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第79話 MPは常に把握しなくちゃね
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『普通に生活していて、本来起きるはずのない事が起きた場合、混乱が生じてしまうのは、仕方がないだろうね。ただでさえ、異世界に召喚されている状況なら、なおさらの事に』
「まぁ、普通の空き缶は、確かに喋らぬが」
葉桜を筆頭に、大きなリアクションを取ったクラスの面々は、一様にカンに奇異な目線を向けていた。
「さっき思いっきり我が、ここの王や大臣とかと喋っておったではないカァン」
「さっき僕達は頭がぼうっとしていたし、いきなり王様が姫を斬ったりしてるのを見て、空き缶どころじゃなかったんだよ!」
「空き缶が喋ったくらいで、取り乱すではないカァン。情けないカァン」
「何だと! 空き缶が喋ったら、驚くに決まっているだろう!」
「驚くは、別に良いのだ。しかし、取り乱すなと言っておるのカァン。これから先、空き缶が喋る以上の事が起きるのだぞ。そんな程度でいちいち驚いている様では、皆のリーダーとしての器があるのか、疑問を感じずにはおれんな。それに、かっちゃんは取り乱すことなく、我を友として受けれたぞ」
「な!? 空き缶と……友……だと?」
「やめろ。俺を、空き缶と友達になった痛い子みたいに見るな。特に蜜柑、主にお前のことだからな?」
カンは、ここぞとばかりに自分の存在アピールする為に、調子に乗って葉桜を煽ってしまった。
当然、その代償は大きいものとなる。
『あらら、煽るということは、どういう事か覚悟は出来ているかい?』
「ん? 何がカァン」
「この空き缶がぁああ!」
「カァアアアン!? 普通に蹴られたカァアアァン!? まるで缶蹴りの時のようで、かっちゃんと蜜柑との出会いが、フラッシュバックするカァアァン!」
激昂した葉桜に、カンは力一杯に蹴られてしまった。
「ドMカン! 割と余裕ありそうな感じだが、大丈夫か!?」
「カンちゃん! それって、死ぬ間際に見る走馬灯じゃないかな!」
部屋の隅の方へと転がっていったカンを追いかけ、かっちゃんと蜜柑が駆け出したが、辺りを見渡してもカンの姿は見つからなかった。
「おい! お前ら、空き缶をどこやった!」
「あぁ? しらねぇよ。誰か拾ったか?」
「しらねぇー」
「見てねぇー」
にやにやと笑う学生服を着崩したグループが、かっちゃんの問いに適当に答えた。
「こいつら……」
「ほがほが!? 我はここがががカァン!?」
「今聞こえたよ! ねぇ! 喋る空き缶を渡してよ!」
カンの声が聞こえたのは、かっちゃんと対峙している不良グループのリーダーからだった。
「しらねぇっつってんだろうが!」
「きゃ!?」
「蜜柑!?」
クラスの五人組の不良グループのリーダーに、蜜柑が突き飛ばされ、かっちゃんが蜜柑を受け止めた。
「てめぇええ!」
「やんのかぁああ!」
そして始まる乱闘騒ぎで、部屋は騒然となる。
「我も舐められたものだな。〝風龍の戯れ〟カァアアアン!」
"カンは、不良の上着のポケットの中で【風龍の戯れ(Lv.3)】を発動した!"
"しかし、MPが足りない!"
「……さっき玉座の間で使ってたからカァアァン!?」
先程までの余裕さは、カンからは見る影もなく、情けない声を出していた。
「我をポケットに入れたまま、喧嘩しないでほしいカァアァン!?」
『喧嘩に巻き込まれると、大変危ないよねぇ。大体は、余程の覚悟がなければ、止めることさえも難しいものね』
「せめて殴り合いで、決着をしてほしいカァアァン!?」
カンは、不良グループのリーダーの上着のポケットに入っていた為、取っ組み合いになる事で自分が潰れるのではないかと恐れていた。
「この野郎! 蜜柑に謝れや!」
「うるせぇよ!」
カンの心配をよそに、かっちゃんと不良のリーダーはお互いの胸元を同時に掴んだ。
「案の定、取っ組み合いにぃいい!? くぷけふかふ!?」
上着を着たままで取っ組み合いを始めた二人だったが、かっちゃんが頃合いを見て上着を投げ捨てると、つられるように不良のリーダーも上着を投げ捨てた。
「カァアアアン!? 何がどうなってきゃぷらぷかぁん!?」
「蜜柑!」
「わかってる!」
不良グループのリーダーが上着を投げ捨てると、素早く蜜柑がそれを拾い上げ、ポケットからボコベコに潰れているカンを掴んだ。
「あ! てめえ!」
『かっちゃんは、あくまで冷静だったんだね。やるじゃない』
「まさか我を回収するために、ワザと喧嘩をしかけたカァン!? さすが、我が親愛なる魂の友カァアン!」
「なわけあるかぁああ! 表現が重すぎるわ!」
かっちゃんは、首尾良くカンを回収したが、それにより更に頭に血が上り始める不良のリーダーが、喧嘩を再開しようとした時、部屋の空気が震えるほどの大声が部屋に響く。
「やめないか! 鬼崎君も阿木君も、今はそんな事をしている場合じゃないだろう!」
「葉桜……」
「チッ、わぁったよ」
「結局、我がボコボコなっただけだったカァン……というか、喧嘩の原因は元はと言えば、あの委員長の所為ではないカァン?」
葉桜が、かっちゃんと不良グループのリーダーの喧嘩を止めた後、客間のメイドに改めて自分が代表者決まったと伝えた。それを受けてメイドの一人が部屋を退出すると、数分後に再び全員が王の間へと呼ばれたのだった。
「カンちゃん、大丈夫?」
蜜柑が、カンのアルミボディの凹みを見ながら、声をかけた。
「これくらいは、慣れておるカァン……」
「おい、ドMカンの体力表示が、残り5になってるぞ? 本当に、大丈夫なのか?」
「案外瀕死であったカァアァン!?」
「しょうがねぇなぁ……蜜柑、ちょっと貸してみろ」
「どうするつもりなの?」
蜜柑からカンを貰い受けると、かっちゃんは眉間に皺を寄せながら、小さく嘆息を吐いた。
「中二っぽくて嫌なんだが……〝復元〟!」
「〝復元〟だとカァアアアン!?」
カンは、かっちゃんの手のひらの上で、淡い碧色の光に包まれるのであった。
「まぁ、普通の空き缶は、確かに喋らぬが」
葉桜を筆頭に、大きなリアクションを取ったクラスの面々は、一様にカンに奇異な目線を向けていた。
「さっき思いっきり我が、ここの王や大臣とかと喋っておったではないカァン」
「さっき僕達は頭がぼうっとしていたし、いきなり王様が姫を斬ったりしてるのを見て、空き缶どころじゃなかったんだよ!」
「空き缶が喋ったくらいで、取り乱すではないカァン。情けないカァン」
「何だと! 空き缶が喋ったら、驚くに決まっているだろう!」
「驚くは、別に良いのだ。しかし、取り乱すなと言っておるのカァン。これから先、空き缶が喋る以上の事が起きるのだぞ。そんな程度でいちいち驚いている様では、皆のリーダーとしての器があるのか、疑問を感じずにはおれんな。それに、かっちゃんは取り乱すことなく、我を友として受けれたぞ」
「な!? 空き缶と……友……だと?」
「やめろ。俺を、空き缶と友達になった痛い子みたいに見るな。特に蜜柑、主にお前のことだからな?」
カンは、ここぞとばかりに自分の存在アピールする為に、調子に乗って葉桜を煽ってしまった。
当然、その代償は大きいものとなる。
『あらら、煽るということは、どういう事か覚悟は出来ているかい?』
「ん? 何がカァン」
「この空き缶がぁああ!」
「カァアアアン!? 普通に蹴られたカァアアァン!? まるで缶蹴りの時のようで、かっちゃんと蜜柑との出会いが、フラッシュバックするカァアァン!」
激昂した葉桜に、カンは力一杯に蹴られてしまった。
「ドMカン! 割と余裕ありそうな感じだが、大丈夫か!?」
「カンちゃん! それって、死ぬ間際に見る走馬灯じゃないかな!」
部屋の隅の方へと転がっていったカンを追いかけ、かっちゃんと蜜柑が駆け出したが、辺りを見渡してもカンの姿は見つからなかった。
「おい! お前ら、空き缶をどこやった!」
「あぁ? しらねぇよ。誰か拾ったか?」
「しらねぇー」
「見てねぇー」
にやにやと笑う学生服を着崩したグループが、かっちゃんの問いに適当に答えた。
「こいつら……」
「ほがほが!? 我はここがががカァン!?」
「今聞こえたよ! ねぇ! 喋る空き缶を渡してよ!」
カンの声が聞こえたのは、かっちゃんと対峙している不良グループのリーダーからだった。
「しらねぇっつってんだろうが!」
「きゃ!?」
「蜜柑!?」
クラスの五人組の不良グループのリーダーに、蜜柑が突き飛ばされ、かっちゃんが蜜柑を受け止めた。
「てめぇええ!」
「やんのかぁああ!」
そして始まる乱闘騒ぎで、部屋は騒然となる。
「我も舐められたものだな。〝風龍の戯れ〟カァアアアン!」
"カンは、不良の上着のポケットの中で【風龍の戯れ(Lv.3)】を発動した!"
"しかし、MPが足りない!"
「……さっき玉座の間で使ってたからカァアァン!?」
先程までの余裕さは、カンからは見る影もなく、情けない声を出していた。
「我をポケットに入れたまま、喧嘩しないでほしいカァアァン!?」
『喧嘩に巻き込まれると、大変危ないよねぇ。大体は、余程の覚悟がなければ、止めることさえも難しいものね』
「せめて殴り合いで、決着をしてほしいカァアァン!?」
カンは、不良グループのリーダーの上着のポケットに入っていた為、取っ組み合いになる事で自分が潰れるのではないかと恐れていた。
「この野郎! 蜜柑に謝れや!」
「うるせぇよ!」
カンの心配をよそに、かっちゃんと不良のリーダーはお互いの胸元を同時に掴んだ。
「案の定、取っ組み合いにぃいい!? くぷけふかふ!?」
上着を着たままで取っ組み合いを始めた二人だったが、かっちゃんが頃合いを見て上着を投げ捨てると、つられるように不良のリーダーも上着を投げ捨てた。
「カァアアアン!? 何がどうなってきゃぷらぷかぁん!?」
「蜜柑!」
「わかってる!」
不良グループのリーダーが上着を投げ捨てると、素早く蜜柑がそれを拾い上げ、ポケットからボコベコに潰れているカンを掴んだ。
「あ! てめえ!」
『かっちゃんは、あくまで冷静だったんだね。やるじゃない』
「まさか我を回収するために、ワザと喧嘩をしかけたカァン!? さすが、我が親愛なる魂の友カァアン!」
「なわけあるかぁああ! 表現が重すぎるわ!」
かっちゃんは、首尾良くカンを回収したが、それにより更に頭に血が上り始める不良のリーダーが、喧嘩を再開しようとした時、部屋の空気が震えるほどの大声が部屋に響く。
「やめないか! 鬼崎君も阿木君も、今はそんな事をしている場合じゃないだろう!」
「葉桜……」
「チッ、わぁったよ」
「結局、我がボコボコなっただけだったカァン……というか、喧嘩の原因は元はと言えば、あの委員長の所為ではないカァン?」
葉桜が、かっちゃんと不良グループのリーダーの喧嘩を止めた後、客間のメイドに改めて自分が代表者決まったと伝えた。それを受けてメイドの一人が部屋を退出すると、数分後に再び全員が王の間へと呼ばれたのだった。
「カンちゃん、大丈夫?」
蜜柑が、カンのアルミボディの凹みを見ながら、声をかけた。
「これくらいは、慣れておるカァン……」
「おい、ドMカンの体力表示が、残り5になってるぞ? 本当に、大丈夫なのか?」
「案外瀕死であったカァアァン!?」
「しょうがねぇなぁ……蜜柑、ちょっと貸してみろ」
「どうするつもりなの?」
蜜柑からカンを貰い受けると、かっちゃんは眉間に皺を寄せながら、小さく嘆息を吐いた。
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カンは、かっちゃんの手のひらの上で、淡い碧色の光に包まれるのであった。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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