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第六章 総力戦の火蓋!
唸れる聖根玄棍!〈中編〉
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「メラミオ隊長、いったいどうされたッ!?」
突如として襲いかかった異変に苦悶する美しき神霊闘術師を苦みばしった30代半ばといったところの浅黒い肌の彫りの深い風貌の練獣師バラムが血相を変えて気遣うが、両手で喉元を押さえたまま全身を小刻みに震わせる桜城和紗は、顔面蒼白で虚空を睨んだまま一言も発することができぬ…。
一方、“加害者”の虹岡顕造はいつの間にか浴室のバスタブ内に移動しており、“被害者”とは対照的に赤みを帯びる琥珀色のプチマッチョボディをのけ反らせていた。
「──はあああッ、ど、どうだッ、外宇宙からの邪悪な侵略者に魂を明け渡した悪魔の巫女めッ!
わ、わが聖根玄棍の降魔力によって操者であるオマエさえ無力化すれば、あの魔物を完全誅滅はできずとも、この三次元世界から発生源の凶魔界へと放逐させられるはずッ!!
うッ、くううッ…さ、されどこの娘、その美貌から察するにさぞや経験豊富であろうことに加え、天性の上手と見えて無意識の内に私を昇天させんと必死の反撃を試みてきおるわ…!
お、おそらく類稀なる霊術者としての本能によって聖根玄棍の本体を見抜き、歯を立てて噛み切ろうなどと試みようものなら逆に自らの死に繋がり、無効化させるには絶頂へと導き、暴発させるしかないと悟ったのであろう…!!
…くうッ、小癪なッ!呼吸もままならぬ状態であろうに、貪欲にも舌を絡めてきおって…それにしても何たる妙技ッ…!
はあッ…な、なるほどな…首魁であるマスクド=カリギュラ…い、いやリュザーンドの星王ザジナスが己が生命を捧げる誘惑に駆られるほどに魅了され尽くしているのも頷けるというもの…だ、だがこの虹岡顕造には通用せんぞッ!
──存分に味わうがいいッ、虹岡流霊術秘奥義【破蓮頂刻】をッッ!!」
片や緊迫の車内では、虹岡霊術団総帥の長口舌の最中にメラミオが逆襲を期してアクションを開始していた。
「……」
右手で“見えざる男根”を握りしめてそれ以上の侵入を防ぎ、震える左手の人差し指でバラムに傍らのアタッシュケースを指さす。
「──心得たッ」
忍者もかくやと思わせる俊敏な身ごなしで後部座席に移動した黒Tシャツ・スラックスに鍛え込んだ肉体を包んだベテラン練獣師が素早くケースを開くと、真紅の天鵞絨の台座に覇空鏡を除く5つの霊闘具が嵌め込まれている。
まず目を引くのがほぼ中央に位置する金属的な光沢を放つ青紫色の仮面【極麗瞳貌】であったが、額に象嵌された金色の霊石は眼球のごとく彫琢され、切れ長の両眼も同じ色彩に妖しく輝いている。
台座の左上に収められているのは直径6センチほどの紫色の円盤で、これは神霊闘術師の魔念によって十数種類の変化を見せる【凶殲煌輪】なる“飛翔戦器”であり、厚さ5センチの鋼板から聖防霊まで、その鋭刃に触れるもの全てを寸断する、リュザーンド聖歓隊々長の必殺武器である。
一方、右上には直径13センチの紫がかった銀色の香炉【冥境風炉】が嵌っており、ここから立ち上る香煙は百種を超え、その半数はおそるべき殺傷力を秘めているという…。
そして左下に鎮座しているのが涙滴型のくすんだ金色がかった石笛である【霊哭笛】で、これは殲闘霊獣に比して自律性に欠ける影霊獣に号令するために開発されたいわば〈操縦器〉である。
されどメラミオが指し示したのはそのどれでもなく、右下にひっそりと収められている青紫色の六角形の小瓶【天霊慈露】であった。
「うむ…」
むろん使用するのは初めてだがその効能だけは理解している霊液が満たされた瓶を取り出し、黒い栓を抜いてメラミオが指さす大きく開いた紅唇へと近付け、ゆっくりと傾けた瞬間、彼女の頭部が激しく前後しはじめた!
突如として襲いかかった異変に苦悶する美しき神霊闘術師を苦みばしった30代半ばといったところの浅黒い肌の彫りの深い風貌の練獣師バラムが血相を変えて気遣うが、両手で喉元を押さえたまま全身を小刻みに震わせる桜城和紗は、顔面蒼白で虚空を睨んだまま一言も発することができぬ…。
一方、“加害者”の虹岡顕造はいつの間にか浴室のバスタブ内に移動しており、“被害者”とは対照的に赤みを帯びる琥珀色のプチマッチョボディをのけ反らせていた。
「──はあああッ、ど、どうだッ、外宇宙からの邪悪な侵略者に魂を明け渡した悪魔の巫女めッ!
わ、わが聖根玄棍の降魔力によって操者であるオマエさえ無力化すれば、あの魔物を完全誅滅はできずとも、この三次元世界から発生源の凶魔界へと放逐させられるはずッ!!
うッ、くううッ…さ、されどこの娘、その美貌から察するにさぞや経験豊富であろうことに加え、天性の上手と見えて無意識の内に私を昇天させんと必死の反撃を試みてきおるわ…!
お、おそらく類稀なる霊術者としての本能によって聖根玄棍の本体を見抜き、歯を立てて噛み切ろうなどと試みようものなら逆に自らの死に繋がり、無効化させるには絶頂へと導き、暴発させるしかないと悟ったのであろう…!!
…くうッ、小癪なッ!呼吸もままならぬ状態であろうに、貪欲にも舌を絡めてきおって…それにしても何たる妙技ッ…!
はあッ…な、なるほどな…首魁であるマスクド=カリギュラ…い、いやリュザーンドの星王ザジナスが己が生命を捧げる誘惑に駆られるほどに魅了され尽くしているのも頷けるというもの…だ、だがこの虹岡顕造には通用せんぞッ!
──存分に味わうがいいッ、虹岡流霊術秘奥義【破蓮頂刻】をッッ!!」
片や緊迫の車内では、虹岡霊術団総帥の長口舌の最中にメラミオが逆襲を期してアクションを開始していた。
「……」
右手で“見えざる男根”を握りしめてそれ以上の侵入を防ぎ、震える左手の人差し指でバラムに傍らのアタッシュケースを指さす。
「──心得たッ」
忍者もかくやと思わせる俊敏な身ごなしで後部座席に移動した黒Tシャツ・スラックスに鍛え込んだ肉体を包んだベテラン練獣師が素早くケースを開くと、真紅の天鵞絨の台座に覇空鏡を除く5つの霊闘具が嵌め込まれている。
まず目を引くのがほぼ中央に位置する金属的な光沢を放つ青紫色の仮面【極麗瞳貌】であったが、額に象嵌された金色の霊石は眼球のごとく彫琢され、切れ長の両眼も同じ色彩に妖しく輝いている。
台座の左上に収められているのは直径6センチほどの紫色の円盤で、これは神霊闘術師の魔念によって十数種類の変化を見せる【凶殲煌輪】なる“飛翔戦器”であり、厚さ5センチの鋼板から聖防霊まで、その鋭刃に触れるもの全てを寸断する、リュザーンド聖歓隊々長の必殺武器である。
一方、右上には直径13センチの紫がかった銀色の香炉【冥境風炉】が嵌っており、ここから立ち上る香煙は百種を超え、その半数はおそるべき殺傷力を秘めているという…。
そして左下に鎮座しているのが涙滴型のくすんだ金色がかった石笛である【霊哭笛】で、これは殲闘霊獣に比して自律性に欠ける影霊獣に号令するために開発されたいわば〈操縦器〉である。
されどメラミオが指し示したのはそのどれでもなく、右下にひっそりと収められている青紫色の六角形の小瓶【天霊慈露】であった。
「うむ…」
むろん使用するのは初めてだがその効能だけは理解している霊液が満たされた瓶を取り出し、黒い栓を抜いてメラミオが指さす大きく開いた紅唇へと近付け、ゆっくりと傾けた瞬間、彼女の頭部が激しく前後しはじめた!
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