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危機
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「こんな人間味があり過ぎる人が、レイドボスとか……恐るべし、神運営」
「ソラよ」
「何ですか? 魔王様」
「それで、今日は俺を討伐しに来たのか?」
「は? そんな訳ないじゃないですか。取り敢えず、イベクエの内容みたら、明らかに魔王様らしき写真の人がレイドボスになってたから、確認しに来たついでに、一緒に遊ぶつもりだったんです!」
力強く拳を握り締めて天井を見上げてるが、そこに何か見えるのか? アリンが、釣られて天井を見ているぞ。
「確認しに来たついでにという事は、俺が賞金首だったとしても、これまで通りに遊ぶつもりだったのか?」
「え、はい。そのつもりですよ? 野生の魔王様と遭遇した上に、パテ組んでフレにもなっているんですよ? そんなレアな状況を、自分から手放してどうするんですか」
「しかし、俺と一緒にいると間違いなく、俺を狙う者達との戦闘に巻き込まれると思うが、それは良いのか?」
恐らくクエストに表示されていた俺の顔だけでも、十分特定はされるだろう。この村に滞在しているのを知っているのは、他にはサンゴだけだが、行動を始めれば、戦いの日々となる筈だ。
「確かに、それは此処に来る途中でも考えていました。本当に魔王様が〝魔王〟だった場合、これまで通りの関係でいられるのか? 冒険者らしく、魔王討伐の為に仲間と共に立ち向かうべきなのか……だけれども、もう魔王様は……私のフレンドなんです! 先に私が知ったのは、この世界を侵略しようとしていた魔王ではなく、この世界を一緒に楽しもうとしていた魔王様だったんです! 今更それを変えるだなんて、私の中での筋が通りません!」
きらきらと輝く瞳には、一切の迷いのない光が宿っていた。今の言葉に、嘘偽りがないことは、この瞳の輝き以上の証明はありはしないだろう。
「ふふ……そうか。ならば〝深淵の魔術師〟ソラよ、これからもよろしくな」
「ま……」
「ま?」
「真顔でシリアスな場面で、恥ずかしげもなく私のことを〝深淵の魔術師〟って呼ばないでぇええ!!! 不意打ちすぐるぅうう!!! ひぃいいい!!!」
「ソラが自分で、そうちょくちょく魔法を放つ時に叫んでいるだろう」
「違うんですよ! 戦闘時のテンションで名乗りをあげる時は、良いんです! 一種の戦闘ルーティンなのですから! しかしここは、今戦闘中ですか!?」
「いや、シリルの家だから違うな」
「そうでしょうとも! しかも、アリンちゃんやシリルさんの目の前で、魔王様がそんなことを言えば……」
ソラが恐る恐るアリンの方を振り返るので、俺も釣られて親子に目を向けると、尊敬の眼差しでアリンとシリルがソラを見ていた。
「深淵……カッコいい! ソラおねぇちゃん! 二つ名持ちだったんだね!」
「自称だからね!」
「流石は、魔王様と共に旅をする方……まさか〝深淵〟たる称号をお持ちの方だったとは、これまでの非礼をお許しください」
「だから自称だからぁあああ!!!」
ソラが慌てた様子で、二人にあれやこれやと説明していると、メッセージが届き、それはサンゴからだった。
それは俺の今の居場所を教えてほしいと言うことだったが、俺はこの場所を即答するのを躊躇っていた。
サンゴは間違いなく、神運営側の者であり、且つハイレベルな戦士である事は分かっている。ここで俺を討伐と言い出した場合、村人達に損害が出るかどうかが不明だ。
〝冒険者はNPCに危害を加えることは出来ない〟というこの世界の理は、普通であればサンゴも適用される筈だ。
しかし彼女は、神運営の眷属だと言うことは、ほぼ確実という中で、果たして必ずしもそれ理が適用されるのか。それが分からない状況で、此処に呼んで良いものかの判断を迫られた。
「まぁ、念の為だ。場所を変えた方が無難ではあるか」
「あれ? 魔王様? どこ行くんですか? 私も一緒に狩りに行きたいんですけど!」
俺が立ち上がり出口に向かって歩き出したところで、女子達の話し合いも丁度終わった所だった。
「狩りではなくてだな。サンゴという冒険者が、俺の今の居場所をメッセージで訪ねてきてな。会って早々戦闘になる可能性も捨て切れんから、村で派手に立ち回るのは迷惑をかけると思ってな」
「サンゴ? 初めて聞くプレーヤーの名ですね。魔王様のフレンドの方ですか?」
「あぁ、少々縁があってな。ソラがいない時間に、サンゴはこの世界にいる事が多くてな。今まで会うことはなかったようだ」
「なるほど、ログインする時間帯のズレがあったわけですか。正直、もっとちゃんと魔王様の今の状況とかこれからの事とか、色々聞きたいことあったんですが、それは仕方がないですね」
他の冒険者に会うと告げると、ソラは再び椅子に腰掛けた。どうやら、付いてくる気はない様子だが、その瞳には迷いも見てとれた。
「サンゴに会ってみたくはないのか?」
「元々人見知りな上に、ブレイブさんと紅さんの件があって、他のプレーヤーの人と会うのが、ちょっと怖いなぁと……」
「アレらに比べたら、サンゴは大分普通だと思うぞ」
普通の冒険者ではないだろうが、少なくてもアレらと同類にされるのは可哀想だ。
「普通の人ですか……怖くはない感じですか?」
「そうだな。特に怖いとか、そんな感じではなかったな」
「そうなんですね……魔王様が、怖くないって言うなら、折角だし、私も会ってみたいです! 私以外の、魔王様のフレに!」
「そうか、なら一緒に行くとするか」
「はい!」
アリルとシリルにまた来ると告げ、ソラと二人でハスレ村を出た俺は、万が一に備え、ハスレ村から東に向かった先にある開けた草原で、サンゴと会うことにした。丁度、この辺りの魔物達の強さが、ソラのレベル上げに適していた事もその理由だった。
メニューからマップを選択し、マップに表示されているこの位置の座標を、メッセージでサンゴに送った。
「この世界の理は、参考になるな。帰ったら、俺もコレを世界の理に組み込んでみるか。ん?」
「どうかしましたか、魔王様」
俺が不意に明後日の方向を見たことに釣られて、ソラも同じ方向を見ていた。
そして、サンゴにこの場所を教えてから、僅か数分後に俺達は悲劇に見舞われる。
「……魔王様? 足がガクブルする程に、怖い女性の方が、私達の前に立っているのですが、もしかしなくても、この方が?」
「……サンゴだな」
「魔王様の嘘つきぃいい! アレのどこが普通の目何ですかぁああ! アバターなのに、目つきが完全病み系じゃないですか!? 一体、魔王様は何したんですか!?」
「いや、俺は知らんが……」
「胸……」
「ん?」
気迫とも殺気とも言える様なオーラを纏った状態のサンゴが、俺達を前にして、最初の言葉が発せられたが、予想外のすぎて俺はこの後に固まった。
「この世界で胸を揉んだって、本当なの? 本当に揉めるのであれば、何故私のを揉まないの? 取り敢えず、他の女の胸を揉んだ手は、排除するわ。動かないでね、他の部分も切り落としちゃ、可哀想だから」
「いや、何を言ってるんだ?」
「魔王様? 一体全体どうしたら、こんな状況になるんです? どうして私は、バッドエンドルートのクライマックスな場面に出くわして、トラウマを植え付けられそうになってるんですか?」
それは、俺が一番教えてほしいことなのだが。
「ソラよ」
「何ですか? 魔王様」
「それで、今日は俺を討伐しに来たのか?」
「は? そんな訳ないじゃないですか。取り敢えず、イベクエの内容みたら、明らかに魔王様らしき写真の人がレイドボスになってたから、確認しに来たついでに、一緒に遊ぶつもりだったんです!」
力強く拳を握り締めて天井を見上げてるが、そこに何か見えるのか? アリンが、釣られて天井を見ているぞ。
「確認しに来たついでにという事は、俺が賞金首だったとしても、これまで通りに遊ぶつもりだったのか?」
「え、はい。そのつもりですよ? 野生の魔王様と遭遇した上に、パテ組んでフレにもなっているんですよ? そんなレアな状況を、自分から手放してどうするんですか」
「しかし、俺と一緒にいると間違いなく、俺を狙う者達との戦闘に巻き込まれると思うが、それは良いのか?」
恐らくクエストに表示されていた俺の顔だけでも、十分特定はされるだろう。この村に滞在しているのを知っているのは、他にはサンゴだけだが、行動を始めれば、戦いの日々となる筈だ。
「確かに、それは此処に来る途中でも考えていました。本当に魔王様が〝魔王〟だった場合、これまで通りの関係でいられるのか? 冒険者らしく、魔王討伐の為に仲間と共に立ち向かうべきなのか……だけれども、もう魔王様は……私のフレンドなんです! 先に私が知ったのは、この世界を侵略しようとしていた魔王ではなく、この世界を一緒に楽しもうとしていた魔王様だったんです! 今更それを変えるだなんて、私の中での筋が通りません!」
きらきらと輝く瞳には、一切の迷いのない光が宿っていた。今の言葉に、嘘偽りがないことは、この瞳の輝き以上の証明はありはしないだろう。
「ふふ……そうか。ならば〝深淵の魔術師〟ソラよ、これからもよろしくな」
「ま……」
「ま?」
「真顔でシリアスな場面で、恥ずかしげもなく私のことを〝深淵の魔術師〟って呼ばないでぇええ!!! 不意打ちすぐるぅうう!!! ひぃいいい!!!」
「ソラが自分で、そうちょくちょく魔法を放つ時に叫んでいるだろう」
「違うんですよ! 戦闘時のテンションで名乗りをあげる時は、良いんです! 一種の戦闘ルーティンなのですから! しかしここは、今戦闘中ですか!?」
「いや、シリルの家だから違うな」
「そうでしょうとも! しかも、アリンちゃんやシリルさんの目の前で、魔王様がそんなことを言えば……」
ソラが恐る恐るアリンの方を振り返るので、俺も釣られて親子に目を向けると、尊敬の眼差しでアリンとシリルがソラを見ていた。
「深淵……カッコいい! ソラおねぇちゃん! 二つ名持ちだったんだね!」
「自称だからね!」
「流石は、魔王様と共に旅をする方……まさか〝深淵〟たる称号をお持ちの方だったとは、これまでの非礼をお許しください」
「だから自称だからぁあああ!!!」
ソラが慌てた様子で、二人にあれやこれやと説明していると、メッセージが届き、それはサンゴからだった。
それは俺の今の居場所を教えてほしいと言うことだったが、俺はこの場所を即答するのを躊躇っていた。
サンゴは間違いなく、神運営側の者であり、且つハイレベルな戦士である事は分かっている。ここで俺を討伐と言い出した場合、村人達に損害が出るかどうかが不明だ。
〝冒険者はNPCに危害を加えることは出来ない〟というこの世界の理は、普通であればサンゴも適用される筈だ。
しかし彼女は、神運営の眷属だと言うことは、ほぼ確実という中で、果たして必ずしもそれ理が適用されるのか。それが分からない状況で、此処に呼んで良いものかの判断を迫られた。
「まぁ、念の為だ。場所を変えた方が無難ではあるか」
「あれ? 魔王様? どこ行くんですか? 私も一緒に狩りに行きたいんですけど!」
俺が立ち上がり出口に向かって歩き出したところで、女子達の話し合いも丁度終わった所だった。
「狩りではなくてだな。サンゴという冒険者が、俺の今の居場所をメッセージで訪ねてきてな。会って早々戦闘になる可能性も捨て切れんから、村で派手に立ち回るのは迷惑をかけると思ってな」
「サンゴ? 初めて聞くプレーヤーの名ですね。魔王様のフレンドの方ですか?」
「あぁ、少々縁があってな。ソラがいない時間に、サンゴはこの世界にいる事が多くてな。今まで会うことはなかったようだ」
「なるほど、ログインする時間帯のズレがあったわけですか。正直、もっとちゃんと魔王様の今の状況とかこれからの事とか、色々聞きたいことあったんですが、それは仕方がないですね」
他の冒険者に会うと告げると、ソラは再び椅子に腰掛けた。どうやら、付いてくる気はない様子だが、その瞳には迷いも見てとれた。
「サンゴに会ってみたくはないのか?」
「元々人見知りな上に、ブレイブさんと紅さんの件があって、他のプレーヤーの人と会うのが、ちょっと怖いなぁと……」
「アレらに比べたら、サンゴは大分普通だと思うぞ」
普通の冒険者ではないだろうが、少なくてもアレらと同類にされるのは可哀想だ。
「普通の人ですか……怖くはない感じですか?」
「そうだな。特に怖いとか、そんな感じではなかったな」
「そうなんですね……魔王様が、怖くないって言うなら、折角だし、私も会ってみたいです! 私以外の、魔王様のフレに!」
「そうか、なら一緒に行くとするか」
「はい!」
アリルとシリルにまた来ると告げ、ソラと二人でハスレ村を出た俺は、万が一に備え、ハスレ村から東に向かった先にある開けた草原で、サンゴと会うことにした。丁度、この辺りの魔物達の強さが、ソラのレベル上げに適していた事もその理由だった。
メニューからマップを選択し、マップに表示されているこの位置の座標を、メッセージでサンゴに送った。
「この世界の理は、参考になるな。帰ったら、俺もコレを世界の理に組み込んでみるか。ん?」
「どうかしましたか、魔王様」
俺が不意に明後日の方向を見たことに釣られて、ソラも同じ方向を見ていた。
そして、サンゴにこの場所を教えてから、僅か数分後に俺達は悲劇に見舞われる。
「……魔王様? 足がガクブルする程に、怖い女性の方が、私達の前に立っているのですが、もしかしなくても、この方が?」
「……サンゴだな」
「魔王様の嘘つきぃいい! アレのどこが普通の目何ですかぁああ! アバターなのに、目つきが完全病み系じゃないですか!? 一体、魔王様は何したんですか!?」
「いや、俺は知らんが……」
「胸……」
「ん?」
気迫とも殺気とも言える様なオーラを纏った状態のサンゴが、俺達を前にして、最初の言葉が発せられたが、予想外のすぎて俺はこの後に固まった。
「この世界で胸を揉んだって、本当なの? 本当に揉めるのであれば、何故私のを揉まないの? 取り敢えず、他の女の胸を揉んだ手は、排除するわ。動かないでね、他の部分も切り落としちゃ、可哀想だから」
「いや、何を言ってるんだ?」
「魔王様? 一体全体どうしたら、こんな状況になるんです? どうして私は、バッドエンドルートのクライマックスな場面に出くわして、トラウマを植え付けられそうになってるんですか?」
それは、俺が一番教えてほしいことなのだが。
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