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第六章 総力戦の火蓋!
唸れる聖根玄棍!〈前編〉
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かつてない窮状に越水ルリアがベッド上で身悶えていたまさにその時、O駅と専用ブリッジで繋がれた白い外観で地上20階の【ホテルグランドクラウン】の7階に投宿中の虹岡霊術団総帥・虹岡顕造は、黒いボクサーブリーフ一丁の姿でベッド上にて日課の〈早朝瞑想〉に取りかかるべく結跏趺坐し半眼となった刹那に300メートルほど南に聳立するシーザーマンション内の異変をキャッチした。
さて、顕造の容貌は霊術という“オカルト一直線”な領域にどっぷり身を沈めた陰性な人物のイメージとは真逆の、更に50代半ばという年齢から確実に20歳は若く見える、褐色に焼けた肌と引き締まった筋肉を誇る野性的な美丈夫である。
しかも寝起きのままの頭髪はショートの金髪であり、両手首に三連ずつ巻いたカラフルな〈数珠ブレスレット〉と相俟って、この男の“オシャレ感覚”が同年代の輩とは明らかに異質であることを昂然と主張している…。
『──むうッ、地球には決して存在せぬ、文字通り霊を肉とする凶猛な妖魔が聖闘防霊団の戦士の闘気をあたかも吸血鬼のように貪っているではないかッ!
ぬう…このままの状態で放置すれば防霊団に開発された特殊能力はむろんのこと、彼女の生命力それ自体が脅かされかねぬッ…。
かくなる上はやむを得ん、ここまでの距離を隔てている以上は“虹岡流烈霊武具”【聖根玄棍】を用いるのが最も有効な対抗策であろう…!』
こう宣言して徐ろに床に降り立った虹岡は、“地上最強の戦士共同体”を自称する組織の長としては到底信じ難い行動に出た──何と目にも止まらぬ迅さで下着を脱ぎ捨てたのだ!
更に驚くべし、“お一人様”であるゆえに不謹慎と謗られるおそれが無いとはいえ、股間の逸物が殆ど垂直に天を仰いでいるというのはあまりにも常軌を逸した心性というものではないか?
「……」
かくて閉め切った遮光カーテンから1メートルほど手前に仁王立ちした顕造は、ただならぬ邪気が渦巻く雷の聖使の住居の方角に筒先を向け、右手で限界まで充血した男根を握りしめると、再び半眼となって今しも果たし合いに臨む剣客のごとく全身から闘気を立ち上らせつつ必殺の思念を凝らしはじめたのであったが…。
✦
「──アラッ!?
なッ、何てことッ!?
殲闘霊獣の…いいえ、あたしの術が完全制圧しているはずのルリアの部屋の〈霊的磁場〉にとんでもない亀裂が生じつつあるじゃないのッ!?」
再び操霊覇空鏡を凝視していた“リュザーンドの魔天使”が小さく叫び、常に臨戦態勢である運転席の練獣師も息を呑んでルームミラーに視線を疾らせる。
その直後、神霊闘術師メラミオの悲鳴が車内を震わせた。
「──な、何なのッ、このとんでもなくキモい黒い棒はッ!?
ああッ、まるで狂ったようにあたしのかわいいチェリオルを打ち据えてッ!
ひ、卑怯者めッ、きっと聖闘防霊団の差し金だねッ!?
おお可哀想に…小さな背中をあんなにひどく、まるで狂ったようにメッタ打ちにしおってッ…!
あッ、主人であるあたしの許可なくしては決して〈正体〉に復帰するはずがないあの子がとうとう苦痛に耐えかねて…!!
お、おのれッ…と、とにかく死ぬほど恐れているはずのこのメラミオの【禁縛令】を破ってしまったということは、あのイヤらしい武器の威力の凄まじさが知れようというものッ…!
──でも遅かったわねッ!
既にアイツの雷力の99%はチェリオルの【霊細胞】に吸収されてしまっているのよッ!!
ホホホホホッ、そら見てこらんッ!
理由はどうあれ、本来の姿に戻ってしまえばこっちのものッ、殲闘霊獣全体でも屈指の俊敏さを誇るチェリオルにそんなスローモーな打撃がそうそうヒットするわけないわッ!!
よしッ、そのまま半失神状態のルリアを【繭鞘】に包んでここまで運んでおいでッッ!!!
──エッ!?…は、はぐあああッッ!?!?」
勝利の凱歌を上げたかに見えた魔天使が一瞬その目を疑い、突如として口元を押さえて上体をのけ反らせたのは、わが物顔で寝室内を乱舞していた2メートルほどの生々しく脈動する極太の鞭のごとき黒い棒が煙のように消え失せたのみならず、あたかも瞬間移動したかのように尖端からその口内に侵入してきたからであったのだ!!
さて、顕造の容貌は霊術という“オカルト一直線”な領域にどっぷり身を沈めた陰性な人物のイメージとは真逆の、更に50代半ばという年齢から確実に20歳は若く見える、褐色に焼けた肌と引き締まった筋肉を誇る野性的な美丈夫である。
しかも寝起きのままの頭髪はショートの金髪であり、両手首に三連ずつ巻いたカラフルな〈数珠ブレスレット〉と相俟って、この男の“オシャレ感覚”が同年代の輩とは明らかに異質であることを昂然と主張している…。
『──むうッ、地球には決して存在せぬ、文字通り霊を肉とする凶猛な妖魔が聖闘防霊団の戦士の闘気をあたかも吸血鬼のように貪っているではないかッ!
ぬう…このままの状態で放置すれば防霊団に開発された特殊能力はむろんのこと、彼女の生命力それ自体が脅かされかねぬッ…。
かくなる上はやむを得ん、ここまでの距離を隔てている以上は“虹岡流烈霊武具”【聖根玄棍】を用いるのが最も有効な対抗策であろう…!』
こう宣言して徐ろに床に降り立った虹岡は、“地上最強の戦士共同体”を自称する組織の長としては到底信じ難い行動に出た──何と目にも止まらぬ迅さで下着を脱ぎ捨てたのだ!
更に驚くべし、“お一人様”であるゆえに不謹慎と謗られるおそれが無いとはいえ、股間の逸物が殆ど垂直に天を仰いでいるというのはあまりにも常軌を逸した心性というものではないか?
「……」
かくて閉め切った遮光カーテンから1メートルほど手前に仁王立ちした顕造は、ただならぬ邪気が渦巻く雷の聖使の住居の方角に筒先を向け、右手で限界まで充血した男根を握りしめると、再び半眼となって今しも果たし合いに臨む剣客のごとく全身から闘気を立ち上らせつつ必殺の思念を凝らしはじめたのであったが…。
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「──アラッ!?
なッ、何てことッ!?
殲闘霊獣の…いいえ、あたしの術が完全制圧しているはずのルリアの部屋の〈霊的磁場〉にとんでもない亀裂が生じつつあるじゃないのッ!?」
再び操霊覇空鏡を凝視していた“リュザーンドの魔天使”が小さく叫び、常に臨戦態勢である運転席の練獣師も息を呑んでルームミラーに視線を疾らせる。
その直後、神霊闘術師メラミオの悲鳴が車内を震わせた。
「──な、何なのッ、このとんでもなくキモい黒い棒はッ!?
ああッ、まるで狂ったようにあたしのかわいいチェリオルを打ち据えてッ!
ひ、卑怯者めッ、きっと聖闘防霊団の差し金だねッ!?
おお可哀想に…小さな背中をあんなにひどく、まるで狂ったようにメッタ打ちにしおってッ…!
あッ、主人であるあたしの許可なくしては決して〈正体〉に復帰するはずがないあの子がとうとう苦痛に耐えかねて…!!
お、おのれッ…と、とにかく死ぬほど恐れているはずのこのメラミオの【禁縛令】を破ってしまったということは、あのイヤらしい武器の威力の凄まじさが知れようというものッ…!
──でも遅かったわねッ!
既にアイツの雷力の99%はチェリオルの【霊細胞】に吸収されてしまっているのよッ!!
ホホホホホッ、そら見てこらんッ!
理由はどうあれ、本来の姿に戻ってしまえばこっちのものッ、殲闘霊獣全体でも屈指の俊敏さを誇るチェリオルにそんなスローモーな打撃がそうそうヒットするわけないわッ!!
よしッ、そのまま半失神状態のルリアを【繭鞘】に包んでここまで運んでおいでッッ!!!
──エッ!?…は、はぐあああッッ!?!?」
勝利の凱歌を上げたかに見えた魔天使が一瞬その目を疑い、突如として口元を押さえて上体をのけ反らせたのは、わが物顔で寝室内を乱舞していた2メートルほどの生々しく脈動する極太の鞭のごとき黒い棒が煙のように消え失せたのみならず、あたかも瞬間移動したかのように尖端からその口内に侵入してきたからであったのだ!!
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