魔人戦界ラージャーラ

幾橋テツミ

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第一章 地上から来た教軍超兵

ボクは異世界遭難者②

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 0.1秒後、出現したのは“極彩色の怪物”であった!

 形状こそ大柄な人型ひとがたであるもののその他の全てがあまりにも常軌を逸しており、先程の大魔獣と共に異世界の存在者に相応しい異彩を放ってはいるがむろん対峙する身としては生きた心地もしない。

『な、何だよコイツは……真っ赤っ赤なミイラ男!?

 しかも何の意味があるのか、全身がまるでネオンサインみてえにケバケバしく点滅してやがるし……。

 さすがにこれが“ラージャーラの原住民”ってことはねえよな?

 だとしたら、?』

 脳内に特大の?マークを点滅させながら煩悶する亘だが、ここで意外なことに怪物は声質こそ下卑ているものの流暢な日本語によって話しかけてきた──たしかに出発間際、口数少ない冷厳な父・龍は「言葉については心配いらん」と簡潔な助言はしてくれていたものの、ここまでヴィヴィッドな母国語を期待していなかったがゆえに、遭難少年の脳裡に電光のごとくある確信めいた閃きが疾った──コイツ、ひょっとして……!?

「──オマエ、地上人……

 ということは……指月が寄越した〈素体〉だろうが、何故こんな所にいる?

 キサマらが直行すべき目的地は総本陣ダロバスラ以外にあり得ぬはずだろうが……!?」

 怪物の語気は次第に怒気を帯び、比例して亘の恐怖のボルテージは際限なく上昇してゆくが、対話の糸口を掴んだ彼はここぞとばかりに弁明する。

「──そっ、そうですッ!

 実は自分はそのでして、父は私をエグメド空間に送り出す前に〈到着座標〉を【果原アーグ】(地球の極地にあたるラージャーラ無人地帯)のダロバスラ山に定めてくれたはずだったのですが、どうやら失敗したらしくて…」

 常に抱いてきた実父への憎悪を今や殺意にまで高め、涙ながらに訴える哀れな少年を睨み据えながら赤い魔物は冷ややかに応じる。

「……どうやらウソではないらしいが、何ともマヌケな話だな。

 しかし指月ヤツが〈搬送〉をミスったなどとは聞いたこともないが……。

 まあそれはそれとして、臨戦態勢の我が軍としては何とも迷惑な話だぜ…ちょっと待ってろ、大刃獣ザヌザに搭乗してに侵攻してるはずの〈師匠〉と【念話】してみるからな…」

「……」

 時々小さく頷きながら進められた教軍超兵同士のテレパシー?は1分間ほどで終わり、極彩色の点滅魔人は面倒臭そうにこう告げた。

「喜べ、師匠直々にキサマを偉大なる教聖の下へ移送して下さるそうだ。

 それと親父の名誉のために言っとくが、今回の件はしくじりに非ず、教聖の御意向で最初ハナからこのティリールカを目的地としていたものらしい……。

 ──その理由?バカかおまえ?

 そんなもん、未来の兵士に実戦の厳しさと凄惨さを予め叩き込んどくために決まっとるだろうがッ!?

 しかもどうやらお手本に選ばれたのがこの“神牙教軍最強戦士”煬赫ヨウカク様であろうとは、テメエもとんだ果報者だぜ……。

 ま、こうなった以上はしゃーねえ、オレが教聖から直々に特任されたミッションを今回に限って見せてやるとするか──尤もこの煬赫様の超絶的な戦技の真髄がヒヨッコに理解できるはずもねえが、一生モノの財産にはなるはずだぜ……!」

「は、はあ……ありがとうございます」

 身の安全のためとりあえず感謝の意だけは表明しておいたものの、亘としては一刻も早く〈師匠〉とやらにこのデンジャーゾーンから連れ去ってほしいのだったが、ここで飛び出した刃獣というワードによって深い疑惑に囚われるに至った。

『もしかして……やっぱさっき空を横切ったバケモンこそがザヌザとかいう刃獣だったんじゃ?

 となるとオレの存在は確実にキャッチされてたはずなのに…………』

 されど亘の不満に煬赫が気付いた気配はなく、むしろ承認欲求wを充足してもらってご満悦の体である……。

「──うむ。

 ところで一つ忠告しといてやるがな、

 というのもこの煬赫様の戦闘スタイルは目も眩まんばかりの【殺光術】をベースとした“悪魔的白兵戦”なんでな、至近距離で拝もうものなら常人の視神経など一瞬にして灼き切れてしまうのは必至。

 従って観戦にあたってはあくまでも視覚に頼らず聴覚と心眼のみによって神技の片鱗のみでも汲み取ろうとする求道的姿勢が求められる…いいな?」

「はっ、はいッ!」

 しおらしくそれっぽい返事はしたものの、あまりのバカらしさに指月 亘は半分キレかかっていた。

『──ってか?

 ザケんなよ、この地獄のチンドン屋がッ!

 全くアホかっての…ンなことならオレがその場にいる意味なんてどこにあるってんだよッ!?

 しかもコイツ、随分尊大な口きいてるクセに手下の一人も連れてねえってことは単なる一兵卒に過ぎねえんじゃね?

 一体どんだけ強えんだか知らねえけどよ、そんなボッチ野郎に任されるミッションなんざ所詮〈自爆テロ〉に行き着くのが関の山なんじゃねえのかよ?

 !!』






 

 






 

 

 
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