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第26話 コーヒーブレイクは大事な時間ですから
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「それで、我の魔法はどうなのだ? 結局、魔法を使えるのか、使えないのか、どっちなのだ!」
「せっかちだねぇ。焦るとすぐに飽きられるぞ。焦らしこそ、最上のスパイスというのが、空き缶には理解できないと見えるね」
「何の話をしているのだ、お主は。それに、堂々と飽きるとか言うでないわ」
〝まりょく0〟という事実はさておいて、カンは早く〝魔法〟について知りたくて、うずうずしていたが、イチカはそれを気付いていながらも焦らしていた。
「新しく魔法的なものを覚えていかないと、『潰れて転生』のワンパターンだろうからね。それだとカン潰し動画も飽きられちゃうから、もうちょっと違う感じも欲しいじゃない?」
「思いっきり動画の為って言ってしまうのだな……まぁ、理由はこの際、何でも良い。我が魔王になる為には、魔法を覚えて強くならねばならぬのだ!」
「魔王? あぁ……そうだった、そうだった、魔王ね。まおう、マオウ、よし思い出した」
「おい、本気でしばくぞ、貴様」
イチカは、指で頭をトントンとしながら、いかにも〝覚えましたよ〟というジェスチャーを、カンに対してやってみせると、真剣な表情を作った。
「ここで、確認しておかないといけないことがあるんだ」
「なんだ?」
「カンは完全に潰れると、新しい空き缶に転生するじゃない?」
「お主が、そうしておるのだろう? 我にそのあたりのことを、お主が聞くでないわ。不安になるではないか」
「ということは、毎回新しいボディな訳で、ボディは毎回リセットされる訳だ。という事は、ステータスも例え異世界で強くなったとしても転生してしまえば、ボディの強さはまた元どおりにリセットするよね? 普通はさ」
「は……はぁあああああ!? そこは、むしろ逆に、転生したら強くなるパターンが〝普通〟ではないのか! それに、現実に体力の数字は増えているではないか!」
焦る空き缶が、そこに居た。それもその筈で、カンの現状としては、転生を繰り返すことでしか、強くなる可能性がなかったのだ。
「あれは、省略無しにちゃんと言うと、〝体力、但し精神力含む〟だから。全部記載すると、文字数の都合で記載できなかったという事情だね。そして、転生を繰り返して潰れる事に慣れると、精神も鍛えられるって寸法さ!」
「ドヤ顔で何が〝寸法さ!〟だ! 驚愕の真実が過ぎるカァアアアン!?」
「だから口撃にも気をつけてね」
「は? 攻撃ではく、口撃?」
「ボディの物理的な凹みだけでなく、メンタル的にも凹むと体力が減るってことさ。ある意味分かりやすいよね、心が折れたら、次の転生にご案内ってことね」
「更にハードモードに!? 我の心は、アルミ缶の強度だと言うのに!?」
心が折れることで肉体にダメージが入るという、ある意味では〝人〟にとっては、当たり前の事実だったが、それすらも知らないほどに、カンは〝空き缶〟となっていたのだった。
「そういえば、話は変わるけどミートスパゲッティを食べる時の集中力って、半端ないよね。白シャツとか着てたら、全力で集中しないと怖いよね」
「ミートが服に着くと大変だからの。それより、先程の話の流れを、一刀両断でぶった斬ったお主の話題転換と精神性が、何より怖いわ」
「服を着ない露出狂のカンは、空き缶だから多少の油汚れがついても、サッと綺麗に出来るこから良いよねぇ」
「さらっと露出狂なんて言うキャラを、我に定着させようとするでない。しかしまぁ、そうであるが、ミートスパゲッティの話より、我の魔法の話を進めるべきであろう? お主は、話が脱線し過ぎる癖がある」
「汚れにくい……は!?」
「そして、我の言葉を無視する傾向が強い。分かっておるか? 割とメンタルにダメージ入るのだぞ? 一応聞くが、何をそんなにハッとした表情をしておるのだ?」
安定のスルーカンを行いながら、イチカの瞳は大きく見開いた。あたかも、何か大発見をしたかのような雰囲気さえもだしながらだった。
そして、そのタイミングでカンの元へ、世界の声が届いた。
〝カンは、ヨゴレ耐性(Lv.1)を取得していた〟
「このタイミングで、スキル獲得の世界の声? しかも、ヨゴレ耐性? これは……まさか、そもそも世界の声自体もイチカの仕業なのカァアン!?」
「安心して、それは無いよ。世界の声は、いわば世界のシステムからの案内だから。流石に僕が、直接何か操作していることはないよ」
「そうなのか」
「ハッキングは、可能だけどね。ちなみに今のも、それね」
「世界の声よ! ここに、正しく〝世界の敵〟がおるぞぉおお!?」
「それくらいは、多めに見てよ。さっきみたいに、思いついたカンの後付けの能力とかを、タイムラグなしで改変できるんだしさ」
「完全に、思いつきの上に〝後付け〟と言っている時点で、我の気持ちとしては〝微妙な気持ち〟になるだけだがな」
「よかったね、これでどんどんヨゴレに成れるね」
「成ってどうする。せめて慣れる方であろうが」
イチカは、一息つくように缶コーヒーの口に運んだ。
「ちょっと一息、コーヒータイムにするね」
「ちょっ!? 何の脈絡もなくだと!? またもや、〝魔法〟が後回しになっておるではないカァアアン!?」
・・・・・・・
名前:カン
種族:空き缶(Lv.5)
体力:14(最大14)
ちから:0
すばやさ:0
かたさ:2
まりょく:0
技能:
言語理解(全異世界の誰とでも話が出来る)
常時発動M型(Lv.4)
熱耐性(Lv.1)
寒耐性(Lv.1)
ヨゴレ耐性(Lv.1) New!
状態:傷無し
現在地:イチカの書斎
・・・・・・・
「せっかちだねぇ。焦るとすぐに飽きられるぞ。焦らしこそ、最上のスパイスというのが、空き缶には理解できないと見えるね」
「何の話をしているのだ、お主は。それに、堂々と飽きるとか言うでないわ」
〝まりょく0〟という事実はさておいて、カンは早く〝魔法〟について知りたくて、うずうずしていたが、イチカはそれを気付いていながらも焦らしていた。
「新しく魔法的なものを覚えていかないと、『潰れて転生』のワンパターンだろうからね。それだとカン潰し動画も飽きられちゃうから、もうちょっと違う感じも欲しいじゃない?」
「思いっきり動画の為って言ってしまうのだな……まぁ、理由はこの際、何でも良い。我が魔王になる為には、魔法を覚えて強くならねばならぬのだ!」
「魔王? あぁ……そうだった、そうだった、魔王ね。まおう、マオウ、よし思い出した」
「おい、本気でしばくぞ、貴様」
イチカは、指で頭をトントンとしながら、いかにも〝覚えましたよ〟というジェスチャーを、カンに対してやってみせると、真剣な表情を作った。
「ここで、確認しておかないといけないことがあるんだ」
「なんだ?」
「カンは完全に潰れると、新しい空き缶に転生するじゃない?」
「お主が、そうしておるのだろう? 我にそのあたりのことを、お主が聞くでないわ。不安になるではないか」
「ということは、毎回新しいボディな訳で、ボディは毎回リセットされる訳だ。という事は、ステータスも例え異世界で強くなったとしても転生してしまえば、ボディの強さはまた元どおりにリセットするよね? 普通はさ」
「は……はぁあああああ!? そこは、むしろ逆に、転生したら強くなるパターンが〝普通〟ではないのか! それに、現実に体力の数字は増えているではないか!」
焦る空き缶が、そこに居た。それもその筈で、カンの現状としては、転生を繰り返すことでしか、強くなる可能性がなかったのだ。
「あれは、省略無しにちゃんと言うと、〝体力、但し精神力含む〟だから。全部記載すると、文字数の都合で記載できなかったという事情だね。そして、転生を繰り返して潰れる事に慣れると、精神も鍛えられるって寸法さ!」
「ドヤ顔で何が〝寸法さ!〟だ! 驚愕の真実が過ぎるカァアアアン!?」
「だから口撃にも気をつけてね」
「は? 攻撃ではく、口撃?」
「ボディの物理的な凹みだけでなく、メンタル的にも凹むと体力が減るってことさ。ある意味分かりやすいよね、心が折れたら、次の転生にご案内ってことね」
「更にハードモードに!? 我の心は、アルミ缶の強度だと言うのに!?」
心が折れることで肉体にダメージが入るという、ある意味では〝人〟にとっては、当たり前の事実だったが、それすらも知らないほどに、カンは〝空き缶〟となっていたのだった。
「そういえば、話は変わるけどミートスパゲッティを食べる時の集中力って、半端ないよね。白シャツとか着てたら、全力で集中しないと怖いよね」
「ミートが服に着くと大変だからの。それより、先程の話の流れを、一刀両断でぶった斬ったお主の話題転換と精神性が、何より怖いわ」
「服を着ない露出狂のカンは、空き缶だから多少の油汚れがついても、サッと綺麗に出来るこから良いよねぇ」
「さらっと露出狂なんて言うキャラを、我に定着させようとするでない。しかしまぁ、そうであるが、ミートスパゲッティの話より、我の魔法の話を進めるべきであろう? お主は、話が脱線し過ぎる癖がある」
「汚れにくい……は!?」
「そして、我の言葉を無視する傾向が強い。分かっておるか? 割とメンタルにダメージ入るのだぞ? 一応聞くが、何をそんなにハッとした表情をしておるのだ?」
安定のスルーカンを行いながら、イチカの瞳は大きく見開いた。あたかも、何か大発見をしたかのような雰囲気さえもだしながらだった。
そして、そのタイミングでカンの元へ、世界の声が届いた。
〝カンは、ヨゴレ耐性(Lv.1)を取得していた〟
「このタイミングで、スキル獲得の世界の声? しかも、ヨゴレ耐性? これは……まさか、そもそも世界の声自体もイチカの仕業なのカァアン!?」
「安心して、それは無いよ。世界の声は、いわば世界のシステムからの案内だから。流石に僕が、直接何か操作していることはないよ」
「そうなのか」
「ハッキングは、可能だけどね。ちなみに今のも、それね」
「世界の声よ! ここに、正しく〝世界の敵〟がおるぞぉおお!?」
「それくらいは、多めに見てよ。さっきみたいに、思いついたカンの後付けの能力とかを、タイムラグなしで改変できるんだしさ」
「完全に、思いつきの上に〝後付け〟と言っている時点で、我の気持ちとしては〝微妙な気持ち〟になるだけだがな」
「よかったね、これでどんどんヨゴレに成れるね」
「成ってどうする。せめて慣れる方であろうが」
イチカは、一息つくように缶コーヒーの口に運んだ。
「ちょっと一息、コーヒータイムにするね」
「ちょっ!? 何の脈絡もなくだと!? またもや、〝魔法〟が後回しになっておるではないカァアアン!?」
・・・・・・・
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体力:14(最大14)
ちから:0
すばやさ:0
かたさ:2
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技能:
言語理解(全異世界の誰とでも話が出来る)
常時発動M型(Lv.4)
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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