんに自分を踏ませる事を執拗に要求していた時だった。
元々イチカは、カンに何か面白い能力を持たせようと考えていた為に、そのタイミングで能力を思いつき、それを取得出来るようにカンの魂を弄っていたのだった。
本来は、如何に創造者であるイチカであっても、他者の魂をこんな思いつきで改竄できるものでは無い。
しかし、カンは自身の神核を分け与えた存在である為に、割と簡単に力が通じたのだった。
「まぁ、良い……お主の理不尽さに多少なりとも慣れつつある我が哀れだが……して、その『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』とは、どんな能力なのだ?」
「常時発動M型(凹み耐性Lv.1)とは、誰かにボディを凹まされた時に若干気分が高揚する技能だ! そう! 例えば……」
「ん? なんだそれは? それに、いきなり床に我を置いて、何故に右足を振りあげて……」
「こんな風に! トゥキック!」
「カァアアアアアアン!?」
イチカは、机に上に置いてあったカンを持つと、わざわざデスクも椅子から立ち上がり、書斎の床に丁寧に置くと、カンの問いかけを綺麗にスルーし、靴のつま先で蹴り飛ばした。
カンは悲鳴と共に壁に向かって蹴り飛ばされると、ものの見事に壁に激突し、甲高い金属音が鳴った後に床に再び落ちて転がっていた。
「どうだ? 少し興奮したか?」
「カ……す……するわけ……ないであろうがぁああ!」
イチカは、さもカンの希望を叶えてやったという様な雰囲気を押し付けながら、カンに確認の意味で問いかけた。しかし、カンには間髪入れずにイチカに対して文句をぶつけるのであった。
「Lv.1だし、まぁ、そんなもんだよね」
「凹まれ損ぉおおおお!? もうボディに傷がぁあぁ!」
カンの文句に対して、あっさりとレベルが低い為に思っていた効果が出ない事を述べるイチカだった。
それに対して激怒しながらも、せっかく元の綺麗なボディだったのに凹まされたカンは、ボディだけでなくメンタルも大いに凹んだのだった。
「そもそも中身が入ってない空き缶なんだから、凹む事なんて日常茶飯事なんだから、いちいちボディが凹む度にメンタルまで凹むんじゃ無いよ、全く。情けない空き缶だねぇ」
「我を意図的に凹ました張本人が、絶対言ってはいけない台詞だな。そもそもだ! 我のボディをお主の様に人型だったとして、このボディ程に、傷つけらえたら大怪我だろうが! ショックぐらい受けるであろう!」
「まぁ、僕は空き缶になることはあり得ないから、その仮定は無意味だね。カンが空き缶ボディだから、蹴飛ばしてるわけだしね」
「貴様ぁぁああ!」
カンからの苦情を一切無視するイチカであった。そして、あまりの怒りに、カンは気づいていなかった。
これまで散々凹んできたというのに、"痛みを感じていない"ことに。
イチカは空き缶にカンを転生した際に、間違いなくボディが頻繁に潰されたり、踏まれたり、粉々になったりすると予測し、『天衣無縫』により空き缶ボディの特性として『無痛』を付与していた。
その為、カンが蹴られる度に悲鳴をあげているのは、痛みからではなく、蹴られた事に対する"単なるリアクション"なのである。
この『無痛』がなければ、ボディが凹めば人の身で味わうような痛みをカンは味わう事になり、心がすぐにでも折れてしまうだろう。
それでは、カンを無謀な冒険へと送り出し、その様子をみて楽しむことが出来ないイチカの、優しさとなんとも言えない配慮で、カンの心は辛うじて守られていた。
「いつか、必ず貴様を殴ってやるからの」
そんな事は全く知らずに、イチカへ自身の怒りをどうやってぶつけるかを、真剣に考え出すカンであった。
「うむ、まさに晴天といったところだの」
書斎窓から見える青空を見ながら、唐突に天気の話を始めたイチカに、カンは思わず言葉を返していた。
「旅立ちには、うってつけだね!」
「待てぇえええ!」
しかし、"旅"というキーワードが出てきた時点で嫌な予感を感じた為、焦りながら話を止めたのだった。
「何だよ!」
「怒りたいのは、我の方なんだが……まぁ、良い。我のステータスにある技能にある〝言語理解〟は分かるが、この〝常時発動M型(凹み耐性Lv.1)〟とは何ぞ?」
取り敢えず、またカンをどっかに旅立たせ、その様子をコーヒーでも飲みながら楽しもうと思っていたイチカは、カンに話の流れを止められてイラついていた。
カンは、そろそろ慣れてきたイチカの理不尽さをスルーすると、自身のボディに記載されたステータス中に、名前からでは想像が難しいスキルについて、イチカに尋ねたのだった。
「公園であまりにも変態し過ぎて、その結果として子供を本気で泣かせたでしょ。凹まされて興奮するような空き缶なんだから、きっとその時に取得じゃない?」
「は?……興奮しておらんわぁああ! 泣かしたのは、確かに事実だが!」
「まぁ、事実なんだから良いじゃない。正直、カンのスキルを取得した理由とか、そんな興味無いし」
「おのれぇ……」
イチカの言葉に、人の身であれば額に青筋でも浮き上がっていそうな程に苛立つカンであったが、イチカの言葉には偽りはなかった。
カンは、他者に深い傷を刻みつけた行為と、子供や高校生達に蹴られる度に興奮していた結果として、"世界の理"はカンに新たなるスキルを取得させていた。
そして、取得した『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』は、カン以外には取得している者はいない所謂ユニークスキルと呼ばれるものであった。
当然、イチカはその事実に気づいているばかりか、自身の能力である『天衣無縫』により、カンの魂に対して『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』を取得するように改竄していたのだった。
カンの魂を改竄したタイミングとしては、かっちゃんに自分を踏ませる事を執拗に要求していた時だった。
元々イチカは、カンに何か面白い能力を持たせようと考えていた為に、そのタイミングで能力を思いつき、それを取得出来るようにカンの魂を弄っていたのだった。
本来は、如何に創造者であるイチカであっても、他者の魂をこんな思いつきで改竄できるものでは無い。
しかし、カンは自身の神核を分け与えた存在である為に、割と簡単に力が通じたのだった。
「まぁ、良い……お主の理不尽さに多少なりとも慣れつつある我が哀れだが……して、その『常時発動M型(凹み耐性Lv.1)』とは、どんな能力なのだ?」
「常時発動M型(凹み耐性Lv.1)とは、誰かにボディを凹まされた時に若干気分が高揚する技能だ! そう! 例えば……」
「ん? なんだそれは? それに、いきなり床に我を置いて、何故に右足を振りあげて……」
「こんな風に! トゥキック!」
「カァアアアアアアン!?」
イチカは、机に上に置いてあったカンを持つと、わざわざデスクも椅子から立ち上がり、書斎の床に丁寧に置くと、カンの問いかけを綺麗にスルーし、靴のつま先で蹴り飛ばした。
カンは悲鳴と共に壁に向かって蹴り飛ばされると、ものの見事に壁に激突し、甲高い金属音が鳴った後に床に再び落ちて転がっていた。
「どうだ? 少し興奮したか?」
「カ……す……するわけ……ないであろうがぁああ!」
イチカは、さもカンの希望を叶えてやったという様な雰囲気を押し付けながら、カンに確認の意味で問いかけた。しかし、カンには間髪入れずにイチカに対して文句をぶつけるのであった。
「Lv.1だし、まぁ、そんなもんだよね」
「凹まれ損ぉおおおお!? もうボディに傷がぁあぁ!」
カンの文句に対して、あっさりとレベルが低い為に思っていた効果が出ない事を述べるイチカだった。
それに対して激怒しながらも、せっかく元の綺麗なボディだったのに凹まされたカンは、ボディだけでなくメンタルも大いに凹んだのだった。
「そもそも中身が入ってない空き缶なんだから、凹む事なんて日常茶飯事なんだから、いちいちボディが凹む度にメンタルまで凹むんじゃ無いよ、全く。情けない空き缶だねぇ」
「我を意図的に凹ました張本人が、絶対言ってはいけない台詞だな。そもそもだ! 我のボディをお主の様に人型だったとして、このボディ程に、傷つけらえたら大怪我だろうが! ショックぐらい受けるであろう!」
「まぁ、僕は空き缶になることはあり得ないから、その仮定は無意味だね。カンが空き缶ボディだから、蹴飛ばしてるわけだしね」
「貴様ぁぁああ!」
カンからの苦情を一切無視するイチカであった。そして、あまりの怒りに、カンは気づいていなかった。
これまで散々凹んできたというのに、"痛みを感じていない"ことに。
イチカは空き缶にカンを転生した際に、間違いなくボディが頻繁に潰されたり、踏まれたり、粉々になったりすると予測し、『天衣無縫』により空き缶ボディの特性として『無痛』を付与していた。
その為、カンが蹴られる度に悲鳴をあげているのは、痛みからではなく、蹴られた事に対する"単なるリアクション"なのである。
この『無痛』がなければ、ボディが凹めば人の身で味わうような痛みをカンは味わう事になり、心がすぐにでも折れてしまうだろう。
それでは、カンを無謀な冒険へと送り出し、その様子をみて楽しむことが出来ないイチカの、優しさとなんとも言えない配慮で、カンの心は辛うじて守られていた。
「いつか、必ず貴様を殴ってやるからの」
そんな事は全く知らずに、イチカへ自身の怒りをどうやってぶつけるかを、真剣に考え出すカンであった。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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