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最終章 願わくば花の下にて恋死なむ
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「よーし!もう一軒行くぞー!」
「いや青木くん…もう…俺、帰るし…」
「なんだと!?今日は朝まで飲むぞ!」
「うもー…明日、朝から防音室取ってあるでしょうが…」
「だからあ…寝ないでいくぞ…ってあれ?」
気がついたら、中島さんががっつり眠り込んでた。
人通りの多い街中の道路で座り込んで…なにしてんだ…
いくら起こしても起きないから、担いで俺のアパートまで連れて行くことにした。
タクシーなんか贅沢で使えない。
でも体力馬鹿の青木さんがほとんど担いでいるから、楽だったけどね。
「遠ちゃぁん…大学突っ切っていこうぜ…重い…」
「うん…行こっか…」
真っ暗な構内には、街灯がぽつりぽつりと立っている。
ぼんやりと暗い中、俺達はゆっくりと歩いた。
「え、遠ちゃん…俺、おしっこしたい…」
「ええっ…うもー…待ってるから行ってきなさいよ」
「ああ…中ちゃん、ここ置いとくから、見といて?」
「わかった」
青木くんは、中島さんを芝生の上に寝かせると、植え込みの中に走り込んでった。
「んなとこですんなよな…トイレ行けよ…」
ふと、周りを見ると大きなあの木が見えた。
シンとして、周りには音がない
俺はふらふらとその木に近づいた
ざあっと音を立てて舞い散る桜の花びらは
今でも鮮明に俺の目に焼き付いてる
ここには、もう宝物は埋まっていない
ねえ、譲──
今、しあわせ……?
「きっと、しあわせだよね…」
木の下のベンチに寝転がると、葉桜を見上げた。
この風景は…変わらない…
そして俺も…あの頃となにも変わりない…
「俺の宝物…代わりにここに埋めとこうか…」
あの時のまま、変われない俺を
ここに埋めてしまおうか
報われない思いを、ここに…
目を閉じると、瞼にあの光景が蘇った。
俺はいつまでもその光景を噛み締めた。
桜の花吹雪の中、いつまでも立ち尽くす二人の姿を…
そして、あの桜の木の下で終わった俺の恋を…
噛みしめた
【END】
「いや青木くん…もう…俺、帰るし…」
「なんだと!?今日は朝まで飲むぞ!」
「うもー…明日、朝から防音室取ってあるでしょうが…」
「だからあ…寝ないでいくぞ…ってあれ?」
気がついたら、中島さんががっつり眠り込んでた。
人通りの多い街中の道路で座り込んで…なにしてんだ…
いくら起こしても起きないから、担いで俺のアパートまで連れて行くことにした。
タクシーなんか贅沢で使えない。
でも体力馬鹿の青木さんがほとんど担いでいるから、楽だったけどね。
「遠ちゃぁん…大学突っ切っていこうぜ…重い…」
「うん…行こっか…」
真っ暗な構内には、街灯がぽつりぽつりと立っている。
ぼんやりと暗い中、俺達はゆっくりと歩いた。
「え、遠ちゃん…俺、おしっこしたい…」
「ええっ…うもー…待ってるから行ってきなさいよ」
「ああ…中ちゃん、ここ置いとくから、見といて?」
「わかった」
青木くんは、中島さんを芝生の上に寝かせると、植え込みの中に走り込んでった。
「んなとこですんなよな…トイレ行けよ…」
ふと、周りを見ると大きなあの木が見えた。
シンとして、周りには音がない
俺はふらふらとその木に近づいた
ざあっと音を立てて舞い散る桜の花びらは
今でも鮮明に俺の目に焼き付いてる
ここには、もう宝物は埋まっていない
ねえ、譲──
今、しあわせ……?
「きっと、しあわせだよね…」
木の下のベンチに寝転がると、葉桜を見上げた。
この風景は…変わらない…
そして俺も…あの頃となにも変わりない…
「俺の宝物…代わりにここに埋めとこうか…」
あの時のまま、変われない俺を
ここに埋めてしまおうか
報われない思いを、ここに…
目を閉じると、瞼にあの光景が蘇った。
俺はいつまでもその光景を噛み締めた。
桜の花吹雪の中、いつまでも立ち尽くす二人の姿を…
そして、あの桜の木の下で終わった俺の恋を…
噛みしめた
【END】
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ありがとうございます。感謝しております。