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第81話 選択
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『誰かが仕組んだ混乱というものは、納めるのもまた難しいんだよねぇ。これはまた、厄介事って雰囲気だよ』
「争いの規模が、大きいカァアァン」
カンは、戦争という言葉にビビって尻込みしていた。
「何が目的で誰がこんな事をしたのか、それが分からぬと不用意に動く事が出来ぬ」
「魔王が……と言うのも、変ですね」
「うむ、そもそも〝魔王〟と言うのは自然発生的な大災害みたいなものでな。このような事を仕掛けるという類のモノでは、無いはずなのだ」
「大災害カァン? それは、どういう事カァン」
「突然変異した魔物が、猛威を振るうといったものでな。〝魔王〟という呼称は、人が名目上に呼んでいるだけで、謀略を仕掛けてくるといった事は、これまで聞いた事がない」
「そうですか……では、何者かが世界の混乱を狙っていると言うことでしょうか?」
王の口から、召喚者達の〝魔王〟のイメージと異なった説明がなされ、多少なりとも召喚者達に動揺が走るが、葉桜は揺らぐ事なく、王との会話を続ける。
「おそらくは、そうであろう。今回のことが、我が国だけなのかどうか、今は未だ確認出来ておらぬが、どちらにせよお主達は完全に巻き込まれた者たちということになる」
「巻き込まれた者たちに、強制的に巻き込まされた我は一体……」
「そうですか……では、元の世界へと帰ろうとすれば、本来の召喚を管理する国へと訪れ、帰還を願い出なければならないと言うことでしょうか?」
「そうなるのだが……その召喚国は、我が国から離れておる上に、途中いくつもの国を通らねばならならぬ。更に道中には、魔物や盗賊といった輩に襲われる危険が高い。お主達を召喚してしまった手前、護衛をつけてでも送ってやりたいところだが……」
「隣国の状況が分からない今は、国として派手に動くことも出来ない……ということでしょうか?」
「申し訳ないが、そうなる」
「と言うことは、そんな危険な旅を自力で行けということカァン?」
「幸い我が国にも、冒険者ギルドの支部が設置されておる。そこで、冒険者として登録すれば身分証を作ることができ、国を超えて移動が可能だ。元の世界への帰還を望む者は、冒険者となり召喚国へと目指す他はないであろう」
「しかし、僕たちは争いがなく魔物といったものもいない国からやってきました。果たして、たどり着けるでしょうか?」
「戦う手段などや、装備などの支度金などはある程度支援しよう。それにだ……お主達のような召喚者と呼ばれる者は、特別な力を女神様より授かっている筈。特に目立つことをしなければ、移動だけであればそこまで困難ではない筈なのだ」
「我は、やや浮くだけなのだが……」
「分かりました。今の王様のお話を一旦持ち帰り、僕たちもどうするか一度話し合いをさせてください」
「勿論だ」
そして、クラス全員が再び客間へと移動するのであった。
カンは、王との話が終わると、かっちゃんを呼び、手に持ってもらい移動していた。
「委員長やたらしっかりしておるが、本当に十六歳カァン?」
『若くてもしっかりしてる者は、空き缶よりも遥かにしっかりしているよね。まぁ、当たり前か』
「我と比較するのも、どうかと思うがな」
イチカとカンが話していると、蜜柑の少しこわばった声が聞こえた。
「かっちゃん、これからどうなるの私達?」
「そうだな……恐らくこれから葉桜が、俺たちに選択を迫るんじゃねぇかな」
「選択?」
「あぁ、帰るか帰らないか……だろうな」
「残ったところで、ラノベ展開なぞになるとは思えんカァン」
「ラノベ展開? なんだそりゃ」
「女神にもらった力で、ヒャッハーなのカァン」
「あぁ、そう言う意味か。簡単に言えば、そう言うことだな」
蜜柑はカンとかっちゃん言葉に首を傾げていたが、客間に戻った後に葉桜の口から出た言葉を聞いて、本当に二人の言った通りになったので驚いたのだった。
「これからの事だけど、王様の話を聞いた限りでは僕らには幾つかの選択肢があり、それぞれが今後の事を決断しないと行けない。先ず第一に元の世界に帰りたいか否かだ。既に殆どの者が自らに宿った力を確認した事だろう。その力を元の世界に帰る為に使うか、この異世界で自らの道を切り開く為に使うかだ」
「葉桜の奴め、何やらオーラのようなものが見えそうなほどに、威風堂々しておるカァン」
全員の前で話す葉桜は、先程よりも更に堂々とした様子であった。
「正直、絶対に帰りたいという者だけではないだろう? 皆の中には、この異世界召喚に心躍っている者もいるだろう。窮屈で退屈でつまらない、そんな元の世界に帰りたいと思わない者もいるんじゃないかな? だから、全員の意思を一つにする必要はないと思う」
「ん?何やら雰囲気が……おかしくないカァン? まるで煽っているかのようカァン」
「僕は、今ここでクラスの代表者を降りる! そして、僕はこの異世界に留まり、自らの力で生き抜く者達のグループを作る! 志を共にする者は、僕に付いてきて欲しい!」
「カァン!? そんな突然宣言したところで、余計混乱が起き……」
「「「おぉおおお!」」」
葉桜の唐突な代表者辞任と、新たなグループの設立宣言にカンは混乱を危惧したが、予想外に少なくない数の生徒が歓声を上げたのだった。
「争いの規模が、大きいカァアァン」
カンは、戦争という言葉にビビって尻込みしていた。
「何が目的で誰がこんな事をしたのか、それが分からぬと不用意に動く事が出来ぬ」
「魔王が……と言うのも、変ですね」
「うむ、そもそも〝魔王〟と言うのは自然発生的な大災害みたいなものでな。このような事を仕掛けるという類のモノでは、無いはずなのだ」
「大災害カァン? それは、どういう事カァン」
「突然変異した魔物が、猛威を振るうといったものでな。〝魔王〟という呼称は、人が名目上に呼んでいるだけで、謀略を仕掛けてくるといった事は、これまで聞いた事がない」
「そうですか……では、何者かが世界の混乱を狙っていると言うことでしょうか?」
王の口から、召喚者達の〝魔王〟のイメージと異なった説明がなされ、多少なりとも召喚者達に動揺が走るが、葉桜は揺らぐ事なく、王との会話を続ける。
「おそらくは、そうであろう。今回のことが、我が国だけなのかどうか、今は未だ確認出来ておらぬが、どちらにせよお主達は完全に巻き込まれた者たちということになる」
「巻き込まれた者たちに、強制的に巻き込まされた我は一体……」
「そうですか……では、元の世界へと帰ろうとすれば、本来の召喚を管理する国へと訪れ、帰還を願い出なければならないと言うことでしょうか?」
「そうなるのだが……その召喚国は、我が国から離れておる上に、途中いくつもの国を通らねばならならぬ。更に道中には、魔物や盗賊といった輩に襲われる危険が高い。お主達を召喚してしまった手前、護衛をつけてでも送ってやりたいところだが……」
「隣国の状況が分からない今は、国として派手に動くことも出来ない……ということでしょうか?」
「申し訳ないが、そうなる」
「と言うことは、そんな危険な旅を自力で行けということカァン?」
「幸い我が国にも、冒険者ギルドの支部が設置されておる。そこで、冒険者として登録すれば身分証を作ることができ、国を超えて移動が可能だ。元の世界への帰還を望む者は、冒険者となり召喚国へと目指す他はないであろう」
「しかし、僕たちは争いがなく魔物といったものもいない国からやってきました。果たして、たどり着けるでしょうか?」
「戦う手段などや、装備などの支度金などはある程度支援しよう。それにだ……お主達のような召喚者と呼ばれる者は、特別な力を女神様より授かっている筈。特に目立つことをしなければ、移動だけであればそこまで困難ではない筈なのだ」
「我は、やや浮くだけなのだが……」
「分かりました。今の王様のお話を一旦持ち帰り、僕たちもどうするか一度話し合いをさせてください」
「勿論だ」
そして、クラス全員が再び客間へと移動するのであった。
カンは、王との話が終わると、かっちゃんを呼び、手に持ってもらい移動していた。
「委員長やたらしっかりしておるが、本当に十六歳カァン?」
『若くてもしっかりしてる者は、空き缶よりも遥かにしっかりしているよね。まぁ、当たり前か』
「我と比較するのも、どうかと思うがな」
イチカとカンが話していると、蜜柑の少しこわばった声が聞こえた。
「かっちゃん、これからどうなるの私達?」
「そうだな……恐らくこれから葉桜が、俺たちに選択を迫るんじゃねぇかな」
「選択?」
「あぁ、帰るか帰らないか……だろうな」
「残ったところで、ラノベ展開なぞになるとは思えんカァン」
「ラノベ展開? なんだそりゃ」
「女神にもらった力で、ヒャッハーなのカァン」
「あぁ、そう言う意味か。簡単に言えば、そう言うことだな」
蜜柑はカンとかっちゃん言葉に首を傾げていたが、客間に戻った後に葉桜の口から出た言葉を聞いて、本当に二人の言った通りになったので驚いたのだった。
「これからの事だけど、王様の話を聞いた限りでは僕らには幾つかの選択肢があり、それぞれが今後の事を決断しないと行けない。先ず第一に元の世界に帰りたいか否かだ。既に殆どの者が自らに宿った力を確認した事だろう。その力を元の世界に帰る為に使うか、この異世界で自らの道を切り開く為に使うかだ」
「葉桜の奴め、何やらオーラのようなものが見えそうなほどに、威風堂々しておるカァン」
全員の前で話す葉桜は、先程よりも更に堂々とした様子であった。
「正直、絶対に帰りたいという者だけではないだろう? 皆の中には、この異世界召喚に心躍っている者もいるだろう。窮屈で退屈でつまらない、そんな元の世界に帰りたいと思わない者もいるんじゃないかな? だから、全員の意思を一つにする必要はないと思う」
「ん?何やら雰囲気が……おかしくないカァン? まるで煽っているかのようカァン」
「僕は、今ここでクラスの代表者を降りる! そして、僕はこの異世界に留まり、自らの力で生き抜く者達のグループを作る! 志を共にする者は、僕に付いてきて欲しい!」
「カァン!? そんな突然宣言したところで、余計混乱が起き……」
「「「おぉおおお!」」」
葉桜の唐突な代表者辞任と、新たなグループの設立宣言にカンは混乱を危惧したが、予想外に少なくない数の生徒が歓声を上げたのだった。
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
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